〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第二百八十一話 元ストライカー達の過去

コンコンッ!

 

翔(…ん、誰だ?)

翔「入れ。」

 

元ストライカー達と雑談をしていると、医務室の戸がノックされた。翔が入室許可を出すと、戸が開く。

 

 

ミア「やっほやっほ~♪」

 

ディオ「翔さん。」

 

トリア「お邪魔致します、翔さん!」

 

 

入ってきたのは、害特に所属するアイドルグループ『NumberS』の3人だ。

 

翔「おぉ、ミアにディオにトリア…よく来てくれた。」

 

翔が手招きすると、NumberSは嬉しそうにこちらに近付いて来る。

 

ディオ「…寝なくて、いいの…?」

 

翔「寝れねぇんだ。てか、Dolls(アイツら)が眠い中任務に行ってるってのに、呑気に寝てられるかよ…っつってもなぁ、やることがねぇんだよな。」汗

 

そう言って首を掻く翔。

 

ミア「ん?翔さん、首が痒いの?掻いてあげよっか?」

 

翔「いや、大丈夫だ…そうだ、折角NumberSが来てくれたわけだ…お前達、NumberS(コイツら)と話してみたらどうだ?」

 

翔の言葉を聞き、ニコッと微笑む元ストライカー達。

 

トリア「私トリアも、翔さんを慕う元ストライカーの皆さんと話してみたいと思っていました。1つお尋ねしますが…翔さんは何故首を掻いたんですか?」

 

あから「トリア君、だったよね?それは隊長殿のクセなんだ、困った時にはつい首を掻いてしまう…どうだい、隊長殿?」

 

翔「よく見てんじゃねぇか、正解だ。」

 

あからの説明に翔がコメントする。本人からのコメントがあったからなのか、納得した表情をみせるトリア。

 

ミア「あっ、そうそう!ボクね、ほたるセンセーの漫画、読んだんだよ♪とても面白かったし、色んな感情を勉強することができたよ♪」

 

ほたる「ホント!?うわぁ、嬉しいなぁ~えへへ♪」

 

ディオ「ディオは…幸子からヨガを教わった。後、雪枝からは…家事のやり方を教わった……ゆっくり教えてくれたし…有意義な時間だった。」

 

幸子「よ、良かったです…」

 

雪枝「ディオさん、覚えが良いからすぐに上達しましたね♪」

 

ほたるお手製の漫画は、ドールハウスにいくつかあり…ミアはそれを読んで感情学習をしたようだ。ディオは幸子からヨガを…雪枝からは家事を教わり、できることを増やしたようだ。

 

トリア「私トリアは、沖縄旅行の際…同士モニカから沢山の写真を見せていただきました。様々な景色や勇ましい翔さん、数多の景色が見られました!」

 

モニカ「へへ~♪」

 

翔「俺が写ってるのも見せたのか…まぁ良い……」汗

 

トリアはモニカから写真を見せてもらったようだ。景色だけではなく、翔が写っているのも見た模様…

 

ミア「そうだ。ボク、ずっと聞きたかったことがあったんだ。」

 

ミアはそう言うと、元ストライカー達にこう尋ねる。

 

 

ミア「どうして元ストライカーの皆は、翔さんのことを『隊長』って慕ってるの?」

 

 

ミアの言葉を聞いた元ストライカー達は、翔の表情を伺う。

 

翔「…。」コクッ…

 

翔が頷くと、元ストライカー達は口を開き始める…まずは、マリからの話が始まる。

 

 

マリ「私らはさ…所謂『訳あり』の集まり。妖魔って奴は本来、普通の人間では認識することができなくてね…『ストライカー』と呼ばれた私らには、どういうわけか妖魔の存在を認識できる。だからこそ、ソイツらを全滅させるために集められた。それが、私らストライカー。」

 

次に、雪枝が語り始める。

 

雪枝「ストライカーは『フィフス・フォース』っていう時空管理局の管理官が結成したチームに所属するメンバー達のことです。五人一組の少女たちで編成されていまして、それぞれ…『爆撃』・『打撃』・『斬撃』・『射撃』・『砲撃』…という役割が与えられます。様々な世界(チャンネル)を旅し、妖魔を倒すことが使命です。」

 

雪枝の次に、あからが話し始める。

 

あから「ボクは元々、絶縁したかつての姉妹達と一緒に…モルガナ様の手下として、フィフス・フォースと敵対していたんだ。それで、保護観察として『アザーズ』という非正規チームに所属することになったんだ。モニカ君がかつて所属していたストライカーチームも、初めはフィフス・フォースと敵対していたけど…最後は温かく受け入れてもらえたんだ。初めは“あの学園”の人たちは温かく受け入れてくれたが…“ヤツ”が来た時…温かな場所は、一気に地獄と化してしまったよ……」

 

あからが話し終えると、ほたるが口を開く。

 

ほたる「あからさんが言うヤツと言うのは…隊長サンの前任の隊長のことです。もうご存知かもしれませんが、彼はとてつもなく酷い人でした。あたし達ストライカーを“ヒト”としてではなく、“ドウグ”として見ていました。怪我人や病人がいても、お構い無しに任務に行かせて…失敗すると長時間に及ぶ罵詈雑言を浴びせて来ました。酷い時には、あたし達の身動きを封じ、一方的に暴力を振るってくることもありました。当日の時空管理官だったティエラが様子を見に来た途端、露骨に別人のように優しく振る舞い…自分の本性を隠し続けていたんです。そのせいで、結局発見できず…ストライカー達は皆、精神的におかしくなってしまったんです。」

 

ほたるの次に、モニカが語り始める。

 

モニカ「そこにやって来たのが、隊長さんだったんだ。心が壊れて不安に飲み込まれていたアタシらと真剣に向き合ってくれてね…ありのままを受け入れてくれた。隊長さんが来てくれたおかげで、皆は段々元気を取り戻していったんだ。アタシも、隊長さんに寄り添ってもらえて…笑っても良いんだって、気付けた…」

 

途中で涙ぐみながら、モニカはゆっくりと話す。そして、話は翔が抱える悲しみに向かう形で…進んで行くこととなる。

 

モニカ「でも…楽しい時間は突然、終わりを告げる……時空管理局があからさまな嘘を書いた手紙を送って来た。前任の隊長から散々傷付けられたストライカー達は冷静な判断力を失ってて…時空管理局の嘘の手紙を鵜呑みにしたんだ。ここにいるアタシ達は、その手紙が嘘だってことにすぐ気付いて、ストライカー達に何度も伝えたんだけど……聞く耳を持たないどころか、暴言まで浴びせて来た。そこから、ストライカー達による…隊長さんに対する虐めが始まったんだ……」

 

次の語り手は、幸子だ。

 

幸子「隊長さんは、ストライカー達から暴言の嵐を浴びせられ…身動きを封じられて、集団による一方的な暴力を受け…言い掛かりをつけられて、無理矢理土下座をさせられ…ある時には、殺害予告までされるようになったんです。」

 

翔「……。」

 

幸子は翔の顔色を伺いながら話をする。翔は『大丈夫だ。』と言うように幸子に頷くと、彼女は再び語り始める。

 

幸子「ストライカー達から壮絶な虐めを受けても、隊長さんはストライカー達と向き合い続けていました。一番不安であったのに…笑顔を絶さず、常にストライカー達を気にかけてくれていたんです。ですから、ここにいる私達は…隊長さんを……青空 翔さんを、隊長さんって慕っているんです。隊長さんが来てくれなかったら、私は…生きる気力を持てなかったと思います……最悪の場合、自殺をしたかもしれません……」

 

 

6人の元ストライカー達からの話を聞き、NumberSは言葉を発すること無く…真剣な表情を見せていた。

 

翔「こっからは、俺が話す。」

 

元ストライカー達の話が一先ず終わった後、翔が語り手となり…話を始める。

 

翔「あのな…ここにいる奴ら、元ストライカー達は…俺達が敵対しているストライカー共とは全然(ちげ)ぇぞ?時空管理局の嘘を見抜き、ストライカー共によってボロ雑巾になった俺を手当てしてくれたり…飯を作ってくれたり…愚痴も聞いてくれたりしてくれた。だから、コイツらをあのストライカー共と一緒だとかほざく輩は、俺はぜってぇ許さねぇぜ?」

 

話をする翔は、終始俯いていた。だが、一通り語り終え…顔を上げる。

 

翔「お前達にも分かるか?信じられねぇ奴らばかりの空間に、自分を受け入れてくれた存在の有り難さが……コイツら、元ストライカー達(俺の理解者)が居てくれたから…俺は死なずに足掻けた……コイツらのために、何か貢献してぇって思えた……命の恩人を貶すバカは、例え天皇だろうが総理大臣だろうが、俺は迷わずぶん殴ってやる。」

 

翔はそう言うと、「さて、話はここまでにするか。」と言う。彼の言葉に、元ストライカー達も頷く。

 

翔「その前に…小春、翠、ミネル。お前らから、何か話しておきてぇことはねぇのか?あるなら遠慮するな…だが、無理に話せとは言わねぇ。」

 

翔はそう言うが…翠は小春とミネルヴァにこう言った。

 

 

翠「わたしらの話は、また今度にしよ?隊長ちゃん、流石に疲れてるだろうし…」

 

 

彼女は翔の表情を伺いながら言う。翔の顔を見てみると、目の下にクマができている。

 

小春「翠…そうだね。隊長さん、私達からは何も無いです。」

 

ミネルヴァ「そろそろ眠くなって来ちゃった…もう寝るね?」

 

小春とミネルヴァの言葉に…

 

翔「承知した。またいつでも来いよ?」

 

…と、翔は言った。その日、元ストライカー達とNumberSとの話を終えた翔は…漸く、眠りについたのであった。

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