〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第二百八十二話 謎の女

その頃、夜になった東京のとある駅前にて…

 

 

 

???「うーん、どこにいるんだろう…」

 

1人の若い女性が、写真を片手に…何かを探しているのか、周りを目で見ていた。薄栗色の髪色に三つ編みおさげの髪型、ジャージにスパッツといった変わった服装が特徴だ。

 

???「……。」

 

彼女が手に持っている写真には、赤ちゃんを抱いて笑顔を見せている少女の姿が映っている。

 

???(…可愛かったなぁ、翔君……あたしが留学なんてしなければ、一緒に居られたのに……)

 

女性は写真に映る赤ちゃんを見て、目に涙を浮かべる。

 

???「…翔君、会いたいよ……どこにいるの…?」

 

翔君…それは、写真の赤ちゃんのことであろう。

 

 

彩羽(翔君…あたし、『 彩羽(さやは)』を…“お姉ちゃん”を、一人にしないでよ……)

 

 

この女性の名は、『青空 彩羽』……実は彼女……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

英雄『青空 翔』の

 

実の姉

 

 

なのだ。

 

彩羽が5歳の頃に翔が産まれ、それを心から喜んだ彼女は…翔のことを積極的にお世話するようになったのだ。食事やおむつ交換、入浴や寝かしつけ、遊び相手になる等、翔のことを大切にしていた。昔から何でもでき、頭も良かった彼女は…高校生になった頃、アメリカに留学…現地でもずば抜けた学力を活かし、1週間で英語をマスター…更に、中国語や韓国語、ロシア語等の様々な国の言葉を喋れるようになったのだ。とにかく、彼女は異常である。

 

彩羽(あたしはカッコいいお姉ちゃんになりたかった…翔君が自慢できるような、カッコよくて頼りになるお姉ちゃんになりたかった……)

 

何故彩羽がここまで異常に頑張ったのかというと……翔が産まれてきたからである。翔と過ごす時間は、彩羽にとってかけがえのない一時であったのだ。赤ちゃんだった翔が泣くと、真っ先に駆け付け…あやしたりミルクをあげたり、抱っこしたり…心から翔のことが大好きなのだ。

 

しかし……

 

彩羽(翔君が死んだなんて…そんなの、嘘っぱち……だって、今テレビとかで引っ張りだこだもん…ちゃんと生きてるもん…!!)

 

彼女がアメリカに滞在し、大学生になった頃…翔が死んだとの報道を見て、絶望したのだ。すぐにでも日本に帰って翔の元に行きたかったが…それでは、翔の遺体と対面することになる…そうすると、翔が死んだことが事実であることになる。それが怖かったため、日本に帰れなかったのだった。そこから、格闘技を勉強し、格闘技の教室に通うようになったのだが……

 

彩羽(あの時は苦しかったなぁ…あたしよりもガタイの良い男の人にお腹を何度も蹴られたし……)

 

上手く行かず、自分より数倍強い大男にボコボコにされ…嘔吐や吐血をすることが度々あった。だが、その1ヶ月後には……自分をボコボコにした大男を、ボコボコにしたのだ。

 

彩羽(翔君が後ろにいるって思ったら、意外と行けたんだよねぇ~…嗚呼、翔君…どこにいるの?)

 

愛する弟のために…そんな思いを胸に抱き、彼女は今も頑張り続けている。現在、彼女は女優・モデル・グラビアアイドル・声優等、幅広く活動しているのだ。理由はただ1つ…愛する弟と再会するためだ。

 

彩羽「…!!」ゴシゴシ…

 

彩羽は涙を拭うと、周囲の人に聞き込みをするために歩き出した。

 

 

 

彩羽「あっ、そこのお兄さ~ん!」

 

通行人1「…って、えぇっ!?ほ、本物のさやや!?」

 

彩羽「この子のこと、何か知らないかな?私の弟で、名前は『青空 翔』って言うんだけど…」

 

通行人1「えっ?翔の兄貴のこと…うーん、ツンデレ男子で有名なのは知ってるけど……」

 

彩羽「ツンデレ男子かぁ、うん!!ありがと♪」

彩羽(どんなに些細なことでも良い…とにかく、翔君の情報が欲しい!!)

 

その後も、彩羽は通りかかる人々に積極的に声をかけていき…翔の居場所を探るための手掛かりを集め続けた。

 

 

 

数時間後、気が付くと日付が変わっていた。

 

彩羽「うわぁ…もうこんな時間か、どこに泊まろうかな……おっ?」

 

ふと、彩羽の視線の先には…10人程の女性の集団の姿が見える。1人は医者なのか、白衣を纏っている。残りの9人は、皆同じ…何やら不思議な衣装に身を包んでいる。

 

彩羽(何だろう…コスプレの撮影とは考えにくいなぁ……そもそも、こんな時間にコスプレして歩くのはおかしいし……)

 

遠くから集団を見ていると…ふと、白衣を着た女性と目があった。

 

彩羽「ッ!?」

 

 

 

愛「誰?」

 

サクラ「あ、愛さん…?」

 

愛「ごめんね皆…あそこの路地裏に誰かいる……」

 

愛はじっと路地裏を見ると、声をかける。

 

愛「姿を見せて?」

 

すると、路地裏から1人の女性が出て来て…こちらに歩いてくる。

 

愛「…?」

愛(ストライカーではなさそうだけど…この娘、何者だろう…?)

 

彩羽「あのあの…私、『青空 彩羽』っていいます…!!」

 

彩羽は愛に名刺を渡す。

 

愛「青空 彩羽さん……って、女優や声優、モデルにグラビアアイドルとか…多彩な活動をする人気タレントさんじゃん…!!」

 

どうやら愛も、彩羽のことを知っている様子だが…実際に対面したのは初めてである。

 

ヒヨ「あおぞら…あー!翔さんとおんなじだ!!」

 

ナナミ「いや、名字が同じでも…血の繋がりがあるとは……」

 

彩羽「えっ…もしかして、翔君を知ってるんですか!?私、弟の『青空 翔』君を探してて…!!」

 

彩羽は写真を見せながら言う。

 

愛(翔君を探してる…なんか怪しいな……)

 

その時、通信機が鳴った。

 

PPP--

 

翔『おいどうした?その地点は任務を行う地点じゃねぇぞ?何かあったのか?』

 

愛「あっ、翔君?今ね、翔君を探してるって言う人がいるんだよね…女の人なんだけど……」

 

翔『俺を探してるだと?ストライカーじゃねぇのか?』

 

愛「うーん、ストライカーとは考え難いんだよね…」

 

翔『ここで話すより、俺がそっちに行った方が(はえ)ぇかもな…今から向かうから、ちっと待ってて貰えるか?』

 

愛「うん、わかった。」

 

通信が切れると、愛は彩羽にここで待つようにと言う。彩羽は愛の言葉を素直に聞き、待つことに……数分後……エンジン音が響き渡り、乳白色のライトを光らせるバイクがこちらに向かってきた。

 

ガロロロッ!!

 

翔「…よぉ、来たぜ?」

 

バイクから降りた翔は、ヘルメットを外す。

 

翔「…で、どいつだ?俺を探してるってのは…?」

 

彩羽「…!!」

 

翔の姿を見た彩羽は、目をぱちくりさせ…写真の赤ちゃんと翔を交互に見る。

 

翔「何だよコイツ、見ねぇ顔だな?」

 

アヤ「青空 彩羽さん、あたしもかつて一緒にアニメの収録をしたことがあるの。色んな芸能活動をしてる人気タレントさんよ。」

 

翔「へぇ…その人気タレントが、俺に何の用だ?」

 

彩羽「しょ…翔君……!!」ポロポロ…

 

翔の姿を見るなり、目から大粒の涙をこぼす彩羽。

 

翔「…?」

 

彩羽(しょ、翔君だ…!赤ちゃんだった時も、イケメンさんだったなぁ……生きてる、翔君は生きてる…こんなに大きくなったんだね♪)

 

翔「…なぁ、俺何かしたか?」

 

戸惑いながらDolls達に問い掛ける翔。

 

レイナ「翔君は何も悪いことはしてない、だから安心してちょうだい?」

 

翔「…そうか。それで、あんたは一体何者だ?」

 

彩羽「グスンッ…あたし、青空 彩羽……翔君、君の……君の、お姉ちゃんだよ…?」

彩羽(会いたかったよ、翔君…!!)

 

実の弟と、数年ぶりの再会を果たした彩羽……しかし、翔本人は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔「実の姉貴だと?

 

記憶にねぇな。

 

 

姉という存在そのものを認識していなかった。

 

愛「翔君…彩羽さんのことなんだけど……」

 

翔「とりあえずコイツの話を聞きてぇから、ドールハウスに案内する。」

 

翔はスマホを操作し、クリム・スタインベルトに連絡する。

 

クリム『どうしたんだ、翔?』

 

翔「すぐに来い。ちっと気になる奴をみっけたんだ、ドールハウスまで乗せてやってくれよ。」

 

クリム『わかった、すぐに向かう。』

 

やがて、上空からブースタートライドロンが降りてきて…

 

 

深雪「あら、そちらの方は…?」

 

蜜璃「どちらさま?」

 

 

深雪と蜜璃が降りてきた。彼女達の後に、クリム・スタインベルトも降りてきた。

 

翔「青空 彩羽…俺の実の姉、らしい。」

 

彩羽「ね、ねぇ翔君?」

 

彩羽は翔に近付こうとしたが…翔が後退りをしたことで、足を止めた。

 

彩羽(翔君、怖がってる……無闇に近付かれたら、そりゃ怖いよね…)

 

翔「…?」

翔(足を止めた?へぇ、コイツ…よく見てるな……)

 

彩羽「ご、ごめんね…近付こうとして……」

 

翔「…良い。それより早くその車に乗れ。お前のこと、身辺調査するから…」

 

彩羽「…わかった。いくらでも調べちゃって?」

 

翔「言われなくたってそうするさ…」

 

彩羽と深雪と蜜璃を乗せたブースタートライドロンは、ドールハウスに向かって行った。そのブースタートライドロンを追う形で、翔はジャングレイダーを走らせていった。

 

翔達を見送ったDolls一同は、夜間任務へと繰り出した。




青空 彩羽について簡単に……


モチーフは【Steins;Gate】に登場する『阿万音 鈴羽』

CV…『田村 ゆかり』さん
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