〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
その頃、夜になった東京のとある駅前にて…
???「うーん、どこにいるんだろう…」
1人の若い女性が、写真を片手に…何かを探しているのか、周りを目で見ていた。薄栗色の髪色に三つ編みおさげの髪型、ジャージにスパッツといった変わった服装が特徴だ。
???「……。」
彼女が手に持っている写真には、赤ちゃんを抱いて笑顔を見せている少女の姿が映っている。
???(…可愛かったなぁ、翔君……あたしが留学なんてしなければ、一緒に居られたのに……)
女性は写真に映る赤ちゃんを見て、目に涙を浮かべる。
???「…翔君、会いたいよ……どこにいるの…?」
翔君…それは、写真の赤ちゃんのことであろう。
彩羽(翔君…あたし、『
この女性の名は、『青空 彩羽』……実は彼女……
なのだ。
彩羽が5歳の頃に翔が産まれ、それを心から喜んだ彼女は…翔のことを積極的にお世話するようになったのだ。食事やおむつ交換、入浴や寝かしつけ、遊び相手になる等、翔のことを大切にしていた。昔から何でもでき、頭も良かった彼女は…高校生になった頃、アメリカに留学…現地でもずば抜けた学力を活かし、1週間で英語をマスター…更に、中国語や韓国語、ロシア語等の様々な国の言葉を喋れるようになったのだ。とにかく、彼女は異常である。
彩羽(あたしはカッコいいお姉ちゃんになりたかった…翔君が自慢できるような、カッコよくて頼りになるお姉ちゃんになりたかった……)
何故彩羽がここまで異常に頑張ったのかというと……翔が産まれてきたからである。翔と過ごす時間は、彩羽にとってかけがえのない一時であったのだ。赤ちゃんだった翔が泣くと、真っ先に駆け付け…あやしたりミルクをあげたり、抱っこしたり…心から翔のことが大好きなのだ。
しかし……
彩羽(翔君が死んだなんて…そんなの、嘘っぱち……だって、今テレビとかで引っ張りだこだもん…ちゃんと生きてるもん…!!)
彼女がアメリカに滞在し、大学生になった頃…翔が死んだとの報道を見て、絶望したのだ。すぐにでも日本に帰って翔の元に行きたかったが…それでは、翔の遺体と対面することになる…そうすると、翔が死んだことが事実であることになる。それが怖かったため、日本に帰れなかったのだった。そこから、格闘技を勉強し、格闘技の教室に通うようになったのだが……
彩羽(あの時は苦しかったなぁ…あたしよりもガタイの良い男の人にお腹を何度も蹴られたし……)
上手く行かず、自分より数倍強い大男にボコボコにされ…嘔吐や吐血をすることが度々あった。だが、その1ヶ月後には……自分をボコボコにした大男を、ボコボコにしたのだ。
彩羽(翔君が後ろにいるって思ったら、意外と行けたんだよねぇ~…嗚呼、翔君…どこにいるの?)
愛する弟のために…そんな思いを胸に抱き、彼女は今も頑張り続けている。現在、彼女は女優・モデル・グラビアアイドル・声優等、幅広く活動しているのだ。理由はただ1つ…愛する弟と再会するためだ。
彩羽「…!!」ゴシゴシ…
彩羽は涙を拭うと、周囲の人に聞き込みをするために歩き出した。
彩羽「あっ、そこのお兄さ~ん!」
通行人1「…って、えぇっ!?ほ、本物のさやや!?」
彩羽「この子のこと、何か知らないかな?私の弟で、名前は『青空 翔』って言うんだけど…」
通行人1「えっ?翔の兄貴のこと…うーん、ツンデレ男子で有名なのは知ってるけど……」
彩羽「ツンデレ男子かぁ、うん!!ありがと♪」
彩羽(どんなに些細なことでも良い…とにかく、翔君の情報が欲しい!!)
その後も、彩羽は通りかかる人々に積極的に声をかけていき…翔の居場所を探るための手掛かりを集め続けた。
数時間後、気が付くと日付が変わっていた。
彩羽「うわぁ…もうこんな時間か、どこに泊まろうかな……おっ?」
ふと、彩羽の視線の先には…10人程の女性の集団の姿が見える。1人は医者なのか、白衣を纏っている。残りの9人は、皆同じ…何やら不思議な衣装に身を包んでいる。
彩羽(何だろう…コスプレの撮影とは考えにくいなぁ……そもそも、こんな時間にコスプレして歩くのはおかしいし……)
遠くから集団を見ていると…ふと、白衣を着た女性と目があった。
彩羽「ッ!?」
愛「誰?」
サクラ「あ、愛さん…?」
愛「ごめんね皆…あそこの路地裏に誰かいる……」
愛はじっと路地裏を見ると、声をかける。
愛「姿を見せて?」
すると、路地裏から1人の女性が出て来て…こちらに歩いてくる。
愛「…?」
愛(ストライカーではなさそうだけど…この娘、何者だろう…?)
彩羽「あのあの…私、『青空 彩羽』っていいます…!!」
彩羽は愛に名刺を渡す。
愛「青空 彩羽さん……って、女優や声優、モデルにグラビアアイドルとか…多彩な活動をする人気タレントさんじゃん…!!」
どうやら愛も、彩羽のことを知っている様子だが…実際に対面したのは初めてである。
ヒヨ「あおぞら…あー!翔さんとおんなじだ!!」
ナナミ「いや、名字が同じでも…血の繋がりがあるとは……」
彩羽「えっ…もしかして、翔君を知ってるんですか!?私、弟の『青空 翔』君を探してて…!!」
彩羽は写真を見せながら言う。
愛(翔君を探してる…なんか怪しいな……)
その時、通信機が鳴った。
PPP--
翔『おいどうした?その地点は任務を行う地点じゃねぇぞ?何かあったのか?』
愛「あっ、翔君?今ね、翔君を探してるって言う人がいるんだよね…女の人なんだけど……」
翔『俺を探してるだと?ストライカーじゃねぇのか?』
愛「うーん、ストライカーとは考え難いんだよね…」
翔『ここで話すより、俺がそっちに行った方が
愛「うん、わかった。」
通信が切れると、愛は彩羽にここで待つようにと言う。彩羽は愛の言葉を素直に聞き、待つことに……数分後……エンジン音が響き渡り、乳白色のライトを光らせるバイクがこちらに向かってきた。
ガロロロッ!!
翔「…よぉ、来たぜ?」
バイクから降りた翔は、ヘルメットを外す。
翔「…で、どいつだ?俺を探してるってのは…?」
彩羽「…!!」
翔の姿を見た彩羽は、目をぱちくりさせ…写真の赤ちゃんと翔を交互に見る。
翔「何だよコイツ、見ねぇ顔だな?」
アヤ「青空 彩羽さん、あたしもかつて一緒にアニメの収録をしたことがあるの。色んな芸能活動をしてる人気タレントさんよ。」
翔「へぇ…その人気タレントが、俺に何の用だ?」
彩羽「しょ…翔君……!!」ポロポロ…
翔の姿を見るなり、目から大粒の涙をこぼす彩羽。
翔「…?」
彩羽(しょ、翔君だ…!赤ちゃんだった時も、イケメンさんだったなぁ……生きてる、翔君は生きてる…こんなに大きくなったんだね♪)
翔「…なぁ、俺何かしたか?」
戸惑いながらDolls達に問い掛ける翔。
レイナ「翔君は何も悪いことはしてない、だから安心してちょうだい?」
翔「…そうか。それで、あんたは一体何者だ?」
彩羽「グスンッ…あたし、青空 彩羽……翔君、君の……君の、お姉ちゃんだよ…?」
彩羽(会いたかったよ、翔君…!!)
実の弟と、数年ぶりの再会を果たした彩羽……しかし、翔本人は……
翔「実の姉貴だと?
記憶にねぇな。」
姉という存在そのものを認識していなかった。
愛「翔君…彩羽さんのことなんだけど……」
翔「とりあえずコイツの話を聞きてぇから、ドールハウスに案内する。」
翔はスマホを操作し、クリム・スタインベルトに連絡する。
クリム『どうしたんだ、翔?』
翔「すぐに来い。ちっと気になる奴をみっけたんだ、ドールハウスまで乗せてやってくれよ。」
クリム『わかった、すぐに向かう。』
やがて、上空からブースタートライドロンが降りてきて…
深雪「あら、そちらの方は…?」
蜜璃「どちらさま?」
深雪と蜜璃が降りてきた。彼女達の後に、クリム・スタインベルトも降りてきた。
翔「青空 彩羽…俺の実の姉、らしい。」
彩羽「ね、ねぇ翔君?」
彩羽は翔に近付こうとしたが…翔が後退りをしたことで、足を止めた。
彩羽(翔君、怖がってる……無闇に近付かれたら、そりゃ怖いよね…)
翔「…?」
翔(足を止めた?へぇ、コイツ…よく見てるな……)
彩羽「ご、ごめんね…近付こうとして……」
翔「…良い。それより早くその車に乗れ。お前のこと、身辺調査するから…」
彩羽「…わかった。いくらでも調べちゃって?」
翔「言われなくたってそうするさ…」
彩羽と深雪と蜜璃を乗せたブースタートライドロンは、ドールハウスに向かって行った。そのブースタートライドロンを追う形で、翔はジャングレイダーを走らせていった。
翔達を見送ったDolls一同は、夜間任務へと繰り出した。
青空 彩羽について簡単に……
モチーフは【Steins;Gate】に登場する『阿万音 鈴羽』
CV…『田村 ゆかり』さん