〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第二百八十五話 嵐のような女

彩羽(愛先生、本当に良い人だなぁ……何だろう、安心するんだよねぇ……)

 

トレーニングジムでの運動を終えた彩羽は少し休んでいた。

 

彩羽「あっつ~…汗で服が濡れちゃったよぉ……身体に纏わりついてきて気持ち悪いなぁ……」

 

彩羽はスポブラにショートパンツといったかなり涼しげな格好をしているが、よほど暑いのか…スポブラの裾を摘まみ、上下させる。

 

彩羽(流石にこんな格好で歩いてたらマズイよね…しょうがない、これ着て温泉にでも行こ~っと♪)

 

彩羽はパーカーを羽織ると、屋上にある温泉へと足を運ぶ。

 

 

 

彩羽「ふふふ~ん♪ふふ~ん♪」

 

鼻歌を歌いながら温泉へと向かう彩羽だが、レッスン場の前で足を止めた。

 

彩羽(あっ、翔君だ♪)

 

そっと覗くと、蜜璃に付き添われながらリハビリに励む翔の姿が見えた。

 

 

蜜璃「うんうん、良い感じだよ♪」

 

翔「よし…後少しか……」

 

蜜璃「痛かったら無理しないでね?」

 

翔「あぁ…だが、大丈夫だ。」

 

 

彩羽(頑張り屋さんだなぁ。)

 

頑張っている弟を見て、母親のような優しい笑顔を浮かべる彩羽。

 

蜜璃「お疲れ様、翔君!よく頑張ったね♪」

 

翔「あんがとよ…ん?」

 

翔が出入り口の方を見ると、そこには彩羽の姿があった。

 

翔「青空 彩羽か……」

 

彩羽「やっほ~♪翔君の愛しのお姉ちゃんだよ♥️」

 

翔「何が愛しの姉ちゃんだ…」汗

 

彩羽「姉ちゃんじゃなくて、お・ね・え・ちゃ・ん♥️」

 

翔「どれも同じだろうが…てか、お前汗だくじゃねぇか。屋上にある温泉にでも入って来いよ。」

 

彩羽は馴れ馴れしく翔に話し掛けるが、彼とは一定の距離を保っている。

 

彩羽(翔君が怖がっちゃうと悪いから…一定の距離を保ちつつ……)

彩羽「何なら、翔君も一緒に入る?」

 

翔「てめぇナメてんのか?」(半ギレ)

 

彩羽「うおぅ…怖い怖い……」

 

翔の低い声に、流石の彩羽もビビったようだ。

 

翔「早く行って来いよ、風邪引くだろ。」

 

彩羽「はぁ~い…」

 

むくれた表情をする彩羽は不貞腐れた子どもみたいな歩き方で、レッスン場から去っていった。

 

 

 

今度こそ温泉にたどり着いた彩羽は、シャワーを浴びて汗を流した後…湯船に浸かる。

 

彩羽「は~…良いお湯~♪」

 

湯船に浸かり、リラックスする彩羽。

 

彩羽「いやぁ、翔君に怒られちゃったなぁ…たははは……」

彩羽(でも、ちゃんと優しいんだよね…)

 

翔に話し掛けてみたものの…かえって彼を怒らせてしまったことを反省(?)する彩羽。だが、彼に怒られても悲しい顔は一切しておらず…寧ろ、嬉しそうな顔をしていた。

 

彩羽「折角翔君と再会できたんだもん。いっぱい話し掛けてみよう…あっ、そうだ。翔君オススメの寝ころび湯も入ってみよっと♪」

 

彩羽は湯船から上がると、寝ころび湯に向かった。いざ、入ってみると…

 

彩羽「おぉっ!?これは良い!!」

彩羽(これ、夜に入ったら最高だろうなぁ…)

 

居心地が良く、彩羽はすぐに寝ころび湯を気に入った。温泉で疲れを癒した後、彩羽はフルーツ牛乳を購入して飲み干した。

 

彩羽「ふぅ、サッパリした♪」

 

普段着に着替えた彩羽は、翔がいると思われる医務室へと向かった。

 

 

 

その頃、医務室では……

 

翔「……。」

翔(ったく、何なんだよアイツ…)

 

翔がベッド上で、ギリシャ神話の本を読んでいた。

 

翔(片山さんみてぇな砕けた奴は1人で充分だ…こっちの身が持たねぇよ……)

 

心の中でネチネチ文句を言っていると…

 

 

コンコンッ…

 

 

医務室の戸がノックされた。いつもなら「入れ。」と言う翔だが…

 

翔「…誰だ?」

 

この日は違う…彼は彩羽のことを警戒しているのだ。戸の奥から聞こえてきたのは……

 

 

 

彩羽『ハロー♪翔君の自慢のお姉ちゃん、彩羽ちゃんだよ~♪』

 

 

 

彩羽の声だった。

 

翔「……。」チッ…

 

声を聞いた翔は舌打ちをすると…

 

翔「帰れ。」

 

…と、入室を拒否した。

 

彩羽『えぇ~どうしてぇ~!?お姉ちゃん寂しいなぁ…』

 

翔「うっせぇ、とっとと帰りやがれ。」

 

彩羽『むぅ…分かった、また来るね~♪』

 

彩羽の足音が段々遠退いて行くのを感じた翔は、ギリシャ神話の本に目を移す。

 

翔(嵐みてぇな女だ…)

 

 

 

その頃、翔との接触に失敗した彩羽は…

 

彩羽「そういえば翔君…しつこくされるのが嫌だったよね?」

 

自室にいて、振り返りをしていた。

 

彩羽「次からは気を付けないとね~…あっ、そろそろお昼作らないと。」

 

その後、昼食を作って空腹を満たした。翔との信頼関係を構築するため、彩羽は色々考えながら…いつか、姉弟の仲を取り戻せると信じている。

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