〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
彩羽(愛先生、本当に良い人だなぁ……何だろう、安心するんだよねぇ……)
トレーニングジムでの運動を終えた彩羽は少し休んでいた。
彩羽「あっつ~…汗で服が濡れちゃったよぉ……身体に纏わりついてきて気持ち悪いなぁ……」
彩羽はスポブラにショートパンツといったかなり涼しげな格好をしているが、よほど暑いのか…スポブラの裾を摘まみ、上下させる。
彩羽(流石にこんな格好で歩いてたらマズイよね…しょうがない、これ着て温泉にでも行こ~っと♪)
彩羽はパーカーを羽織ると、屋上にある温泉へと足を運ぶ。
彩羽「ふふふ~ん♪ふふ~ん♪」
鼻歌を歌いながら温泉へと向かう彩羽だが、レッスン場の前で足を止めた。
彩羽(あっ、翔君だ♪)
そっと覗くと、蜜璃に付き添われながらリハビリに励む翔の姿が見えた。
蜜璃「うんうん、良い感じだよ♪」
翔「よし…後少しか……」
蜜璃「痛かったら無理しないでね?」
翔「あぁ…だが、大丈夫だ。」
彩羽(頑張り屋さんだなぁ。)
頑張っている弟を見て、母親のような優しい笑顔を浮かべる彩羽。
蜜璃「お疲れ様、翔君!よく頑張ったね♪」
翔「あんがとよ…ん?」
翔が出入り口の方を見ると、そこには彩羽の姿があった。
翔「青空 彩羽か……」
彩羽「やっほ~♪翔君の愛しのお姉ちゃんだよ♥️」
翔「何が愛しの姉ちゃんだ…」汗
彩羽「姉ちゃんじゃなくて、お・ね・え・ちゃ・ん♥️」
翔「どれも同じだろうが…てか、お前汗だくじゃねぇか。屋上にある温泉にでも入って来いよ。」
彩羽は馴れ馴れしく翔に話し掛けるが、彼とは一定の距離を保っている。
彩羽(翔君が怖がっちゃうと悪いから…一定の距離を保ちつつ……)
彩羽「何なら、翔君も一緒に入る?」
翔「てめぇナメてんのか?」(半ギレ)
彩羽「うおぅ…怖い怖い……」
翔の低い声に、流石の彩羽もビビったようだ。
翔「早く行って来いよ、風邪引くだろ。」
彩羽「はぁ~い…」
むくれた表情をする彩羽は不貞腐れた子どもみたいな歩き方で、レッスン場から去っていった。
今度こそ温泉にたどり着いた彩羽は、シャワーを浴びて汗を流した後…湯船に浸かる。
彩羽「は~…良いお湯~♪」
湯船に浸かり、リラックスする彩羽。
彩羽「いやぁ、翔君に怒られちゃったなぁ…たははは……」
彩羽(でも、ちゃんと優しいんだよね…)
翔に話し掛けてみたものの…かえって彼を怒らせてしまったことを反省(?)する彩羽。だが、彼に怒られても悲しい顔は一切しておらず…寧ろ、嬉しそうな顔をしていた。
彩羽「折角翔君と再会できたんだもん。いっぱい話し掛けてみよう…あっ、そうだ。翔君オススメの寝ころび湯も入ってみよっと♪」
彩羽は湯船から上がると、寝ころび湯に向かった。いざ、入ってみると…
彩羽「おぉっ!?これは良い!!」
彩羽(これ、夜に入ったら最高だろうなぁ…)
居心地が良く、彩羽はすぐに寝ころび湯を気に入った。温泉で疲れを癒した後、彩羽はフルーツ牛乳を購入して飲み干した。
彩羽「ふぅ、サッパリした♪」
普段着に着替えた彩羽は、翔がいると思われる医務室へと向かった。
その頃、医務室では……
翔「……。」
翔(ったく、何なんだよアイツ…)
翔がベッド上で、ギリシャ神話の本を読んでいた。
翔(片山さんみてぇな砕けた奴は1人で充分だ…こっちの身が持たねぇよ……)
心の中でネチネチ文句を言っていると…
コンコンッ…
医務室の戸がノックされた。いつもなら「入れ。」と言う翔だが…
翔「…誰だ?」
この日は違う…彼は彩羽のことを警戒しているのだ。戸の奥から聞こえてきたのは……
彩羽『ハロー♪翔君の自慢のお姉ちゃん、彩羽ちゃんだよ~♪』
彩羽の声だった。
翔「……。」チッ…
声を聞いた翔は舌打ちをすると…
翔「帰れ。」
…と、入室を拒否した。
彩羽『えぇ~どうしてぇ~!?お姉ちゃん寂しいなぁ…』
翔「うっせぇ、とっとと帰りやがれ。」
彩羽『むぅ…分かった、また来るね~♪』
彩羽の足音が段々遠退いて行くのを感じた翔は、ギリシャ神話の本に目を移す。
翔(嵐みてぇな女だ…)
その頃、翔との接触に失敗した彩羽は…
彩羽「そういえば翔君…しつこくされるのが嫌だったよね?」
自室にいて、振り返りをしていた。
彩羽「次からは気を付けないとね~…あっ、そろそろお昼作らないと。」
その後、昼食を作って空腹を満たした。翔との信頼関係を構築するため、彩羽は色々考えながら…いつか、姉弟の仲を取り戻せると信じている。