〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第二百八十七話 嵐、再来

翔「何?」

 

翔は医務室で誰かと通話をしていた。

 

愛『うん、それも一切攻撃を受けずにね…』

 

翔「何て奴だ…妖魔との戦闘経験がねぇ奴が上級妖魔を倒す事例なんて無かったぞ?」

 

翔はタブレットを操作しながら言う。彼は妖魔との戦闘経験が無い者が上級妖魔を倒した事例を探したが…そんな事例は1つも無かった。

 

翔「青空 彩羽…アイツ、謀反とか起こしそうだな。」

 

愛『いや、それは無いんじゃないかな?』

 

翔「根拠は?」

 

愛『彩羽ちゃん、翔君から褒められてる妄想をしてるんだよね…後さ、あたしも昔弟がいたから分かるんだけど……彩羽ちゃんの目は、お姉ちゃんの目そのものだよ。』

 

翔「んなもん理由になるかよ。」汗

 

愛『女の勘ってやつだよ♪』

 

翔「…ったく、だから女はキラいなんだよ。」

 

愛『でもさ、翔君はあたしのこと嫌いじゃないんだよね?Dollsの皆のことも嫌いじゃないでしょ?』

 

翔「それを言うな…言い返そうとしたことがぶっ飛んだわ。」

 

愛『ふふっ、あたし達は翔君のこと大好きだよ♪それだけは覚えておいて欲しいな。』

 

翔「わーってる。」

 

愛『それじゃあまt『何々、翔君と電話してるの!?ちょっと借ります!!』あっ、ちょっと彩羽ちゃん!?』

 

翔は愛と通話をしていたのだが、電話の向こうからは彩羽の声が聞こえてくる。

 

 

彩羽『もすもすひねもすぅ~♪はぁ~い、翔君自慢のお姉ちゃん青空 彩羽だよ~♪』

 

 

翔「……。」イラッ…

 

電話から聞こえてくる彩羽のおどけた口調に、イライラし始める翔。

 

翔「おいお前、アグローナを倒したって本当か?」

 

彩羽『そうそう!!あたしやっつけたんだよ!!翔君、褒めて褒めてぇ~♪』

 

翔「妖魔との戦闘経験もねぇ癖に、俺はお前を信用しねぇぞ?」

 

彩羽『えぇ~!あっ、そうだ!翔君、連絡先交換しようよ♪駄目?』

 

翔「駄目だ。」

 

彩羽『ええぇぇっ!?お姉ちゃん寂しくて死んじゃうよぉ~!!』

 

翔「知るか、食って運動して風呂入って規則正しい生活でもしてろ。そうすりゃあ簡単には死なねぇよ。後死ぬんじゃねぇぞこの野郎…お前には聞きてぇことが山ほどあんだよ。」

 

彩羽『えっ!?ホント!?それじゃあすぐにそっちに行くね♪待っててねん♪』チュッ♥️

 

翔「あっ、おい青空 彩羽……切れたか。」

 

翔はため息をつくと、事務所へと向かった。

 

 

 

コンコンッ…

 

カナ『はーい!』

 

翔「俺だ、入っても良いか?」

 

カナ『どうぞー!』

 

ガチャッ…

 

翔「…よぉ。」カツンッ…コツッ……

 

モニカ「隊長さん、お疲れ様~♪」

 

翔「あぁ、お疲れ。」

 

事務所には、カナを始め…元ストライカー達の姿があった。彼女達は皆、事務作業をしており…終わり次第、ゆっくりし始めた。

 

あから「どうしたんだい、隊長殿?」

 

翔「青空 彩羽に話がある、だからここに来た。」

 

カナ「翔君翔君♪」

 

翔「何だ?」

 

カナは彩羽の仕事ぶりを翔に話す。

 

翔「そうか、仕事はできるみてぇだな?」

 

ほたる「彩羽さん、本当に素敵なお姉さんだと思いますよ隊長サン。」

 

翔「俺はアイツを姉とは思ってねぇ…何なら、もう一度DNA鑑定したって良い。どんな結果だろうが、俺はアイツを姉だと思わねぇ。」

 

翔はそう言うと、そっぽを向いてしまう。

 

カナ(DNA鑑定の結果、99%姉弟…血縁関係が証明されている…でも大事なのは血の繋がりではなく、信頼関係…私はそう思っています。)

 

彩羽が採用された後、本当に翔との血縁関係があるのかを証明するため…DNA鑑定が行われた。その結果…本当の姉弟であることが証明されたのだ。しかし、肝心の翔は…彩羽のことをまだ信用していない。

 

 

 

やがて、夕方になった頃…

 

コンコンッ…

 

事務所のドアがノックされる。

 

カナ「はーい!」

 

愛『片山です、只今戻りました!』

 

カナ「はーい、どうぞー!」

 

カナが入室許可を出すと、ロケから戻ったチームBの3人と愛…更に、彩羽が入ってきた。

 

カナ「お帰りなさい♪」

 

愛「うん、ただいま~♪」

 

彩羽「♪」

 

彩羽は座っている翔を見るや否や……

 

彩羽「とうっ!」タンッ!

 

ジャンプして空中で1回転すると……

 

 

彩羽「翔くぅぅううううううん♪」

 

 

翔に向かってダイブしてきた。

 

翔「……。」ス~…

 

キャスター付き椅子に座っていた翔は、後ろに転がって彩羽を避けた。

 

ゴツゥゥウウウウウウンッ!!

 

彩羽「ッ!?」

 

顔から壁に激突した彩羽の頭には、幾つもの星が回っている。どうやら、目を回しているようだ。

 

翔「ばーか…」

 

彩羽「うぅ…避けるなんて、お姉ちゃん悲しいなぁ……シクシク…」

 

翔「泣き真似すんじゃねぇよ。」

 

彩羽「たははは~…」

 

彩羽は鼻にティッシュを詰めながら苦笑いする。

 

翔「というか…青空 彩羽、お前本当にアグローナを倒したのか?」

 

彩羽「うん、やっつけたよ♪」

 

レイナ「翔君、私とヒヨとナナミも見ていたわ。」

 

翔「てか、お前戦闘経験あんのか?」

 

彩羽「戦闘経験っていうか…格闘技やってたんだ~。武術太極拳やカポエィラ、少林寺拳法も柔道も空手も…何でもやってたよ~♪ブイ♪」

 

笑顔と共にピースサインをする彩羽。

 

翔(胡散臭ぇな…シミュレーターにでも放り込んでやろうか?)

 

だが、口頭のみの説明では…翔は中々納得しない。

 

翔「シミュレーターに来い。口で説明するだけじゃなく、実際にやって証明しろ。そうじゃなけりゃ、俺は永遠に納得しねぇぜ?」

 

翔は彩羽にそう言うと、シミュレーションルームへと向かった。

 

愛「彩羽ちゃん…顔、大丈夫?鼻血出てるけど…」汗

 

彩羽「全然!このくらいへっちゃらです!!」フンスッ!

 

彩羽の鼻からティッシュが飛び出て、ゴミ箱へと入った。すっかり鼻血も止まっており、彩羽は「では、行ってきま~す♪」と言い、事務所を出た。

 

 

 

クリム「おぉ、翔じゃないか。ここに来るのは久しぶりのようだな。」

 

翔「クリム・スタインベルト……俺はこんな足なんだ、どこへでも行けるかよ。」

 

シミュレーションルームの近くにあるファクトリーでクリム・スタインベルトと会話をしながら…彩羽の到着を待つ翔。

 

彩羽「やっほ~♪皆のアイドル青空 彩羽ちゃんで~す♪」

 

やがて、タンクトップとスパッツに着替えた彩羽がシミュレーションルームにやって来た。

 

翔(コイツ、なんて格好してんだ…)汗

 

クリム「確か、彩羽は…翔、君の姉の筈では…?

 

翔「あんなのが姉貴であってたまるか…

 

彩羽「ん~?このベルト、不思議だね?表情がコロコロ変わるし…」ガチャッ…

 

彩羽はクリム・スタインベルトを手に取ると…マジマジと眺める。

 

クリム「君、その格好だと風邪を引いてしまうぞ?」

 

彩羽「ふぇっ!?ウソ、ベルトが喋ってる~!!何々、電池とか入ってるの?ふっしぎ~♪」

 

翔「ソイツを弄るのは後にしろ、今はシミュレーターでお前の実力を見せろ。」

 

彩羽「は~い♪」

 

彩羽はシミュレーターに入ると、準備運動を始めた。それが終わると、翔はシミュレーターの機械を弄り、無数の幻想妖魔を召喚した。

 

クリム「翔、それは最高難易度じゃないか!いきなりそれから始めるのは」

 

翔「アイツはいくつもの格闘技をやってたらしい…それなら、コイツらも大したことねぇはずだ。」

翔(さっきのお返しだ…さぁ、地獄を楽しめ。)

 

彩羽が急に飛び付いて来たことを根に持っていた翔は、難易度を最高にし、上級クラスの幻想妖魔を沢山召喚したのだ。

 

彩羽(成る程…結構いるなぁ。でも、あたしは翔君のお姉ちゃんだもん…負けるわけには行かないんだよね!!)

 

彩羽は構えを取ると、襲い掛かって来る幻想妖魔達を迎え撃つ。攻撃をかわしたり受け流したりし、観察を行う。その後、カウンターを中心に幻想妖魔に攻撃を仕掛けていく。囲まれようモノならブレイクダンスのような回転蹴りを繰り出し、回し蹴りを繰り出して幻想妖魔達を撃破していく。

 

翔「……。」ピッ…ポポホッ……

 

翔はスイッチ操作をすると、先程よりも多い数の幻想ピグマリオンを召喚した。

 

クリム「翔、少しは手加減を」

 

翔「敵は容赦なく襲ってくる。手加減しろだなんて(あめ)ぇんだよ。」

 

彩羽(おぉ、翔君は厳しいなぁ…でも、頑張っちゃうもんね!!)

 

いくら数を増やそうが、彩羽は多彩な格闘技を用いた戦闘を繰り出し…幻想ピグマリオンを難なく撃破した。

 

翔「…ちっ。」

翔(どうやら、コイツの実力はホンモノみてぇだ。)

 

彩羽が勝ったことを面白くないと思い、思わず舌打ちする翔。

 

クリム「流石だな彩羽。」

 

彩羽「えへへ、ありがとうベルトさん♪」

 

汗だくになった彩羽は、シミュレーターから出てくると…スポーツドリンクを飲んだ。

 

翔「……。」

 

彩羽「ん、どうしたの?あたしのお腹に何かついてる?」

 

翔は彩羽を無視して、自身のパーカーを手に持った。彩羽の格好は、タンクトップとスパッツであり、お腹も露出し、へそも出ている。その格好で汗をかけば、風邪を引いてしまうと考えた翔は…彩羽目掛けてパーカーを投げつけた。

 

彩羽「うぉっ?しょ、翔君…?」

 

翔は何も言わず、シミュレーションルームから出ていった。

 

クリム「全く、相変わらず素直じゃないな。」

 

彩羽「何々、どういうこと?」

 

クリム「翔は君を心配しているのかもしれないな…その格好で汗をかいたら、風邪を引きやすくなると考えたんだろう。」

 

彩羽「そーゆーことか!」

彩羽(優しいなぁ、翔君は…)

 

彩羽はシミュレーションルームから退室すると、屋上にある温泉へと足を運び…温泉で疲れを癒すのであった。

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