〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
その日の夜……
翔「……。」
翔はファクトリーにて、ボウガンと光線銃をメンテナンスしていた。
翔(ザモナスもバールクスも、良い武器持ってるじゃねぇか…ちっと弄るか。)
何か思い付いた翔は、ボウガンの先端に短剣を装着した。光線銃にはレーザーポインターを装着した。武器の改造を完了すると、テストするためにシミュレーターへと向かう。コンピューターを操作し、幻想妖魔を出すと…シミュレーターに入る。
翔「…。」ヒュンッ!!
ボウガンから放たれた矢は、幻想妖魔に命中…幻想妖魔が翔に接近すると……
翔「ムンッ!!」ズパァッ!!
翔はボウガンを振るい、先端の短剣で幻想妖魔を斬った。続いて、空中に幻想ピグマリオンを出現させると…光線銃を使う。
翔「……。」ズギュンッ!ズギュンッ!
翔(コイツにレーザーポインターをつけて正解だったな。)
レーザーポインターを着けたことで、幻想ピグマリオンを正確に撃ち抜けるようになった。
翔「テスト終了。」
テストを終えた後、シミュレーターから出てくる翔。
クリム「武器を改造したのか。」
翔「簡単な加工だけどな…」
クリム「それでも万々歳だ。近接戦と長距離戦を同時にこなせる武器となったんだ…」
翔「ベルトの癖に、言葉だけはいっちょまえだなぁ?」
クリム・スタインベルトに皮肉をぶつけた後、医務室へと戻っていく翔。
医務室に戻ると、ベッドに横になる翔。
翔「……。」
翔(本当の姉貴か……だが、俺は青空 彩羽を信用していない……)
心に傷がある翔は、中々人を信じることができない…人間不信になって以来、人と関わることを嫌い…暗く、冷酷非道な性格へと変わり果てた。全ては、時空管理局とストライカー達からによる壮絶な虐めが原因だ。
翔(変わってかなくちゃ、いけねぇのになぁ…俺はまだまだ
思わず自虐してしまう翔。その時…
コンコンッ!
医務室の戸がノックされる。
翔「…誰だ?」
彩羽『アニョンハセヨ~♪愛しのお姉ちゃん、青空 彩羽だよ~♪』
翔「…ちっ。」
翔(またか…嵐は過ぎ去ったと思ったんだが……)
愛『あっ、翔君?あたし、片山 愛もいるから、ね?』
翔「……入れ。」
信頼できる者がいることを認識し、入室許可を出す翔。
彩羽「おっじゃまっしま~す♪」
愛「ごめんね、休んでる時に…」汗
嬉しそうに入室する彩羽とは違い、申し訳なさそうに入室する愛。
翔「謝ってんじゃねぇよ、用件はなんだ?」
愛「翔君、良かったら一緒にご飯食べようよ♪豚の角煮、大好きでしょ?」
彩羽「料理ならあたしにも任せてよ翔君!!」
翔(コイツも作るのか…まぁ、良いだろう。)
どうやら、食事を作りに来てくれたようだ。
翔(見ているだけじゃ落ち着かねぇな…)
翔「俺にも何か手伝えることはあるか?これでも料理はできるんだぜ?」
愛「それじゃあカボチャの煮物も作りたいから、カボチャのカットをお願いしても良い?1口大の大きさで。」
翔「承知した。」
翔は包丁を手に取ると、カボチャを1口サイズに切り…カボチャの煮物を作り始める。。
愛「じゃあ彩羽ちゃん、角煮を作ってくれる?あたしはオニオンスープを作るから♪」
彩羽「わかりました。」
彩羽は翔の隣に来て、角煮を作っていく。愛は彩羽の右隣にて、オニオンスープを作る。
数分後……
翔「完了だな。」
彩羽「できた~♪」
愛「よし、完成だよ♪」
夕食ができたとこで、食事をすることに……目の前で料理を作ったため、翔は毒味が無くても食べることができた。
翔「……。」
愛「どうかな、翔君?」
翔「……うん。」コクッ…
豚の角煮は、翔の口に合ったようだ。
愛「翔君翔君。」
翔「…?」
愛「その角煮、彩羽ちゃんが作ってくれたんだよ?」
翔「ふーん…」
それだけ言うと、再び箸を動かし始める翔。
彩羽「……。」
彩羽(良かった、翔君がちゃんと食べてくれて。料理を作ってるとこを直接見れたら、安心するもんね。)
角煮を食べる翔を優しく見守る彩羽。空腹を満たした後、愛と彩羽が食器類を洗ってくれた。洗い物を終えると、愛と彩羽は翔を真ん中にし、一緒にテレビを見ることにした。今彼らが見ている番組は、クイズ番組である。超難問や閃き問題、高難易度の漢検に出てくる漢字の読み等、多彩な問題が出題される。
愛「翔君はさ、漢検とか取ってるの?」
翔「1級取ってる。高卒認定試験を受けた後に受けた。」
愛「そうなんだ、凄いね!」
彩羽「翔君、頭良いんだね♪」
翔「生きることに必死だったんだよ。ま、色々あって、高校は中退しちまったし…最終学歴は中卒だ……」
彩羽「……。」
彩羽(あたしが留学している時に、そんな事が…留学なんてしなければ良かったな……)
翔の話し方、声のトーン、表情から…壮絶な世界を生きてきたのだろうと察する彩羽。
彩羽「翔君?」
翔「…何だ?」
彩羽は翔に声をかけてみる。翔は彩羽とは目を合わせず、テレビをみたままである。
彩羽「今はまだ、信用できなくても良い……あたし、翔君から信用してもらえるよう、頑張るから…見てて欲しいな。」
翔「具体的に何をするんだ?」
彩羽「翔君のリハビリ、あたしも手伝うよ。後、お出掛けの付き添いもするし、仕事の補助も…何でもやる。あたしにできることがあれば、何でも言って欲しい。あたし、翔君と向き合いたいから。どんなに罵詈雑言を浴びせられたって、どれだけ痛い目にあったって構わない。だってあたし、翔君のお姉ちゃんだもん。」
翔「……。」
翔(どんだけ罵詈雑言を浴びせられたって、痛い目にあったって構わねぇ…か……)
これまで、彩羽と目を合わせようともしなかった翔だったが……今、初めて彩羽と目を合わせた。
翔「信頼関係を構築することはムズい…下手すりゃ、信頼関係構築どころじゃ無くなることがある……それでも、殴り返される覚悟があるならやると良い…やれるってことを、証明してみろ。」
翔の言葉に、彩羽は…
彩羽「うん!!」
…と、力強く頷いた。