〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第二百九十一話 執行と忍び寄る妖魔の手

シオリ「ハァ…、ハァ……ッ!!」

 

レイナ「くっ……、ピグマリオンも湧いてきた!」

 

無数の未知なる敵に加え、ピグマリオン達も迫ってくる。

 

レイナ「何をしているのサクラ!テアトルを張りなさい!!」

 

サクラ「だ、だめなんですっ!!さっきから何度も試してるんですけど……」

 

それと同時に、彼女達に異変が起こっていた。本来、Dollsは戦闘の際、ピグマリオンが一般人を襲わないようにするため『テアトル』というフィールドを展開して戦うのだが…ここでは、何故かテアトルが展開できないのだ。

 

サクラ「ギアに……鍵穴に差し込めない!!」

 

レイナ「っ……!」

 

レイナはナナミに指示を出す。

 

レイナ「ナナミ、サクラと交代よ!!」

 

ナナミ「了解です!」

 

ナナミはテアトル展開を試みるも……

 

 

ナナミ「テアトル展か--え!?」

 

 

彼女でも、テアトルが開けなかった。

 

ナナミ「うそ…私も…!?」

 

レイナ「そんな…!?」

 

ミサキ「落ち着きなさい!テアトルが無くたって、戦えないわけじゃない!!」

 

混乱する彼女達に、ミサキが声を上げる。

 

ミサキ「支援スキル、そんなんじゃ足りない…もっとフィールを…!!」

 

ヒヨ「い、いつもみたいにできないよ!!なんで…なんでなんでなんで…!!」

 

混乱する中、未知の敵もピグマリオンも容赦なく迫ってくる。

 

シオリ「……テアトルの役割は、現実から切り離す異空間を作り上げるだけじゃない。」

 

ミサキ「シオリ……?」

 

シオリ「敵を、私たちごと閉じ込めて……フィールが外に漏れないようにもしているの。

 

だから今は緊急事態…

 

そうですよね?斑目さん。」

 

斑目『……ああ。』

 

シオリ「そして……この子たちは私のお友達約束を果たすのは……私でなければ…」

 

今回現れた未知の敵を『お友達』と呼び…約束を果たす……と、訳の分からないシオリの発言に…

 

ミサキ「何を言ってるの、シオリ……?」

 

愛「し、シオリちゃん…一体、どういうこと…?」

 

ミサキと愛は困惑している。

 

斑目『……ああ、介錯を。

 

一同「「「っ!?」」」

 

シオリは“お友達”達の前に立つと……

 

 

 

そうね…そうよね……

 

私だけが逃げ続けているなんて……

 

 

オーダー、承りました。

 

 

執行、開始します

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃…とある地点では……

 

紫「諒芽、そろそろ引き返した方が良いだろう?」

 

諒芽「なぁに言ってんだよ、こっからが面白いんだろ?肝試しと化け物退治って♪」

 

一海「バカッ、これはDolls達の任務なんだ。国が関わってんだぞ?一般人の俺達が首を突っ込む訳にはいかねぇだろ?」

 

諒芽「いやいや、スカイタワーの時だって俺らも戦ったろ?国も何にも言わなかったし、問題無くね?」

 

友香「それとこれとは話が別」

 

諒芽「いや一緒だろ!?」汗

 

迷宮と化した地下鉄路線に、一海達が入ってしまったのだ。彼らがいるのは、新宿の地下深くである。

 

一海「にしてもここ…本当に地下鉄の線路か?車両も無いし、駅だって…もはや廃墟みてぇだっての。」

 

彼らはただただ、終わりが見えない道を…ただひたすら歩くだけであった。そんな彼らの元に、思いもよらない人物が姿を現す。

 

紫「…おい、あの奥の廃駅に誰かいるぞ?」

 

諒芽「人か!?おーい!!」

 

友香「あっ、諒芽さん!?」

 

一海「おい待てって!!」

 

諒芽は真っ先に、前方に見える人影に向かって走っていく。そんな彼を追いかける一海と紫と友香。

 

諒芽「って…おいおい翔ちんじゃん!?」

 

翔?「……。」

 

紫「なっ!?しょ、翔!?」

 

何と、彼らの前にいたのは…翔だった。左手に杖も持っている。

 

一海「…おい翔、お前…こんなとこで何やってんだ?」

 

翔?「それはこっちのセリフだ。お前らこそ、こんなとこで何してんだ?」

 

諒芽「肝試し&化け物退治!!」ドヤァッ!!

 

翔?「……そうか。」

 

友香「…ど、ドールハウスに戻らなくて良いんですか?」

 

翔?「お前が言えたことか?お前達こそ、地上に戻んなくて良いのかよ…まぁ良い、俺も交ぜろ。退屈で仕方ねぇんだよ…なぁ?」

 

一海「……。」

一海(何か違和感あるな…いつもの翔だったら、こんなこと下らねぇって切り捨てるし、積極的に輪の中に入ろうともしねぇ……)

 

一海は、目の前にいる翔に…違和感と不気味さを感じていた。

 

諒芽「珍しいなぁ…ま、翔ちんがいりゃあ百万人力だぜ!!」

 

紫「正直、翔がいると安心感があるからな。」

 

友香「頼もしいです、翔さん♪」

 

翔?「そんじゃ行くぞ?離れるんじゃねぇぞ…?」

 

こうして、一海達は翔と共に行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、Dolls一同は……

 

シオリ「……。」ズババババッ!!

 

???「イタイイタイイタイイタイ!!」

 

シオリはたった1人で、未知の敵を鎌で切り捨てていた。彼女の顔には、流れる涙のようなモールドが浮かび上がり、紫色の光を放っている。

 

ヤマダ「うわ……すげ……」

 

ミサキ「あの数の敵を、一瞬で殲滅……?」

 

圧倒的な強さを見せつけたシオリは、未知の敵をあっさりと全滅させた。

 

カナ『--敵性対象物、全消滅を確認。周囲100m、ひとまず脅威はありません……』

 

サクラ「すごい…すごいです、シオリさ--」

 

ミサキ「シオリ……?」

 

シオリに近付こうとするサクラの前に割ってミサキがシオリに話しかける。

 

シオリ「……。」

 

しかし、シオリは何の反応も示さない。ただただ、黙っているだけ……

 

ミサキ「シオリ……!どうしたの!?しっかりして!!」

 

シオリ「……。」

 

ミサキがどれだけ彼女の名を呼んでも、彼女は何も反応しない。

 

サクラ「駄目です……呼びかけに答えてくれません…!」

 

愛「シオリちゃん!?あたしの声は聞こえる!?」

 

愛が声をかけても、やはり反応を示さない。

 

愛(どうしよう…せめて、せめて……翔君が居てくれたら…!!)

 

シオリ「……。」

 

この場には翔がいない…つまり、希望は無いと言える…今は……

 

レイナ「…斑目所長。これはいったいどういうことかしら?」

 

斑目『……敵の殲滅は確認した。総員帰還しろ。』

 

レイナ「話は戻ってからゆっくりと、そういうことかしら。」

 

レイナの問いかけを無視して、帰還を呼び掛ける斑目。

 

アヤ「そーゆーことなら…ヤマダ、そいつの検体がっつり持って帰って。ファクトリーで徹底的に分析してもら--」

 

斑目『検体は不要。直ちに、総員帰還だ。』

 

アヤ「っ!?もう何なのよ!一方的にさ!!」

 

レイナ「……隠し事なんて、美しくないわ。」

 

そこに……

 

 

翔?「よぉ、何やってんだ?」

 

 

ドールハウスにいるはずの翔が、姿を現した。彼の後ろには、一海達もいる。

 

愛「…えっ?うそ、翔君!?」

 

ヒヨ「あっ、翔さーん!!」

 

アヤ「翔!!」

 

サクラ「翔さん!!」

 

翔の姿を見て、一部メンバー達は大喜び。翔は飛び付いてきたヒヨを受け止め、彼女を抱き締めた。

 

ナナミ「翔さんもそうですが…何故一海さん達まで?」

 

一海「あぁいや…これには、深い訳があってな…」汗

 

ナナミ「ほぅ?…どんな深い訳ですか?」

 

諒芽「俺が誘ったんだ!肝試し&化け物退治!!」

 

ドヤ顔で白状する諒芽に、呆れてため息をつくナナミ。

 

ミサキ「翔さん、休んでなくて良いんですか?」

 

翔?「フンッ…退屈なんだよ。あんなとこにいたってなぁ?」

 

ミサキ「あ、あんなとこ……」

 

愛「……?」

 

ふと、愛は目の前にいる翔に違和感を感じ始める。

 

愛(待って、何か様子が変…だって翔君は……)

 

目の前にいる翔は、やたらと笑みを浮かべている。普段の翔はほとんど笑顔を見せない…常に表情の無い真顔である。

 

愛「ねぇ…君さ、本当に翔君なの?」

 

愛は目の前にいる翔に敵意を向ける。

 

レイナ「何を言っているの愛さん?目の前にいる彼は、紛れもなく翔君よ?」

 

翔?「そうだよ…愛さん、あんた気でも狂ったのか?」

 

そんな愛を小バカにしたように笑う翔。しかし、愛は彼の腕を見て…

 

愛「ヒヨちゃん!!ソイツから離れて!!」

 

ヒヨ「ほよっ!?」バッ!!

 

ヒヨを連れ戻した。

 

 

愛「一海君達もこっちへ来て!!ソイツは翔君じゃない!!だって…左腕に腕輪が無いんだから!!」

 

 

普段の翔は、左腕に『アマゾンズレジスター』を身に付けている。だが、この翔の左腕には何も無い…それこそが、この翔が偽物である証拠だ。

 

諒芽「何かヤバそうな気が…!!」

 

彼女の表情を見た諒芽達は、慌てて愛の元へやって来る。すると……

 

 

翔?「…バレちゃ仕方ないか。

 

 

怪しい笑みを浮かべた翔の身体が歪むと…妖魔へと姿を変えた。頭部にある巨大なねじれた角が特徴の人型妖魔だ。両腕は、まるで鋭い剣のようにも見える。

 

レイナ「お、妖魔(オブリ)!?」

 

一海「アイツ…翔に化けていたのか!?」

 

紫「それじゃあ、本物の翔は?」

 

その時、どこからかエンジン音が聞こえてきて…それは次第に大きくなってきている。

 

 

グォォオオオオオオオンッ!!

 

 

それは、妖魔の背後から迫ってきているようだ。

 

ユキ「この音…来ます…!!」

 

アヤ「まさか…!!」

 

直後…妖魔の背後から乳白色の光が現れ、妖魔の真横を横切った。

 

ギギィィイイイイイイイイッ!!

 

一同の目の前には、ジャングレイダーとトライドロンが停車した。

 

翔「俺に化けてコイツらに手ェ出そうとするとは…嫌らしい真似してくれたなぁ?」

 

翔は乱暴にヘルメットを脱ぎ捨てながら言った。

 

サクラ「しょ、翔さん!!」

 

ヤマダ「今度は本物っすよね?」

 

本物の翔が現れ、一同は安心感に包まれていく。

 

深雪「さて…得体の知れない怪物さん、覚悟はできていますよね?」

 

《ヒット!》

 

蜜璃「貴方がやったことは、他者の信頼を落とす最低な行為…私、いたずらに人を傷付けようとする人には、キュンキュンしないの。」

 

《ヒット!》

 

深雪と蜜璃は、クラウディングホッパープログライズキーを起動し、アバドライザーに装填する。

 

彩羽「あたしの可愛い弟に化けて悪さをしようだなんて…そんな事、許さないから!!」

 

《レモンエナジー》

 

彩羽はレモンエナジーロックシードをゲネシスドライバーに取り付ける。

 

3人「「「変身!!」」」

 

《シンクネットライズ!クラウディングホッパー!!》

 

《レモンエナジーアームズ…ファイトパワー!ファイトパワー!ファイファイファイファイファファファファファイト!!》

 

仮面ライダーへと姿を変えた深雪と蜜璃と彩羽は、翔に化けていた妖魔『パスト・アルカリア』の前に立ち塞がった。

 

翔「俺に譲る必要はねぇ…徹底的にやっちまいな。」

 

翔の言葉を聞き、3人のライダー達はパスト・アルカリアに攻撃を始める。まず、アバドン(青)がショットアバドライザーから光線を放ち、デュークがソニックアローから黄色い矢を飛ばした。それに怯んだパスト・アルカリアに、アバドン(赤)が高速で接近し、スラッシュアバドライザーで斬りつけた。

 

パスト・アルカリア「!?」ブシュゥゥウウウウッ!!

 

手足を切断され、身動きが取れなくなったパスト・アルカリア。3ライダーは、トドメを刺す。

 

 

《クラウディング・エナジー・フォール!》

 

《クラウディング・バースト・キャノン!》

 

《レモンエナジースカッシュ!》

 

 

3ライダーの一斉攻撃を受けたパスト・アルカリアは爆散し、完全に消滅した。

 

翔「……。」ハァ…

 

アバドン(青)「翔君、やっつけたよ!!」

 

翔「でかした、見事なチームワークだったぜ?」

 

アバドン(赤)「ふふっ、嬉しいですね。」

 

デューク「うんうん!張り切った甲斐があったよ!!」

 

喜んでいるのもつかの間……

 

PPP--

 

斑目『青空、また抜け出したのか。』

 

翔「俺に化けてコイツらに手ェ出そうしたバカが居たんだ…文句あんならソイツに言え。ま、もう葬ったけどなぁ?」

 

斑目『…本当は説教をしたいところだが、私も甘い…お前が無事ならそれで良い。』

 

翔「…んで、シオリ……一体どうした?様子が変だな…」

 

翔はジャングレイダーから降りると、シオリの方へと歩いていく。

 

ミサキ「ッ!?」

 

何かあってからでは遅いと思ったミサキは、咄嗟に翔の側に移動した。

 

翔「……。」

 

シオリ「……。」

 

お互い、何も言葉を発することなく…ただ、沈黙が続く。

 

シオリ「…しょ、う……くん……」

 

翔「……あぁ、俺がわかるか?」

 

シオリ「……はい…」

 

漸くシオリが言葉を発した時、迷宮に激しい揺れが……

 

愛「皆、急いで脱出するよ!!」

 

一海「この近くに廃駅がある!!そこに行こう!!」

 

一同は直ちにに、迷宮から脱出した。




パスト・アルカリアを登場させたのは…第121話以来な気が……
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