〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第二百九十二話 過ちを知る者

一同がドールハウスに戻る頃、朝を迎えていた。

 

サクラ「翔さん、シオリさんは……?」

 

翔「今は奥で休んでいる。様子は相変わらずだが……」

 

サクラ「……。」

 

現在、シオリはあの状態のまま…身体を休めている。

 

アヤ「出た途端、ぶっ倒れるんだもん。ホント、どうしちゃったんだろ…」

 

ナナミ「でも、翔さんのことは分かるみたいですね…シオリさんをおんぶした一海さんは役得でしたね。」

 

ナナミは近くにいる一海に毒を吐く。

 

一海「いやいや何言ってんだよ。俺には紫と友香がいるし、な?」

 

翔「俺に聞いてどーする…」汗

 

一海の助けを求めるような視線に困惑する翔。

 

ナナミ「それにしても…何故一海さん達はダイダロスに居たんですか?そもそも、どうやって入ったんですか?」

 

紫「あぁ、いやぁ…それは、その……」汗

 

元々、諒芽が地下鉄に行こうと言い出したのがきっかけである。しかし、ここはドールハウス…Dollsも恐れる所長『斑目 セツナ』がいるのだ。返答次第では、何をされるかわかったものじゃない。その時……

 

翔「…原因は俺だ。」

 

…と、翔が口を開いた。

 

サクラ「えっ?」

 

アヤ「えっと、翔が原因って…?」

 

ナナミ「どういうことですか、翔さん?」

 

翔「こないだ俺が電話で頼んだんだよ…協力してくれって。ただでさえお前達の負担がデケェってのに、のんびりしちゃいられねぇ…だが、俺はこんな足だ…まともに歩けやしねぇ……だから俺は、コイツらを頼った。そうだよな?」

 

そう言うと、一海達に視線を向ける翔。

 

4人「「「「えっ?」」」」

 

翔「そうだよな…!?」

 

一海達が困惑すると、翔の目付きが鋭くなった。どうやら、『話をあわせろ』と言っているようだ…それを察したのは、諒芽だった。

 

諒芽「そ、そうさ!何せ、大大大親友からの頼みだったし、断れるわけないだろ?」

 

一海「俺ら、翔とは定期的に通話でやり取りしてたんだ。1週間前に、翔から連絡が来たんだよ。」

 

紫「翔は私達の大切な友人だ。何か力になれないかと思ったんだ。」

 

友香「そうです!私達もじっとなんてしていられませんし!!」

 

4人の反応を見て、斑目もカナも翔の言ったことは本当だと思う。

 

翔「頼っても良いんだろ?なら、そうさせて貰うまでだ…」

 

斑目「国も一海達の戦闘を認めてはいる。仮面ライダーという兵器を扱っているのだからな……」

 

カナ「仮面ライダーはスゴい兵器です…ですが、今回現れた妖魔は……」

 

翔「…あぁ、人間に擬態できる。まるで『ワーム』のようにな…んで、ちょっち調べて見たんだが……」

 

翔は資料を取り出し、斑目に渡す。

 

斑目「…この資料は?」

 

翔「パスト・アルカリアについてだ…コイツ、擬態できるだけじゃねぇ。ライダーシステムをも扱うことができるみてぇだ。人間が発する微弱な電波もコピーしているからな…他にもコピーした奴の人格、性癖、内部構造や所持品までもコピーできる。ライダーシステムは間違いなく適合するだろう…今はまだ、不完全だが……」

 

いつの間にかパスト・アルカリアについて調べていた翔。彼は数多の妖魔と戦い、妖魔を知り尽くす頭脳を持つことから他の世界(チャンネル)にいる隊長達から『妖魔退治の専門家』とも呼ばれている。

 

カナ「…翔君。」

 

翔「俺は俺の意志のままに動くだけだ…文句を言われる筋合いはねぇ……」

 

カナ「あ、いえ…それは承知しているんですけど、翔君は……このドールハウスのこと、どう思っていますか?」

 

翔「…は?」

 

カナ「翔君に擬態していたパスト・アルカリアは『あんなとこ』と口にしていましたが…何か不満とか、溜まってませんか?」

 

どうやらカナ…このドールハウスが、翔の居場所になっているのかが心配のようだ。

 

翔「不満なんてねぇよ。ここは本当に居心地が良い…だからこそ、俺の意志のままに動けるんだよ。」

 

カナ「…よ、良かった……!」

 

翔「泣くんじゃねぇよ、涙はこれで拭いとけ。」

 

翔はカナの近くに移動し、ハンカチを渡した。

 

翔「さて…シオリが心配だな、ちっと様子見に行くか。お前達はどうする?」

 

ユキ「シオリさんのおみまい……行きたいです。」

 

サクラ「私もです!これからみんなで……」

 

翔「フッ…そうこなくっちゃな。んじゃ行くk…」

 

いざ、シオリの元へ向かおうとした時……

 

 

小鳥遊「--残念だが、今はまだ無理だ。」

 

 

事務所に、小鳥遊大臣が入ってきた。

 

ミサキ「小鳥遊大臣……!」

 

翔「あ?誰かと思えばへっぽこ大臣じゃねぇか、性懲りも無くまた来たのか?」

 

思いもよらない訪問にビックリするミサキと、小鳥遊大臣を罵り始める翔。

 

小鳥遊「へっぽこねぇ……」

 

翔「事実だろ?墨田区の戦いでは大いに足を引っ張ってくれたじゃねぇか…オマケに税金もドブに投げ捨てやがって…尻拭いもできずに棒立ち……へっぽこと呼ばずに何て呼ぶ?」

 

斑目「青空、そこまでだ。」

 

翔「…チッ。さっさと用件話せよ……」

 

シレーヌとの戦い以降、害特を全く信用しなくなった翔は…バツが悪そうにしていた。

 

小鳥遊「諸君、ご苦労だったね。報告は聞いているよ。シオリ君には一足先に感謝を伝えに行ったんだが……これから精密検査のようだ。すげなく追い返されてしまったよ。」

 

ミサキ「精密検査……やっぱり、容態は良くないのね……」

 

小鳥遊大臣の言葉を聞き、シオリを余計に心配するミサキ。

 

ミサキ「それにあの戦闘形態……あんなもの、私たちは知らない……」

 

シオリが変貌したあの姿…現場にいなかった翔は、そんな彼女を知らない。

 

翔(都庁の地下で、一体何があったんだ…それに、あの人間の面影を残した化け物は、一体何なんだ?)

 

考え事を始める翔の脳裏には…あの化け物の姿があった。

 

小鳥遊「斑目君は言葉を濁していたが、やはりか。」

 

翔「…?」

 

小鳥遊「あの少女たちが肉を受けたとは。まったく、現実は寓話(ぐうわ)にも劣る。

 

……私が直接言うのは粋ではないな。」

 

どうやら、あの化け物について…小鳥遊大臣も知っているようだ。だが……

 

小鳥遊「詳しいことは、斑目君に聞くといい。彼女は……当事者だからね。」

 

それだけ言い残し、立ち去って行った。

 

翔(当事者だと…?)

 

翔は斑目を見る。

 

翔(ここ、居心地は良いが…ちっと不満もあるな……)

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