〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第二百九十五話 眼差し

これは、翔がまだ寝ていない昨夜の頃…

 

ドールハウスにて、Dollsは集まっていた。

 

ヒヨ「……わかんない、わかんないよ。」

 

あの狂った実験の話を聞かされ、落ち着ける筈もなく…

 

ヒヨ「シオリちゃんはヒヨたちの味方だよね?みんな、お友達だよね?ね?」

 

ナナミ「でも監視ってことはつまり…私たちの誰かが『壊れた』としたらーーサクリファイスとやらにそうしたように、あの大きな鎌を…」

 

サクラ「そんなこと…そんなはずありません!」

 

サクラが大声を上げ、ビックリするナナミ。

 

サクラ「シオリさんはいつだって、笑顔で優しくて、皆に気づかってくださって……」

 

サクラが言っていることは、ここにいるメンバー達が1番分かっている。

 

アヤ「それはみんなわかってるよ。いつものシオリがウソなわけない…!」

 

ユキ「わたしも…そう思います…シオリさんは…いつもわたしたちを…」

 

普段は自分の意見を言わないユキも、素直な思いを伝えている。

 

ヤマダ「見守ってくれてた…ってか…いや、見張っていたともいえるのか…?」

 

ユキ「……。」

 

しかし、ヤマダの言葉を聞き…すぐに黙り込んでしまう。

 

ヤマダ「ああ…思いだしてきた…少し前、いや…だいぶ前でしたね……リーパーたんにライブ会場までストーキングされたときでしたっけね…」

 

レイナ「覚えているわ…美しくない決断…ファンを犠牲にしようとした…」

 

ミサキ「……斑目所長はシオリに直接命じた。テアトルを閉じることを…」

 

かつて、翔が彼女達に心を開いたばかりの頃……Dollsのライブ会場に、リーパーというピグマリオンが現れた。斑目は最悪の決断をしようとしたが、翔がそれを阻止し、リーパーを撃破に成功し、最悪の未来は消された……

 

レイナ「それも…約束…?私たちが知らない……」

 

サクラ「……でも、それは!」

 

様々な考察が飛び交う中、メンバー達の元にシオリがやって来る。

 

 

シオリ「あら、皆さん。こんな遅くまで起きていてはいけませんよ。」

 

 

シオリの登場に驚くメンバー達。今、目の前にいるシオリは、いつものシオリだ。

 

シオリ「明日は早朝から検査でしょう?どうしてテアトルが展開できないのか、調べるって。」

 

いつの間にか展開出来なくなったテアトル…その理由は、解っていない。

 

アヤ「そ、そうね……」

 

レイナ「シオリ……」

 

目の前にいる彼女は、いつも通りのシオリ…メンバー達はそう思いたかった。サクリファイスとの遭遇…シオリの変貌…狂った実験の話……これらを知った今、彼女達は精神的に参ってしまっている。

 

ヒヨ「し、シオリちゃん!」

 

シオリ「なあに?ヒヨちゃん?」

 

思い切ってシオリに話し掛けようとしたヒヨだったが、言葉を詰まらせ…黙り込んでしまう。そして、出てきた言葉は…

 

ヒヨ「……おやすみなさい。」

 

寝る前の挨拶だった。

 

ナナミ「……私も、休ませていただきます。」

 

ヒヨの挨拶を引き金に、ナナミも自室へと入っていった。

 

シオリ「はい。ゆっくり休んでくださいね……」

 

メンバー達が各々自分の部屋に入っていく中、サクラとミサキはその場に残った。

 

シオリ「お二人は休まないのですか?」

 

サクラ「……。」

 

ミサキ「……。」

 

黙り込む2人、先に口を開いたのはサクラだった。

 

サクラ「私は……難しいことはわかりません。シオリさんが何を抱えて、どんな気持ちでいたかなんて…わかりません。でも、シオリさんがどんな人かは知っています。」

 

シオリ「あらあら……何のお話?」

 

サクラ「……あ、あの…言いたいことはそれだけです。おやすみなさい……」

 

言いたいことを言い終えたサクラも、自室へと入っていく。

 

シオリ「おやすみなさい、サクラさん。」

 

ミサキ「……サクラの言うとおりね。」

 

残ったミサキも、自身の思いをシオリに伝える。

 

ミサキ「何かあるなら、私たちに相談して。私たちは、3人で…チームなんだから。それじゃ、おやすみ。」

 

部屋に入っていくミサキ…残ったのは、シオリのみとなった。

 

 

シオリ「……そう。まだ……そう思ってくれるのね……

 

本当にいい子たち……

 

だからこそ、私は耐えられる。

 

 

1人残った彼女の表情は、どこか悲しそうであった。

 

深雪「シオリさん……」

 

蜜璃「シオリちゃん……」

 

近くにいた深雪と蜜璃は、今のシオリに掛ける言葉が見つからず……ただ、彼女を見守ることしかできなかった。

 

シオリ「…この話は、おしまいです。私、今日は疲れちゃいました。深雪先生、蜜璃先生、おやすみなさい……」

 

そうして、シオリは自室へと入っていった。それを見届けた深雪と蜜璃は、寮を出て行き、医務室へと戻って行った。

 

 

 

『翔、こっちよ……』

 

『翔、来てくれないのね…今日はとっても疲れているみたい。』

 

『きっと……自分の世界を確立できない可哀想な人形たちが心配なのね。』

 

『安心して。私がいるわ…』

 

 

ああ、せめて……

 

荒れ狂う人形たちの感情が

 

アナタへの優しい…

 

優しい子守唄になりますように

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