〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
夏の日、弟である翔と関われる機会を貰った彩羽は、彼と精一杯関わった。リハビリを手伝ったり、一緒にご飯を食べたり、プールで一緒に遊んだり…とにかく、彼と関わった。ストライカーが襲撃して来た時、新たなライダーシステム『バースドライバーX』を使って仮面ライダーに変身…ストライカーを撃退し、見事弟を救ったのだ。
彩羽「……。」ガチャ…
その日、彩羽は自室のベッドに横になっており…バースドライバーXを持って、それを眺めていた。
彩羽「…今思えば、これ…翔君があたしに初めてくれた物だね。」
本来、バースドライバーXは翔が使う予定であったが…これ以上は使えないと、彩羽にあげたのだ。このドライバーは、ツール型のライダーシステムであるため、十分な体力があれば誰でも使うことができる。彩羽には十分な体力は勿論、高い戦闘力も兼ね備えているため、このドライバーを容易に使いこなせるようになったのだ。たまに、愛や深雪、蜜璃と手合わせをするが…彩羽が勝つことが多かったそうだ。
彩羽「…さぁて、トレーニングでもしよっと。」
彩羽はベッドから起き上がると、シミュレーションルームへと向かった。
トレーニングを終えた後、屋上にある温泉で汗を流し、自室へと戻って行く。庭を通ると、翔を見かけたため、声を掛ける。
彩羽「…おっ、翔く〜ん♪」
翔「……。」
彩羽「…あれ、おーい翔君?」
翔「…何の用だ、青空 彩羽?」
彩羽に背を向けたまま、語り掛けてくる翔。
彩羽「ううん、今日も良い天気だね〜って。」
翔「…用がねぇならとっとと消えろ。」
ため息を着いた翔は、その場から去ろうとする。しかし、彩羽は慌てて彼を引き止める。
彩羽「あぁ、待って待って!?」
翔「…何だよ?」
面倒臭そうな顔をしながら、彩羽の方に向き直る翔。
彩羽「絶好のツーリング日和だね。」
翔「…は?」
彩羽「えっとね、翔君?バイクの運転はできる?」
翔「当たりめぇだ。てか、何が言いてぇんだよ?」
彩羽「今からさ、あたしとツーリングに行かない?」
翔にそう提案する彩羽の表情は、どこか寂しげだ。それを見た翔は、最初は断るつもりだったが…断ることをやめた。
翔「そもそも、お前バイク持ってんのかよ?」
彩羽「もっちろん♪鴻上ファウンデーションの社長さんが、バイクをプレゼントしてくれたんだぁ〜♪あっ、これあたしの免許証!」
彩羽は嬉しそうにバイクの運転免許証を翔に見せた。それを見た翔は、「着いて来い」と告げ…さっさとファクトリーに行く。そんな彼の後を、彩羽は着いていった。
彩羽「あれ?斑目所長から外出許可得なくて良いの?」
翔「そんなモン知らん…俺は俺の意思のままに動くだけだ。」
彩羽「そっか。」
翔はジャングレイダーに跨り、エンジンを唸らせる。彩羽が向かったのは、何故か自販機…そこにセルメダルを入れると、自販機がバイクに変形した。これこそ、鴻上ファウンデーションからのプレゼント『ライドベンダー』だ。
クリム「翔…また無断で外出かね。」汗
翔「お前は父親か、ベルトのくせに。斑目さんにでも報告すんのか、ならばしろ…青空 彩羽も巻き添えにしてるから、文句ねぇだろ?」
クリム「一言多いぞ…」
彩羽「それじゃ、いってきま〜す♪」
こうして、翔は彩羽と共にツーリングへと出掛けた。
翔と彩羽が外出した後、ドールハウスでは…
斑目「はぁ、またか…」汗
カナ「翔君ったら、全く言う事を聞いてくれませんね…」汗
斑目「我々も甘やかし過ぎたか…だが、もう後戻りはできん。」
案の定、斑目とカナは頭を抱えてしまっていた。
愛「甘やかさなかったとしても、翔君は翔君の意思を貫くと思いますけど?」
そんな彼女達に横槍を入れた愛は、のんびりジュースを飲んでいる。
カナ「愛さん…いくらなんでも能天気過ぎでは……?」
愛「彩羽ちゃんがいるんだから、大丈夫だよ。それに、翔君も彩羽ちゃんも強いんだしさ♪ね、翔君と彩羽ちゃんと信じよ♪」
愛の言葉に、斑目とカナは何も言い返せなかった。
その頃、翔と彩羽はバイクで海沿いの道路を走っていた。初めは東京の街中を走り、次に海沿いの道へと出て来て今に至る。
彩羽『う〜ん、風が気持ちいいね〜♪』
翔「…そうだな。」
彩羽『ねぇねぇ、伊豆の方に行かない?美味しい海鮮丼が食べられるお店を見つけたんだ♪それも、目の前で作ってくれるんだよ?』
翔「…良いだろう。」
翔の心情を配慮した彩羽は、あらかじめ翔が問題なく食事が出来そうな店をいくつかピックアップしていたのだ。その後、彩羽が見つけた海鮮丼専門店にて昼食を摂ることに。彩羽は普通の海鮮丼を頼んだのだが、翔が頼んだのはデカ盛りの海鮮丼だった。これを30分以内に食べきれば、無料となる。更に、賞金3万円も獲得できるのだ。
彩羽「ん〜♪脂が乗ってて美味し〜♪」
食レポしながら食べる彩羽とは反対に、翔は無言でどんどん食べ進めていく。
彩羽(って、翔君…スゴい食欲!!)
翔は10分程でデカ盛り海鮮丼を完食した。そして、驚く行動に…
翔「さっきのもう1つ頼みてぇんだが?賞金は要らん…」
何と、先程のデカ盛り海鮮丼をおかわりしたのだ。料理が運ばれて来ると、さっそく食べ始める。
客1「ねぇ、あの人スゴくない?」
客2「ホントだ…あれ、二杯目だぞ?」
客3「スゴい食欲だ…!」
客4「も、もう完食した…!?」
二杯目のデカ盛り海鮮丼を、今度は5分程度で平らげた翔。彼が完食すると同時に、彩羽も海鮮丼を完食した。会計の際、翔は10万円を置くと…
翔「…ツリは要らねぇ。」
…と言い、店を出た。彩羽も会計を済ませ、店を出る。
翔「ふぅ、食った食った。ここの海鮮丼、結構美味かったな。」
彩羽「う、うん…そう、だね…!!」汗
彩羽(良い食べっぷりだったなぁ、翔君…もしかして、フードファイター!?)
翔「俺はフードファイターなんかじゃねぇ、ただ食うことが好きなだけだ。」
彩羽「うぐっ!?こ、心読まれた…!?」大汗
弟の意外な一面を見て、戸惑う彩羽。翔は海を眺めながら、彩羽に語り掛ける。
翔「なぁ姉貴…生きるってのはな、他の誰かの命を喰らうってことだ。幾つもの命を頂戴して、俺達は生きている。そうだろ?」
彩羽「…えっ、翔君…?」
不意に姉貴と呼ばれた彩羽は、驚いて言葉を失っていた。それまで姉とは1度も呼ばず、フルネームで呼ばれることが当たり前だった。そんな翔が、とうとう彩羽を姉と認識した瞬間であった。
翔「ありがとな、姉貴…アイツらから庇ってくれて……」
彩羽「…翔君。」
翔「こうして2人きりの時だけ、姉貴って呼ばせてくれや…他の奴らには、内緒でな…頼んだぞ。」
彩羽「……うん…うん…!」
初めて姉貴と呼ばれ、思わず涙を流す彩羽。こうして、翔は彩羽を姉と認識し、心を開き始めたのだった。