〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
翌日、Dolls達は事務所に集まっていた。
アヤ「ねぇ、作戦室じゃなくてまた事務所に集合ってコトは……」
ヤマダ「出だしからしてイヤな予感しかしないっすな。……お。」
その時、事務所にシオリが入って来た。
シオリ「皆さん、おはようございます♪」
今の彼女は、いつものシオリである。今のところは……
アヤ「…オハヨ。」
レイナ「……お早う、シオリ。」
いつも通りである筈のシオリなのだが、メンバー達はいつも通り接することができなかった。そこに、カナがやって来る。
カナ「皆さん、集合ありがとうございます。短い休暇でしたが、ちゃんとお休みできましたか?」
ミサキ「…休暇というより、身体検査ばかりだったと思うけど。」
サクラ「そうですね…結果はどうだったんでしょう…」
地下迷宮では、どういうわけかテアトルが展開出来なくなった。それがあってから、Dollsは身体検査をよく受けさせられることになった。しかし、どんなに検査を受けても…原因は未だ解明されていない。
ミサキ「体調に問題はない。早く本来の活動に復帰すべきだと思いますが。」
翔「待て、そんなに焦る必要はねぇ。」
そこに、翔と彩羽が入って来た。
カナ「翔君…また無断で外出して……」
翔「文句を言われる筋合いはねぇ…俺がどうしようと、俺の勝手だろうが……」
愛「あれ?翔君と彩羽ちゃん、なんか距離近くない?」
翔と彩羽の距離が、いつの間にか近くなっていることに驚く愛。信用していない者とは、かなりの距離を取る翔なのだが…彩羽の右隣に翔は居る。
翔「気のせいだ。まだ寝惚けてんじゃねぇのか、なぁ?」
彩羽「そうですよ愛先生、コーヒーでも飲みます?」
愛「…あ、えっと……今は、いいかな…?」汗
妙に距離が近い彼らに、珍しく困惑する愛。翔と彩羽との間に何があったのか、知っているのは彼らだけである。
翔「さてと…おい斑目さんよぉ、さっさと説明しやがれ。」
斑目「あぁ、承知した。」
斑目が事務所に入って来ると、Dollsに説明を始める。
斑目「テアトル展開の不可について、ファクトリーから解析結果が出た。」
どうやら、テアトル展開が不能となった原因が分かったようだ。
斑目「ダイダロス内の空気を覚えているな?」
ヒヨ「…うん。忘れられない…思い出しちゃう。」
レイナ「そうね…思い出すだけで、胸が悪くなるわ……」
迷宮ダイダロスでの出来事は、Dolls達がよく知っている。そのためか、メンバー全員の口角が下がる。
斑目「それはあの区域に漂う毒素。……瘴気が原因だ。」
ヒヨ「しょうき……?」
斑目「ダイダロス内のデータを分析したところ、極めて強い毒素が検出された。発生源はサクリファイス。無色無臭だが悪影響があるようだ。ドール達の感情−−フィールに、な。」
どうやら、サクリファイスが放つ瘴気が…テアトル展開が不可能となっている原因らしい。人体そのものには悪影響は無いが、Dolls達には悪影響があるそうだ。
レイナ「フィール……?なら、ギアの鍵穴…テアトルが展開できないのも?」
カナ「瘴気が原因…EsGの見解とも一致しました。」
ナナミ「では…愛さんだけが平気なのは?その瘴気とやらはドールだけに効くんですか?」
斑目「……そう結論している。」
やはり、人間には害は無く…
斑目「フィールを動力源としているドールに対しての『毒』だ。」
あくまでも、フィールを動力にして活動する者に対する毒であることが分かった。
愛「ねぇ、翔君は平気?」
翔「あぁ、何ともねぇぜ…?」
アマゾンである翔の人体にも、何の影響は無いようである。
シオリ「……瘴気……ですか。それは中和することはできないんですか?」
カナ「それは…解析が進めばあるいは……」
シオリの質問に対し、曖昧な返答をするカナ。今はまだ、明確な答えが分かっていないため、そうなってしまうのも仕方ない。
ミサキ「では、このギアの鍵穴は?私も、他のみんなも、ダイダロスを出た後も鍵は開かない…」
ヤマダ「このままずっと縛りプレイ続行はごカンベン…つまってるんならザバーッと洗浄とかさ…」
翔「それができたら苦労しねぇだろ…」
翔(くそ…困難去って、また困難か……こんな時、俺が戦えたら、少しは…)
怪我の治療の為、任務に行くことが難しくなった翔は…戦えないことにイライラしていた。夜、眠ることは無く…昼夜逆転の生活をしているため、目元にはクマができている。
斑目「……ファクトリーの見解はこうだ。」
ファクトリー曰く…
…とのことだ。
翔「はっ…それこそ、それができりゃ苦労しねぇだろ……」
馬鹿馬鹿しいと言わんばかりに嗤う翔。
翔「口だけだったら何度でも言える…だが、今はそれどころじゃねぇ、そうだろ?なぁ?」
翔の言葉に、言い返す者は誰一人居なかった。
ナナミ「……すごーく好意的に見るなら、原因だけは分かった、ってことですかね。」
シオリ「瘴気……?」
ユキ「シオリさん……どうかしましたか?顔色が…よくないです…」
シオリの顔を見ると、何やら複雑そうな表情を浮かべている。
シオリ「あ、ごめんなさい。いえ、少し気になったもので……」
ナナミ「少々疑問に思ったことがあるのですが…」
ナナミは質問を投げ掛ける。
ナナミ「テアトルが人目を避けるためのものなら、地下鉄攻略の支障にはならないのでは?気分は悪いですけど…現状問題無さそうにみえるのですが。」
現在、Dollsは夜間任務中である。人々が眠りにつく時間帯に、地下迷宮に向かい、未知の脅威と戦っているのだ。
翔「…ソイツぁどうかな。」
ボソッと呟く翔。その後、斑目からの説明が始まる。
斑目「テアトルの役割は2つある。」
斑目曰く…テアトルの役割は……
…の2つである。
ヒヨ「かんじょうエネルギーをかくり…?」
斑目の言葉に困惑するヒヨ。斑目は説明を続ける。
斑目「我々人間は、常にテアトルに似た結界を無意識に張っていると考えられている。雰囲気やパーソナルスペースと呼ばれるものだ。テアトルとはそれを現界させたもの…自分だけの世界を構築し…そこに使用者と対象者を『隔離』する。そして外からは『その世界』は認識されなくなる。それが今分かっているテアトルの原理だ。」
斑目の説明が終わると、カナからの説明が始まる。
カナ「テアトルはエネルギーも隔離します。それは感情エネルギーも例外ではありません。もしも、テアトルがなければ皆さんの感情エネルギーは際限なく
ヒヨ「う…んと…?ちょっと…ヒヨわかんない…」
ナナミ「……今までと同じように戦うには、フィールを燃やし続けないといけない…しかも、際限なく追加しながら。…ってところでしょうか?」
ナナミの解釈を聞くと、斑目とカナの口角が下がる。
カナ「……そうなります。そのコントロールができないと−−最悪…」
生命維持に必要な最低限のフィールまで
消費し始めてしまう可能性があります。
テアトルが展開できるからこそ、余分にエネルギーを消費することなく戦えるのだ。それが無くなった今、Dollsは崖っぷちに立たされている。
サクラ「そんな……」
シオリ「……。」
斑目「下手に戦闘行為を繰り返せば、いずれは確実に、命を蝕むはずだ。」
テアトルが展開できなくなった今、安易に戦闘行為に走るのが難しくなってしまった。だが、救済処置はある。それは…仮面ライダーと呼ばれる兵器である。
カナ「万が一のため、仮面ライダーという兵器があるのですが……我々ドールハウスの兵器は、
翔「そこにアマゾンである俺が加わり、2つ…バースXで3つ……一海達の介入で、龍騎とリュウガ、デューク、クリム・スタインベルトで7…Vから託されたディケイドで8……胡蝶さんと七草さんのアバドンで10…俺達がここに来なければ、兵器の確保が難しかったかもな……」
ピグマリオンとの戦闘では、ドールがメイン、仮面ライダーは補助という解釈がされている。だが、ライダーシステムを扱う翔達にとって、仮面ライダー=補助という考えではない。仮面ライダーもメインとして、未知の脅威を討ち滅ぼす存在と考えている。ドールハウスの戦力は、イクサのみ…そこに、翔達が入って来たことで…現在は10の兵器がある。深雪と蜜璃もライダーシステムを扱っているが、現在はアバドンのみ使用可能である。
翔「但し…仮面ライダーは誰もが変身できる訳じゃねぇ……システムが装着者に適合しねぇ限り、使用するのは不可能だ。」
仮面ライダーに変身するには、そのライダーシステムが使用者に適合することが最低条件である。ちゃんと適合しない限り、仮面ライダーに変身することはできないのだ。
ミサキ「…思った以上に深刻ですね。何か次の一手はあるのですか?」
ミサキの質問に、カナが答える。
カナ「現在、新しいプランを策定中です。その間に、シミュレーターを調整してもらいました。『テアトルを展開した状態』をシミュレートできるよう調整済みです。『テアトルを展開できない状態』も再現可能……こちらも比較に使えると思います。」
斑目「…テアトルはしばらくは使えない。その状況に慣らしておけ。」
こうして、会議は終わった、Dollsは訓練をするため、シミュレーションルームへと向かった。事務所に残ったのは、斑目、カナ、愛…そして、彩羽と翔の5人となった。深雪と蜜璃は、現在アマゾン細胞の研究をしている。Numbersはライダーマシンのメンテナンスを、元ストライカー達はモシュネと共に事務作業をしている。
カナ「それにしても…いつの間に、翔君と彩羽さんの距離が縮まりましたね。何か進歩があったんですか?」
翔「ほざけ、利用できるモンはとことん利用するだけ…俺は青空 彩羽を利用しているだけに決まってんだろ?」
斑目「彩羽と翔は名字が同じだからな…青空ではどちらが呼ばれているか混乱するだろう……これからは、『翔』と呼んでも構わないだろうか?」
翔「…好きにしろ。」
彩羽と翔は、同じ名字であるため…斑目は翔のことを下の名前で呼ぶようにした。それは、彩羽に対しても同じである。
愛「ねぇねぇ彩羽ちゃん、翔君と何かあったの?」
彩羽「ふふん、教えません♪ね、翔君?」
翔「あぁ…俺達が簡単に教えると思ったのか?めでてぇ頭だな。」
翔と彩羽は、事務所から去っていった。
カナ「ふふっ、翔君と彩羽さん…もしかしたら、信頼関係が構築され始めたのかもしれませんね。」
斑目「そうだな、良いことだ。」
愛「何があったんだろう…気になるな〜。」
そんな彼らを見たドールハウス3巨頭は、優しく微笑むのであった。
事務所から出て、2人で廊下を歩く翔と彩羽。
翔「姉貴も、こえぇ野郎が居たら俺に言え。とっちめてやるから。」
彩羽「あはは、その時はそうするね♪」
翔「さて、この後はリハビリをやる…」
彩羽「うん、あたしも協力する。」
翔「…助かる。」
今はただ、2人の時間になった時…翔は彩羽を姉と呼ぶ。いずれは、メンバー全員の前で姉と呼ぶことを願って……