〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
翔「んで、何の用だ?」
朝、翔は事務所に呼び出されていた。
カナ「翔君のリクエストにお応えすべく、有名洋菓子店のパティシエさんをお呼びしました。」
翔「リクエストだぁ?」
カナ「だって翔君…リハビリばっかりで飽きてしまうって……」汗
翔「それだけじゃねぇ…何なんだよ、国は狂った実験をしていたとか、そのせいでサクリファイスは生まれたっつっても過言じゃねぇんだろ?その尻拭いをDollsに任せ、自分たちは安全地帯でグータラ……無能にも程があんだろ。そんな話聞かされちまって、ここに居るのが嫌になって来るわ。」
眉間にシワを寄せ、腕を組む翔。
カナ「やっぱり、ドールハウスが嫌になっちゃいましたか…わ、私……翔君が、また…ここを、出て行ってしまったら……うぅっ、ぐすっぐすっ……」
翔の言葉を聞き、泣き出してしまうカナ。
翔「女の涙程嫌いなモンはねぇ…そんな事をしたって、俺は何とも思わねーぜ?」
しかし、女性不信な翔に女の涙は効かない。そこに、愛が入って来る。
愛「翔君、あんまりカナちゃんを虐めないで?」
翔「虐めとは侵害な…俺は俺の思いを正直に言っただけだ。」
愛から注意をされても、何とも無いような表情を浮かべている翔。
愛「カナちゃんだってさ、翔君を思って杖を作ってくれたりカウンセリングをしてくれたり、体調にだって」
翔「それは分かってる…ただな……斑目さん、何か怪しいって思い始めたんだよ。本来話すべきことを話さねぇし、何か裏がありそーなんだよ……」
カナ「クスンッ…翔君、私…迷惑じゃ、ありませんか…?」
翔「迷惑じゃねぇから泣くのを止めろ。」汗
まだ泣いているカナを宥める翔。
愛「あまり女の子を泣かせちゃ駄目だよ、翔君?」
翔「黙れ。そんな言葉、俺には通用しねぇと思え。誰に対しても、容赦ねぇのが俺だ。」
カナ「あっ、そろそろパティシエさんが来る頃ですね。」
カナはそう言うと、ドールハウスの玄関へ向かった。その時の彼女はすっかり泣き止んでおり、先程泣いていたのが嘘のような清々しい顔になっていた。
翔「…ぜってぇウソ泣きだろ。」汗
愛「ううん、あれは本当に泣いてたんだよ。だってカナちゃん、翔君のことが大好きだもん。」
翔「いや知らねぇよ…」汗
まもなく、事務所に斑目とカナ…そして、今回呼んだパティシエが入って来た。
凰蓮「ッ!!愛ちゃ〜ん♪」
愛「凰蓮さ〜ん♪」
入って来たのは、鍛えられた体格とスキンヘッドという出で立ちながらも、バサバサのつけまつ毛にフリルやファーを多用した服装をした男性だった。スキンヘッドは黒いターバンで覆っており、彼のトレードマークになっている。
凰蓮「久しぶりじゃない!!んまぁ、すっかりイイ女になっちゃってェ〜♪」
愛「あはは、もう凰蓮さんったら褒め上手なんですから〜♪」
翔「……。」汗
入って来た男性『
愛「あっ、翔君?この人があたしの知り合いのすっごいパティシエさん、凰蓮・ピエール・アルフォンソさんだよ?見た目はゴツいけど、人当たり良いんだよ?」
翔「いや、知らねぇよ…俺が、青空 翔だ。」
凰蓮「青空 翔君ね、ワテクシは洋菓子店シャロンの店長、凰蓮・ピエール・アルフォンソです☆」
翔に自己紹介を終えた凰蓮は、早速本題に入っていく。
凰蓮「ところで、どなたにスイーツ作りを教えれば良いのかしら?」
愛「翔君にです。」
凰蓮「フムフム…ところで翔君、貴方は普段料理はするのかしら?」
翔「当たり前だ。生きることで精一杯だったからな…」
表情1つ変えず、淡々と言う翔。
凰蓮(成る程…この坊や、何かありそうね。)
愛「…凰蓮さん。」
凰蓮「大体分かったわ。」
翔の心情を察し始めた凰蓮は、早速スイーツ作りへと入っていく。キッチンに移動し、『お互いに作った物を食べる』と言う項目で始めた。
凰蓮「へぇ、生地混ぜるの上手いじゃない。」
翔「……。」
凰蓮に声を掛けられても、翔は黙って生地を混ぜ続けている。その後も、スポンジやクリーム作りにも生地を焼くことにも沈黙し、やがて…クリームで飾り付けをし、完成させた。
凰蓮「完成したようね、ワテクシも今完成したところ。」
翔「…そんじゃ、食べ比べか?」
愛「あ、翔君…」
翔「大丈夫だ、目の前で作ってたんだから。」
そして、作った物を交換し、互いに口へと運んでいく。
凰蓮「あら、翔君…貴方才能あるんじゃない?良かったら、ワテクシのお店に来ない?即戦力になるわよ?」
愛「ダメです!!翔君はウチの大事な用心棒なんですから!!」
凰蓮「冗談冗談、でも才能があるのはウソじゃないわ。」
翔「…うん、中々。」
愛「翔君翔君、凰蓮さんの作るスイーツはね、特に若い世代から人気なんだ。値段は安くはないけど…でも、本格的なスイーツなんだよ?」
凰蓮が経営する洋菓子のスイーツは、若者に大人気なのだ。勿論、小さな子供や老人にも人気なスイーツもある。値段は安いとは言えないが、本格的な物ばかりなのだ。
翔「ふぅ、ごちそうさまでした。」
スイーツを平らげた翔は、何かを思い出したようで…
翔「片山さん、斑目さんと南田さん、胡蝶さんと七草さんを読んでもらえるか?ちっと話さなきゃならねぇことを思い出した。」
愛「えっ!?あ、うんわかった!!」アセアセ
愛が電話をする中、翔はLINEで元ストライカー達とモシュネを呼び出す。やがて、全員がここへ集まると…翔は驚くべき事実を語る。
翔「実はなぁ…ストライカー共に紛れて、俺の仲間が1人いるんだよ。」
彼の言葉に、全員が「えっ!?」と口を開く。
翔「スパイだよスパイ…ストライカー共と生活を共にしつつ、こっちに色々情報を提供してくれてんだ。」
蜜璃「えぇっ!?だ、誰…!?」
翔「おいおいw俺が教えるとでも思ってんのか?」
意地悪そうに笑う翔。憎きストライカーの中に、スパイが紛れ込んでいる…これは、彼の理解者である元ストライカー達も知らなかった。
マリ「まさか、会ってからのお楽しみって訳?」
翔「よく分かってんじゃねぇか。」
カナ「どうして今教えないんですか?」
翔「今教えると、お前達全員の意識がソイツに向くだろ?それじゃあ奴らに怪しまれる。そうなっちまえばスパイは使い物にならなくなるし、ストライカー共の情報収集が困難になる。機会があれば、会わせてやろう。」
翔はそう言うと、去って行く。
翔「青空 彩羽、お前は俺と来い。」
そして、彩羽を呼び出し…キッチンを退室した。
彩羽と共に屋上へやって来た翔は、彩羽だけにスパイの正体を教える。
彩羽「…この子って、あの財閥の…!?」
翔「そうだ…山吹 楓こそが、ストライカーの中に紛れたスパイ。俺の仲間だ。」
何と、山吹財閥の令嬢『山吹 楓』が、翔にストライカーの情報を提供しているスパイだったのだ。
翔「いやぁ、ここの連中も見事に騙されてたな。良いか姉貴、ぜってぇ誰にも言うんじゃねぇぞ…今はまだな?」
彩羽「うん、分かった。」
姉弟の秘密として、彩羽にスパイの情報を提供した翔。
楓「…ふぅ。」
楓(
その頃、人目の無い場所にて…楓はスマホを取り出し、誰かにメッセージを打ち始める。
『ストライカー達は今、資金難に直面しているわ。ホームレスの如く、小銭集めしている。それも、東京の目黒区でね。』
メッセージを送ると、すぐに既読が着く。そして…
翔『そうか、ありがとう。楓、いつでもこっちに来たって良い。そっちは劣悪な環境だろ?』
翔から返信が来た。
楓「隊長さん…貴方は本当に優しい人、こんなに優しくしてくれるなら、もう少し頑張ろうかしら?」