〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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気が付いたら、この物語が三百話を超えた。


第三百一話 裏切り者の裏切り者

椿芽「ふぅ…結構集まったね。」

 

伊緒「って言っても…ほぼ1円玉ばっかりだけど……」

 

悠水「うぅ…もう、段ボールを食べるのは嫌だよぉ……」

 

イミナ「おいおい、段ボールの次は紙かよ…あたし達はヤギじゃねぇっての……」

 

ハヅキ「文句があるなら食べなくて良い…」

 

リョウコ「コンビニから廃棄弁当貰って来たから、心配はいらないよ?」

 

アコ「リョウコっちナイスなのだ!!」

 

その頃…ストライカー達は河川敷でホームレス生活をしていた。彼女達の悪行は既に世間の目に入っているため、誰からも相手にされなくなった。

 

二穂「おい、楓の姿がないぞ?」

 

依咲里「山吹様でしたら、また聞き込みに……」

 

華賀利「今のところ、楓様なら相手にされる…あぁ、華賀利も隊長様に会いたいですわ……」

 

翔が居ない為、精神的に辛くなっているストライカー達。だが、これを望んだのは彼女達自身…辛い身体に鞭を打ちながら、今日も翔を連れ戻す手段を考えている。現在、翔はドールハウスにいる為…迂闊に動けないのだ。

 

昇「……。」

昇(お腹が減ったな…そう言えば、妖魔達は何をしているんだ?)

 

妖魔側に寝返り、悪の道へと進んだ彼女達…今では妖魔に頼り、物品を盗ませている。それを享受し、何とか生活はできている。

 

昇(そろそろ拠点を変えたほうが良いかもしれない…こんな所では目立ってしまう、いっその事…富士の樹海に行くか……だが、変装するための服が……)

 

すると、物品調達を終えた偵察型妖魔達が戻って来た。

 

昇「これは…良くやったぞ、お前達!!」

 

丁度良く、新しい服を持って来た妖魔がいたのだ。資金も食べ物も飲み物もある。

 

昇(僕らが盗みをすれば刑務所行き…しかし、普通の人間では探知できない妖魔を使えば、物品調達は簡単だ。)

 

偵察型妖魔は、普通の人間では可視化できない。それを利用し、妖魔達に盗みをさせるように昇は考えたのだ。そのお陰で、彼女達はひもじい思いをせずにいられる。

 

陽奈「アンタもやるじゃん!」

 

昇「青空隊長を連れ戻すためには、君たちが健康で居なければならないからね。でも、ここでは近い内にバレる…富士の樹海に行こう。あそこなら中々人が来ないからね。」

 

小織「動物…いるかな……?」

 

彼らは服装を着替えると、古い服をバッグ類に詰め込み…河川敷から離れていく。

 

夕依「そ、そう言えば楓さんは…?」

 

あおい「遅れている奴は知らん、さっさと行くぞ。」

 

楓「私ならここにいますけど?」

 

チカ「楓先輩…隊長の情報は?」

 

楓「…残念ながら。」

 

栞「何よ…周りから相手にされてるんだから、1つぐらい持ってきたらどうなの?」

 

楓も無事に合流し、彼女達と共に富士の樹海へと向かった。

 

 

 

樹海に着くと、奥へと進み…登山道近くの洞窟へとたどり着いた。

 

楓「水源を探してくるわね。」

 

二穂「飲み物があるのだから問題はなかろう?」

 

楓「飲み物は無限にあるわけじゃないの…いざというときの為よ?」

 

楓は水源を探すと嘘をつき、ストライカー達の元から離れていく。ある程度歩いたところで、翔にメッセージを送る。

 

『隊長さん、ストライカー達は今…富士の樹海を拠点にしている。白河 昇は妖魔の特性を利用して、盗みをさせているわ。』

 

翔『分かった。1つ警告しておく…富士の樹海は心霊スポットとも呼ばれている。手遅れになる前にここを離れた方が良い。』

 

『そうさせて貰うわ。』

 

翔の警告を受けた楓は、たった1人で…富士の樹海から脱出した。

 

 

 

その頃、ストライカー達は……

 

依咲里「山吹様、遅いですわね…」

 

華賀利「まさか、楓様の身に何かが…!?」

 

陽奈「いーじゃん、食べ物が多く食べられるようになるんだし♪」

 

仲間であるにも関わらず、彼女達は人を人と思わなくなっていた。楓が居なくなっても、悲しむ者は誰一人いない。

 

悠水「おぉ〜!!火が着いたぁ〜!!みんなー、火が着いたよ!!」

 

まな「マッチがあると楽なんだよ~♪」

 

昇「よし、何か作ろう…皆も手伝ってくれ。働かざる者食うべからずって言うからね。」

 

サトカ「面倒くさいですが…まぁ良いでしょう。」

 

居なくなった楓を余所に、ストライカー達は食事を作り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、東京の目黒駅にて……

 

楓「…あら?」

 

ガロロロッ!!

 

翔「よぉ楓、久しいな。」

 

翔と楓が合流に成功していた。

 

楓「はい、お久しぶりです。」

 

翔「ドールハウスに来るか、俺から上手く言っておくぜ?」

 

翔は楓をドールハウスに来るように誘うが…

 

楓「いいえ、今はまだ大丈夫よ。お父様もお母様も、私の味方でいてくれているし。それに…いくらスパイであれど、隊長さんに酷いことをしてしまったのは、事実だもの……」

 

彼女は彼のお誘いをやんわり断った。

 

翔「バカ野郎、そんな顔すんな…敵を騙す前に、まずは味方から騙すのが御約束だろ?」

 

翔はそう言うと、楓にヘルメットを渡す。

 

翔「乗れよ、何か奢るぞ?」

 

楓「…えぇっ、でも……」汗

 

翔「そこは乗っとけよ、お前のお陰でこっちは大助かりだったんだぜ?せめてもの礼だ、言葉じゃなくて行動で返す。」

 

楓「ウフフ、それもそうね♪」

 

楓は翔の後ろに乗った。翔はジャングレイダーを唸らせ、バイキングレストランへと向かった。

 

楓「どうしてここを選んだの?」

 

翔「気まぐれだ…後、遠慮は不要だ。好きなだけ食え。」

 

情報を提供したお礼に、高級なバイキングレストランにやって来た翔。そこで、楓と話をすることに…

 

翔「それで、アイツらはどんな様子だった?」

 

楓「そうね…まるで人を人として見ていない様子だったわ。要らないモノは遠慮なく捨てる……使えないモノには罵詈雑言、貪欲で悪事を働いても何とも思っていないみたいなの。」

 

翔「堕ちるとこまで堕ちたか…ま、だからといってアイツらにかける情なんてねぇぞ?てか、お前もこんな提案…よくできたよな?」

 

楓「私まで元ストライカーの皆と一緒になったら、あの娘達…いいえ、奴らの動向を明確に伝えにくくなるでしょ?」

 

翔が隊長であった頃…皆が寝静まったタイミングでやって来たのが、楓だった。

 

 

 

翔『楓、どうしたんだ?』

 

楓『ねぇ隊長さん…ちょっと提案があるのだけれど?』

 

翔『…提案?』

 

楓『えぇ…私、あの娘達と生活を共にして貴方に情報を提供しようと思っているの。謂わば、スパイになるの。』

 

翔『スパイだと?それじゃあお前まで世間から大バッシングを』

 

楓『大丈夫、上手い具合に纏めるわ。』

 

翔『いや、しかしだな』

 

楓『お願い、私を信じて欲しい…スパイになる以上、貴方に嫌われる覚悟も、貴方の味方から批判を浴びる覚悟もできている。生半可では、きっと上手く行かないと思うし……』

 

翔『……。』

 

楓『隊長さんも、私の事を嫌っている設定でお願いね?本気でやって欲しいの、これは隊長さん…貴方のためでもあります。ですから、お願いします。』

 

翔『…分かった、無理だけはしないでくれよな?』

 

 

秘密の取引をし、楓は翔の敵のフリをし続け…ストライカー達の実態調査に力を注いだ。約3年間…ストライカーの化けの皮を被り、彼女達を欺き、彼にこっそり情報を提供していたのだ。翔が隊長を辞めた後、ストライカー達は翔を連れ戻すことしか考えておらず、スパイの存在に気付くことは無かったのだ。

 

 

 

会計を済ませた後、楓と共に外へ出てきた翔。

 

翔「そういや、アイツらの連絡先はどうしたんだ?」

 

楓「奴らはとっくにスマホを手放したわ。お金が無いから料金が払えないもの…」

 

翔「なら、お前がアイツらから離れても問題は…いや、妖魔がお前を探しに来るのか……」 

 

楓がストライカー達の元から離れ、妖魔が連れ戻しに来る可能性を考える翔。しかし、楓だってかつてはストライカーとして妖魔と戦っていた。翔の味方の元ストライカー達が見ていないところでは、妖魔との戦闘と人命救助もやって来たのだ。

 

楓「大丈夫よ、私だって戦えますから。」

 

翔「…困ったらいつでも頼れ。」

 

楓「ありがとう。」

 

翔「送ってくぞ?」

 

楓「気持だけ受け取らせて貰うわ。この近くに、マンションを借りて生活しているの…ある意味、ここに来て丁度良く思ったの。」

 

翔「…そうか。」

 

楓「では、またね♪」

 

楓はそう言うと、マンションへと帰って行った。翔はジャングレイダーを走らせ、ドールハウスへと戻って行った。

 

 

 

楓「…ふぅ、何だか肩の荷が下りた気がするわ。」

 

マンションへ帰って来た楓は、自室でゆっくりしていた。

 

楓(久しぶりに隊長さんと会えて嬉しかったな…でも、隊長さんは奴らにケガをさせられて……それを止められなかったのは、悔しいな……)




山吹 楓……19歳、女。

ストライカーのフリをし、スパイとして翔にストライカー達の情報を提供していた張本人。スパイとは言えど、ストライカー達の悪事を止められなかったことを後悔している。そのため、翔とは離れた場所で…彼の味方として行動することを決意する。

最終学歴…高卒

職業不詳

CV…『藤野 泰子』さん
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