〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百二話 港区ライブ

Dollsがシミュレーターでの特訓を終えた後、翔がドールハウスに戻って来た。

 

斑目「戻ったか、翔。」

 

翔「…?…珍しいな。」

 

戻って来た彼を出迎えたのは、斑目だった。いつもならカナや愛がよく出迎えてくれるのだが……

 

翔「文句でも言いに来たのか?」

 

斑目「そうではない、翔と呼ぶことに慣れようと思ってな。」

 

翔「…そうか。」

 

彩羽がドールハウスにやって来たことで、青空という名字を持つ者が2名となった。青空ではどちらを呼んでいるのか分からなくなるため、斑目は翔を下の名前で呼ぶことにしたのだ。斑目と共に、観測室へ向かう翔。そこには、DollsとNumberS、元ストライカー達、モシュネ達等、ドールハウスの仲間達が彼を待っていた。

 

翔「…お前達も、斑目さんから聞いたと思うが……あのストライカー共に紛れて、俺の仲間がいる。」

 

アヤ「スパイってことよね?」

 

翔「その通りだ。但し、今はまだ教えねぇ…教えるとお前達の意識がソイツに向くからな。」

 

レイナ「そうなると…ストライカー達が怪しむ、そうよね…?」

 

翔「そうだ、機会があれば会わせてやる。」

 

Dolls達もスパイの事を聞いていたため、呑み込みが早かった。翔が椅子に座ると、斑目から作戦の説明が始まる。

 

斑目「これから作戦を説明する。……カナ、皆に企画書を。」

 

カナ「はい!」

 

カナから提示された企画書を見る一同。

 

 

 

サクラ「港区で、大規模ライブ……?」

 

斑目「あぁ。先日の調査で、汚染は大江戸線に限られている事が判明した。」

 

ピグマリオンが出現する地帯は、普通の人間には目視できないが…禍々しい空気が流れている。それを浄化するには、Dollsの力を借りるしか無い。

 

斑目「先手を打ち、浄化を行えばダイダロスの侵蝕を防げるというのが、EsGの予測だ。」

 

Dollsがライブをすることで、周辺の地帯は浄化される。

 

アヤ「ちょ、ちょいストップ。ライブはいいんだけどさーーダイダロス…だっけ?ソレ、放っておいて大丈夫なの?」

 

ナナミ「テアトルが展開できないとはいえ、いささか呑気すぎる気がしますが……」

 

しかし、ライブを行う前に…彼女達には不安があった。ダイダロスへ足を踏み入れた事で、テアトルが展開出来なくなってしまった。そこを徘徊するサクリファイスが出している毒素が原因だ。それは、Dollsの身体に悪影響を与えるが…人体そのものに害は無い。

 

斑目「テアトルが展開できないからこそ、今回のライブ活動は必要だ。次の一手を打つまでの時間を稼ぐ必要がある。ダイダロスを押しとどめるために浄化が必要だ。」

 

ナナミ「ですが…その前に敵が動く可能性もありますよね?そのほうがマズそうですけど……」

 

斑目「…そのために害特へ協力を要請した。」

 

斑目がそう言うと、翔は思わず彼女を睨む。

 

サクラ「害特……小鳥遊さんたちにですか?」

 

翔「…おい、仮面ライダーがいりゃあ十分だろ?兵器を敵に乗っ取られた挙げ句、尻拭いすらできやしねぇへっぽこ連中を信用できるのか?なぁ?」

 

墨田区での一件以来、翔は害特を信用しなくなった。Dollsも、複雑そうな顔を浮かべる。

 

斑目「ただでさえ人手が不足している世の中だ……街中の巡回等、人の目があるところは彼らに任せる。」

 

ナナミ「む…?オートギアはメンテ中では?もう直ったんですか?」

 

斑目「いや…まだだ。」

 

オートギアは現在、メンテナンスの為使用することが出来ない状態にある。

 

翔「あんなゴミクズ、いねぇ方がマシだ。また乗っ取られたりすれば、溜まったモンじゃねぇ……欠陥品が出る舞台なんざねぇんだよ。」

 

斑目「翔、そこまでだ。口は災いの元と言う言葉を」

 

翔「んな事知ってるわ。殴り返される覚悟があるから言ってんだ、思い上がってんじゃねぇぞ?」

 

斑目に反論できる者は少ない…その中の1人が、翔なのだ。そもそも、この場で斑目に反論できるのは、翔しかいない。

 

カナ「今回巡回に当たるのはA因子を持った人たち…自衛隊の害特メンバーになります。」

 

翔「滑稽だな…堕ちるとこまで堕ちたか。」

 

カナの言葉を聞くと、今度はバカにしたように嘲笑う翔。

 

翔「尻拭いすらできねぇような連中に、この世界をは任せられねぇだろ…?」

 

カナ「翔君…まさか……」

 

翔「必要だと感じたら俺も行ってやろう、俺にはジャングレイダーがある。」

 

歩行が難しくなってしまった彼だが、バイクを操縦するのは問題ない。

 

カナ「……。」

 

翔の言葉を聞き、口角を下げるカナ。本当は、彼にはしっかり休んで欲しいのだが…当の本人がそうしないため、どうすることもできないのだ。

 

翔「また女の涙でも発動する気か?構わねぇが、そんな事したって俺は何とも思わねぇ…冷てぇ野郎だと思うならそう思え、それが俺なんだよ。」

 

冷酷非道な性格の翔には、女の涙は通用しない。カナのような美人がどれだけ悲しい表情を見せようが、彼は表情を全く変えない。

 

レイナ「…不安ね。」

 

翔「そうだろ、不安だよなぁ?お前達は話が分かる奴らで助かるぜ…」

 

レイナ「害特の主戦力はあくまでオートギア…メンバー自身の戦闘能力を考えると……」

 

翔「その時点でもはや話にならねぇよ、論外だ論外。」

 

害特がダメなら、自分達がやるしかない…しかし、それはそれで大問題となる。

 

斑目「では…都民の前で、その姿を晒す気か?」

 

アヤ「はぁ……そこよね、問題は。」

 

レイナ「…アイドルグループDollsが、武器を握って怪物と血みどろになって戦う。……ダメ、ファンや世間にはとても見せられないわね……」

 

翔「バカか、そんな事させるかよ?」

 

彼女達の不安を遮り、鼻で笑う翔。

 

翔「化け物共と血塗れになって戦うのは、俺のやることだ…お前達はライブに専念すりゃあ良いんだよ。」

 

ヒヨ「でも、それじゃあ翔さんがやすめないよ…」

 

翔「化け物共やストライカー共が現存する限り、俺に休息の時は来ねぇ…」

 

ストライカーの隊長であった頃…ストライカー達が敵意を向けていた為、彼女達には中々頼れず……何もかも、自分でやるしかなかった。そんな環境にいたため、自分に厳しくなった翔。

 

ミア「だったらさ、翔さんが行くならボク達も行くよ。それなら良いでしょ?」

 

翔「却下だ。お前達もアイドルだろ、あんまり武器を持って彷徨くんじゃねぇ。」

 

NumberSの3人は、1度武器を手にして一般人の前に出たことがある。だが、レイナの言葉を聞いた翔は…それをあまり良く思っていなかった。

 

アヤ「スキャンダルってレベルじゃない…それに、翔への負担が大きくなっちゃう……」

 

翔「言った筈だ、お前達はライブに専念すりゃあ良い…ってな。」

 

サクラ「テアトルを展開せずに戦ったら……命の危険もあるってお話でしたよね……」

 

斑目「解決の足がかりを得るまで、皆を戦わせるわけにはいかない。巡回は譲るがダイダロスに関する主導は我々にある。体内時間はこのまま夜に合わせておいてくれ。」

 

カナ「ということで…しばらくはアイドル活動ですが……」

 

カナは不安そうな顔で翔を見る。

 

カナ「翔君…少しでも辛いと感じたら、いつでも休んでくださいね?私達は、翔君がいつも元気でいられる事が1番ですから。」

 

そして、悲しげな笑みを浮かべながら翔に寄り添う。

 

翔「いつも元気な奴なんて、世の中には存在しねぇよ。」

 

翔はそう言うと、観測室から出て行った。

 

斑目「…また外出でもするのだろうか……翔、頼むから休んでくれ…」

 

愛「所長、あたし行ってきます…!」

 

愛が翔の後を追おうとした時……彩羽が声を上げた。

 

 

彩羽「アタシが行きます!」

 

 

そして、翔の後を追って…観測室を出て行く。

 

斑目「…侵蝕された地下の浄化が主目的ではあるが、有事に備えフィールも多く回収したい。ライブまで日が近い。各自準備を頼む。ーー私からは以上だ。」

 

 

 

その後、シミュレーションルームでテアトルの展開を試みるDolls一同。

 

ナナミ「やはり、ダメですね…テアトルをうまく展開できません。」

 

ユキ「わたしたちのギア……どうなってしまうんでしょうか……」

 

ヒヨ「う〜…わかんないよ…自分のカラダの事なのに…」

 

ナナミ「生ける地下迷宮に異形のバケモノ……その上、テアトルが使えないなんて…お先真っ暗です。」

 

テアトルが使えない上に、相手は未知の敵…メンバー達の不安は消えない。

 

翔「……。」

 

そんな彼女達の会話で黙って聞いていた翔は、怪我で思うように動けない自分を責め続ける。

 

翔(くそ…コイツらに向き合わなかったばかりに、こうなっちまった……俺だってバカじゃねぇか……)

 

そして、静かにシミュレーションルームから離れていく。

 

 

 

ミサキ「…サクラ。レッスンの前に、軽く汗を流さない?」

 

サクラ「レッスンじゃなくて…シミュレーターですか…?」

 

ミサキ「レッスンはもちろんするわ。でも、少し戦いに身体を慣らしておきたいの。」

 

サクラ「ミサキさんとふたりっきりでシミュレーターをするの、久しぶりです…!」

 

ミサキに誘われ、嬉しそうな顔をするサクラ。

 

ミサキ「サクラとは少し話しておきたいこともあるから…」

 

サクラ「……!はい……わかりました!」

 

サクラとミサキ以外のメンバーは、レッスン場へ向かい…サクラとミサキはシミュレーターで訓練をすることに……

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