〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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久しぶりのお出掛け回


第三百七話 行き詰まったら

シオリが過去に囚われていることを知った翔は、どのように対応しようか考えていた。

 

翔(そっとしておくって訳にもいかねぇな…今度はしっかり向き合わねぇと……)

 

しかし、どれだけ考えても方法が思い浮かばない。

 

翔「…くそ、どうすりゃ良いんだ…」

 

その時…医務室の戸がノックされる。

 

コンコンッ!

 

翔「…入れ。」

 

入室許可を出すと、医務室に愛が入って来た。

 

愛「翔君、退屈してない?」

 

翔「…は?」

 

愛「いやぁ、ここにいるのが退屈って前に言ってたじゃん?」

 

翔「…そうだな。」

 

愛「だったらさ、出掛けようよ♪ね、気晴らしにさ!!」

 

翔「そんな悠長なことしてても良いのかよ?」

 

愛「大丈夫大丈夫!医者であるアタシが居るんだから♪」

 

翔「何の理由にもなってねぇ……」汗

 

入って来て早々…出掛けることを提案する愛に、困惑する翔。

 

翔「どこ行くんだよ?」

 

愛「おっ、来てくれるの!?」

 

翔「どこへ行くんだって聞いてんだよ…さっさと答えろ。」

 

愛「どこって、そりゃあ勿論…温泉だよ!翔君ってさ、お風呂大好きじゃん?だからさ、ピッタリだな〜って思って♪箱根の有名なユネッサンってとこ♪」

 

箱根小涌園ユネッサンとは…宿泊施設までも併設されている温泉・スパ施設であり、多くの人に愛されている場所だ。

 

翔「俺はこんな足だ…呑気に楽しめるかよ。」

 

愛「それについては心配しないで?アタシね、そこの最高責任者と知り合いなの♪だから、色々配慮してくれるって!!」

 

翔「おいおいマジかよ…」

 

愛は人脈が広く、色んな場所に知り合いがいるのだ。

 

翔「てか、俺とアンタ以外に誰がいんだよ?」

 

愛「先に車乗って待ってるよ?」

 

翔「ふざけんなよ、すぐに準備しねぇといけねぇじゃねぇか…」

 

翔はすぐに準備を済ませ、愛と一緒に車へと向かった。

 

カナ「おはようございます、翔君♪」

 

彩羽「翔君、おっはー♪」

 

車に乗っていたのは、カナと彩羽だった。この日、カナは珍しく休みを取れたので…愛の提案に真っ先に乗ったのだ。彩羽は弟の翔との思い出を作ろうと張り切っている。

 

斑目「翔、Dollsらのケアは任せろ。ゆっくりしてくると良い。」

 

翔「わざわざ見送りか、ご苦労なこった。」

 

愛の運転で、4人を乗せた車は…箱根のユネッサンへと向かった。

 

 

 

数時間後、4人を乗せた車は箱根小涌園ユネッサンに到着した。彼らを出迎えたのは、ユネッサンの最高責任者だった。

 

愛「ありがとう湯本さん!」

 

湯本「いえいえ恐れ入ります…折角愛さんが来てくれると言うので、我々も精一杯おもてなしさせていただきます!それに、愛さんお元気そうで何より…5年ぶりでございましょうかな?」

 

最高責任者の名前は、湯本という男性。一同はユネッサンに入ると、何故かシャトルバスで宿に向かい、早速チェックインを…

 

翔(どーりで荷物が多いと思ったら…こういうことか……)

 

ホテルマンが部屋に荷物を運び、4人は宿泊する部屋へたどり着く。彼らが宿泊するのは…温泉旅館「箱根小涌園 天悠」という高級旅館だ。

 

カナ「わぁ〜!広くて素敵な部屋ですね♪」

 

愛「でしょでしょ〜♪ここ、すっごくオススメなの♪」

 

予約した部屋は、特別客室でかなり広い部屋だ。

 

翔「…へぇ。」

 

彩羽「広いね〜、開放的♪」

 

愛「ねぇ、早速ユネッサンに行こうよ♪アタシさ、もう下に水着着てきちゃったしさ♪」

 

翔「急だな…」

 

カナ「行きましょう翔君♪はぁ、翔君と一緒に温泉入るの…いつぶりでしょう♪」

 

翔「浮かれ過ぎだ…準備すっから外で待ってろ。」

 

翔以外のメンバーは、既に水着を着用していたため…部屋の外で翔の準備を待つことに。

 

翔「待たせたな。」

 

準備が終わった翔と共に、いざ…温泉・スパへ向かうカナと愛と彩羽。

 

湯本「翔様、こちらの杖は温泉及びスパでお使いくださいませ!」

 

翔「アンタは…責任者か、へぇ…面白いモン作ったじゃねぇか。」

 

湯本から渡されたのは、水辺で滑りにくい滑り止め付きの杖だった。危なくないよう、ゴム製で作られおり…形も翔が普段使っている杖と同じである。

 

翔「わざわざありがとうな。」

 

湯本「とんでもございません、お客様には最後まで楽しんでいただきたいので。」

 

湯本はそう言うと、立ち去っていった。翔は紺色のパーカーを羽織り、下には『デザイアグランプリ』のロゴがプリントされたサーフパンツを身に着けている。

 

「翔く〜ん♪」

 

翔「…?」

 

そこに、カナと愛と彩羽が翔と合流し、水着姿を披露した。カナは白と空色の縞模様のビキニで、愛は黒1色の大人っぽさ漂うビキニ、彩羽はビーチバレーで着るユニフォームのようなビキニだ。

 

カナ「翔君…そ、その……どう、でしょうか?///」

 

愛「どう、アタシ達の水着?」

 

彩羽「似合ってると良いんだけど…」

 

カナは恥ずかしそうに、愛と彩羽はモデルのようなポージングをしながら翔に言う。

 

翔「…行くぞ。」

 

愛「え〜!?コメント無いの!?」

 

彼女らをスルーし、温泉へと向かう翔。そんな彼に着いていく3人。神々のエーゲ海を通り、やって来たのは……

 

翔「眠気覚ましには丁度良さそうだ…」

 

愛「コーヒー風呂だね。」

 

本格コーヒー風呂で、疲労回復・リラックス・美肌などの効果が期待できると言われている。4人はさっそく、コーヒー風呂へと入った。

 

愛「良いお湯だね〜♪」

 

カナ「はぁ〜…癒やされます♪」

 

彩羽「いい香りもするし、最高♪」

 

女性陣が絶賛する中、翔は目を閉じて肩まで浸かっている。

 

翔(こりゃあ良い…湯加減も丁度良いし、コーヒーならではの心地良い香りが身体のみならず心まで癒やしてくれる。)

 

風呂好きの翔も、コーヒー風呂を絶賛しているようだ。

 

愛「翔君が良い顔してるってことは、ここは当たりの湯だね♪」

 

翔「当たりの湯って何だよ…大勢の客が来んだから、当たりだらけだろ。」

 

カナ「フフッ、まさに翔君の言う通りですね♪」

 

彩羽「ですね♪」

 

愛もカナも彩羽も、翔のことが大好きである。彼を立てるのは当たり前…それに……

 

彩羽「♪」ピトッ…

 

翔「…何だよ姉貴。」

 

彩羽「ん〜ん、くっつきたいだけ♪」

 

翔「…そうか。」

 

隙あらば、彼にスキンシップを繰り出す。

 

愛「ほらほらカナちゃん、翔の左隣空いてるよ?」

 

カナ「えっ!?わ、私ですか…もっと若い娘が来たほうが……」

 

愛「何言ってんの!カナちゃんだって若いんだから〜!」

 

愛に背中を押され、カナは翔に尋ねる。

 

カナ「翔君…と、隣いいですか?」

 

翔「好きにしろ。」

 

翔がそう言うと、カナも翔と肩をくっつけた。

 

翔「…南田さんよぉ。」

 

カナ「ッ!?は、はい…!」

 

翔「俺の左腕に着いてる腕輪に気ィ付けろ?ま、外れはしねぇが…当たると地味にいてぇからな。」

 

翔の左腕には、アマゾンズレジスターが着いている。目のような発光体は、問題無しを表す青い光を放っている。ギギの腕輪に似た形状をしており、嘴のような部分は当たると地味に痛いそうだ。

 

カナ「あぁ、成る程…ご忠告ありがとうございます♪」

 

翔「そんな緊張することか?」

 

愛「そりゃあそうでしょ?だって、翔君と温泉入るの1番楽しみにしてたのはカナちゃんだったし♪」

 

カナ「あ、あああ愛さん!?それは言わないでと言った筈ですけど!?」

 

愛の言葉に、カナの顔が段々真っ赤になっていく。

 

彩羽「カナさんも激務で大変だって聞きました…スケジュール調整や事務作業に相談まで、何でもやりますよね?」

 

翔「この人はすげぇ人だぜ、姉貴。」

 

カナ「しょ、翔君…♪」

 

翔にお褒めの言葉をいただけて、ご満悦のカナ。

 

愛「そうだ、ワイン風呂に行ってみない?カナちゃんさ、お酒好きでしょ?」

 

カナ「お酒はあまり飲みません!翔君も居るんですし、いつまでも若く居たいですし…」

 

翔「若返りの湯とも呼ばれてるぜ、そこ?」

 

カナ「行きましょう!」ザパッ!!

 

翔「…チョロ。」汗

 

4人はコーヒー風呂から上がると、ワイン風呂へと向かった。ここでは、本物のワインが温泉に入っているのだ。

 

翔「酒風呂か…」

 

彩羽「翔君はまだ未成年だから飲んじゃダメだよ?」

 

翔「飲まねぇよ。」

 

愛「ふぅ、こっちも良いお湯だね〜?」

 

カナ「愛さん、さっきからそれしか言ってないような…?」汗

 

翔「事実なんだから良いだろ…って言いてぇとこだが、他に感想はねぇのか?」

 

愛「ん〜、そうだなぁ……クレオパトラ気分♪」

 

翔「どんな気分だよ…」汗

 

ワイン風呂はクレオパトラやメアリー女王も愛したと言われており、美肌効果も期待されている。

 

彩羽「ねぇ翔君、あたし美人?」

 

翔「口裂け女みてぇな聞き方だな…」

 

彩羽「ひっどい!!ねぇねぇ、どうなの?」

 

翔「あー、びじんびじん…」

 

面倒臭そうに答える翔。そんな彼を見た彩羽は、頬を膨らませる。

 

彩羽「真面目に答えてよー!」

 

翔「俺は至福の一時を大事にしてぇんだ…邪魔だけはすんじゃねぇぞ?」

 

彩羽「だったらあたしも至福の一時を大事にする♪」

 

カナ「ちょっろ〜?そこれなにいひゃいひゃひてるんれすかぁ〜?」

 

翔「…?」

 

何やら様子がおかしいカナ。だが、おかしいのは彼女だけではなく、もう一人……

 

愛「しゃやひゃひゃんじゅるい〜!アラヒもまじぇてぇ〜!」

 

翔「…おい…」汗

 

カナは特殊公務員で愛は元軍人でDolls専属コーチであり医者でもある…どちらもすごい女性なのだが、酒には弱いのだ。

 

翔「風呂の中で酔っ払ってんじゃねぇよ!!」

 

カナ「わらひなら、しょーくんをまんぞくさせてあげられるのにぃ〜!うわぁぁああああん!!しょーくんがかまってくれないぃぃいいいいい!!」

 

翔「バカ、公共の場で泣くな!!」

 

酔が回っているのか、何故か急に泣き出すカナ。

 

カナ「しょーくん、ひっく…いつもいつもらりもいわじゅにれて行ってしまって、わらひがろれらけひんはいひてりゅか…クスンッ……」

 

愛「ね〜ね〜しょ〜く〜ん♪アラヒにも構ってよぉ〜♪」

 

翔(くそっ…こんな時にこれかよ、イライラするぜ……)

 

次第に周りからの視線が痛くなって来るのを感じた翔は、ここを離れることにした。

 

翔「姉貴、南田さんを頼む。水風呂にでもブチ込むぞ。」

 

彩羽「う、うん…分かった…!!」

 

翔は愛を、彩羽はカナを水風呂へと連れて行く。そして、本当に水風呂にブチ込まれ…酔が覚めたのは言うまでもなかった。

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