〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
シオリが過去に囚われていることを知った翔は、どのように対応しようか考えていた。
翔(そっとしておくって訳にもいかねぇな…今度はしっかり向き合わねぇと……)
しかし、どれだけ考えても方法が思い浮かばない。
翔「…くそ、どうすりゃ良いんだ…」
その時…医務室の戸がノックされる。
コンコンッ!
翔「…入れ。」
入室許可を出すと、医務室に愛が入って来た。
愛「翔君、退屈してない?」
翔「…は?」
愛「いやぁ、ここにいるのが退屈って前に言ってたじゃん?」
翔「…そうだな。」
愛「だったらさ、出掛けようよ♪ね、気晴らしにさ!!」
翔「そんな悠長なことしてても良いのかよ?」
愛「大丈夫大丈夫!医者であるアタシが居るんだから♪」
翔「何の理由にもなってねぇ……」汗
入って来て早々…出掛けることを提案する愛に、困惑する翔。
翔「どこ行くんだよ?」
愛「おっ、来てくれるの!?」
翔「どこへ行くんだって聞いてんだよ…さっさと答えろ。」
愛「どこって、そりゃあ勿論…温泉だよ!翔君ってさ、お風呂大好きじゃん?だからさ、ピッタリだな〜って思って♪箱根の有名なユネッサンってとこ♪」
箱根小涌園ユネッサンとは…宿泊施設までも併設されている温泉・スパ施設であり、多くの人に愛されている場所だ。
翔「俺はこんな足だ…呑気に楽しめるかよ。」
愛「それについては心配しないで?アタシね、そこの最高責任者と知り合いなの♪だから、色々配慮してくれるって!!」
翔「おいおいマジかよ…」
愛は人脈が広く、色んな場所に知り合いがいるのだ。
翔「てか、俺とアンタ以外に誰がいんだよ?」
愛「先に車乗って待ってるよ?」
翔「ふざけんなよ、すぐに準備しねぇといけねぇじゃねぇか…」
翔はすぐに準備を済ませ、愛と一緒に車へと向かった。
カナ「おはようございます、翔君♪」
彩羽「翔君、おっはー♪」
車に乗っていたのは、カナと彩羽だった。この日、カナは珍しく休みを取れたので…愛の提案に真っ先に乗ったのだ。彩羽は弟の翔との思い出を作ろうと張り切っている。
斑目「翔、Dollsらのケアは任せろ。ゆっくりしてくると良い。」
翔「わざわざ見送りか、ご苦労なこった。」
愛の運転で、4人を乗せた車は…箱根のユネッサンへと向かった。
数時間後、4人を乗せた車は箱根小涌園ユネッサンに到着した。彼らを出迎えたのは、ユネッサンの最高責任者だった。
愛「ありがとう湯本さん!」
湯本「いえいえ恐れ入ります…折角愛さんが来てくれると言うので、我々も精一杯おもてなしさせていただきます!それに、愛さんお元気そうで何より…5年ぶりでございましょうかな?」
最高責任者の名前は、湯本という男性。一同はユネッサンに入ると、何故かシャトルバスで宿に向かい、早速チェックインを…
翔(どーりで荷物が多いと思ったら…こういうことか……)
ホテルマンが部屋に荷物を運び、4人は宿泊する部屋へたどり着く。彼らが宿泊するのは…温泉旅館「箱根小涌園 天悠」という高級旅館だ。
カナ「わぁ〜!広くて素敵な部屋ですね♪」
愛「でしょでしょ〜♪ここ、すっごくオススメなの♪」
予約した部屋は、特別客室でかなり広い部屋だ。
翔「…へぇ。」
彩羽「広いね〜、開放的♪」
愛「ねぇ、早速ユネッサンに行こうよ♪アタシさ、もう下に水着着てきちゃったしさ♪」
翔「急だな…」
カナ「行きましょう翔君♪はぁ、翔君と一緒に温泉入るの…いつぶりでしょう♪」
翔「浮かれ過ぎだ…準備すっから外で待ってろ。」
翔以外のメンバーは、既に水着を着用していたため…部屋の外で翔の準備を待つことに。
翔「待たせたな。」
準備が終わった翔と共に、いざ…温泉・スパへ向かうカナと愛と彩羽。
湯本「翔様、こちらの杖は温泉及びスパでお使いくださいませ!」
翔「アンタは…責任者か、へぇ…面白いモン作ったじゃねぇか。」
湯本から渡されたのは、水辺で滑りにくい滑り止め付きの杖だった。危なくないよう、ゴム製で作られおり…形も翔が普段使っている杖と同じである。
翔「わざわざありがとうな。」
湯本「とんでもございません、お客様には最後まで楽しんでいただきたいので。」
湯本はそう言うと、立ち去っていった。翔は紺色のパーカーを羽織り、下には『デザイアグランプリ』のロゴがプリントされたサーフパンツを身に着けている。
「翔く〜ん♪」
翔「…?」
そこに、カナと愛と彩羽が翔と合流し、水着姿を披露した。カナは白と空色の縞模様のビキニで、愛は黒1色の大人っぽさ漂うビキニ、彩羽はビーチバレーで着るユニフォームのようなビキニだ。
カナ「翔君…そ、その……どう、でしょうか?///」
愛「どう、アタシ達の水着?」
彩羽「似合ってると良いんだけど…」
カナは恥ずかしそうに、愛と彩羽はモデルのようなポージングをしながら翔に言う。
翔「…行くぞ。」
愛「え〜!?コメント無いの!?」
彼女らをスルーし、温泉へと向かう翔。そんな彼に着いていく3人。神々のエーゲ海を通り、やって来たのは……
翔「眠気覚ましには丁度良さそうだ…」
愛「コーヒー風呂だね。」
本格コーヒー風呂で、疲労回復・リラックス・美肌などの効果が期待できると言われている。4人はさっそく、コーヒー風呂へと入った。
愛「良いお湯だね〜♪」
カナ「はぁ〜…癒やされます♪」
彩羽「いい香りもするし、最高♪」
女性陣が絶賛する中、翔は目を閉じて肩まで浸かっている。
翔(こりゃあ良い…湯加減も丁度良いし、コーヒーならではの心地良い香りが身体のみならず心まで癒やしてくれる。)
風呂好きの翔も、コーヒー風呂を絶賛しているようだ。
愛「翔君が良い顔してるってことは、ここは当たりの湯だね♪」
翔「当たりの湯って何だよ…大勢の客が来んだから、当たりだらけだろ。」
カナ「フフッ、まさに翔君の言う通りですね♪」
彩羽「ですね♪」
愛もカナも彩羽も、翔のことが大好きである。彼を立てるのは当たり前…それに……
彩羽「♪」ピトッ…
翔「…何だよ姉貴。」
彩羽「ん〜ん、くっつきたいだけ♪」
翔「…そうか。」
隙あらば、彼にスキンシップを繰り出す。
愛「ほらほらカナちゃん、翔の左隣空いてるよ?」
カナ「えっ!?わ、私ですか…もっと若い娘が来たほうが……」
愛「何言ってんの!カナちゃんだって若いんだから〜!」
愛に背中を押され、カナは翔に尋ねる。
カナ「翔君…と、隣いいですか?」
翔「好きにしろ。」
翔がそう言うと、カナも翔と肩をくっつけた。
翔「…南田さんよぉ。」
カナ「ッ!?は、はい…!」
翔「俺の左腕に着いてる腕輪に気ィ付けろ?ま、外れはしねぇが…当たると地味にいてぇからな。」
翔の左腕には、アマゾンズレジスターが着いている。目のような発光体は、問題無しを表す青い光を放っている。ギギの腕輪に似た形状をしており、嘴のような部分は当たると地味に痛いそうだ。
カナ「あぁ、成る程…ご忠告ありがとうございます♪」
翔「そんな緊張することか?」
愛「そりゃあそうでしょ?だって、翔君と温泉入るの1番楽しみにしてたのはカナちゃんだったし♪」
カナ「あ、あああ愛さん!?それは言わないでと言った筈ですけど!?」
愛の言葉に、カナの顔が段々真っ赤になっていく。
彩羽「カナさんも激務で大変だって聞きました…スケジュール調整や事務作業に相談まで、何でもやりますよね?」
翔「この人はすげぇ人だぜ、姉貴。」
カナ「しょ、翔君…♪」
翔にお褒めの言葉をいただけて、ご満悦のカナ。
愛「そうだ、ワイン風呂に行ってみない?カナちゃんさ、お酒好きでしょ?」
カナ「お酒はあまり飲みません!翔君も居るんですし、いつまでも若く居たいですし…」
翔「若返りの湯とも呼ばれてるぜ、そこ?」
カナ「行きましょう!」ザパッ!!
翔「…チョロ。」汗
4人はコーヒー風呂から上がると、ワイン風呂へと向かった。ここでは、本物のワインが温泉に入っているのだ。
翔「酒風呂か…」
彩羽「翔君はまだ未成年だから飲んじゃダメだよ?」
翔「飲まねぇよ。」
愛「ふぅ、こっちも良いお湯だね〜?」
カナ「愛さん、さっきからそれしか言ってないような…?」汗
翔「事実なんだから良いだろ…って言いてぇとこだが、他に感想はねぇのか?」
愛「ん〜、そうだなぁ……クレオパトラ気分♪」
翔「どんな気分だよ…」汗
ワイン風呂はクレオパトラやメアリー女王も愛したと言われており、美肌効果も期待されている。
彩羽「ねぇ翔君、あたし美人?」
翔「口裂け女みてぇな聞き方だな…」
彩羽「ひっどい!!ねぇねぇ、どうなの?」
翔「あー、びじんびじん…」
面倒臭そうに答える翔。そんな彼を見た彩羽は、頬を膨らませる。
彩羽「真面目に答えてよー!」
翔「俺は至福の一時を大事にしてぇんだ…邪魔だけはすんじゃねぇぞ?」
彩羽「だったらあたしも至福の一時を大事にする♪」
カナ「ちょっろ〜?そこれなにいひゃいひゃひてるんれすかぁ〜?」
翔「…?」
何やら様子がおかしいカナ。だが、おかしいのは彼女だけではなく、もう一人……
愛「しゃやひゃひゃんじゅるい〜!アラヒもまじぇてぇ〜!」
翔「…おい…」汗
カナは特殊公務員で愛は元軍人でDolls専属コーチであり医者でもある…どちらもすごい女性なのだが、酒には弱いのだ。
翔「風呂の中で酔っ払ってんじゃねぇよ!!」
カナ「わらひなら、しょーくんをまんぞくさせてあげられるのにぃ〜!うわぁぁああああん!!しょーくんがかまってくれないぃぃいいいいい!!」
翔「バカ、公共の場で泣くな!!」
酔が回っているのか、何故か急に泣き出すカナ。
カナ「しょーくん、ひっく…いつもいつもらりもいわじゅにれて行ってしまって、わらひがろれらけひんはいひてりゅか…クスンッ……」
愛「ね〜ね〜しょ〜く〜ん♪アラヒにも構ってよぉ〜♪」
翔(くそっ…こんな時にこれかよ、イライラするぜ……)
次第に周りからの視線が痛くなって来るのを感じた翔は、ここを離れることにした。
翔「姉貴、南田さんを頼む。水風呂にでもブチ込むぞ。」
彩羽「う、うん…分かった…!!」
翔は愛を、彩羽はカナを水風呂へと連れて行く。そして、本当に水風呂にブチ込まれ…酔が覚めたのは言うまでもなかった。