〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
箱根小涌園・ユネッサンにて、大好きな温泉を堪能する翔。そんな彼と共に楽しむカナと愛と彩羽、そして楓。
その日の夕方、レストランにて夕食を済ませ…部屋でくつろぐメンバー達。
翔「楓、ドールハウスに来たくなったらいつでも言えよ?」
楓「ウフフッ、まだまだよ。もしかして、私がストライカー達に襲われないかって心配してくれているの?」
翔「バカ言え、お前は貴重な人材なんだ。早めに確保しておきてぇんだよ。」
ドールハウスに引き入れたい翔と、まだまだドールハウスに行くのは早いと言う楓。
翔(コイツがスパイと知られた今…奴らは妖魔を使ってコイツを襲いに来る可能性が高い……その前に、こっち側に迎えてやりてぇんだが…)
楓(奴らに見破られた今、妖魔が襲撃してくるかも知れないわね…ドールハウスに来てしまえば、隊長さんだけではなく…他の人達にまで迷惑がかかってしまうわ……)
楓がスパイだとストライカー達に知られたことで、妖魔が襲撃してくるかもしれない……2人の考えは一致していた。それ故、お互いを思い…考えが綺麗に別れてもいた。
翔「ちなみにだが、ドールハウスは奴らから何度も襲撃されている。それと同時に、奴らを何度も返り討ちにしたがな。」
楓「私はまだ戦える…奴らの戦いの様子や弱点は熟知しているわ。」
互いに微かに笑い、口々に思いをぶつけ合う翔と楓。
カナ「お、お互い一歩も譲り合っていません…」汗
愛「翔君…どうにかして楓ちゃんをドールハウスの仲間にしたいんだね。」汗
彩羽「むぅ〜…アタシもあんな感じに引き入れて欲しかったなぁ……」ムスッ…
翔と楓のやり取りを困惑しながら見るカナと愛…そして、何故かヤキモチを妬く彩羽。
翔「所長である斑目さんは懐が広い…お前だって簡単に受け入れてもらえるだろう。何せ、俺がいるからなぁ……」
楓「まだ早いですよ、隊長さん。」
翔「早ぇも遅ぇもねぇんだよ…ドールハウスにゃ、温泉だってあるぜ?夜空を見ながら浸かれる寝ころび湯が自慢だ。ドールハウスの関係者になれば、永久に入り放題だぜ?風呂上がりの牛乳やコーヒー牛乳、フルーツ牛乳だってある。」
楓「素晴らしい場所ね。でも、私には贅沢過ぎるわ。」
中々落ちない楓に、次第にイライラしてくる翔。込み上げて来る怒りを抑えながら、低い声で楓に語り掛ける。
翔「楓…いい加減落ちろ。奴らは何をしでかすか分からねぇ連中だ…こちとら手遅れになる前に、お前の安全を確保してぇんだよ。」
楓「隊長さんのお誘いは有り難いのだけれど…貴方に迷惑掛ける訳にはいかないの。」
翔「人ってのは誰かに迷惑をかけねぇと生きていけねぇんだ。気にすることはねぇ。」
楓「それはそうね…でも、まだまだよ?」
翔「…仕方ねぇ、今日は勘弁してやる。来たくなったら、いつでも連絡しろよな?」
しばらくやり取りをしたが、結局翔は楓を引き抜くことができなかった。
愛「勝者、山吹 楓ちゃん!なんてね♪」
翔「バカ、俺は負けてねぇ…俺がコイツを諦めねぇ限り、俺はまだ負けてねぇんだよ。」
負けず嫌いな翔は、愛に反論した。
カナ(翔君って、結構俺様気質なんですね…まぁ、そこも良いところなんですけど……)
彩羽(何だろう…なんか、こう……ドM心を擽られるような……あぁ、翔君に調教されたい!!大好きな弟からの調教…はぁ…はぁ……ぐへ、ぐへ…グヘヘヘへへへへ……)
何やら1名、変なのが居るが…まぁ、良いでしょう。んっんん……
ストライカー達による呪縛から開放されたのか……あるいは、頼れる者が誰もおらず、何もかも自分1人で判断しなければならない状況に居たからなのか……翔は俺様気質な所がある。
愛「おおぅ…かなり俺様だねぇ。」
翔「事実を言ったまでだ。何だ、文句でもあんのか?」
愛「ううん、無いよ。そういうズバッと判断する力に、アタシ達は何度も助けられたなぁって思ったの♪」
翔「…ほざけ。」
愛の言葉を聞き、そっぽを向く翔。ストライカーのスパイである楓と友好関係を築くことができたカナと愛と彩羽。翔からの紹介もあり、楓はすぐに信頼されたのだった。
その頃…箱根のとある山道にて……
昇「まさか…楓の奴……最初から……?」
栞「騙されていたってことになるわね……」
あおい「くそっ…もう少し早く見抜けていたら…!!」
楓が最初から自分達の味方では無かった事…楓の手によって、自分達の様々な情報が漏洩されていた事を今更ながら知り…苦虫を噛み潰したような顔をしている愚者達の姿があった。
昇「…とりあえず、戻ろう…僕らの拠点に……」
あおい「……。」
栞「……。」
昇は妖魔を呼び出し、次元の裂け目を出すと…その中に入って行った。あおいと栞も、彼の後を追って裂け目の中へと入って行き…拠点である富士の樹海へと戻って行った。彼らが入り終えると、次元の裂け目は…まるで最初からその場に無かったかのように、静かに消えていくのであった。