〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
5月12日の夜…
カツンッ…コツンッ……カツンッ…コツンッ……
ドールハウスのほとんどのメンバーが寝静まった頃…ドールハウスの庭に、1つの人影が現れた。それは、庭にある墓石の前で立ち止まる。
翔「…よぉ、来たぜ?」
それは、Dollsの支えとなっている青年…『青空 翔』だった。箱根で買ってきたお土産と…ホットミルクや入りマグカップ、マシュマロやココアの元を持って、彼は元DollsチームAのメンバー『チヒロ』が眠る墓にやって来たのだ。その理由は……
翔「…てか、居るんだろ?隠れてねぇで出て来いよ。」
翔がそう言うと、何やら墓の前に青白い光が現れた。それは、段々人の姿になっていくと、翔の目の前に存在を現した。
チヒロ『久しぶりだね、翔さん♪』
翔「…あぁ。」
既に命を落としているチヒロだが、その霊体は翔にだけ見える。
チヒロ『もしかして、私の誕生日…覚えててくれたの?』
翔「…さぁな。」
翔はそう言いつつ、マグカップにホットミルクを注ぎ、そこにマシュマロを入れた。チヒロはマシュマロ入りココアが大好きなのだ。それを知った翔は、彼女の為にマシュマロ入りココアを作っている。
翔「正直…お前の誕生日は知らなかった。まさか、今日だったとはな……」
チヒロ『あー、そういえば…そんな話、してなかったよね?』
翔「そうだな。ほら、できたぞ?熱いから気を付けろ。」
出来上がったマシュマロ入りココアをチヒロに渡す翔。
チヒロ『わーい!ありがとう翔さん♪』
翔からマシュマロ入りココアを嬉しそうに受け取るチヒロ。
チヒロ『あ、そうだ。翔さん、足怪我してるでしょ?ここ座って良いよ?』
チヒロは自身の墓石を指差しながら言う。
翔「馬鹿、そんな罰当たりなこと出来るか…」
翔はそう言うと、地面にゆっくりと座った。
翔「いつつ……」
多少の痛みが走ったが、上手く座ることができた。チヒロも翔の隣に座る。月明かりが2人を照らす頃、翔はチヒロに祝の言葉を言う。
翔「…祝え、皐月の立夏…1つの星に誕生した新たな命……その名は『チヒロ』…今、生誕を迎えた瞬間だ……」
表情を崩すことなく、淡々とチヒロ誕生を祝う翔。
チヒロ『ねーねー、それって仮面ライダージオウのウォズ風に言ってくれた?』
翔「どうだかな。」
チヒロ『すっごく嬉しいよ、ありがとう翔さん♪』
笑顔を見せるチヒロに対し、翔はずっと無表情のままだ。マシュマロ入りココアを飲み、箱根の土産をつまみつつ、話を始めるチヒロと翔。
チヒロ『
翔「…あぁ。」
チヒロ『翔さんが来てくれたから、斑目さんもカナさんも活き活きしてるね♪』
翔「…あぁ。」
チヒロ『勿論、Dollsの皆も…新しい娘も、すっかり馴染んでるみたいだし。安心したよ♪』
翔「…あぁ。」
チヒロ『元ストライカーの皆もそうだけど…新しい仲間がたっくさん来てくれたから、私も嬉しいよ♪』
翔「…あぁ。」
チヒロ『むぅ…翔さん、さっきから「あぁ。」しか言ってないよ?』
翔「…生憎、雑談は得意じゃねぇんだよ。だが、お前が安心している事は分かった。」
チヒロ『えへへっ、分かってくれてるならそれで良いや。』
夜空に見える星空、青白く優しい光で照らしてくる満月を見ながら語り合うチヒロと翔。
翔「チヒロ、お前も見に来るのか?港区ライブ…」
チヒロ『うん、皆のライブには必ず行くんだ♪個人的にぃ、深雪先生と蜜璃先生のライブが1番楽しみかも♪』
翔「…そうか。」
チヒロ『翔さんは歌わないの?』
翔「俺は歌わねぇ。」
チヒロ『じゃあ仮面ライダーに……あ、ごめん…』
翔「謝ってんじゃねぇよ、お前はなんも悪くねぇんだから。」
チヒロ『でも…翔さんが頑張って治療に励んでるのに、言っていい事といけないことの区別ができてなかったし……』
翔「それに気付けたならそれで良いじゃねぇか。ま、これでもライダーに変身できなくはねぇんだぜ?」
左足を複雑骨折し、行動に著しい支障が出た翔。だが、杖を使うことである程度は行動できるようになった。仮面ライダーには、短時間なら変身は可能に成る程、体力は回復しつつある。
翔「ここの居心地は、決して悪い訳じゃねぇ…ただな……」
翔はチヒロに、斑目に対する思いを話し始める。
翔「斑目さん…あの人のこと、段々信用できなくなっちまってるんだよ……何か隠してる、根拠は分からねぇが…そんな感じがするんだ。」
チヒロ『そうなんだ。まぁ、斑目さん…隠し事が多い人だからなぁ。』
翔「お前の時もそうだったのかよ…」
チヒロの言葉に、思わずジト目になる翔。
チヒロ『でもね、斑目さんは常に私達の事を考えてくれてるんだ。だから、言えない事を簡単に言わないんだよ?』
翔「それじゃあ俺は納得行かねぇな…物事ははっきりしてねぇと、気に食わねぇんだよ。」
そう言うと、残りのマシュマロ入りココアを一息に飲み干す翔。
翔「っあ〜あ…ったく、やんなっちまうな……おっと、今この言葉を発するべきでは無かったな…失敬……」
チヒロ『ううん、平気。愛先生も言ってたでしょ?辛いときには辛いって、痛いときには痛いって言ってよって。』
翔「そんな事もあったな……」
シレーヌとの戦いでは、いつものDollsが見れなくなってしまうと思い…寂しくなった翔は、戦いに身を投じることでそれを紛らわせていた。それを愛に見抜かれ、初めて叱られたのだった。それが引き金となり、バラバラになってしまったDollsを再び繋げることに成功した。しかし…ずっと無理をし続けた為、身体中が悲鳴をあげており…そこに、ストライカー達によって大怪我を負わされた…ボロボロになりながらも、最後のジャドウを撃破に成功し…そして、力尽きた……現在は治療に専念し、少しずつ回復している。ただ、左足が複雑骨折しているため…完治するには多くの時間が必要である。それでも、落ち着かない彼は…ドールハウスを抜け出しては、斑目とカナを困らせてる事も……戦闘に参加しても、思うように動けないことを漸く理解し……あくまでも、Dollsを補助するという形で戦うことにしたのだ。
チヒロ『翔さんが来てくれたから、ここの雰囲気がすっごく良くなった。それに、新しい人達の成長が見られるのも楽しみになったなぁ♪』
翔「……。」
チヒロ『翔さんの怪我が治ったら、また一緒に仮面ライダーに変身しようよ♪』
翔「おいおい……」汗
冗談はよせと言わんばかりに、困惑する翔。
チヒロ『後…翔さん、実のお姉さんに逢えて良かったね♪』
翔「良くはねぇな…姉貴の野郎、最近しつけぇんだよ……」
チヒロ『えぇ〜?でも、良いお姉さんじゃん♪翔さんのことしっかり考えてくれてるし、何より強いじゃん♪』
翔「それでも、しつけぇ奴は嫌いだ…」
やがて、満月は夜空の1番高い所に到達寸前の位置になる。もうすぐ、日付が変わる。その時…チヒロの身体が光を放ち始める。
チヒロ『どうやら、ここまでみたいだね。』
翔「…そうか。」
チヒロの姿が、段々見えなくなっていく。そんな彼女に目を向け、見送る翔。
チヒロ『翔さん、またお話しようね♪楽しかったよ、またね♪』
やがて、チヒロの姿が消えて…光が夜空へと上がっていった。最後までそれを見届けた翔は、ゆっくりと地面から立ち上がる。
翔「…次はいつ、逢えるんだろうな。そん時も、お前の好物のマシュマロココア、持って来てやるよ。じゃあな、チヒロ。」
片付けを済ませた翔は、杖を着きながら医務室へと戻って行き…チヒロの墓から去って行った。
N『ずっるい、ずっるい、ずっるぃわぁ!!何なの、あの小娘は!?』
V『N、落ち着いて…』
N『落ち着いてなんて居られないわ!!翔君に気安く話し掛けるなんて言語道断!!アタシが鍛えてあげるわ…!!』
チヒロ『それって、私のことかな?オカマ(?)のお兄さん。』
N『そうそうアタシのこtオカマ!?言ったわね、あんたレディに対して最大の侮辱を!!んむっきぃぃいいいいいい!!』
V『貴女…Nにオカマとかオネェって言葉は禁句……』汗
チヒロ『そうなんだ…なんか、ごめんね?』汗
N『んぬぅぅうううう!!言ったわねぇぇええええ!?』