〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百十七話 偶像

やがて、チームリーダー3人のMCも終わった頃……

 

シオリ「あら、みなさん?」

 

ステージ裏にリーダー達が戻って来て、Dollsは全員揃った。

 

シオリ「お疲れ様です。これで全員、揃いましたね。」

 

戻って来たメンバー達を笑顔で迎えるいつものシオリ。

 

ヤマダ「激しいバトルでショージキ、ヘトヘトっすけど……」

 

ユキ「みんなで歌うの久しぶりだから……わたし、楽しみです。それに……」

 

ユキは翔の方を見ると、頬を染めて微笑んだ。

 

 

ユキ「翔さんが、近くにいます…今度は、見てくれます……♪」

 

 

翔「あぁ、しっかり目に焼き付けておく。」

 

翔の言葉を聞き、微笑んでみせるDolls。

 

ヒヨ「よーし、みんなで!とっつげきだーー!!」

 

ステージへ向かっていくチームBの3人とチームC の3人。サクラとミサキは、シオリの元に向かう。

 

ミサキ「……シオリ。」

 

シオリ「…はい?」

 

ミサキ「……。」

 

ミサキは少し黙り込むと、こう言った。

 

 

ミサキ「……久しぶりのライブよ。一緒に楽しみましょう。」

 

 

そう伝えるミサキの表情は、どこか寂しげであった。

 

シオリ「……あら。」

 

普段のミサキからは、中々出て来ないこの言葉。シオリは少し驚いた後…

 

シオリ「……ふふ……うふふ……!」

 

思わず声を出して笑った。

 

ミサキ「な、なにがおかしいの!?」

 

シオリ「だって…すごく緊張してるから、何を言うのだろうと思ったら……ふふふ……ねえ、サクラさん?」

 

サクラ「ええ!?」

 

急に話を振られ、ビックリしてしまうサクラ。

 

サクラ「いや、私は素敵だなって思いましたよ。こう、グッと勇気を振り絞った感じが…すっごくカワイイです…!」

 

次第に落ち着き、自分の意見を伝えてはミサキをフォローするサクラ。だが、ミサキはサクラにジト目を向けている。

 

ミサキ「せっかく、気を遣ったのに…もういいわ!二度と言わないから!!」

 

シオリ「ミサキさん、ありがとう。」

 

そっぽを向くミサキに、お礼を言うシオリ。

 

ミサキ「……ふん。」

 

サクラ「じゃあ、行きましょう!みんなでーーーー!!」

 

そして、チームAの3人もステージへと向かって行った。それを見届けた翔は、目を閉じる。

 

翔「……。」

 

全神経を集中させ、敵の存在を探し始めたのだ。

 

翔(この近辺にアマゾンや妖魔、化け物共は居ないようだ…沖縄は相変わらずアマゾンだらけだが、着実に数は減ってきている。)

 

アマゾン等の探知能力が高い翔は、その強みを活かし、敵の存在を把握する。沖縄では大助がアマゾン狩りをしており、アマゾンの数も残り少なくなって来ていることが分かった。だが、この力を使うと…アマゾン化の進行を速めてしまうというデメリットがある。

 

翔「…さてと、俺もそろそろ行くか。」

 

その後、翔は杖を着きながら専用席へと向かって行った。

 

 

 

 

翔が席に座ると、丁度良くライブが始まった。翔の右隣には、姉の彩羽が座っており…左隣には蜜璃が座っている。一海達は一般席に座って、Dollsのライブを見ている。

 

彩羽(あ…レイナちゃんが、さり気なくナナミちゃんの前に。)

 

翔(おっ、アヤのヤツ…パフォーマンスの如く、ヤマダの衣装を直したか……シオリもサクラの息切れをフォロー……アイツら、色んな不安があるってのにそれを押し込んで…あんなに笑顔を振り撒いてやがる。

 

 

誰も知らねぇ…Dollsがこの笑顔の裏側で……

 

辛く、過酷な戦いに挑んでいることを……

 

 

Dollsのライブを見守る翔は、複雑な気持ちでいる。表情には出ていないが、心の中はモヤモヤしている。

 

翔「……。」

 

シオリ、お前は……

 

自分の事を穢れていると言ったな……

 

少なくとも、俺には…そう見えねぇよ……

 

ステージで歌って踊り、笑顔を振り撒くシオリ。そんな彼女を見て、翔の複雑な気持ちは…漸く、表情に出てしまった。

 

 

 

 

ライブ終了後……

 

ルリ「みんな、すごかったよぉ〜〜!!」

 

一海「嗚呼、嗚呼…本当に、すごがっだぜぇ!!」オイオイオイオイ

 

友香「一海さん、ハンカチ使ってくださいね?」汗

 

ライブを終えたDollsをべた褒めするルリと、感動して大泣きしている一海…そんな一海にハンカチを差し出す友香や困惑する紫と諒芽の姿があった。

 

シオリ「あら、ルリちゃん!来てくれたんですね♪」

 

ルリと会ったのはいつぶりだろうか…久しぶりの対面である。

 

サクラ「ふふっ、そんな飛び跳ねちゃ危ないよ?」

 

ルリ「だってだって、新曲すっごくかっこよかった!シオリンがくるんって回るたびにね!スカートがお花みたいになってね!!」

 

分かりやすい解説をするルリの元に向かうシオリ。そして、ルリを抱えてくるくると回る。

 

シオリ「うふふっ。ほら、ルリちゃんもくるくるくる〜♪」

 

ルリ「キャ〜〜!!♪」

 

楽しそうにはしゃぐルリ。そんな彼女に癒やされるメンバー達。

 

ルリ「あっ、お兄ちゃん!ケガしてるの…?」

 

翔「…まぁな。」

 

ルリ「足、だいじょうぶ?」

 

翔「大したことはねぇ、だから心配すんな?」

 

ケガをしている翔を見て心配するルリに、優しく微笑む翔。

 

アヤ「ん……あれ?ルリちゃん、ここまでひとりで来たの?」

 

ルリ「ううん!このあとすぐ検査があるから……スタッフさんと来たんだけど、いなくなっちゃって。」

 

どうやらルリは、スタッフと共にライブ会場に来たのだが……

 

レイナ「いなく……なった?」

 

こんな小さな子を残していなくなるのは不自然だ。しかし、この後のルリの言葉に…メンバー達は凍り付く。

 

ルリ「だけど、こっちの“お姉ちゃん”がつれてきてくれたんだよ!」

 

『Dollsのお友達だから』って……

 

シオリ「お友達…?」

 

翔(まさか…!!)

 

すかさず翔は、敵の探知を始める。

 

翔「…!!」

翔(この気配は…アイツか!!)

 

ルリ「うん!『イモウトがオセワになってる』んだって!!だよね、お姉ちゃん?」

 

そして、ルリの背後から…そのお姉ちゃんが姿を見せる。

 

アヤ「!!あんた……!」

 

 

 

やぁ、久しぶり、だねぇ?

 

 

 

何と…現れたのは『デウス』だったのだ。

 

デウス「こんな方法でフィールを回収するなんて…ボクには発想できない。素直に驚いたよ。」

 

レイナ「ルリちゃん、こちらへ…!一緒にスタッフのところに行きましょうね?」

 

ルリ「う、うん…?」

 

レイナがルリを連れて行ったタイミングで、デウスに短剣付き光線銃を向ける翔。

 

デウス「おや、翔じゃないか。その足、どうしたんだい?」

 

翔「そんな事はどうだって良い…てめぇ、何しにここへ来た?」

 

デウス「何、ボクも彼女達のライブを見に来ただけだよ。そうそう…さっきのって、偶像崇拝ってやつだろ?仮にもその心臓で生きながらえておいて、(あが)(たてまつ)られる側とはね…」

 

ミサキ「何しに来たの…?」

 

デウス「ライブを見に来た…それに、君たちと目的は一緒さ。あの肉の迷宮をフィールで炙り、彼女の元へ案内させる……傷ついたピグマリオンを利用するなんて、意外と頭が回るようになったじゃないか。」

 

翔「言ってくれるな…彼女っつーのは、誰のことだ?」

 

光線銃を向けたまま、デウスに問い掛ける翔。 

 

アヤ「相変わらずいちいち遠回しなヤツね!わかるように言いなさいよ!!」

 

デウス「……おや?」

 

デウスは首を大げさに傾げると、ゆっくりと語り始める。

 

デウス「違ったのか……眠れる彼女の肉体は、君たちにとっても切り札かと思ったが…まあ、その程度でも仕方ない。所詮は…

 

 

『なりそこない』

 

 

…だ。」

 

シオリ「黙りなさい……」

 

デウス「あははははっ、良い憤怒じゃないか!何があったんだい?ひょっとして……」

 

怒りを露わにするシオリを嘲笑うように言うデウス。

 

デウス「その壊れた心の檻と……関係が?」

 

シオリ「…!」

 

次の瞬間…翔が光線銃から光線を放った。それはデウスの頬を掠り、後ろの壁で爆発した。

 

翔「それ以上喋ったら、どうなるか分かってるよな?」

 

低く、ドスの効いた声を出す翔。

 

デウス「へぇ…面白いね。そんな状態で君たち…まともに能力(チカラ)を振るえるのかい?」

 

デウスがそう言った次の瞬間、どこからか地響きのような轟音が聞こえてきた。

 

ナナミ「なっ……何事です?まさか…!」

 

PPPーー

 

カナ『み、皆さん…!!応答できますか?こちら緊急事態でーー』

 

翔「南田さん、関係者エリアにデウスが乱入しやがった!!」

 

カナ『!!どうりで……ライブ会場近くの公園で、多数の適性万能出現…ゴーレムと思われます!』

 

翔「心配要らねぇ、打つ手はある。」

 

翔は別の通信機を取り出すと……

 

翔「各隊、会場付近の公園に現れたゴーレムを殲滅しろ。」

 

元ストライカー達に指令を送った。通信機からは『了解!』と聞こえてきた。

 

カナ『害特の人数ではおそらくフォローしきれません!』

 

翔「元ストライカー達を送った、そこは問題ねぇよ。」

 

カナ『しかし、会場周辺にもゴーレムの反応が…みなさんの力が必要です!!』

 

ゴーレムは会場付近にも姿を現したようだ。

 

アヤ「!!まだライブ帰りのファンのみんなが…!」

 

カナ『害特には一般人の避難に注力するよう通達!皆さんの到着には間に合わせます!!』

 

慌て始めるメンバー達を見て、狂ったように笑うデウス。

 

 

デウス「あははははっ!なんでさ?見てもらえばいいじゃないか!!」

 

 

翔「…黙れ。」

 

デウス「……そうやって、感情をむさぼって生きながらえているんだろ…?『なりそこない』らしい、卑しい命の繋ぎ方じゃないか…!」

 

シオリ「……!貴女に何が…!」

 

翔「黙れぇ!!」バリィッ!!

 

翔は怒鳴り声と共にデウスに発砲した。今、彼女を殺してしまえば…有益な情報を入手するのは困難になる。そう考えると、簡単には殺すことはできない。

 

デウス「おっと…ふふっ、わかってないのは君らさ。奇跡をなんだと思っているんだ。君らにはやはり、救いのない結末がふさわしい…!!」

 

すると、デウスの目が怪しく光り始める。

 

デウス「さぁ、踊れ!怯えを音調に、憤怒を音階に!!」

 

そして、彼女達の前から一瞬にして姿を消した。

 

アヤ「くっ…言うだけいってくれちゃって!!」

 

レイナ「翔君…ファンのみんなについては害特を信じましょう?今だけは……」

 

翔「ちっ、まぁ良い…目標はゴーレム…行くぞ!!」

 

Dolls達は会場をゴーレムから守るべく、出撃していく。

 

翔「一海!!お前達もやってくれるな!?」

 

一海「ああ、勿論だ!!」

 

紫「喜んで力を貸そう!!」

 

友香「翔さんの友達も私達の友達です!!」

 

諒芽「へへっ、あったりまえだ!!」

 

一海達もライダーシステムを装着すると、現場へと向かった。

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