〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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短いストーリーです。


第三百二十話 夢のような…

まるで、夢のようだった。

 

ドールという器を得て

 

少女たちはアイドルとなった。

 

みんな……少しずつ感情を取り戻して

 

お互い笑いあった、かけがえのない日々ーーーー

 

そして、『あの人』が来た。

 

いいえ、あの人が帰って来た。

 

 

翔君…青空 翔君。

 

 

翔君が帰って来てから、ドールはさらに変わった。

 

感情を豊かに謳いあげていった。

 

本当にーー夢のよう。

 

でも、ずっと胸は苦しかった。

 

だって、私はそこにいる資格がないから。

 

だって、私の手は血に汚れてしまっているから。

 

だから、これは夢。

 

いつか、覚める夢。

 

 

だから、シオリ。

 

悲しむ必要は無いわ。

 

夢から覚める時が、ただ来ただけーーーー

 

目覚めを呼ぶ声が、聞こえただけーーーー

 

 

 

 

シオリ「……ここは。」

 

シオリが目を覚ますと…そこは、純白の壁やカーテン、テーブルや椅子も全て真っ白な空間にいた。ここは、ドールハウスにある『カウンセリングルーム』と呼ばれる場所。

 

斑目「目が覚めたか。」

 

シオリの近くには、斑目がいる。

 

シオリ「私は……そう……Eモードを使ったのね…」

 

斑目「記憶はどうだ…?」

 

シオリ「……ライブ。ライブをするはずでしたよね…?」

 

斑目「……ライブは成功に終わった。」

 

どうやら、港区でライブをしたことを覚えていないようだ。

 

シオリ「…そう、よかった。」

 

斑目「覚えていないのか……?」

 

シオリ「残念です。きっと、素敵なライブだったでしょうから…」

 

シオリは本当に、港区ライブを覚えていなかった。当然、ミサキとのやり取りも…ルリとの微笑ましいやり取りも……彼女は、覚えていなかった。

 

シオリ「あの……ライブの映像をお借りできます?」

 

斑目「何に使う気だ?」

 

シオリ「みんなの前では……覚えていることにしておきたいんです。」

 

少しの沈黙の後……

 

 

斑目「……すぐに手配しよう。」

 

 

斑目はそう言って、カウンセリングルームから出て行った。

 

シオリ「ライブ、楽しかっただろうな……」

 

1人残ったシオリは、目に涙を浮かべ始める。

 

シオリ「う、う……あ、あ、あ、あ……………」

 

彼女の目から流れる涙は、止まることはない。小粒だった雫は、次第に大きくなって行き…床にポタリポタリと落ちていく。

 

 

 

斑目がカウンセリングルームから出てくると…そこには翔の姿があった。

 

翔「……。」

 

斑目「……翔。」

 

翔「…呑気に温泉に浸かっていた自分が、バカみてぇだよ。」

 

翔はそう言い、口角を下げる。

 

翔「シオリの奴…全然大丈夫そうじゃねぇだろ……こんな時に、俺は……」

 

斑目「…翔、自分を責めるな…お前は十分、Dollsと向き合っている…!!」

 

翔「…簡単に言うなよ!!」

 

思わず斑目の胸ぐらを掴む翔。しかし、すぐに手を離し…斑目の前から去って行った。

 

斑目「……。」

斑目(すまない、翔……また君の負担を、大きくしてしまった……)

 

去って行く翔の背中を見て、思わず口角を下げる斑目だった。

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