〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
シオリ「……ここは。」
シオリが目を覚ますと…そこは、純白の壁やカーテン、テーブルや椅子も全て真っ白な空間にいた。ここは、ドールハウスにある『カウンセリングルーム』と呼ばれる場所。
斑目「目が覚めたか。」
シオリの近くには、斑目がいる。
シオリ「私は……そう……Eモードを使ったのね…」
斑目「記憶はどうだ…?」
シオリ「……ライブ。ライブをするはずでしたよね…?」
斑目「……ライブは成功に終わった。」
どうやら、港区でライブをしたことを覚えていないようだ。
シオリ「…そう、よかった。」
斑目「覚えていないのか……?」
シオリ「残念です。きっと、素敵なライブだったでしょうから…」
シオリは本当に、港区ライブを覚えていなかった。当然、ミサキとのやり取りも…ルリとの微笑ましいやり取りも……彼女は、覚えていなかった。
シオリ「あの……ライブの映像をお借りできます?」
斑目「何に使う気だ?」
シオリ「みんなの前では……覚えていることにしておきたいんです。」
少しの沈黙の後……
斑目「……すぐに手配しよう。」
斑目はそう言って、カウンセリングルームから出て行った。
シオリ「ライブ、楽しかっただろうな……」
1人残ったシオリは、目に涙を浮かべ始める。
シオリ「う、う……あ、あ、あ、あ……………」
彼女の目から流れる涙は、止まることはない。小粒だった雫は、次第に大きくなって行き…床にポタリポタリと落ちていく。
斑目がカウンセリングルームから出てくると…そこには翔の姿があった。
翔「……。」
斑目「……翔。」
翔「…呑気に温泉に浸かっていた自分が、バカみてぇだよ。」
翔はそう言い、口角を下げる。
翔「シオリの奴…全然大丈夫そうじゃねぇだろ……こんな時に、俺は……」
斑目「…翔、自分を責めるな…お前は十分、Dollsと向き合っている…!!」
翔「…簡単に言うなよ!!」
思わず斑目の胸ぐらを掴む翔。しかし、すぐに手を離し…斑目の前から去って行った。
斑目「……。」
斑目(すまない、翔……また君の負担を、大きくしてしまった……)
去って行く翔の背中を見て、思わず口角を下げる斑目だった。