〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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深雪&翔の絡みって、あんまり無いような……

そう思ったので、書きました。


第三百二十四話 なりゆきデート

蜜璃とランチをした翔は、医務室にてギリシャ神話の本を読んでいた。すると、医務室の戸がノックされる。

 

コンコンッ…

 

翔「…入れ。」

 

入室許可を出すと、医務室の戸が開き…

 

深雪「失礼します。」

 

ドールハウス専属医の1人『胡蝶 深雪』がやって来た。蜜璃と共に1DAYアイドルデビューをしたことで一気に知名度が広がった。

 

深雪「翔君、単刀直入に言います。」

 

翔「…何だ?」

 

深雪「私と一緒に、デートしましょう♪」

 

ウキウキした様子で、深雪は翔をデートに誘った。

 

翔「人喰いのバケモンである俺とデートだと…あんたも物好きだなぁ?」

 

深雪「あらあら、また自虐ですか?私にとって翔君は、ヒーローです♪化け物ではありません。」

 

翔「事実を述べただけだ。後、俺をヒーローと呼ぶのはやめてくれ。」

 

深雪「うーん…では、『英雄』はどうでしょう?」

 

翔「一緒じゃねぇか……」

 

翔はベッドから立ち上がり、杖を持つ。

 

翔「…んで、行くんだろ?ならさっさと準備しろよ。」

 

深雪「フフッ、もうできていますよ…♪翔君からオッケーをいただければ、準備完了です♪」

 

翔「そうか。」

 

深雪と共に医務室を出た翔は、ファクトリーへと向かった。

 

 

 

クリム「おや、Dr.胡蝶に翔じゃないか。」

 

深雪「あらベルトさん。少し外出してきますね?」

 

クリム「承知した。翔、気をつけるのだぞ?」

 

翔「黙れ、わかりきった事を言ってんじゃねぇよ。」

 

深雪と翔はトライドロンに乗車すると、深雪の運転で外出した。

 

 

 

車内して……

 

サングラスをかけ、トライドロンを運転する深雪に翔は言う。

 

翔「んで、俺をどこまで連れ出す気だ?」

 

深雪「フフッ、目的地はありません。なりゆきです♪」

 

翔「…へぇ、先の見えねぇ旅か……アンタ、中々面白ぇこと思いつくな。」

 

深雪「折角のデートなんですから、先が見えない方が面白くないですか?」

 

翔「…はっ、そりゃあ良い。」

 

珍しく笑顔を見せる翔。まず、彼らがやって来たのは…『東京ツリー』だ。高さ333mの電波塔であり、この国の中では2番目の高さを誇る。入場券を購入し、エレベーターで展望デッキへと向かった。

 

深雪「ところで、翔君は変装とかはしないんですか?」

 

翔「んなモンしねぇよ、そもそもする必要がねぇからな。」

 

サングラスで変装する深雪とは違い、サングラスやマスクすら着けていない翔。

 

翔「俺は俺のままで生きるだけだ…わざわざ姿を変えなくったって良いんだよ……」

 

そう言うと、デッキから東京の街並みを眺める翔。

 

深雪「……。」

深雪(やっぱり、貴方は凄いヒトです…大勢に注目されても、己を貫く…例え国が相手であっても、自分らしく生きる……私には、いえ…誰であっても、到底真似できません。)

 

雲一つない青空をバックに、翔を撮影する深雪。彼女にとって翔は、命の恩人…年下ではあるが、絶対に頭を上げることができないと思う程、彼女は彼に恩を感じている。

 

翔「普段から見ている街でも撮ったのか?」

 

深雪「内緒です♪」

 

翔「…そうか。」

 

翔は何事もハッキリしていないと気が済まない性格ではあるが、余計な詮索はしない。

 

深雪「そろそろ次の場所に向かいましょうか。お土産とかは買って行きますか?」

 

翔「いや、必要ねぇ。」

 

東京ツリーを降り、トライドロンへ戻った深雪と翔。

 

深雪「どこか行きたい場所はありますか?」

 

翔「そういうアンタはどうなんだ?」

 

深雪「私なら、もう行きたい場所に行けましたよ。」

 

翔「そうか。ならば、東京スカイタワーに向かってくれ。」

 

深雪「わかりました。」

 

翔のリクエストで、東京スカイタワーへと向かうことに…墨田区にあるそこは、かつて…強敵『シレーヌ』と戦った舞台でもある。Dollsはそれぞれの思いが食い違い、一時的にメンバーがバラけてしまった。そんな彼女達を見ていられないと思った翔は、がむしゃらにピグマリオンや妖魔と戦っては人命救助を行い…Dollsに向き合わなかった。だが、愛から初めて叱られたことで、Dollsと向き合おうと決意し、最終的にDolls再結成へと導いた。最後はシレーヌも最後のジャドウも撃破に成功し、墨田区浄化ライブも成功した。

 

翔(俺が倒れて以来…その後の様子を見れてなかったからな……本当はあまり行きたくはねぇが、行っとかねぇとモヤモヤが晴れん……)

 

 

 

やがて、東京スカイタワーへと到着した。車を停め、スカイタワー付近にやって来ると…そこは、多くの観光客で賑わっている。ツアーの団体客や海外から来た者、学生や子連れ家族、老夫婦等で溢れている。シレーヌによって引き起こされた惨劇が、まるで嘘のようだ。

 

翔「……。」

翔(血塗られた光景が、無かったかのようだ……俺はあの景色を忘れねぇ、できれば二度と…あの惨劇は起こって欲しくねぇな……)

 

楽しそうな顔をする観光客達とは裏腹に、哀しげな顔を浮かべる翔。

 

深雪「翔君、お気持ちはわかりますが…そんなに哀しい顔をしては、幸せが逃げてしまいますよ?」

 

翔「…あぁ。」

 

深雪「折角来たんですし…スカイタワー、登ってみましょう♪」

 

翔「…そうだな。」

 

深雪に声をかけられ、スカイタワーへと登ることにした翔。入場券を購入すると、高速エレベーターで一気に展望デッキへと駆け上がっていく。展望デッキに到着すると、エレベーターから降りて展望回廊を歩く。

 

深雪「わぁ〜、良い眺めですね~!」

 

翔「だな。」

 

深雪「それに、翔君もすっかり杖歩行に慣れましたね♪」

 

翔「一時的に一心同体となってんだ…折角の相棒を使いこなせなけりゃ意味がねぇからな。」

 

すっかり杖を使いこなせるようになった翔だが、あまり速くは歩けない。深雪は翔のペースに合わせつつ、スカイタワーから見える景色を楽しんでいる。やがて、展望デッキの最上階である『テンクウポイント』に辿り着いた。

 

深雪「折角ですし、ツーショット写真でも撮りませんか?」

 

翔「…良いだろう。」

 

深雪「フフッ、ありがとうございます♪」

 

深雪はスマホを取り出すと、近くにいる観光客に声を掛け、写真を撮って欲しいと頼んだ。観光客がそれを受け入れると、深雪は翔の隣に立つ。2枚程写真を撮影して貰い、観光客にお礼を言うと…撮影した写真を見る。

 

深雪「良く撮れてますねぇ。」

 

翔「…まぁ、悪くはねぇな。」

 

翔と一緒に写る深雪は、楽しそうな顔をしていた。反対に、翔は表情の無い真顔である。目的を達成した彼らは、トライドロンを走らせ、ドールハウスに戻った。

 

 

 

愛「あっ、お帰り〜♪」

 

彩羽「むむむむぅ〜…!!」

 

ドールハウスに着くと、笑顔で出迎える愛と頬を膨らませた彩羽が立っていた。

 

深雪「ふふっ、ただいま戻りました♪」

 

翔「……。」

 

彩羽「翔く〜ん?今度は言い逃れできないよ、深雪先生とデートしてきたの?お姉ちゃんを差し置いて?」

 

翔「それがどうした?」

 

何やら負のオーラを剥き出しにする彩羽に全く怯まない翔。

 

翔「お前とはリゾート地でしただろ?」

 

彩羽「うぐっ…!?そ、それはそうだけどぉ〜!!」プンスコッ!

 

翔「てか、海鮮丼食いに行った時は2人きりだっただろうが。忘れたなんて言わせねぇぞ?」

 

彩羽「あっ、そっかぁ!!」パアッ!!

 

重度のブラコンである彩羽にため息交じりに話す翔と、途端に機嫌が良くなる彩羽。

 

愛「あはは、彩羽ちゃんは本当に翔君が大好きなんだね♪」

 

彩羽「もっちろん!!なんせ、世界でたった1人の弟ですもん♪」

 

深雪「うふふ、今宵は翔君について語り合いましょう?」

 

翔「…やめろ、迷惑だ。」

 

ドールハウスのメンバーが自分の事を愛していることは、翔もよく知っている。だが、いざ直接言われると照れくさくなる。そう感じた翔は3人の元を通り過ぎ、医務室へと戻って行ったのだった。

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