〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
仲間たちに楓とフェイを紹介した翔は、蜜璃が作ったフルーツタルトをメンバー達と一緒に噛っていた。
一海「う、美味…!!」
友香「こんなに沢山の果物、どこで入手したんですか?」
蜜璃「それがね、この島で採れたんだ!!ここって何でもあるんだね~♪」
どの果物もこの天空遺跡で採れた新鮮な物だ。
翔「おい、ここで食った物…俺達の人体に悪影響を及ぼすことは?」
ヘルメス「安心したまえ、君達が住んでいる世界と何ら変わり無い。」
1番の疑問点が解消した事を理解した翔は、フルーツタルトを平らげると島を散策すべく歩き出した。
フェイ「んぐっ、待ってよたいちょー!!」
彩羽「あっ、あたしも!!」
そんな彼を追う形で、フェイと彩羽も島の散策へと向かった。
杖を着きながら歩き、辺りを見回すと…下には雲海が広がっていて、その上にいくつもの浮遊島が見える。自分達がいる浮遊島も雲海の上にある。
翔「……。」
島にはギリシャ神話に登場するような建物跡や柱、天然プールと言っても過言ではない水場までもある。
翔(まるで神話の世界だな…バケモノの俺には、無縁だと思っていたんだが……)
その時……
翔の近くに炎が突然現れた。
翔「ッ!?」サッ!!
思わず杖を構えると、炎はすぐに消えた。次に…
背後の水場に、水玉が浮かび上がった。
翔「またか…!!」
再び杖を構え、迎撃体勢に入る翔。しかし、水玉は翔に危害を加えようとはしなかった。
翔(奇妙だな…何故襲って来ない……?)
彩羽「おーい、翔くーん!!」
警戒する彼の元に、彩羽とフェイがやって来た。
翔「お前達か…気を付けろ、ここには何かが居る。」
フェイ「私もさっき見たよ、突然炎が現れたり砂が落ちきらない砂時計だったり…とにかく、色々見た。」
彩羽「でもさ、こっちに危害を加えることは無いってヘルちゃんとディーちゃんも言ってたよ?」
翔「…は?」
彩羽の言葉に困惑すると、ヘルメスとアフロディーテが姿を見せた。
ヘルメス「そんなに警戒する必要はない。ここでは先程の現象は御約束のように起こる。」
アフロディーテ「皆様には何の害もありませんので、大丈夫です。しかし、慣れるまで大変だと思いますが……」
翔「…俺は信じねぇ、そんな都合の良い話があってたまるか。」
ヘルメス「あるからこう言っているんだが……」
翔「ふん、くだらねぇ…」
翔は歩き出し、神殿のような場所に足を踏み入れた次の瞬間…彼の身体が光に包まれ……
愛「あっ、翔君おかえり。」
翔「…はぁ?」
翔(一体どうなってるんだ…?)
何故かメンバー達の目の前に戻って来ていた。
斑目「翔も遭遇したのか、未知なる怪現象に。」
ミサキ「しょしょしょ翔さん!?だだだだだ大丈夫でしょうか!?け、怪我はありませんか…!?」汗
翔「…俺よりも自分の心配でもしたらどうだ?」汗
メンバー達の中で特に落ち着きが無いのは、No.1ドールの異名を持つミサキだ。戦闘力はDollsの中でも1〜2を争う程高く、頭の回転も速い。しかし、オバケが苦手であるという弱点がある。彼女にとって、この現象は地獄であった。
レイナ「らしくないわね、ミサキ。こんなに美しい場所に来たんだもの、美しく過ごしましょう?」
ナナミ「それができたら苦労しませんよ…」汗
翔「全くだ、お前は何故すんなり受け入れられる?」
レイナにジト目を向けるナナミと翔。
ユキ「ネコさんは、居るのでしょうか…?」
翔「こんなとこに居るわけ」
猫「ナー♪」
翔の足元には、1匹の白い猫がいた。よく見ると、名札付きの首輪を身に着けていた。
ヒヨ「あー、コユキちゃんだー!!」
アフロディーテ「こちらの遺跡は犬猫の出入りも可能です♪アニマルセラピーも必要ですよ?」
アフロディーテの計らいにより、ドールハウスのペットであるコユキも来ていたようだ。
シオリ「ふふっ、皆と一緒に夏休みだなんて素晴らしいです。」
ヘルメス「私達も君達の夏を見てきたが、ストライカー共から襲撃されて大変だったろう?ならば、今年は奴らに絶対襲撃されない場所でな?」
サクラ「ありがとうございます、神様♪」
ヘルメス「良い良い。」
今年の夏は、ストライカー達からの襲撃されないよう…奴らが認識できない場所で夏休みを過ごして貰おうと、ヘルメス&アフロディーテがハナと協力してこの場所を用意したのだ。
諒芽「おっ!?炎が出たぞ!!あっ、こっちには光が…向こうには水玉や超ちっちぇえ竜巻が!?」
紫「落ち着け諒芽。」汗
一海「いやいや、落ち着くなんて無理な話だろ!?ほら、あっちの空は夕焼けだし、こっちの空は星空だぜ!?」
友香「あはは、落ち着けるまでもう少し時間が必要ですね…」
落ち着きが無い諒芽と一海。いや、どのメンバーもあまり落ち着きは無い。
アヤ「折角こんなに素晴らしいトコに来たんだもん。写真撮ろーっと♪」
ヤマダ「そういや、ここってSNSに上げてもいいんすか?」
ヘルメス「構わない。」
アヤ「それはダメよ、ヤマダ。万が一奴らがここの場所を知ったら、翔がゆっくりできないでしょ?」
ヤマダ「確かに、一理ありますね。」
こんな神秘的な場所に来たからには、写真を撮ってSNSに載せたくなるのも無理はない。だが、翔を配慮してSNSに上げない事にした。
ヘルメス(まぁ、晒されても構わないのだがな…いくら場所を調べようが絶対に出て来ない。だから奴らもここには来れん。)
彼らが夏休みを本気で満喫できるよう、神々もストライカーや妖魔、はたまたピグマリオン対策もしている。どれだけここを探しても、決して見つけることは不可能なのだ。
諒芽「なぁなぁ翔ちん、宝探ししよーぜ!!こんな立派な遺跡だったらさ、宝物の1つや2つあってもおかしくないだろ!?」
唐突に言う諒芽だが…
翔「誰がそんな罰当たりみてぇな事をやるか、お前1人で行ってこいよ。」
翔はいつものようにバッサリと切り捨てる。
諒芽「えっ、マジか…」
一海「けどさ、俺も興味ある。この世界の宝ってなんなんだ?」
紫「私は行こう。」
友香「私も行きます♪」
愛「宝探しかぁ、楽しそうじゃん!!アタシも行く!!」
蜜璃「私も行く行く♪」
深雪「フフフッ、私も連れてってください♪」
モニカ「はいは〜い、アタシは皆が楽しそうにしてるトコの写真撮るよ〜♪」
ほたる「隊長サン隊長サン!!早く行きましょう!!」
翔「あっ、おい!!…ったく。」
ほたるに連れられ、翔はメンバー達と宝探しをすることにした。
まずは、泉にやって来た。宝探しを始めると思いきや、水の掛け合いが始まった。
翔(宝探しするんじゃねぇのかよ……)
キャッキャウフフするメンバー達にジト目を向ける翔。
翔(ま、こういうのも悪くはねぇか……)
翠「あっ、後ろは隙だらけだぞ!!」
翠がそう言うと…
フェイ「ホントだ、たいちょー隙あり!!」
フェイが翔目掛けて水を飛ばした。
翔「……やってくれたな、お前達…覚悟できてんだろぉなぁ?」
おもむろに水鉄砲を取り出した翔は、メンバー達に向かって水を乱射する。
小春「あぐっ!?た、隊長さん、少し手加減を」
翔「俺は誰にだって容赦しねぇんだ、ソイツぁできねぇ。」
彩羽「ひゃあっ!?冷たっ、あっははは♪」
蜜璃「きゃっ!?やったなぁ、お返しだよ!!」
翔「はっ、その程度か…っよ!!」
深雪「水が気持ちいいですね♪」
翔が飛ばす水は、どのメンバーよりも勢いがある。
一海「おい皆、翔を倒すぞ!!」
紫「よし、さぁ翔…来い!!」
友香「こっちは4人です、負けませんよ?」
諒芽「いいや、俺は翔ちんにつく!!」
一海「諒芽が寝返った!!」
水の掛け合いはヒートアップし、宝探しの事をすっかり忘れ始めるメンバー達。楽しそうにはしゃぐメンバー達をスマホに収めるモニカ。
翠「んおっ?おーい皆、ちょい注目!!注も〜く!!」
すると、翠が真ん中の島にある石板に向かい…何かを取り出そうとしている。
翔「何があるんだ?」
翔が聞くと、翠が後ろから出て来た。
翠「おぉ、これは…これはこれは……」
翔「何だよそれ。」
翠「聖剣だぁぁああああ!!」
翠は聖剣を空高く掲げながら叫ぶ。
諒芽「早速お宝発見したじゃねぇか!!」
彩羽「あたしも持ってみた〜い!!」
翠「これ、割と重いよ?」
メンバー達は翠が見つけた聖剣を持つ。
翠「ねね、隊長ちゃんも持ってみてよ!!」
深雪「翔君が持つと絵になりますからね。」
翔「そういうの要らねぇっての。」
翔が翠から聖剣を受け取ると、剣に金色の光が集まっていき…黄金の大剣へと姿を変えた。
友香「聖剣の姿が…!?」
紫「おい、これってまさか…」
翔「あぁ、『カラドボルグ』だな。」
それは、とあるライダーが使用する武器『カラドボルグ』だった。その時…どこからか咆哮が聞こえてきたと思うと、翔達の前に翼竜が姿を現した。
雪枝「あわわわ、何ですかあれ…!?」
翔「ここの主か…?」
蜜璃「でも、敵意は全く感じられないよ?」
翠「おっ、蜜璃せんせーもそう思う?実はわたしもそう思うんだ。」
翼竜はこちらに危害を加えようとはしないようだ。その竜が翔に顔を近づける。
翔「…手ェ出せってか?」
翔が右手を差し出すと、翼竜は口から光の玉を出した。それが翔の掌に落ちると、分厚い本へと姿を変えた。
翔「…『オムニフォースワンダーライドブック』?」
それは、とあるライダーに変身する為に必要な本型アイテム『ワンダーライドブック』だった。エターナルフェニックスやブレイブドラゴンと違い、大きくて分厚い物だ。
愛「あれっ、翔君の腰にベルトが…」
いつの間にか、翔の腰に黄金の変身ベルト『ドゥームズドライバーバックル』が巻き付いていた。
アフロディーテ「その翼竜は空の覇者です、翔さんを英雄と認識した様ですね。」
翔「ここは平和なんだろ?なら、地上に居るドッペルゲンガーにでも送っとけ。」
ヘルメス「任せておけ。」
ヘルメスはそう言うと指を鳴らし、カラドボルグ、ワンダーライドブック、ドライバーを転送した。
諒芽「どんどん探そうぜ!!まだあるかもしんねぇし!!」
メンバー「「「賛成♪」」」
翔「…仕方ねぇな。」
メンバー達は次のお宝を探して、遺跡の散策を開始した。不思議で満ち溢れた天空遺跡での夏休みは、まだ始まったばかりである。