〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百三十二話 流入作戦開始

斑目「ーーシオリ、本当に良いんだな?」

 

シオリ「えぇ、もちろんです。」

 

観測室には、斑目とカナ、シオリの姿があった。彼女らだけでなく、ドールハウスのメンバー全員の姿がある。

 

シオリ「記憶がないのは襲撃の前後だけ……作戦内容も確認しました。体には、なんの問題もないんですもの。任務遂行に、支障はありません。」

 

身体に支障はなく、大丈夫だと訴えるシオリ。

 

 

斑目「ではこれより、フィール流入を開始!」

 

 

この日から、迷宮にフィールを流れ入れ、瘴気を軽減する作戦が始まる。

 

斑目「大江戸線国立競技場駅より進行する。各自、気を抜くな!!」

 

一同「はい…!!」

 

斑目は作戦を決行する上での留意点を説明する。

 

斑目「流し込まれたフィールはテアトルの代わりではない。異常を感じたらすぐに連絡してくれ。」

 

テアトルが使えない今、Dollsがスムーズに任務を遂行する為には…彼女達のエネルギー源であるフィールで対応するしかない。

 

斑目「それと……シオリ、Eモードは原則禁止だ。短期間に二度も発動したが、アレはーー」

 

シオリ「もちろん、分かっていますよ。誰あろう、私ですもの。」

 

翔(…シオリ……)

 

翔は複雑な気持ちで居た。彼女らの異変に、対応できない無力な自分…いつ治るか分からない左足…その足のせいで戦いはおろか、日常生活にも支障がでている。

 

シオリ「では行きましょう。せっかくのファンのみなさんのフィール。無駄には出来ませんから……」

 

そして、任務へ向かうメンバー達を見送った。

 

翔(ここ最近、パスト・アルカリアの動きがねぇ…タイミングを伺っているかもしんねぇな。)

 

 

 

ドールハウスを出たDolls一同は、ダイダロス内部に来ていた。

 

ヒヨ「わあ…!なんかあったかい……!!」

 

レイナ「えぇ、優しく包まれるような高揚感……」

 

アヤ「ライブ直後の空気に似てるわね。うぅ、また歌いたくなってきた!」

 

以前の不気味な雰囲気が嘘のような感じだ。フィールが影響しているからだ。

 

PPPーー

 

カナ『ーー周囲のフィール濃度、84%……散布状況は良好のようです!』

 

斑目『よし。そのまま新宿方面へ向かい、ダイダロス内を探索。内部での戦闘は避けつつ、ミノタウロスと接触しろ。今度こそ、検体採取を頼んだぞ。位置情報は常に計測し、こちらから発信するーー』

 

目標はミノタウロス…雑魚が出てきても、できる限り戦闘は避けるようだ。彼女達には、翔お手製のクナイがある。ミノタウロスに命中させることができれば、検体の採取に成功する。

 

カナ『敵性反応確認しました!!』

 

すると、すぐに敵が存在を現し始めた。

 

カナ『前方よりピグマリオン!距離100、80、50……』

 

アヤ「ちょ、ちょっとチ、来んの早くない!?まだホームから降りたばっかりなのに!」

 

いきなりの敵出現に戸惑うアヤ。

 

ヤマダ「向こうもリーダーみたく、テンション上がってるんじゃないすか?ククッ、かわいがってやりましょーよ!!」

 

やがて、前方から無数のピグマリオンがDolls達の前に現れた。

 

愛「あたしがやる!!皆は下がってて!!」

 

愛はイクサベルトを身に着けると、イクサナックルを取り出し、左手と合わせる。

 

 

《R・E・A・D・Y》

 

愛「変身…!!」

 

《F・I・S・T・O・N》

 

 

ナックルをベルトに装着すると、愛の目の前でアーマーが形成され、彼女の身体に重なり、仮面ライダーイクサへと姿を変えた。

 

イクサ「ふっ!!」ズダダダダッ!!

 

イクサはイクサカリバー(ガンモード)から弾丸の嵐を放ち、現れたピグマリオンをあっさり殲滅した。雑魚ピグマリオンを倒した後、一同は迷宮の奥へと進んでいく。

 

ナナミ「うぅ、周りの風景がだんだんグロく……」

 

ユキ「暖かい気持ちに包まれているのに、悲しい気持ちになります…」

 

ナナミ「慣れたくないですけどね。はぁ、晩ごはん魚にすれば良かった……」

 

奥に足を踏み入れると、空気はそこまでではないが…風景が最悪である。

 

ナナミ「胎動でしたっけ。揺れも、どんどん頻繁になってますし。」

 

この迷宮は生きている為、壁の向こうからは鼓動のような音が聞こえてくる。

 

ミサキ「……おかしい。」

 

すると、ミサキが何か違和感があると訴える。

 

愛「ミサキちゃん、どうしたの?」

 

ミサキ「私達……まだそんなに歩いていないはずでしょう。ダイダロス深部に到達するのが早すぎる。通ってきた線路の名残もある……ここって、普通に電車が通る場所なのでは?」

 

確かに、彼女らは長い距離を歩いていない。むしろ、迷宮に入ってまだ数十分程だ。

 

ミサキ「カナさん、今ってまだ千駄ヶ谷あたりでしょ?」

 

PPPーー

 

カナ『その通りです…!レーダーの反応を見る限りーーあっ、すみません、今って……皆さん立ち止まっていますよね!?』

 

通信機越しから、何やら慌てるような素振りの声を出すカナ。

 

ナナミ「え?ええまあ?立ってますね。」

 

その時……

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴーー!!

 

 

辺りが大きく揺れ始める。

 

ミサキ「っ、また!?今度は大きい…!!」

 

カナ『み、皆さんの現在地が南東に移動!!』

 

ナナミ「移動って…ずっと立ったまま動いていませんよ!?」

 

何と、Dollsは動いていないというのに…何故か千駄ヶ谷から南東へ移動した。迷宮が動いているのだ。

 

カナ『国立競技場駅15番モニター!!状況不明!現在地消失!!青山一丁目駅、34番モニター確認…消失!?』

 

斑目『どういう事だ……!?』

 

迷宮が動くにつれ、次々とモニターが動作しなくなっていく。やがて、揺れは治まった。

 

ナナミ「大きい地震でしたね…」

 

ユキ「今のは……地震なんでしょうか…?」

 

ミサキ「……現在位置、わかりますか?」

 

揺れが治まり、自分達の位置を確認しようとカナに声を掛けるミサキ。

 

カナ『ーーハッ、確認出来ました……!六本木駅25番モニター映します。現在地、南区赤坂ーー六本木駅、地下!!』

 

ナナミ「な、なんですって!?」

 

愛「えっ、六本木?」

 

いつの間にか、六本木駅へと来ていた一同。この路線はまだ稼働しており、人の乗降もある場所だ。

 

ミサキ「どういうこと……?さっきは千駄ヶ谷って……」

 

ユキ「いえ…たぶん……地面の……」

 

その時、何かの気配を察知したのか…サクラとシオリとヒヨが身構える。

 

 

………イタイ……

 

 

彼女達の前に、得体の知れないナニカが姿を現した。

 

ヒヨ「あ……うぁ……あれって…」

 

それは、植物と人間が一体化したような見た目で目や口が真っ黒い異形であった。

シオリ「サクリファイス…!!」

 

この異形こそ、ドールハウスでも話があったサクリファイスである。1体だけではない…奥からゾロゾロと集まって来る。

 

 

イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ!!

 

 

彼女らは口々に「イタイイタイ!!」と苦しそうに叫びながらこちらへ近付いて来る。

 

シオリ「……!シオリ……前に出ます!」

 

シオリは真っ先にサクリファイス達へと向かって行く。

 

サクラ「シオリさん!!」

 

ヒヨ「シオリちゃん!待って!!」

 

サクラとヒヨも、慌てて彼女の後を追って行く。その時…

 

 

グォォオオンッ!!ガロロロロロロロッ!!

 

 

激しいモーター音が迷宮内にこだまし、彼女達が通ってきた道から乳白色の灯りが現れた。その光が強くなるにつれ、モーター音も段々大きくなって来る。やがて、ジャングレイダーに乗った翔が轟音を立てながら一同の前に姿を現した。

 

愛「…!!」

 

レイナ「…翔君!!」

 

 

ギギイイイイィィッ!!

 

 

翔「…あれがサクリファイスって奴か。」

 

翔は左手に短剣付光線銃を構えると、ジャングレイダーを唸らせ、サクリファイスの群れへと突っ込んで行く。

 

翔「退けこの野郎ォォオオ!!

 

怒鳴り声を上げ、暴走族のように振る舞いながらサクリファイスの討伐に入る翔。

 

シオリ「…!?」

 

翔「1人で突っ走ってんじゃねぇ、俺達もいる!!」

 

ジャングレイダーを操りながら、サクリファイスをどんどん倒していく翔。だが、倒しても倒しても奥から新たなサクリファイス達がやって来る。

 

愛「皆、翔君に続いて!!」

 

一同は翔を先頭にし、サクリファイス達との戦闘に入った。しかし、どれだけ倒してもサクリファイス達の数は減らない。

 

シオリ「ハァッ、ハァ…ッ!!」

 

ミサキ「うっ……」

 

サクラ「だめ、息が詰まりそう……」

 

早々に一部メンバーに疲れが見える。それを見た翔は、アクセル全開にし、急速に方向転換…その後、背中のボウガンを右手に持ち、サクリファイスとすれ違うと同時に彼女らを斬り裂いていく。

 

斑目『何故だ……何故ここに彼女らが……!?』

 

翔「嫌な予感がしたんだ、抜け出して来て正解だったぜ…」

 

動揺を隠せない斑目は、またも勝手にドールハウスを抜け出して来た翔を説教する余裕はない。

 

アヤ「本当にここ、六本木なの!?アレがいるなら、ここって新宿地下なんじゃーーきゃあ!?」

 

その時、またも迷宮内に激しい揺れが発生した。

 

ユキ「また胎動!?」

 

ナナミ「さっきよりも揺れが強い……!!」

 

すると、シオリが目の前のサクリファイスを斬り捨て、前へと走る。

 

シオリ「…ッ!邪魔よ、どいて……!!」

 

翔「あのバカ…!!」

 

ミサキ「シオリ!待って!!」

 

サクラ「翔さん!!ミサキさん!!」

 

ミサキ「フォローに入るわ!サクラも!!」

 

サクラ「はい!!」

 

ジャングレイダーを操る翔と共に、前線へと向かうシオリをフォローしに行くミサキとサクラ。メンバー達も無数のサクリファイス相手に、互いをフォローし合いながら戦った。

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