〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百三十三話 融け合い、混じりあう

シオリ「う……っ!」

 

無茶をし、1人で戦おうとするシオリ。そんな彼女の元に、サクラとミサキ、翔が駆け寄る。

 

ミサキ「無茶しないで!どうして1人で戦おうとするの!?」

 

シオリ「……触らないで!!」

 

サクラ「っ……!?」

 

ミサキが差し伸べた手を振り払ったシオリ。そして、ハッと我に返る。

 

シオリ「あ……ごめん、なさい……私……」

 

ミサキ「シオリ…らしくないこと…やめてよ……」

 

サクラ「あ……怪我が…!手当てしないと……!!」

 

シオリ「…このくらいの掠り傷、すぐに治るでしょう?私達の体ならーー」

 

すると、翔が眉間にシワを寄せながら声を上げる荒げた。

 

翔「…1人で突っ走るなと言った筈だ!!遂には周りすら見えなくなったのか!?」

 

ミサキ「しょ、翔さん…」

 

翔「下手したら死んでたんだぞ!?少しは考えて動けよ!!」

 

根は仲間思いの翔は、戦場を知っている…その為、現場では誰よりも厳しく、少しのミスも許さない。とはいえ、Dollsも意思があり、それぞれの考えや価値観がある。少しでも考え方がズレれば、ミスは発生する。それを承知した上でミスが発生しても、フォローは必ずする。仲間を失わない為にも……

 

シオリ「…すみません、翔君……」

 

翔に怒鳴られ、シュンとするシオリ。

 

翔「ならば大人しく手当てを受けろ。」

 

翔の言葉を合図に、サクラは傷口の手当てを始める。

 

サクラ「…それでも、痛みは同じです。」

 

シオリ「……。」

 

シオリは少し黙ると、重い口を開く。

 

 

「…あの子達の痛みに比べたら……」

 

 

あの子達…それは、先程戦ったサクリファイスの事だ。彼女の言葉を聞いたミサキは、彼女に語り掛ける。

 

ミサキ「…私達は、『あの子達』じゃないわ。」

 

しかし……

 

シオリ「…そう。みんなは私達とは違うーー」

 

彼女はまだ、何か思い詰めているようだ。

 

サクラ「シオリさん!!」

 

その時、通信機が鳴り、カナが話し掛けて来る。

 

PPPーー

 

カナ『皆さん、ご無事ですか!?』

 

翔「あぁ、全員無事だ。」

 

カナ『翔君、またドールハウスを…』

 

翔「そんな事はどうでもいい、さっさと状況を話せ。」

 

カナ『は、はい…前後のデータを照らし合わせ状況を確認…EsG、98%同意。説明しにくいのですが…ダイダロスそのものがそちらに移動しています!!』

 

何と、この迷宮が…ダイダロス自体が移動しているとカナは言う。

 

ヒヨ「な、なにそれ!?メーキューが搖いてるって事!?」

 

迷宮が移動するとは、明らかに有り得ない現象である。

 

レイナ「そんな、どうやって……!?」

 

ナナミ「ダイダロスって……動けるんですか!?いったいどうやって…?」

 

カナからの報告が信じられない彼女達は、動揺を隠せずにいる。

 

カナ『新宿方面からは反応が消失!!現在、反応の中心は、六本木地下です!!』

 

レイナ「……サクリファイス(彼女ら)を連れて、新宿からやって来たというの……?」

 

ナナミ「いやいやいや、電車じゃないんですよ!?そんなめちゃくちゃなーー」

 

斑目『議論している時はない!ふs』

 

翔「六本木駅から撤退だな。おい、来るぞ?」

 

斑目の言葉を遮った翔がそう言うと、ダイダロスがまたも振動し始める。

 

ヒヨ「壁が……動いてる!?」

 

壁が移動を開始すると、門のように開き…そこから……

 

 

「……イタイ……」

 

 

サクリファイスが姿を現した。

 

アヤ「か、壁からでてきた…!?どうなってんのよ、もう!!」

 

ユキ「壁…この壁は……もう壁じゃありません……」

 

ピグマリオンや瘴気によって侵されたここは…もはや、ただの壁ではない。敵を産み出す最悪の塊だ。

 

カナ『新宿地下の環境を取り込んで来ているようです!!迷宮内の壁面に敵性反応をーー』

 

翔「それだけじゃねぇ、この気配…奴だ……目標のお出ましのようだな。」

 

カナ『!?新たに巨大敵性反応の接近を確認……!!』

 

翔の視線の先から、何やらただならぬ気配が近付いて来ている。

 

カナ『パターン照合率88%!!ミノタウロスです!!』

 

斑目『釣れたか……!!』

 

翔「フン…撤退は一時撤回…奴と殺り合い以外、選択肢はねぇと思え。」

 

そう言うと、ボウガンを背中にしまい…ジャングレイダーのハンドルに手を添える翔。

 

翔「おい片山さんよぉ、例のやつはあるんだろうなぁ?」

 

愛「うん、もちろん!!」

 

翔「検体の確保、頼んだぞ?」

 

ヤマダ「……おっけ〜い。アイツらもミノたんもヤッてやるっすよ…!!」

 

翔「そのいきだ、ヤマダ。」

 

ヤマダ「ヘッヘッヘッ、任せといてくださいよ♪」

 

やがて、暗く先の見えない通路から…ミノタウロスが姿を見せた。更に、壁からサクリファイス達が産まれ、それを囲むように陣形を組んだ。翔はジャングレイダーのハンドルを捻り、まるで威嚇をするかのように轟音を立てる。

 

 

グオオォォンッ!!グオオォォンッ!!ガロロオオォォンッ!!

 

 

迷宮内に、唸り声のような鈍いエンジン音が響き渡る。乳白色のライトは、倒すべき敵…目標を照らしている。

 

ヒヨ「翔さんのおかげで、ヒヨ、ぜんぜんこわくないよ!!」

 

アヤ「そうね。ジャングレイダーの轟音ですっかり怖さは吹き飛んだわ。」

 

不気味な雰囲気を漂わせるダイダロスだが、ジャングレイダーの轟音によりDollsが潜める迷宮への恐怖はすっかり消えていた。

 

翔「ッ!!」グオオォォンッ!!ガロロロロッ!!

 

翔はジャングレイダーから轟音を響かせ、サクリファイスの群れに突っ込んで行く。そして、左腰に添えている杖の鞘を引き抜き…検品1振りで無数のサクリファイス達を蹴散らして行く。

 

レイナ「翔君に続くわ!!」

 

Dollsも翔に続いて走り出す。

 

ガロロロッ!!グォォオオオオッ!!グオオォォンッ!!

 

ジャングレイダーを操り、武器を振るい、道を開いていく翔。

 

翔(ヤツの検体が目標だ、Dolls(コイツら)を無駄に疲れさせてたまるかっての……)

 

そう思いながら、ジャングレイダーを巧みに操る翔。ジャングレイダーも彼の思いに応えるように、轟音を響かせながらサクリファイス達を蹴散らす。翔はジャングレイダーの上体を上げ、ウィリーをする。そして、ジャングレイダーはそのまま猛スピードを出し、壁を登って行く。翔は杖を納めると、短剣付光線銃を取り出し、天井からサクリファイス目掛けて光線を乱射した。雨のように降り注ぐ光線は、サクリファイスの脳天を貫き、段々数を減らして行く。その後、天井から地面に移動した翔は、ジャングレイダーから轟音を響かせ、ミノタウロス目掛けて突進する。だが、ミノタウロスにぶつかる事はなく、素通りした。その後、方向転換し、またもミノタウロス目掛けて突っ込んで行く。

 

愛(気を逸らしてるんだ、それなら…ッ!?)

 

愛は翔お手製クナイを投げようとしたが、その直前にサクリファイスが妨害を始める。

 

ヒヨ「愛さん!!」

 

すかさずヒヨがハンマーを振るい、愛を助けた。ミノタウロスを囲んでいたサクリファイス達は減っているが、今度はDollsの近くに新たなサクリファイスが現れ、彼女達を妨害している。

 

翔(面倒な事してくれるな…これじゃあ支援できん……)

 

サクリファイス目掛けて光線を撃とうとしても、Dollsが近くにいるため、迂闊に発泡できない。かと言って、ミノタウロスから離れる訳にも行かず…クナイは愛が持っている。しかも、愛からはかなり距離が離れている為、クナイを受け取る事は困難だ。今、彼が出来ることは…

 

翔「…ッ!!」ガロロロロッ!!

 

ジャングレイダーで走り回り、ミノタウロスの気を逸らす事だ。幸い、彼の愛用マシンであるジャングレイダーは非常に燃費が良く、性能も高い。

 

翔(頼んだぞ、お前達…!!)

 

今はただ、Dollsを信じるしか無かった。

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