〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

421 / 551
第三百三十四話 なりそこない

ミノタウロスの検体を採取する為、まずは邪魔をするサクリファイス達をどうにかしなければならない。翔はジャングレイダーを操りながら、ミノタウロスの気を逸らし続ける。その間に、Dollsや愛がサクリファイス達を薙ぎ倒しながらチャンスを伺う。

 

シオリ「これで最後ーー!!」

 

その時…

 

翔「ッ!?」ガロロロッ!!

 

何かの気配を感じ、距離を取る翔。その直後……

 

 

ザシュッ!!

 

 

サクリファイスが何者かの斬撃によって倒された。その後すぐ、聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 

 

「ーーおや?奇遇だね翔。それに、なりそこないの人形たち……」

 

 

通路の奥から姿を現したのは、ゴーレム使いのデウスだった。

 

翔「お前は、デウス…!!」

 

シオリ「……やっぱり、貴女がこの迷宮を?」

 

デウス「迷宮……そうだね。彼女は迷い続けている。出口を見つけることもできずに……だから探しているのさ。正しい彼女を取り戻すためにね…」

 

会話が成立していない。彼女が言う『彼女』とは……

 

アヤ「とぼけないで。ミノタウロスとかも、あんたが生み出したんじゃないの?」

 

レイナ「あの巨大なゴーレムを生み出した貴女ならーー」

 

デウス「……なんだって?

 

すると、デウスの様子がおかしくなる。

 

デウス「ああ……ああ……屈辱だ……そんなことってあるのかい?ねぇ…?こんな唾棄すべき汚物と、ボクのタロスが同一?ニセモノの歪んだ瞳はそんなにも曇っているのか?なりそこないとはいえお粗末にもほどがある…!!」

 

翔「…情緒不安定かよ。」

 

ナナミ「…相変わらず言ってる事が分かりませんね。」

 

翔「全くだ…」

 

ヒヨ「ねぇ、教えてよ!何がしたいのか…」

 

翔「そうだ、勿体振らずに言ったらどうだ?返答次第では、お前の首が吹き飛ぶかもなぁ…?」

 

ヒヨに便乗し、脅しをかける翔。しかし、そんな事をしてもデウスは平気だった。

 

デウス「ふふ…無知とは、罪だね…本当に……自分達が何者かも知らず、何を真似て作られたのかも知らない…」

 

シオリ「黙って……!」

 

デウスの言葉を遮るシオリ。しかし、デウスは続ける。

 

デウス「自らフィールを生み出すことはできず、ただ啜り続け、吐き続ける。憤怒の芸術と我欲の吐瀉物との区別もつかない…ニセモノ、贋作、まがいもの、なりそこないの失敗作……」

 

彼女の口調からするに、Dollsを侮辱しているのだろう。

 

シオリ「それ以上の侮辱は許しません……!」

 

翔「どうやら、首を吹き飛ばされてぇようだなぁ?」チャッ…

 

翔は左手の光線銃の銃口をデウスに向ける。

 

デウス「ふふ…侮辱…ね…確かにキミたちの存在は侮辱だ。目覚めるべきじゃなかった…哀れななりそこない……」

 

翔「ッ!!」ズギュンッ!!

 

翔が引き金を引いたと同時に、周りの瓦礫が形になっていく。デウスがゴーレムを生み出したのだ。

 

ミサキ「っ!!またゴーレム!?」

 

シオリ「!!」

 

カナ『確認できるだけで十数体……ゴーレムに周囲を囲まれています!』

 

デウスのゴーレム達に囲まれたDolls一同。

 

 

デウス「ふふふふふふはははははは…!」

 

 

途端に笑い出すデウス。

 

翔(ちっ!後は検体を持ち帰るだけだっつぅのに…!!)

 

後少しの所で邪魔が入り、段々イライラし始める翔。その時…翔の身体に異変が起こり始める。

 

翔「ヴっ!?」

 

 

ドクン……ドクン……

 

 

胸部を抑えながらジャングレイダーから転げ落ちた翔は、悶え苦しみ始める。

 

愛「翔君!?」

 

翔「が…ア……アアァァッ!!」

 

愛「どうしたの!?しっかりして!!」

 

愛が声を掛けても、全く反応しない翔。

 

 

ドクンドクンドクンドクン

 

 

段々早くなっていく鼓動…その時、翔の身体から熱気が発生し始める。

 

レイナ「はっ!!…翔君!?」

 

アヤ「翔、どうしたの!?」

 

サクラ「翔さん、大丈夫ですか!?熱っ!!」

 

他のメンバー達も翔に駆け寄り、サクラは翔に伸ばした手を反射的に引っ込めた。次の瞬間、悶えていた翔が急に四つん這いのような状態になり、目を見開く。瞳だけならず、目全体が段々赤く染まっていく。

 

翔「ウアアアアアアアアアアァァッ!!」

 

翔が叫び声を上げると、彼の全身は凄まじい熱気に包まれて行く。そして、その場で衝撃が発生し、Dolls一同を吹き飛ばした。

 

愛「っ!?」

 

Dolls「「「っ!?」」」

 

彼女達が壁に打ち付けられたその直後、無数の紐状の何かが高速で伸び、ゴーレム達を突き刺した。そのままゴーレムを串刺しにした状態で、細い別の触手のような伸びてきて、ゴーレム達を粉々に斬り刻んだ。

 

デウス「…ん?」

デウス(ゴーレム達が一瞬で…彼の身体に、一体何が起きているんだい…?)

 

やがて、煙が晴れると…そこには……

 

 

「…………。」

 

 

髪の毛と思わしき部分が触手のようにウネウネと動いており、青黒く怪しい光を放つ複眼、2本の腕と足には鋭い爪を、背中には無数の棘を生やした異形の怪物の姿があった。

 

ヤマダ「…な、何すか……アレ…?」

 

ナナミ「…え…しょ、翔…さん……?」

 

ヒヨ「な、なんか…こわい……」

 

変わり果てた翔と思わしき怪物を見て、動揺を隠せないDolls一同。

 

 

 

ヴヴゥゥ……ヴヴゥゥ……

 

 

怪物は唸り声のような荒い呼吸をし、デウスを…ミノタウロスを睨み付けている。

 

ミサキ「…あ、愛さん…は、早く……ミノタウロスの…」

 

愛「うん…分かってる……け、けど……手が、足が……うご、かない……」

愛(あの怪物…翔君だってのは分かってる……でも、何て凄まじい殺気なの…!?全身が震える…!!)

 

愛は翔お手製のクナイを取り出そうとするが、怪物が放つ殺気が凄まじく…全身が動かなかった。次の瞬間…1本の触手が、愛の元へ伸びて来る。

 

愛「!!」

 

だが、愛に攻撃する事はなく…クナイだけを持ち去った。

 

 

ヴヴゥゥ……ヴヴァァッ!!

 

 

怪物は愛から奪ったクナイを、ミノタウロスに投げた。クナイはミノタウロスに命中し、検体を採取していく。採取完了後、怪物はミノタウロスからクナイを引き抜き、無数の触手でミノタウロスをズタズタに引き裂いた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。