〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
デウスが生み出した十数体のゴーレム達は、アマゾン素体となった翔により、瞬時に撃破された。
デウス「……。」
デウス(どうやら、なりそこないは…彼女達だけじゃなかったようだね……しかし、彼はまだ美しい…)
アマゾン素体は、デウスを威圧するかのように睨んでいる。しかし、デウスは全く怯えない。
デウス「キミたちも…キミたちになりそなった少女たちも…そして無様に砕け散ったあのピグマリオンのなりそこないも…生まれながらにして終わっているテ本物には決してなれないのに…ふふふ……」
シオリ「余裕ぶってよそ見なんてーー!?」
その時、プシュウウウウゥゥッ!!というガスが抜けて行くような音が迷宮内に響き渡る。その直後、ミノタウロスの全身がドロドロに溶けていった。
サクラ「み、ミノタウロスが……溶けた……!?」
愛「溶けた…いや、地面と同化した…!?サクリファイスも……」
ミノタウロスだけでなく、倒したサクリファイス達も同じように溶けてった。そして、ミノタウロスの検体が入ったクナイだけが、その場に残った。
デウス「始まったね……」
意味深な言葉を残し、去っていくデウス。
デウス「…さて、そろそろ行くとしよう。久遠の再会へ発たないと。」
シオリ「待ちなさい!!……貴女を逃がしはしないわ…!」
デウス「……ボクはもうキミたちに用はない。邪魔、しないでくれるかな?」
その時、サクラに異変が起きる。何やら頭を抱え…
サクラ「…うっ……」ドサッ…
その場に倒れてしまった。
シオリ「サクラさん!!」
異変が起こったのは、彼女だけではない。他のメンバー達にも…
ヒヨ「うう……カラダがうまく動かないよ…」
ナナミ「はっ、はあ、はあ……なんか…空気も薄い気が……」
レイナ「この眩暈は……」
愛「…ッ!?皆!!これは、いったい……」
デウスは途中で足を止め、背を向けたままこう話す。
デウス「そう、そうやって自分を自分たらしめる境界を失っていく…『自分の世界』を失った天使の末路……フィールを求めて這い蹲る忌まわしきモノ…融け合い、混じりあって、自分という存在を失う。キミたちも、いずれそうなる……そこにいる、彼もね?」
シオリ「そんなことにはならない!!翔君にだって、誰かを守りたい思いがあるのだから!!」
デウス「おや……?まだ境界が崩れていないモノもあるのか……なりそこないにも出来不出来はあるんだね。まあ、処分することに変わりはないけど。」
シオリ「それは、貴女の役割じゃない……貴女にはさせない…!
約束だから…それは…私のーー!!」
デウス「ふぅん?まぁいいさ。今は急いでいるんだ。」
シオリ「ーー!!」
そして、デウスの姿はなくなった。
彼女の気配とゴーレムの気配が完全に無くなった時、通信機からカナの声が聞こえてくる。
PPPーー
カナ『…未知生命体デウス、ゴーレムと共に消滅しました。』
斑目『……翔、片山、ご苦労だった。帰還してくれ。Dollsはすぐにファクトリーに向かえ。体に異常がないか、検査を行う。』
愛「待って、翔君が…!!」
カナ『!?翔君に、何かあったんですか!?』
愛「それが…急に胸を抑えて苦しみ出したら、何か恐ろしい姿に……」
斑目『何だと!?』
通信機はカメラ機能が搭載されており、現場の様子を見れるようにもなっている。愛は変わり果てた翔の姿を、斑目とカナに見せた。
斑目『ッ!?』
カナ『え……しょ、翔…君……?』
アマゾン素体となった翔を見て、言葉を失う斑目とカナ。すると、アマゾン素体は触手でミノタウロスの検体を拾い上げ、自分の左手に持った。
深く荒い呼吸をしながら、ミノタウロスの検体が入ったクナイを見ているアマゾン素体。すると、シオリがアマゾン素体に近づいて行く。
愛「し、シオリちゃん…!!」
シオリ「大丈夫です、だって…翔君なんですから。」
アマゾン素体の正面から近付き、彼よりも少し低い目線を向けるシオリ。
シオリ「翔君、私達を助けてくれたんですよね?」
アマゾン素体「……。」
アマゾン素体は優しい笑顔を見せるシオリを見るだけで、何も言わない。
アマゾン素体「……。」スッ…
そして、ミノタウロスの検体が入ったクナイをシオリに差し出す。
シオリ「受け取れ…って事であってますか?」
シオリの言葉を聞き、アマゾン素体はゆっくりと首を縦に振った。そして、左手を離し、シオリに検体を渡したのだった。
愛「……。」
Dolls「「「……。」」」
戸惑うメンバー達に、シオリは言う。
シオリ「皆さん、そんなに戸惑わないでください?翔君は翔君です、どんな姿であっても関係無い…だって、さっき私達をゴーレムから守ってくれたじゃないですか♪」
ヒヨ「…う、うん…そうだよね、翔さんはヒヨ達を助けてくれたんだもん。翔さん、ありがとう♪」
アヤ「そ、そうよね!?ね、翔!?アタシが分かる?」
ヒヨもアヤも段々受け入れ始め、アマゾン素体に声を掛ける。だが、アマゾン素体は何も言わなかった……その後、凄まじい冷気がアマゾン素体を包み込む。やがて、霧が晴れると…そこには、元の姿に戻った翔の姿があった。
レイナ「…翔君!!」
翔「……。」
翔は何も言わず、ジャングレイダーに跨ると…彼女らを置き去りにする形で、迷宮を去った。一同も彼の後を追うように、迷宮から立ち去った。
アマゾン素体δ(デルタ)…アマゾン細胞が覚醒し、ドライバー無しで翔が変身した姿。頭部の伸縮自在の触手を武器にして戦う。手足の鋭い爪も侮れない武器である。