〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百三十五話 境界

デウスが生み出した十数体のゴーレム達は、アマゾン素体となった翔により、瞬時に撃破された。

 

デウス「……。」

デウス(どうやら、なりそこないは…彼女達だけじゃなかったようだね……しかし、彼はまだ美しい…)

 

 

ヴヴゥゥ……ヴヴゥゥ……

 

 

アマゾン素体は、デウスを威圧するかのように睨んでいる。しかし、デウスは全く怯えない。

 

デウス「キミたちも…キミたちになりそなった少女たちも…そして無様に砕け散ったあのピグマリオンのなりそこないも…生まれながらにして終わっているテ本物には決してなれないのに…ふふふ……」

 

シオリ「余裕ぶってよそ見なんてーー!?」

 

その時、プシュウウウウゥゥッ!!というガスが抜けて行くような音が迷宮内に響き渡る。その直後、ミノタウロスの全身がドロドロに溶けていった。

 

サクラ「み、ミノタウロスが……溶けた……!?」

 

愛「溶けた…いや、地面と同化した…!?サクリファイスも……」

 

ミノタウロスだけでなく、倒したサクリファイス達も同じように溶けてった。そして、ミノタウロスの検体が入ったクナイだけが、その場に残った。

 

デウス「始まったね……」

 

意味深な言葉を残し、去っていくデウス。

 

デウス「…さて、そろそろ行くとしよう。久遠の再会へ発たないと。」

 

迷宮は自ずとボクを導いてくれるだろう。

 

彼女の元にね…?

 

シオリ「待ちなさい!!……貴女を逃がしはしないわ…!」

 

デウス「……ボクはもうキミたちに用はない。邪魔、しないでくれるかな?」

 

その時、サクラに異変が起きる。何やら頭を抱え…

 

サクラ「…うっ……」ドサッ…

 

その場に倒れてしまった。

 

シオリ「サクラさん!!」

 

異変が起こったのは、彼女だけではない。他のメンバー達にも…

 

ヒヨ「うう……カラダがうまく動かないよ…」

 

ナナミ「はっ、はあ、はあ……なんか…空気も薄い気が……」

 

レイナ「この眩暈は……」

 

愛「…ッ!?皆!!これは、いったい……」

 

デウスは途中で足を止め、背を向けたままこう話す。

 

デウス「そう、そうやって自分を自分たらしめる境界を失っていく…『自分の世界』を失った天使の末路……フィールを求めて這い蹲る忌まわしきモノ…融け合い、混じりあって、自分という存在を失う。キミたちも、いずれそうなる……そこにいる、彼もね?」

 

シオリ「そんなことにはならない!!翔君にだって、誰かを守りたい思いがあるのだから!!」

 

デウス「おや……?まだ境界が崩れていないモノもあるのか……なりそこないにも出来不出来はあるんだね。まあ、処分することに変わりはないけど。」

 

シオリ「それは、貴女の役割じゃない……貴女にはさせない…!

 

約束だから…それは…私のーー!!」

 

デウス「ふぅん?まぁいいさ。今は急いでいるんだ。」

 

 

キミが自分で彼女らを殺したいなら

 

それでもいいよ

 

シオリ「ーー!!」

 

そして、デウスの姿はなくなった。

 

 

心臓はあとで拾いに来るとしよう。

 

約束、か…そんなものなければ……

 

 

彼女の気配とゴーレムの気配が完全に無くなった時、通信機からカナの声が聞こえてくる。

 

PPPーー

 

カナ『…未知生命体デウス、ゴーレムと共に消滅しました。』

 

斑目『……翔、片山、ご苦労だった。帰還してくれ。Dollsはすぐにファクトリーに向かえ。体に異常がないか、検査を行う。』

 

愛「待って、翔君が…!!」

 

カナ『!?翔君に、何かあったんですか!?』

 

愛「それが…急に胸を抑えて苦しみ出したら、何か恐ろしい姿に……」

 

斑目『何だと!?』

 

通信機はカメラ機能が搭載されており、現場の様子を見れるようにもなっている。愛は変わり果てた翔の姿を、斑目とカナに見せた。

 

斑目『ッ!?』

 

カナ『え……しょ、翔…君……?』

 

アマゾン素体となった翔を見て、言葉を失う斑目とカナ。すると、アマゾン素体は触手でミノタウロスの検体を拾い上げ、自分の左手に持った。

 

 

ヴヴゥゥ……ヴヴゥゥ……

 

 

深く荒い呼吸をしながら、ミノタウロスの検体が入ったクナイを見ているアマゾン素体。すると、シオリがアマゾン素体に近づいて行く。

 

愛「し、シオリちゃん…!!」

 

シオリ「大丈夫です、だって…翔君なんですから。」

 

アマゾン素体の正面から近付き、彼よりも少し低い目線を向けるシオリ。

 

シオリ「翔君、私達を助けてくれたんですよね?」

 

アマゾン素体「……。」

 

アマゾン素体は優しい笑顔を見せるシオリを見るだけで、何も言わない。

 

アマゾン素体「……。」スッ…

 

そして、ミノタウロスの検体が入ったクナイをシオリに差し出す。

 

シオリ「受け取れ…って事であってますか?」

 

シオリの言葉を聞き、アマゾン素体はゆっくりと首を縦に振った。そして、左手を離し、シオリに検体を渡したのだった。

 

愛「……。」

 

Dolls「「「……。」」」

 

戸惑うメンバー達に、シオリは言う。

 

シオリ「皆さん、そんなに戸惑わないでください?翔君は翔君です、どんな姿であっても関係無い…だって、さっき私達をゴーレムから守ってくれたじゃないですか♪」

 

ヒヨ「…う、うん…そうだよね、翔さんはヒヨ達を助けてくれたんだもん。翔さん、ありがとう♪」

 

アヤ「そ、そうよね!?ね、翔!?アタシが分かる?」

 

ヒヨもアヤも段々受け入れ始め、アマゾン素体に声を掛ける。だが、アマゾン素体は何も言わなかった……その後、凄まじい冷気がアマゾン素体を包み込む。やがて、霧が晴れると…そこには、元の姿に戻った翔の姿があった。

 

レイナ「…翔君!!」

 

翔「……。」

 

翔は何も言わず、ジャングレイダーに跨ると…彼女らを置き去りにする形で、迷宮を去った。一同も彼の後を追うように、迷宮から立ち去った。




アマゾン素体δ(デルタ)…アマゾン細胞が覚醒し、ドライバー無しで翔が変身した姿。頭部の伸縮自在の触手を武器にして戦う。手足の鋭い爪も侮れない武器である。
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