〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百三十六話 恐るべき計画

Dollsよりも先に翔がドールハウスに帰還した。

 

斑目「…翔…!」

 

翔「…何だ?」

 

カナ「大丈夫ですか?具合悪くありませんか?」

 

翔「平気だ。」

 

斑目とカナの間を素通りした翔は、医務室へと向かった。彼が到着した数十分後、Dolls一同がドールハウスに帰還した。

 

愛「所長、カナちゃん…翔君は?」

 

斑目「恐らく、医務室に向かった筈だ。」

 

カナ「…翔君、大丈夫なのでしょうか?」

 

一同はアマゾン素体となった翔を心配していた。彼は人間の姿をしているが、その正体は…

 

 

アマゾン

 

 

…と呼ばれる、タンパク質を求めて行動する人喰いの怪物である。食人衝動を抑える為、彼の左腕の銀色の腕輪『アマゾンズレジスター』には特殊な薬が入っており、彼の体内に投与されている。しかし、彼が人間を喰ったという事例は、今はまだ無い。翔の事が心配な一同は、すぐに医務室へと向かった。

 

 

 

その頃、医務室では……

 

深雪「抑制薬が過剰に投与されていますね、少し補充しましょうか。」

 

翔「…頼む。」

 

蜜璃「うん。じゃあ翔君、ちょっとごめんね?」

 

ドールハウス専属医である深雪と蜜璃によって、レジスターにアマゾン細胞の覚醒を抑制する為の薬剤を補充されていた。ドールハウスでも、アマゾン細胞の覚醒を抑制する薬剤の開発…というより、複製が成功している為、足りないと感じれば直ちに補充する事ができるようになっている。

 

翔「…。」チラッ…

 

レジスターに薬を補充する蜜璃をチラ見する翔。

 

翔(くそっ…またか……何故、何故俺は…この人を、美味そうだと感じてしまうんだ……それどころか、胡蝶さんにも…美味そうだと感じてしまう……)

 

やはり、蜜璃を食べたいという衝動があった。更に、深雪に対しても同じ衝動が既に……

 

翔「…!?」

 

蜜璃「どうしたの、翔君?」

 

その時、翔の脳裏に何かが浮かび上がって来た。頭を抑え、意識を集中し始める。

 

深雪「翔君、どうしました?」

 

翔「静かにしろ。」

 

深雪と蜜璃を静止し、再び意識を集中させる翔。

 

 

ザザッ…ザーーーー……

 

 

目を閉じると、砂嵐のような画面が彼の頭に…そして、光景が見えてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遥『あーあ、隊長さん全然捕まらないなぁ…』

 

天音『全くよ…さっさと捕まってくれれば丸く収まるってのに……』

 

昇『うん、困ったモノだね……』

 

ハヅキ『アンタが言えたことかい?全部アンタのせいだよ、白河隊長さん?』

 

ニ穂『Dollsや元ストライカーの奴らだっているんだ、捕まるわけないだろう?』

 

翔の脳裏に見えるのは、ストライカー達と白河 昇が何か会話をしているシーンだ。

 

陽奈『何か良い方法とかないわけ〜?例えば、Dollsを殺すとかさぁ…?』

 

昇『そうか、それだ…ナイスだ陽奈!!』

 

陽奈『えっ!?』

 

陽奈の言葉を聞いた昇は、何か作戦を思い付いたようだ。

 

昇『アコや偵察妖魔隊の情報によると、Dollsは新宿に頻繁に出入りしている。地下鉄の路線に入ると、そこはもはや路線というより迷宮と化していた。迷宮には怪物が沢山居る、その怪物達とDollsは戦っている。その上、青空隊長は足を怪我しているからそんなに動けない。だから彼女達と同行することも不可能。怪我人が戦場に入れば、間違いなく足手まといになる。』

 

陽奈『で、何が言いたいのさ?』

 

昇『簡単なことさ…戦い続けていれば、いずれは疲れて来る。』

 

 

その隙にパスト・アルカリアを複数放って

 

Dolls達を殺害するんだ

 

その後その妖魔にはDollsに擬態して貰ってから

 

青空隊長を捕らえるんだ

 

 

昇の話を聞いたストライカー達は、段々表情が明るくなっていく。

 

真乃『それは名案だと思います!!』

 

栞『へぇ、貴方にしては良い作戦思いつくじゃない。』

 

あおい『では、早速パスト・アルカリアを呼ぼう。隊長に気付かれてしまえば終わり…Dollsに少しでも近づけ、いやなるんだ!!完璧で本物にならせるんだ!!』

 

パスト・アルカリアという妖魔には擬態能力がある。その者の特徴や身に着けている備品、性格や性癖等々をコピーする事ができるのだ。彼らの特性を利用し、翔を連れ戻そうとする計画を立てたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らの狂った作戦を聞いた翔は医務室を飛び出して行った。

 

蜜璃「あっ、翔君!?」

 

翔「ッ!!」カツッ、コツッ、カツッコンッ…

 

走る事ができない翔は、不安定な歩行をしながら急いでファクトリーへと向かう。途中、何度も転倒しては起き上がりを繰り返しつつ…何とかファクトリーへとたどり着いた。

 

クリム「翔、そんなに慌ててどうしたんだ?」

 

翔「退け!!」

 

クリム・スタインベルトを押し退け、すぐに何かを開発し始める翔。

 

翔(Dolls(アイツら)を殺してなりすまし、俺を捕らえるだと!?そんな姑息な真似、ぜってぇさせるかよ!!)

 

彼は新たなライダーシステムを作るようだ。ベースとなるドライバーだけは完成したが…そこで、彼の手が止まる。

 

翔(パスト・アルカリアは知能が高い…できれば、無駄のねぇ動きで戦わなければ勝つことは困難だ。奴らの群れを倒すのは、俺でも至難の業…今の俺1人じゃあ到底無理だ!!)

 

ミア「翔さ〜ん♪」

 

そんな彼の元に、NumberSの3人がやって来た。

 

ディオ「…何か、作ってる?」

 

トリア「何を作っているんですか?」

 

翔「ッ!!……。」

 

NumberSを見る翔。そして、少しだけ黙り込む。

 

ミア「どしたの翔さん?」

 

すると、翔はNumberSに近付き…

 

翔「…お前達に頼みがある。」

 

…と言う。

 

トリア「おぉ、翔さんからの頼み事ですか!!でしたら、このトリアに何でも仰ってください!!」

 

ディオ「うん…ディオ、翔さんの頼みなら何でもする。」

 

ミア「何々、ボクらに頼み事?」

 

翔「単刀直入に言う…俺と共に、戦って欲しい。

 

ミア「それならお安い御用だよ?」

 

翔「待て、普通の戦いとは理由が違う…お前達と俺で一心同体になり、戦ってくれって事だ。」

 

高い戦闘力と知能を持つパスト・アルカリア…集団で襲い掛かってくれば大きな脅威となる。彼らを滅ぼすには、バラバラになってはならない。何人かが1つになって戦わなければ勝てないと翔は思った。

 

翔(俺はこんな足だ…ストライカー達や下級の妖魔とは何とか戦えるが……パスト・アルカリアが集団で来られるとキツい…別の身体を用意しなければ……)

 

自分の左足を見て、苦虫を噛み潰したような表情を見せる翔。すると…

 

 

ミア「うん、良いよ♪」

 

 

…と、ミアが言った。

 

翔「…は?お前、俺が何を言ってるのか分かってるのか?最悪の場合、元に戻れねぇかもしれねぇんだぞ?」

 

ディオ「翔さんは信用できる、だから大丈夫…」

 

トリア「私達NumberSは翔さんを慕っておりますゆえ、このトリア…貴方に一生着いて行きます!!」

 

NumberSとも関わりが増えた事で、翔と彼女達の間には既に信頼関係が構築されていた。

 

翔「…良い返事だ。」

 

ミア「よし、それじゃあライダーシステム一緒に作ろーよー♪」

 

ディオ「…賛成。」

 

トリア「一心同体となるには、共同開発は絶対です!!さぁ翔さん、私共と共に!!」

 

翔「わかったわかった、だからくっつくな…!!」汗

 

こうして、NumberSと共に新たなライダーシステムの開発をスタートした翔。思えば、チームとなってライダーシステムを開発するのは初めての経験だった。

 

翔「お前達はそのドライバーを開発してくれ、センスは任せる。俺はドライバーにセットするシステムを作り上げる。」

 

翔は指示を出しながら何かを作り始める。

 

翔(4人の意思を1つにするには、頭脳が必要…ここに、簡易的なブレインを作ろう。)

 

そして、完成したのは1枚のカードキー…ライダーの顔半分のデザインが施されたカードキー型アイテムだ。

 

ミア「翔さん、こっちももうすぐできるよ。」

 

翔「どれ?」

 

NumberSが作ったのは、集積回路の模様が描かれたアタッチメントだ。それを展開させると、左にサソリとハヤブサ、右にはニホンオオカミとドードーのキーのイラストが向かい合うように描かれているのが分かる。

 

翔「よくやった、コイツをドライバーに取り付ければ完成だ。」

 

翔がNumberSが作ったアタッチメントをベースとなるドライバーに取り付け、新たなライダーシステムが完成した。

 

翔「よし、『滅亡迅雷システム』の完成だ。」

 

完成したのは、『マスブレインゼツメライズキー』『滅亡迅雷ドライバー』だ。キーには簡易マスブレインシステムが搭載され、4人の身体を1つにして行動する事が可能となった。滅亡迅雷ドライバーは1つしかないものの、マスブレインシステム内部に入ることで複数の者がこのドライバーを装着できる。

 

翔「仕上げだ…俺達4人のフィールを、このキーに収束させる。準備は良いか?」

 

翔はマスブレインゼツメライズキーを持った右手を前に突き出す。続いて、ミア、ディオ、トリアの手が翔の手に重なり…4人のフィールがキーに集まって行く。

 

ミア「温かいね。」

 

ディオ「うん…翔さんの手、温かい。」

 

トリア「これが、人の温かさというのですね。」

 

翔「…どうだかな。」

 

やがて、4人のフィールが収束完了すると、マスブレインゼツメライズキーは完全完成した。

 

翔「…後は、コイツをぶっつけ本番で使う。1度変身すれば、元に戻れる保証はねぇからな。」

 

今回開発したライダーシステムは、かなり危険なモノだ。だが、ストライカーと昇の計画を阻止するためには、これを使うしか方法は無い。

 

翔(これで…俺は、五体満足で戦える……再び戦場へ、戻る事ができる。ストライカーに白河 昇…覚悟しておけよな?)

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