〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
???『ーーそれはダメ。よくないわ。』
翔『……お前は……』
夢の中には、美しい花畑が広がっている。そこに、あの女が姿を現した。
マキナ『アナタが心配なのよ…』
翔『……何がダメなんだ?』
マキナ『全部よ、全部。』
翔『相変わらず抽象的だな…』
マキナを鼻で笑う翔。
マキナ『アナタの中、今あの人形たちの事でいっぱい。そしてアナタをアナタたらしめる力をもって、奇跡を手繰り寄せようとしている。』
翔『だから何だ?大切なモンを守ろうとして何が悪い?』
マキナ『アナタには確信がある。もう一度、それを成し遂げられると思ってる。』
翔『今まで幾度の困難を乗り越えて来たからな…んで、それがどうした?』
マキナ『でも、それはダメ。』
翔に警告するマキナ。だが、それでも翔は己の意思を曲げようとしない。
翔『……アイツらを、人形というのは止めろ。』
マキナ『まあ、まあ、まあ!!』
翔の言葉を聞き、ビックリするマキナ。
マキナ『アナタが私にそんな事を言うなんて……心外だわ。悲しいわ。』
翔(コイツ、相変わらず掴み所がねぇ…)
マキナの心を読めない翔は、平常心を保つ事で精一杯だった。Dollsの事もある…そして、彼女らを妨害しようとする白河 昇の事も…今、Dollsを殺害しようとするパスト・アルカリア達の事も……考えなければならない事、やるべき事は山ほどある。
マキナ『…でもね、嬉しくもあるわ。あの子、よく似ているでしょう?』
翔『…は?』
マキナ『数え切れない絶望を経て、希望を忘れてしまった人形。笑顔の裏で自分を切り刻み続けて、空いた心に埋めたのは『諦念』……』
翔『何言ってんだ?希望を忘れちゃあいねぇ…諦めてなんか、ねぇよ!!』
マキナに負けじと言い返す翔。しかし、彼女の表情はピクリとも変わらない。
マキナ『…………そうかしら?』
翔『……?』
マキナ『ねぇ、青空 翔……アナタはどうしたいの?』
翔『…何が言いたい?』
マキナ『アナタがアナタでなくなってしまう事に、もう手を差し伸べることはできないわ。』
翔『俺はなぁ、アイツらには笑っていて欲しいんだ…許せねぇ時には怒って欲しい…耐えられねぇ時には泣いて欲しい…自分だけの願いだとしても、押し殺さねぇように…それは皆の願い、そうすりゃ…きっと、自分の世界を取り戻せる。』
マキナ『自分の世界…『楽園』のことを言っているのね。』
翔の言葉を聞き、『楽園』の事だと言うマキナ。
マキナ『アナタはアナタの思い描く世界を、現実の世界に重ね合わせた…』
翔『それでも、もう一度開かなければならない。扉を開け、アイツの心を開き…そのために、お前の力はーー』
マキナ『必要無いわ。』
翔『…何?』
翔の言葉を遮るマキナ。
マキナ『開くのも閉じるのも、アナタ自身の特性なのだから。』
翔『…何だと?』
マキナ『ああ!悲しいわ…アナタに見つめていたいもらえないなんて。』
マキナは緩やかな表情ではあるが、僅かながらに怒りを露にしている。
マキナ『アナタの視線の先には人形ばかり…あとで呪っておこうかしら…』
翔『てめぇ、そんな事をしたらどうなるか…分かってんだろうなぁ?』
マキナとは裏腹に、怒りを包み隠さず露にする翔。彼の眉間には皺が寄っている。
マキナ『でも、嬉しいわ。私を頼ってくれたのね。私に相談してくれたのね。』
翔『…バカ言ってんじゃねぇよ。』
マキナ『この楽園はいつも開かれている。開かれた状態を模倣して作り上げたから。扉を開いていれば、世界は融け合うでしょう。』
翔『……。』
マキナ『ふふっ…きっとアナタの鍵が、『彼女』達を次のステージに導くわ。』
マキナはそう言うと、ティーカップにお茶を注ぎ始める。そして、それを翔に渡す。
マキナ『ーーさあ、お茶をどうぞ。できるだけ、ゆっくり飲んでね?』
翔『……。』
翔(怪我の治療の為に、もう一度戦場に立ち、アイツらの力になれるなら…俺は、ここを利用してやろう。)
マキナ『目が覚めたら、きっと大変な1日になるからーー』
今回ばかりは危機感を覚えた翔…怪我を1日でも早く治す為、この場を利用する事にした。それ以降、翔は何週間以上も…ベッドから目を覚ます事は無かったそうな……
どうして…
どうして!?