〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百四十二話 警告…こんな筈では……

???『ーーそれはダメ。よくないわ。』

 

翔『……お前は……』

 

夢の中には、美しい花畑が広がっている。そこに、あの女が姿を現した。

 

マキナ『アナタが心配なのよ…』

 

翔『……何がダメなんだ?』

 

マキナ『全部よ、全部。』

 

翔『相変わらず抽象的だな…』

 

マキナを鼻で笑う翔。

 

マキナ『アナタの中、今あの人形たちの事でいっぱい。そしてアナタをアナタたらしめる力をもって、奇跡を手繰り寄せようとしている。』

 

翔『だから何だ?大切なモンを守ろうとして何が悪い?』

 

マキナ『アナタには確信がある。もう一度、それを成し遂げられると思ってる。』

 

翔『今まで幾度の困難を乗り越えて来たからな…んで、それがどうした?』

 

マキナ『でも、それはダメ。』

 

 

アナタがアナタでなくなってしまうから

 

 

翔に警告するマキナ。だが、それでも翔は己の意思を曲げようとしない。

 

翔『……アイツらを、人形というのは止めろ。』

 

マキナ『まあ、まあ、まあ!!』

 

翔の言葉を聞き、ビックリするマキナ。

 

マキナ『アナタが私にそんな事を言うなんて……心外だわ。悲しいわ。』

 

翔(コイツ、相変わらず掴み所がねぇ…)

 

マキナの心を読めない翔は、平常心を保つ事で精一杯だった。Dollsの事もある…そして、彼女らを妨害しようとする白河 昇の事も…今、Dollsを殺害しようとするパスト・アルカリア達の事も……考えなければならない事、やるべき事は山ほどある。

 

マキナ『…でもね、嬉しくもあるわ。あの子、よく似ているでしょう?』

 

翔『…は?』

 

マキナ『数え切れない絶望を経て、希望を忘れてしまった人形。笑顔の裏で自分を切り刻み続けて、空いた心に埋めたのは『諦念』……』

 

翔『何言ってんだ?希望を忘れちゃあいねぇ…諦めてなんか、ねぇよ!!』

 

マキナに負けじと言い返す翔。しかし、彼女の表情はピクリとも変わらない。

 

マキナ『…………そうかしら?』

 

翔『……?』

 

マキナ『ねぇ、青空 翔……アナタはどうしたいの?』

 

翔『…何が言いたい?』

 

マキナ『アナタがアナタでなくなってしまう事に、もう手を差し伸べることはできないわ。』

 

翔『俺はなぁ、アイツらには笑っていて欲しいんだ…許せねぇ時には怒って欲しい…耐えられねぇ時には泣いて欲しい…自分だけの願いだとしても、押し殺さねぇように…それは皆の願い、そうすりゃ…きっと、自分の世界を取り戻せる。』

 

マキナ『自分の世界…『楽園』のことを言っているのね。』

 

翔の言葉を聞き、『楽園』の事だと言うマキナ。

 

マキナ『アナタはアナタの思い描く世界を、現実の世界に重ね合わせた…』

 

その結果、アナタの世界は薄まった

 

現実と、融け合ってしまったから…

 

翔『それでも、もう一度開かなければならない。扉を開け、アイツの心を開き…そのために、お前の力はーー』

 

マキナ『必要無いわ。』

 

翔『…何?』

 

翔の言葉を遮るマキナ。

 

マキナ『開くのも閉じるのも、アナタ自身の特性なのだから。』

 

翔『…何だと?』

 

マキナ『ああ!悲しいわ…アナタに見つめていたいもらえないなんて。』

 

マキナは緩やかな表情ではあるが、僅かながらに怒りを露にしている。

 

マキナ『アナタの視線の先には人形ばかり…あとで呪っておこうかしら…』

 

翔『てめぇ、そんな事をしたらどうなるか…分かってんだろうなぁ?』

 

マキナとは裏腹に、怒りを包み隠さず露にする翔。彼の眉間には皺が寄っている。

 

マキナ『でも、嬉しいわ。私を頼ってくれたのね。私に相談してくれたのね。』

 

翔『…バカ言ってんじゃねぇよ。』

 

マキナ『この楽園はいつも開かれている。開かれた状態を模倣して作り上げたから。扉を開いていれば、世界は融け合うでしょう。』

 

あの時のアナタと同じように

 

今の人形たちと同じように

 

翔『……。』

 

マキナ『ふふっ…きっとアナタの鍵が、『彼女』達を次のステージに導くわ。』

 

マキナはそう言うと、ティーカップにお茶を注ぎ始める。そして、それを翔に渡す。

 

マキナ『ーーさあ、お茶をどうぞ。できるだけ、ゆっくり飲んでね?』

 

翔『……。』

翔(怪我の治療の為に、もう一度戦場に立ち、アイツらの力になれるなら…俺は、ここを利用してやろう。)

 

マキナ『目が覚めたら、きっと大変な1日になるからーー』

 

今回ばかりは危機感を覚えた翔…怪我を1日でも早く治す為、この場を利用する事にした。それ以降、翔は何週間以上も…ベッドから目を覚ます事は無かったそうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうして…

 

どうして!?

 

穢れるのは私1人だけでいい

 

そのはずだったのに……

 

どれだけ遠ざけても

 

どれだけ追い払っても

 

過去からは逃げられなかった。

 

どれだけ近づこうとしても

 

どれだけ追い求めても

 

未来には届かなかった。

 

 

せめて

 

あの子達が寂しく感じないように

 

 

せめて

 

あの子達に記憶が残らないように

 

 

私が、すべて引き受ける…

 

そうしてきたつもりだったのに……

 

 

私は、約束を守れなかった……

 

私は、どちらにもなれなかった……

 

 

私は、何を間違えてしまったの…?

 

うまくやってきたはずだったのに…

 

なぜみんな、地獄への道を選んでしまうの…?

 

なぜみんな、その手を血で汚そうとするの…?

 

 

なぜ、みんな……

 

 

そうならないように…

 

それだけは避けられるように…

 

そうしてきたはずだったのに…

 

 

何をすればよかったの…?

 

何が正しかったの…?

 

 

私は、せめて私はーー

 

私にできることはーー

 

私はーー!!

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