〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
深雪「蜜璃さん、ちょっと良いですか?」
蜜璃「ん、どうしたの深雪ちゃん?」
医務室では、ベッドの上で眠る翔のケアをする深雪と蜜璃がいた。ふと、深雪は蜜璃に言う。
深雪「翔君、急に大人しくなったの…何だかおかしくないですか?」
蜜璃「えっ、どうして?」
深雪「斑目所長やカナさんの言葉を受け流し、独断で外出を頻繁に繰り返していましたし…それがピタリと止むのは、変な気がするんです。」
蜜璃「うーん、一理あるかも……でもさ、流石に翔君も危機感を感じたんじゃないかな?」
深雪「そうだとしても、数週間も起きないのは不自然です。」
斑目とカナの言葉をのらりくらりと聞き流し、頻繁にドールハウスを抜け出していた翔。そんな彼は今、医務室のベッドでずっと眠っている。それどころか、全く目を覚まさないのだ。どれだけ声を掛けても、全然反応しない。
蜜璃「もしかして…アマゾン細胞が変化しているからなのかな?」
蜜璃は翔からアマゾン細胞を採取し、顕微鏡を覗いてみる。しかし、アマゾン細胞に何の変化もない。
蜜璃「呼吸も正常だし、細胞も特に変化なし…それに、脚の怪我も回復してるんだよね。」
深雪「回復しているのは何より何ですけど…」
ベッドで昏睡する翔は、呼吸も安定しており、体調も良好である。蜜璃はあまり深く考えてはいないようだが、深雪はどうしても考え込んでしまう。
愛「深雪ちゃん蜜璃ちゃん!!翔君は!?」
その時、医務室に慌てた様子の愛が入って来た。続いて…
斑目「翔!!」
カナ&彩羽「「翔君!!」」
斑目、カナ、彩羽が医務室に入って来た。
愛「ねぇ、翔君大丈夫なの!?大丈夫だよね!?」
深雪「落ち着いてください愛さん。翔君なら呼吸も体調も良好です。」
愛「でも、流石にずっと起きないのは変だよ!!」
蜜璃「そ、それはそうだけど…」
斑目「…もしや、あの女が……」
愛「へっ?あの女って、何ですか?」
斑目「いや、何でもない…」
うっかり口を滑らせた斑目だが、何とか誤魔化した。
カナ「もしや、アマゾン素体として覚醒した時に…」
蜜璃「そうかもしれませんね、抑制薬も過剰に投与されていたので…」
深雪「成る程…素体となった事で過剰なエネルギーを消耗し、限界を迎えた。その可能性は高いですね。」
アマゾン素体として覚醒した翔…そんな彼が昏睡している原因として一番有力なのはそれだ。覚醒した事で多量のエネルギーを消耗し、抑制薬を過剰に摂取せざるを得なくなった。この2つが度重なった事で、彼の身体に限界が訪れ、エネルギーを取り戻す為に昏睡状態になった。
彩羽「…翔君、Dollsの皆をずっと気にかけて居ましたよね。」
カナ「皆が頑張っているのに、自分だけ休むわけには行かない…って、よく言ってました。」
斑目「…そうだな。彼女らを心配するのはありがたいが、少しは自分の心配もしてほしかった。私の配慮も不足していたのだろうか……」
蜜璃「で、でもね!!脚の怪我はどんどん回復してるんだよ!?」
蜜璃はレントゲン写真を2つ取り出す。1つは複雑骨折したばかりの翔の脚を写した物、もう1つは先程撮影した翔の脚。比較して見てみると、骨は少しずつくっついて来ている。それも、綺麗に…
カナ「本当ですね、不思議です…でも、治って来ているならまだ良かったです。こんな事言うのもおかしいとは思うんですけど……」
愛「そうなんだ…でも、カナちゃんの言う通りだよ。」
斑目「あぁ、悪化するより断然良い。」
彩羽「このまま順調に回復に向かうと良いんですけど……」
この時の彼女らは、翔がやろうとしている行動をまだ知らない…今、彼は白河 昇の狡猾な作戦を阻止しようとしている。NumberSは彼の作戦を知っているが、Dollsを含むドールハウスの関係者には何も話していない。今回の任務成功が遠ざかる事を恐れた翔から、予め口止めをされているからだ。
彼が目覚める日はいつになる事か……Dollsも心配しているが、任務があるため深く心配していられない。果たして、ダイダロス討伐は実現するのだろうか…白河 昇の恐るべき作戦は、阻止されるのだろうか……