〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百四十四話 希望の糸

翔が昏睡状態になり、一時は心配していたDolls。しかし、『怪我も順調に回復し、ゆっくり休めている』という深雪と蜜璃の言葉を聞き、安心して任務に行けるようになった。

 

その頃、六本木駅ホームにて……

 

PPPーー

 

カナ『総員、大江戸線六本木駅に到着しました!ラッピング電車によるフィール散布作戦開始まで6分。』

 

今から無人のラッピング電車を走らせ、この迷宮内にフィールをばら撒き、瘴気を軽減させようとしている。作戦開始前に、斑目からの説明が入る。

 

斑目『ではーー改めて、今回の要点を確認する。まず駅構内、擬態された線路分岐からダイダロス侵食区域へと向かう。ミノタウロスと交戦…討伐の後、群生の残骸が飲み込まれるまで待機…コアと合流しミノタウロスは再構築するところを追跡・破壊。こちらでナビゲーションする。』

 

今回の作戦で、ダイダロスのコアを破壊し、これ以上の侵食を阻止しなければならない。

 

斑目『ダイダロスのコアを含む群生体は『ミノタウロス・ソーマ』と呼称する。ミノタウロス・ソーマの討伐によってダイダロスは機能を失うはずだ。その時点でお前達は作戦終了。残りの群生体は害特が対応する。』

 

メインのミノタウロス・ソーマをDollsに討伐させ、残党狩りは害特が行う事となっている。メンテナンス中のオートギアは、この狭い地下鉄路線には入れない為、A因子を持つ害特隊員による討伐が行われる。

 

斑目『戦闘の後は浄化だ。港区のイベントに飛び入りで参加。ゲリラ的な登場からのサプライズという形で浄化ライブ相当のステージを行う。』

 

ダイダロス討伐後には浄化ライブが待っている。浄化ライブ終了までが、今回の作戦だ。

 

ヒヨ「ふえ〜〜、やることいっぱいだ!!」

 

アヤ「まとめると簡単そうだけど……かなり窮屈なスケジュールよね…」

 

カナ『ごめんなさいね。こちらもしっかりサポートします!イベント側の準備は完了。こちらは予定通り開催を待つのみです。』

 

アヤ「それなんだけど……大丈夫なの?交通とかもそうだけど…集客とか…」

 

レイナ「…同じ港区で立て続けにライブですもの。よりSensationalでないと満足させられない、ということになるわね。」

 

ヒヨ「ファンのみんな、来てくれるかなあ……?」

 

浄化ライブの舞台は港区…このライブ前にも、同じ場所でライブを行っているDolls。前回よりもハイクオリティでなければ、ファンも来客も満足できない…そう思う彼女達。

 

カナ『既にネットに拡散済みです。イベントのホームページにも仕込みを入れました。』

 

ナナミ「ああ、見ましたよ、それらしいツイート。某巨大掲示板でも騒がれていました。」

 

ヤマダ「ラッピング電車も、始発から大盛りあがり!運営もウハウハって寸法っすな。」

 

これだけ影響力があれば、客足は問題ないだろう。

 

カナ『別働隊から報告…フィール散布、完了いたしました!!』

 

斑目『よし。各自、用意はいいな?目標はダイダロスの核。敵はミノタウロスを優先目標に置き、全て迎撃せよ。作戦名は…

 

 

『オペレーション・アリアドネ』

 

 

力で以て、道を切り拓け……迷宮を脱するための糸は、お前ら自身と知れ。』

 

一同「「「はいっ!!」」」

 

一同は作戦を成功させるため、行動を開始した。

 

 

 

その頃…ドールハウスにて医務室では……

 

深雪「では蜜璃さん、私達もそろそろ休憩しましょうか。」

 

蜜璃「うん、翔君もぐっすり眠ってるし…私達も休もう。」

 

眠っている翔を見て安心した深雪と蜜璃は、休憩のため医務室から退室した。そのタイミングで……

 

ギンッ!!

 

翔が目を覚ました。実は彼、ずっと眠っていたわけではなかった…眠っていた事もあったが、狸寝入りしながら白河 昇の動向を視界ジャックで伺っていたのだ。

 

 

ザザッ…ザアアアアァァッ……

 

 

昇『よし、Dollsが動き出した。お前達、準備はできているか?』

 

昇がそう言うと、合計9体のパスト・アルカリアがDollsに擬態した。その姿は、本物と見分けがつかない程Dollsだった。

 

偽レイナ『モチロンよ、私達こそがDolls…あんな美しくない者達が、アイドルをする資格なんてないわ。』

 

偽ミサキ『立ちはだかる敵は強いわ、皆気合を入れて。』

 

偽ナナミ『ミサキさんは相変わらず堅いですね…ま、言ってる事はその通りなんですけど。』

 

偽ヤマダ『キヒヒ…殺って殺って殺りまくりますかねぇ?』

 

パスト・アルカリア達が擬態したDollsは、険しい表情や悪巧みな表情等、とても本物のDollsが見せる表情とは思えない顔をしている。

 

昇『では、行こうか。Dollsの後を追い掛けよう。彼女らがボスを倒した瞬間を狙うぞ。』

 

偽Dolls『『『了解。』』』

 

白河 昇率いる偽Dolls達は、本物のDollsが居るダイダロスを目指して歩き出した。

 

 

 

翔「…とうとう動き出したか。」

 

翔は隠し持っていた小型通信機を取り出す。

 

翔「俺だ、聞こえるか?」

 

ミア『はいは〜い、聞こえるよ〜♪』

 

彼の声に応えたのはNumberSだ。

 

翔「奴らが動き出した、俺達も行くぞ…っつっても、俺がファクトリーに向かってアレを取りに行かなきゃならねぇんだけどな。それも、胡蝶さんと七草さんに見つからねぇようにな…」

 

ディオ『だったら、ディオ達に任せて…時間を稼ぐ。』

 

トリア『YA!時間稼ぎならお任せください、その間に翔さんはアレを!!』

 

翔「バカ、声がでかい…!!」

 

翔は耳を澄ませるが、こちらに向かってくる足音は無い。翔は静かにベッドから降りると、ファクトリーを目指して行動を開始する。

 

翔「……。」ヒタッ、ヒタッ……

 

周囲を警戒しつつ、足音を小さくしながらファクトリーを目指す。

 

翔(まさか、杖が要らなくなる日が来るなんてな…我ながらよく我慢したモンだ……)

 

彼の歩行動作だが、前よりも遥かに安定している。杖が無ければ満足に歩けなかったのが、今では杖無しで歩けるようになっている。長く休んだのが、功を奏したのだろうか。

 

翔(痛みも殆どねぇ…歩ける、俺はやっと…歩けるぞ!!って、今は喜んでいる場合じゃねぇな……)

 

喜びに浸りたい所だが、今それどころではない。監視カメラを潜り抜け、誰にも遭遇すること無く進んでいる。

 

翔(…ん?)

 

ふと、足を止めて通路にくっつき、耳を澄ませる。

 

翔(ミア、ディオ、よくやってくれた。)

 

深雪と蜜璃と会話をするミアとディオの声が聞こえた。ドールハウスの庭に居た深雪と蜜璃を見つけたミアちディオは、彼女らの足止めをするために雑談をしているのだ。その隙に、ファクトリーに向かう翔。

 

翔(後少し…むっ!?)

 

ファクトリーまで後少しの所で、彼は近くの部屋に身を潜める。

 

翔(しまった…元ストライカー達が居たか……)

 

元ストライカー達の話し声が聞こえたのだ。その声は、段々大きくなってくる。

 

幸子「た、隊長さん…大丈夫でしょうか?」

 

雪枝「心配ですし、お見舞いにいきませんか?」

 

モニカ「さんせー!!」

 

小春「私、お花持っていきます。」

 

それも、翔の見舞いに向かおうとしているのだ。

 

翔(マズい…医務室に来られたらバレる!!くそっ、どうする…!?)

 

次第に焦り始める翔だが、そんな彼に救いの手が舞い降りる。

 

トリア「おぉっ、ここにいましたか!!」

 

トリアが現れ、元ストライカー達に話し掛けたのだ。

 

翠「うおっ!?と、トリアちゃん!?」

 

トリア「私、翔さんが起きる前に…元ストライカーの皆さんともっともっと交流をしたいと思っております。お見舞いに行くのであれば、ガーベラやフリージア、青いバラがよろしいかと。」

 

モルガナ「希望・前進…友情に信頼…夢が叶うという花言葉がある花達ですね。」

 

ミネルヴァ「だったら、今から買いに行こう!!」

 

トリア「是非是非!!」

 

トリアは元ストライカー達を外出させることを成功させたのだ。

 

翔(流石トリア、良くやった。)

 

翔は部屋から出ると、ファクトリーに向かって歩き出す。ファクトリー前に到着し、静かに戸を開くと…少しだけ顔を覗かせる。

 

翔(…ちっ、今度はクリム・スタインベルトかよ。)

 

ファクトリー内にはシフトカーをメンテナンスするベルトさん(クリム・スタインベルト)が居た。

 

翔(…どこかに…おっ、奥にシフトフォーミュラーが居る……アイツを利用できねぇか……)

 

ベルトさんから離れた場所に、シフトカーの1つ『シフトフォーミュラー』を見つけた翔。

 

翔(これだけ覗いてりゃ、クラクションでも鳴らすだろう。)

 

そう思っていると…彼の予想は的中、シフトフォーミュラーは翔に気付いたのかクラクションを鳴らした。

 

クリム「ん?どうしたんだ?」

 

ベルトさんがシフトフォーミュラーの元に向かう。翔は何かジェスチャーをシフトフォーミュラーに送る。

 

翔(向こう行け!!)

 

すると、シフトフォーミュラーはシフトカーハイウェイを形成し、ファクトリーの奥へと向かっていった。

 

クリム「あっ、どこへ行くんだ!?」

 

ベルトさんはシフトフォーミュラーを追い掛けて行った。その隙に、翔はファクトリーに入り、滅亡迅雷システムが保管されている金庫に向かった。

 

翔(よし、見つけた…)ガチャッ…

 

ドライバーとゼツメライズキーを手に取ると、今度は医務室に戻る事に…誰にも見つかる事無く、無事に医務室に帰って来れた。

 

翔(よし、これで準備は完了だ…覚悟しておけ、偽Dolls……)

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