〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
ダイダロス最深部では…カナの誘導の元、Dollsはコアへと近付いていた。迫りくるサクリファイスらを倒しながら……融合ミノタウロス『ミノタウロス・ソーマ』と戦闘を繰り広げる。
ユキ「うしろ……!」
ヤマダ「クソ……ベッタベタじゃないっすか。武器が滑るっつーの…!」
シオリ「……。」
アヤ「ユキ、ヤマダ、ありがと……!!」
ヒヨ「あ、あれ?さっき倒したのに…?どーして?」
レイナ「ヒヨ!ナナミ!私の後ろに……!一度体勢を立て直しましょう!!」
ナナミ「……ミノタウロスがもう一匹?いや、もしかして……もっと増えてる?」
カナ『ミノタウロス・ソーマ、再構築の兆候、検知しました!』
倒されては再構築を繰り返すミノタウロス・ソーマ。
ミサキ「出たわね!今度こそ!!」
サクラ「ミサキさん!ミノタウロスがもう1体……きゃっ…!!」
ミサキ「胎動……今までで、一番大きい!!」
戦うメンバー達を見て、シオリは心の中で嘆いていた。
サクラ「それに…なんだか……妙に不規則なような……?」
アヤ「アイドルの体幹なめんじゃないわよ!!もう、慣れたんだから……!!」
カナ『待ってください……周囲1km範囲にフィール反応…これは…どうして……!!』
ここで、さらなる異変が起きる。
カナ『始発ラッピング電車が取り込まれています!みなさんから1km…少しずつ近づいています。』
何と、始発の電車がダイダロスに飲み込まれたのだ。それは、段々こちらへ向かって来ている。
ナナミ「な、なんですって!?」
レイナ「乗車人数は!?無事なの?」
カナ『最新の情報によると…乗車率、80%超え…!!フィールも回収・散布可能…機器欠損なし。破壊されてはいないようですが…乗客の状況は不明です!』
最悪な事に…取り込まれた電車には沢山の乗客が乗っている。しかも、安否が分からない。
レイナ「なんてこと…!いったいどうして……」
ヤマダ「まったく…選ばれたコアファンたちっすねぇ…バケモノのコアごとご対面とはどんだけのUR…」
イクサ「助けなきゃ…!!」
この迷宮に取り込まれた乗客を助け出さなければならない。そうしないと、間違いなく犠牲となる。
斑目『ーー待て。』
イクサ「斑目所長!?」
斑目『今、コアを見失ったら……!』
乗客を助ける事を優先すれば、折角見つけ出したコアを見失うリスクが生じる。判断に迷う斑目。
シオリ「ーー!!」
ヒヨ「でもっ…でも!このままじゃファンのみんなが!」
斑目『ピグマリオンに接触したなら助けられたとしても放置はできん。』
今回の事は、世間に知られてはならない。そもそも、ピグマリオンという存在そのものが世間に知られてはならない。これを知ってしまった人間は、機密を守るために…最悪殺すしか……
アヤ「ばっ…そ、そんな馬鹿なこと!できるわけないでしょ!!」
その時、ミノタウロス・ソーマが再構築を完了する。
カナ『ミノタウロス・ソーマ、限界!ラッピング電車の座標です!』
斑目『なんだと!?よりにもよって……!』
カナ『迷宮を構成するピグマリオンも、全て集合している模様!!』
ミノタウロス・ソーマはラッピング電車近くに現れ、迷宮にいるピグマリオンもそのラッピング電車に集まって来ていた。
ヒヨ「どっ…ど〜〜しよ〜〜〜!?」
状況は最悪…彼女らが取った判断は……
ユキ「行きましょう…」
乗客を助けに行くことだ。
斑目『待て!お前達はテアトルがーー』
テアトルが展開出来ない中、助けに行けばこの事がバレる。
アヤ「そんなこと言ってる場合じゃないし!!」
その時、通信機の向こうから慌てた様子の蜜璃の声が聞こえて来る。
蜜璃『しょ、所長さん!!大変です!!翔君が!!』
斑目『なっ!?翔がどうしたんだ!?』
蜜璃『医務室から、居なくなっちゃいました!!』
斑目『何だと!?』
カナ『まさか…ダイダロスに!?』
医務室から翔が忽然と姿を消したのだ。
シオリ「すべて……あの子達も……みんなそこにいるのね…?」
イクサ「ちょ、シオリちゃん!?」
シオリ「斑目さん、私がお約束を果たします。」
斑目『約束だと?どういう意味だ!?説明しろ!シオリ!!』
シオリは1人でラッピング電車の方へ向かう。
アヤ「あっ!待って!!」
ヒヨ「ねぇ!シオリン急にどうしたの!?なんであんな怖い顔で…」
イクサ「まさか……!!」
イクサ「まさか…!!」
イクサはシオリを追って走って行く。
ヒヨ「愛さん!!」
アヤ「ちょっと!愛さんまで!!」
ユキ「行きましょう…!」
斑目「……。」
その頃、観測室は…沈黙に包まれていた。
カナ「EsGからの予測ですが……」
斑目「電車のフィールを囮にコアを撃破。それが最善の策、というところか…」
カナ「はい……そのような結果を出力しています。」
ドールハウスにもはや…乗客を救い出す為の手段は残されていなかった。
斑目「乗客救助の優先度はD。犠牲者が出た場合は死んだことにして機密として管理すべき、と。」
カナ「はい……」
司令塔的な役割を持つ翔も居ない。最高最善の策は、もう無い……
斑目「『約束』……」
シオリが言っていた約束…それは、斑目とカナにも分からない……シオリ本人にしか分からない。
斑目「シオリが『約束』どおりそれをするか……もし、しないとしたら……それもやむなし、か。」
カナ「……シオリちゃんはサクリファイスと交戦中。電車の位置からは距離をとっているようです。」
斑目「通信は?」
カナ「応答しません。」
斑目「片山や他のドールは?」
カナ「同地点に向かっていますが、ミノタウロスに阻まれています。」
斑目「そうか……」
Dollsは苦戦を強いられているようだ。今の段階で乗客に見つからず…かつ、乗客を1人も残さず救助するのは困難だ。
斑目「EsGの加護があろうが、私自身はあまりにも無力だ……それに比べ、翔は常にドールの心配をし、時には身を挺してまで助けに向かう……」
翔と比べてしまう斑目。怪我で満足に動けなくても、Dollsを想い…時には無茶をしてまで助けに向かった。しかし、頼みの彼はここに居ない…
斑目「フフ……せめて、一緒に地獄に落ちてやるかな…」
カナ「所長……」
希望を捨てていたその時……
カナ「ッ!?今、ドールハウスから強いエネルギー反応が!!」
斑目「何…!?」
ドールハウスから、4つのエネルギーが出現したのだ。それは…
カナ「未知エネルギー体、ダイダロスへ向かっています!!」
斑目「…まさか……翔、お前なのか…?」
Dollsや救わなければならない乗客達が居るダイダロスへと向かって行った。
翔「よぉ、よく集まってくれた。」
ダイダロスで戦闘が起きる前、マスブレインシステムでは翔とNumberSが集結していた。
ミア「ボク達にはボク達なりのやり方がある。」
ディオ「うん、Dollsもこの世界の人達も…ディオ達が守る。」
トリア「Dollsに危機が迫る中、誰かがやらなければいけません。いざ、聖戦の時です!!」
翔「あぁ、俺達は…俺達の、意志のままに……」
4人の意志が1つになり、マスブレインシステムから認められた。そして…
4人の手に、滅亡迅雷ドライバーが現れる。4人がドライバーを装着した時、翔はマスブレインゼツメライズキーを起動させる。
キーが展開すると、辺り一面に怪しいサイレン音が響き渡る。翔がドライバーにキーを装填すると、4人の身体に稲妻が走り出す。
翔「があっ!?」バチバチ
ミア「あぐっ!?」バチバチ
ディオ「うぐっ!?」バチバチ
トリア「おぉっ!?」バチバチ
稲妻は更に強くなり、4人に痛みを走らせる。
翔「ぐっ…お前達、心を強く持て!!そしてそれを燃やせ!!そうすれば、Dollsを…迷宮に閉じ込められた人達を助け出せる!!」
ミア「オッケー、翔さん!!」
ディオ「うん、ディオ達は…翔さんと一緒に……!!」
トリア「助けを求める者達を救うため、歩んで行きます!!」
痛みに耐えながら、雄叫びを上げる4人。
そして、円陣を組むと……
…と、叫んだ。その直後、4人の身体は紫、赤、黄色、青の光に包まれて行き、マスブレインシステムから姿を消した。