〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

439 / 551
第三百五十二話 駆動する歯車

最終ミーティングを終えたDollsは、浄化ライブの舞台である港区へ来ていた。

 

シオリ「本番15分前…みなさん、再度衣装とヘアメイクの確認をお願いします。」

 

今回の衣装はプリンセスのようなドレスをモチーフにした物で、頭部には小さい王冠がある。

 

ヒヨ「はーいっ!ヒヨは準備バンタンだよー♪」

 

レイナ「…ヒヨ、後ろのリボンが絡まっているわ。」

 

ヒヨ「ひよっ!?あ、あぶなかったー!!」

 

ナナミ「ふむ…私も念の為、もう一度メガネを洗浄機にかけてきますかね。」

 

メンバー達はそれぞれ最終確認を行っていた。

 

アヤ「ヤマダ!このポケットは飾りなんだから!スマホつっこむのやめなさいってば!!」

 

ヤマダ「うぐ…バレタカ。いいじゃないすかちょっとぐらい…」

 

翔「ちょっとやそっとの問題じゃねぇだろうが…」汗

 

ヤマダ「うへぇ、厳し〜……」

 

ヤマダの言葉にツッコミを入れる翔。

 

ユキ「……。」Zzz〜…

 

サクラ「り、リラックスしてますね…さすがユキさん…私はまだ緊張しちゃいます…」

 

翔「おいユキ、そろそろ起きろ。出番はもうすぐだぜ?」

 

ユキ「はい…」パチッ…

 

ミサキ「翔さんが言えば鶴の一声ね。」汗

 

本番が迫る中、限られた時間の中で細かく確認を怠らないDolls。

 

シオリ「……。」

 

翔「よぉ、随分落ち着いてるじゃねぇか、シオリ。」

 

シオリに声を掛ける翔。

 

シオリ「そんなことないですよ。すごくドキドキワクワクしていますし、何よりも……嬉しくて……そして恐ろしくて……」

 

翔「…そうか。」

 

シオリ「そう、恐ろしい…この幸せを投げ出そうとしてしまっていた。この胸の高鳴りを否定しようとしてしまっていた。私だけが消えてしまうのは怖くなかったのに…」

 

翔「……。」

 

その時、Dolls達にとって聞き覚えのある声が聞こえて来る。

 

ルリ「シオリーン!!」

 

そう、ルリだ。近くにはカナもいる。

 

シオリ「ルリちゃん!カナさんも…!」

 

ルリ「……シオリンすっごく嬉しそう!」

 

シオリ「え?そう見えますか?」

 

翔「あぁ、この日を待ち望んでいたんだからなぁ?子どもの目は誤魔化せねぇと思えよな?サプライズライブだろ、楽しくねぇ筈あるか?」

 

そう言って口角を上げる翔。

 

シオリ「…翔君♪」

 

滅多に見られない翔の笑顔を見て、安心するシオリ。

 

ルリ「ルリも聞いてすごくびっくりしたんだよ!みんな揃って出てくるんでしょ?今日はトクベツカンランブース?ってところで見ていいんだって!」

 

翔「特別観覧…?」

 

ルリ「えへへへ〜、たくさん検査をがんばった、ご褒美なんだよ♪」

 

翔「そうか、良かったじゃねぇか。ルリちゃん。」

 

ルリ「うん!!」

 

嬉しそうに笑うルリ。

 

ルリ「あっ、お兄ちゃん。足の怪我治ったの?」

 

翔「あぁ、今は普通に歩けるぜ?」

 

ルリ「そうなんだ!良かったね、お兄ちゃん♪」

 

翔「フッ、そうだな。」

 

ルリの言葉を聞き、思わず笑みを見せる翔。

 

カナ「前回のライブでは…警戒していたにもかかわらず、接触がありましたので……」

 

翔「デウスの野郎だろ?」

 

カナ「意図は不明ですが、ドールハウスはルリちゃんの警備態勢を強化する方針です。斑目さんからはしばらくの間、外出を控えるようにと言われましたが…今日は、特別ですから!」

 

翔「そうか…せめてだ、せめて……子どもの未来だけは守れるようにしろよな?」

 

カナ「はい!」

 

普段は冷酷な翔なのだが、子どもには優しい。彼にとって子どもとは、未来の宝物なのだから。

 

ルリ「ルリもみんなといっしょにわーって盛り上がりたかったけど……」

 

少し名残り惜しそうな顔をするルリに、シオリは優しく声を掛ける。

 

シオリ「大丈夫、ルリちゃん。どこからでも、ルリちゃんの声援は届くし……ルリちゃんがどこにいたって、Dollsの想いは必ず届けますから。」

 

ルリ「……!!」

 

レイナとアヤも言う。

 

レイナ「約束するわ。最高のPERFORMANCEを見せるって。」

 

アヤ「今日は思いっきり、楽しんでね!」

 

ルリ「うんっ……!Dollsのみんなも、がんばってね!!」

 

翔はカナに問い掛ける。

 

翔「そういや、ラッピング車両の乗客はどうした?」

 

カナ「ラッピング電車には乗車していたファンの皆さんも、無事に会場に到着したようです。」

 

翔「そうか。」

 

カナ「翔君、そろそろ時間ですね…」

 

翔「そうだな。」

 

ライブ開始直前、シオリが翔に声を掛ける。

 

シオリ「…翔君。」

 

翔「…何だ?」

 

シオリ「見ていてくださいね。翔君が守ってくださった、私たちの『今』を♪」

 

翔「あぁ、しっかり見ている。行って来い。」

 

 

 

やがて、ライブ会場でDollsのライブが始まった。

 

ヒヨ『ふぉおおおおおっ!!みんな元気〜〜〜!?』

 

観客「うおおおお!!」「ヒヨちゃ〜〜〜〜ん!!」「元気だよ〜〜〜〜!!」

 

アヤ『みんな、おどろけーっ!!ホンモノのDollsが来ちゃったよー!!』

 

\ワァァアアアアアアアッ!!/

 

既に大歓声に包まれるライブ会場。「うおおおー!!」、「待ってたよーー!!」等々、ファンの喜ぶ声が聞こえて来る。

 

サクラ「あれれ…?ゲリラライブのはずなのに、みなさん全然驚いていない様子ですね…」

 

\サクラちゃ〜〜〜〜ん!!/

 

ヤマダ「フヒヒヒヒ…トーゼンっす。数日前からネットで情報ダダ漏れっしたから。」

 

\ヤマダ氏〜〜〜〜!!/

 

ナナミ「…さて、その情報を漏らしたのはどこのどなたでしょうねぇ?」

 

\ナナミ〜〜〜〜ン!!/

 

ヤマダ「…ふぃ〜ふぃふぃ〜〜〜♪」

 

ナナミがヤマダの方を見ながら言うが、ヤマダは口笛を吹いて誤魔化している(しかも吹けてない)。

 

レイナ「ふふ…予定調和といったところかしら?」

 

ミサキ「ま、何でもいいわ。私たちはアイドルなんだから。ゲリラだろうがなんだろうが、集まってくれたファンを楽しませるだけ。」

 

ユキはマイクを手に持つと、メッセージを伝える。

 

ユキ『今日は、新曲があります。一生懸命、うたいます…!』

 

シオリもユキに続く。

 

シオリ『進化し続けるこの街、東京。そこで暮らす私たちの今…今から続く未来に、願いを込めて…!』

 

そして、Dollsの曲が始まった。

 

一海「うおおぉぉっ!!Dollsサイコー!!」

 

紫「おぉ、今までで1番凄いかもしれないな…!」

 

友香「わぁ…みなさん、まるでお姫様みたいです♪」

 

諒芽「おぉ!!すっげぇ〜〜!!」

 

会場の一般席には一海達も来ていた。

 

翔「……。」

 

翔は特別席で彼女達のライブを見守る。

 

翔(アイツら、明るくて…良い表情してんじゃねぇか。この曲の、明るい曲調のせいだけじゃねぇ。心のモヤが晴れ、晴れ晴れとしたような…シオリも、アイツらも、過去を…辛く苦しい状況を何度も乗り越えた。だから今、こうして輝くことができる。これから先もきっと、ずっと…もっと……Dollsは、輝き続ける。俺はそう信じている…)

 

皆明るい表情をしており、安心する翔。彼はこれからも、彼女達を信じ続ける。化け物である自分を受け入れてくれた、この世界の未来も…彼はずっと、信じている。

 

翔「……!?」ドクンッ…

 

しかしその時…翔の身体に、異変が起き始める。

 

翔(…マジかよ、こんな時に……!!)ドクンッ、ドクンッ……

 

彼の中に眠るアマゾン細胞が、覚醒を始めたのだ。アマゾンズレジスターを見てみると、まだ青い光を放っている。抑制薬はまだ充分ある。

 

翔(やめろ、俺は…今度こそアイツらのライブを……くっ、駄目だ……今ここにいる人間が…美味そうだと……!!)ドクンッドクンッドクンッドクンッ…

 

危機を感じた翔は、こっそり席を立ち…会場を後にしていく。

 

蜜璃「あっ、翔君…!?」

 

深雪「蜜璃さん?」

 

蜜璃「ちょっと翔君を見てくる…!」

 

異変が起き始めた翔を追って、蜜璃は席を立った。

 

 

 

その頃、とある場所にて……小鳥遊大臣が自衛隊員と施設でやり取りをしていた。

 

自衛隊員「施設周辺の清掃作業が先程終了し、施設内の装置類も全て復帰しています。」

 

小鳥遊「…ふむ、侵蝕の影響は表面のみ。中までは届かなかったようだな。」

 

ダイダロスがエクスを取り込んでしまっていたら、どうなっていたことか…

 

自衛隊員「は…?」

 

小鳥遊「…フフ、天は我に味方せり、と言ったのだよ。今回、恐ろしい仮面ライダーが現れ、ダイダロスを完全に破壊した。ここの侵蝕は免れた。」

 

仮面ライダー滅亡迅雷は、害特にも伝わっていた。たった1人でダイダロスを壊滅させ、自衛隊員も思わず震え上がった程だ。

 

小鳥遊「最悪の事態は回避できたが、油断はならん。以後、厳戒態勢で警備に当たるように。」

 

自衛隊員「はっ…!!」

 

この施設には、オートギア達の姿がある。現在、メンテナンス中のオートギアが……

 

小鳥遊「強化を施したオートギアの再稼働は近い。しかし、彼女らはそれを超える力を手に入れた。フフ…」

 

シレーヌの一件があって以降、オートギアには外部からハッキングされないよう強化されていた。人類を守るための兵器が、人類を傷付けるための殺戮兵器と化さぬように……

 

小鳥遊「あの年頃は数日の間に信じられない成長を見せる。目を離した瞬間に、あんなにも…そう思わないかね?

 

???「お気づきでしたか…」

 

小鳥遊「叔父上から君が来ると聞いていたのでね…」

 

そこに、とある人物がやって来る。それは…

 

 

カナ「……総理もこちらに?」

 

 

ドールハウス所属の特殊公務員、南田 カナだった。

 

小鳥遊「いや…今日の予定は遊説。ここには来ていない。」

 

カナ「そうですか…それにしても、六本木の地下にこのような場所があったなんて、さすがに予想の範囲外です。」

 

この施設は、何と…六本木の地下施設だったのだ。

 

小鳥遊「フフ…秘密基地というのは少年ありがとう夢なのさ。まだ都内にもいくつかある。」

 

このような施設は六本木のみならず、都内に何個か存在しているようだ。

 

カナ「…はぁ。」汗

 

小鳥遊大臣の言葉に困惑するカナ。

 

カナ「……ダイダロスは…この施設のエネルギーを目指して移動していた……?」

 

小鳥遊「その可能性はあるかもしれんが、あくまでここは予備の施設だ。エネルギーの貯蔵目的でもない倉庫のひとつ…新宿から移動するほどてもないはずだ。」

 

ダイダロスが何故移動していたのか…明確な理由は未だに解っていない。

 

小鳥遊「その理由は気になる所だが……本題に移ろう。君の報告を聞かせてくれるかね?『彼女』……EsGについて……」

 

カナ「……わかりました。」

 

カナは小鳥遊大臣に、EsGについての見解を報告する。

 

カナ「私の予想も多分に含まれますが…」

 

 

 

一方、とある施設では……

 

デウス「…やあ、待ちに待った対面だ。」

 

エクスーー我が同胞(はらから)よ。

 

デウスがカプセルの中で眠るエクスの元に来ていた。

 

デウス「ずいぶん探したよ。まさかこんなところに隠されていたなんてね。あの王サマ気取りの道化師が、キミを独り占めにしようとしたのかな?」

 

王サマ気取りの道化師…恐らく、小鳥遊大臣の事であろう。

 

デウス「だけど心配はいらない。ボクがすぐにキミを目覚めさせて……」

 

 

 

 

デウス「……ない。」

 

デウスはエクスを目覚めさせようとしたが、失敗したようだ。

 

デウス「ない、ない、ない……ないじゃないか、メモリアが…!!」

 

どうやらエクスのメモリアがどこにも見当たらず、目覚めさせる事ができなかったようだ。

 

デウス「マキナか……?いや…もしそうならエクスはすでに……だとしたら…………」

 

すると、デウスは怪しく笑い始める。

 

デウス「そうか…それであの道化師は…ふふ、なるほどね……見えたよ、全て。居場所さえ分かれば、どうとでもなる。今日のところは、しばしの別れだ。」

 

 

我が同胞、愛しき妹よ

 

 

デウス「……眠って、待て。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マキナ「素敵な光景だったわ。美しくて、感動的で…『奇跡』……ふふふ、何度見てもいいものね。」

 

 

でも次にそれを起こすのは私。

 

奇跡を願うのも私。

 

世界を変えるのも私。

 

 

マキナ「……駒はまたひとつ進んだ。もう手を伸ばせば届くほどに。」

 

 

後は感情が流れ落ちるだけ。

 

それで奇跡は代行される…

 

 

青空 翔

 

 

間もなく…諦念の花園の扉が開く

 

安らかな世界にアナタを迎えて

 

永遠の愛を歌うの…

 

 

マキナ「ふふ…楽しみだわ……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。