〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

441 / 551
第三百五十四話 居なくなった翔

あの事件があって数日が経った今…結局、翔がドールハウスに戻って来る事はなかった。

 

ヒヨ「翔さん…戻って来ないね……」

 

ナナミ「……そう、ですね…」

 

レイナ「…えぇ。」

 

サクラ「彩羽さんも……」

 

ミサキ「…そうね。」

 

シオリ「…翔君…彩羽さん……」

 

ヤマダ「…連絡は、ついたんすか……?」

 

アヤ「ダメ…翔も彩羽さんも、全く連絡がつかない……」

 

ユキ「…っ……翔、さん……」

 

ライブを終えたばかりのDollsも、翔が心配でたまらなかった。港区は無事浄化され、ピグマリオンの驚異に怯える必要は無くなった。だが、彼女達は全く嬉しくなかった……共に戦い、日常を過ごし、絆を育んできた翔が、居なくなってしまったのだから。結局翔を見つけ出す事ができず、彼女達も脱力していた。

 

 

 

斑目「……。」

 

カナ「……。」

 

事務所も、重苦しい空気に包まれていた。

 

蜜璃「…翔君、戻ってないんですか?」

 

この日、蜜璃は漸く目を覚ました。だが、翔が居ない事に気付き…また、彼を心配していた。

 

愛「…うん、まだ戻ってない……」

 

深雪「それに、彩羽さんもまだ戻ってないです……」

 

蜜璃「えっ、彩羽ちゃんまで…?」

 

翔だけでなく、彩羽までも戻って来ていない。翔が居なくなったドールハウスは、すっかり活気が無くなっていた。Dolls達も、しばらく休業となっている。

 

 

ヴーッ、ヴーッ…

 

 

その時、愛のスマホが鳴った。

 

愛「…!?」

 

愛はすぐに電話に出る。

 

愛「もしもし、翔君!?」

 

凰蓮『あら、愛ちゃん?ワテクシよ、凰蓮・ピエール・アルフォンソ。』

 

相手は知り合いのカリスマパティシエ、凰蓮だった。

 

愛「…あっ、すみません凰蓮さん。」

 

凰蓮『気にしないで?それより、大丈夫…じゃあ、無さそうね……』

 

愛「……。」

 

凰蓮『そうそう、有力な情報があるのだけれど…』

 

愛「…もしかして、翔君の事ですか?」

 

凰蓮『えぇ、そうよ。』

 

愛が席を立ち上がると、斑目らも期待を向けるような顔をして立ち上がる。

 

愛「翔君は、どこに…?」

 

凰蓮『最近見たのは、東京都の……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、荒川流域の河川敷では…

 

翔「……。」モグッ…

 

彩羽「……。」モグッ…

 

翔と彩羽が肉まんを食べながら歩いていた。

 

彩羽「…美味しい?」

 

翔「…あぁ、美味いよ。」

 

ドールハウスに帰らず、ただ東京中を歩いていた。所謂、家出状態となっている。

 

彩羽「それで、わがままって何のこと…?」

 

翔「…東京都にな、ビルを買ったんだ……俺はしばらく、そこで過ごす…ちょっとだけ、考える時間が…欲しいんだ……」

 

彩羽「…そっか。」

 

翔「姉貴、着いて来いとは言わねぇ…来たくなけりゃ来なくて良い、今よりも遥かに生活水準が下がるからな……来るなら、それを覚悟した上で来い…」

 

予め売られていたビルそのものを購入し、そこでしばらく過ごす事にした翔。1度ドールハウスを離れ、考える時間が欲しいと言うが…本当は……

 

 

翔(過ちを犯した以上、あそこには居られねぇ…戻れば、また…あそこの誰かを喰っちまうかもしんねぇからな……)

 

 

過ちを犯した自分を許せず、また戻ればドールハウスの誰かを食べてしまう…再び自分の手で、ドールハウスの者を…大切な人達を傷付けてしまう事を恐れたからだった。

 

彩羽「うん、分かった。アタシも着いてく、むしろ連れてって?」

 

翔「…本当に良いのか?今ならまだ間に合うぞ?」

 

彩羽「良いの、生活水準が良くても…そこに翔君が居ないと、意味ないからさ……」

 

翔「……そうか。」

 

家出をする翔と共に、彩羽もドールハウスを出ていく事にした。その後2人は、夜中にドールハウスへ戻り…最低限の荷物とそれぞれのライダーシステムを持って、ドールハウスを出て行った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。