〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
ドールハウスを離れてから、どれほど経っただろうか…俺達STARSは、順調に滑り出している。数々の依頼をこなし、世間からは信頼を得つつある。しかし…俺は七草さんを喰ってしまったから、もうドールハウスには戻れなくなっちまった。戻って来ても良いって、あそこの奴らは言ってくれた……けど、俺自身がそれを許さん……いつ俺の中のアマゾン細胞が覚醒するか、分からないこんな状況で…また、ドールハウスの誰かを喰ってしまうかもしれねぇ……それだけは、避けなければならない。それに、ここの仲間達の誰かを喰ってしまう事も、避けなければな……
翔「……。」
そう思いながら、翔はSTARS本部ビルの屋上にいた。上を見上げると、無数の星屑が輝く夜空が東京中に広がっていた。そこに、STARS副隊長であるあからがやって来る。
あから「あ、いたいた。隊長殿、ちょっと良いかい?」
翔「…どうした?」
あから「今夜、ここでバーベキューでもしないかい?STARS結成記念…的な感じで、どうかな?」
翔「…STARS結成記念バーベキューか、面白い。良いじゃねぇか。」
あから「へへっ、隊長殿ならそう言ってくれると思ったよ♪」
あからはそう言って微笑む。翔も口角を上げ、メンバー全員を屋上に呼んだ。
ほたる「隊長サーン、皆来ましたよ〜!!」
モニカ「わぁ〜、星がキレ〜イ♪」
雪枝「お肉も野菜もお米も沢山ありますよ~♪」
翔「おぉ、よく来てくれた。」
屋上には、STARSメンバー達が食材や飲み物を持って続々とやって来る。
マリ「さて、準備しようか。」
幸子「そうですね。」
翠「よっしゃあ、わたしも手伝うよ~!!」
道具を準備し、食材の用意をするメンバー達。翔は火を起こし、薪を焚べる。パチパチと音を立てながら、オレンジ色の炎が燃える。
ミネルヴァ「よし、それじゃあ焼こうか!」
モルガナ「そうですね、火が燃えている内に…じっくり焼きましょう。」
鉄板では肉や玉ねぎ、ピーマンやパプリカ等を焼き…グリルでは串に刺した肉や野菜、焼き鳥等を焼いていく。
楓「隊長さん、私達も参加して良かったんですか?」
翔「当たり前だろ、遠慮は要らねぇよ。」
遠慮がちに聞く楓に、淡々と答える翔。
翔「フェイ、お前もだ。遠慮しなくて良い、俺達は仲間なんだから。」
フェイ「…うん、うん…たいちょー、ありがとう!!」
翔の言葉を聞き、目に涙を浮かべるフェイ。
彩羽「皆ー、お肉焼けたよー!!」
彩羽はトングで焼けた食材を紙皿に盛り付け始める。全員がそれを持った所で、あからは翔に言う。
あから「それじゃあ隊長殿、音頭を取ってくれるかい?」
翔「あぁ。お前達、飲み物を持て。」
翔は深呼吸をすると、メンバー達にこう言った。
翔「俺達STARSは、都民を守る為に存在する。この先、辛く苦しい事もあるだろう…だが、俺達には俺達の正義が、やり方がある。世間がどう考えていようが関係ねぇ、俺達は誇りを持って都民を妖魔やストライカー共から守って行く。だが、今は思いっ切り楽しんで行こうじゃねぇか。今、STARS結成を記念し、乾杯。」
翔の音頭を合図に、STARS結成記念バーベキューが幕を開けた。本部ビル屋上を舞台にしている為、人目を気にする必要は無い。
フェイ「ん〜、さいっこー!!」
彩羽「ホントホント、どれも美味し〜♪」
あから「肉だけじゃなくて、野菜もしっかり食べるんだぞ?」
メンバー「「「は〜い♪」」」
ワイワイしながらバーベキューを楽しむメンバー達。そんな中、翔はメンバー達から離れた場所にいた。
翔「……。」モグッ
翔(…うん、美味い……)
肉と野菜を一緒に食べ、頷いて見せる。ドールハウスに居た時、一時的ではあったが…誰かの手料理を食べる事が怖くなってしまっていた。しかし、今ではそれを克服し、躊躇う事なく料理を口に運べるようになっている。
翔(コイツらは皆、本気で信頼できる仲間だ…流石に
彩羽「翔君もこっちにおいでよ、楽しいよ?」
翔「生憎だが、ここから見える景色が格別なんだよ。」
彩羽「えっ、ホント!?それじゃあアタシも行く〜♪」
彩羽は翔の隣に椅子を持って来ると、そこに座った。本部ビルからは、江東区の夜景がよく見える。いくつもの高層ビルが放つ明かりは、東京をよりきらびやかにしている。レインボーブリッジや東京ツリー、ゆりかもめ等も見える。
彩羽「わぁ〜、良い景色〜♪ね、翔君?」
翔「…そうだな。」
屋上のフェンスを掴みながら無邪気に言う彩羽と、そんな彼女を見守る翔。
ほたる「ホントだ、キレ〜イ♪」
モニカ「これがニッポンの夜景かぁ、ヤバ〜♪」
あから「本当に美しいな…!」
マリ「私も、こういうの好きだよ。」
雪枝「スゴいです、こんなに綺麗な夜景…!!今まで見たこと無いかも。」
幸子「今まであった辛かった事が、みんな洗い流されて行くような感覚…」
モルガナ「ふふっ、こんな夜も…たまには良いですね。」
小春「わぁ、これが東京の夜景ですか!!」
翠「良いね良いねぇ、めっちゃ綺麗!!」
ミネルヴァ「うん、絶景だよ!!」
楓「本当に綺麗ね。」
フェイ「そうだね。」
翔と彩羽の近くには、いつの間にかSTARSメンバー達が集まっていた。皆、東京の夜景に釘付けになっている。
翔「……。」
翔(たまには、こういうのも…悪くはねぇな……)
メンバー達と共に東京の夜景を眺め、居心地の良さを感じる翔であった。