〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百六十四話 夜になれば

ドールハウスでは、Dollsはいつも通りアイドル活動や巡回任務を行っていた。その為、東京は今日も…いつも通りピグマリオンの危機に晒される事は無い。だが、ドールハウスにいる者達の心には、1つの穴が空いてしまっていた。それは……

 

 

 

斑目「カナ、翔からの連絡はあったか?」

 

カナ「いいえ…全く無いですね……」

 

斑目「…そうか。」

 

翔が去って行ってしまった事だった。ドールハウスにとって、彼は大きな存在だった。ここにいる者達の殆どが、彼によって救われた…そんな恩人が、いなくなってしまったのだ。あの事件をきっかけに……

 

蜜璃「翔君はきっと、あの時の事を気にしてる…だから連絡をしない、ううん……連絡できないんだと思う。」

 

深雪「…そうですよね。」

 

愛「…だよね?」

 

港区浄化ライブの日、アマゾン細胞が覚醒を初め…食人衝動が抑えられなくなった翔は、七草 蜜璃の腕を切断し、食べてしまった。だが、Dollsの声掛けによって我を取り戻す事ができた。それでも、大切な者を傷付けてしまった事実は変わらない……それを気にしてか、ドールハウスには勿論の事…Dollsにも連絡を一切入れなくなってしまった。

 

蜜璃「翔君…ちゃんとご飯食べてるかな?」

 

蜜璃は未だに動かない左腕に手を添えながら、彼を心配している。

 

愛「元ストライカーの皆にもLINEはしてみたんだけど、全然返信が無いんだよね…それどころか、既読すらつかない。」

 

深雪「翔君が結成した新しい戦闘組織、段々世間に知れ渡って来ましたからね。元気そうに見えても、流石に心配ですね。」

 

カナ「ストライカー・アタッカーズ、ですよね?江東区に、豊洲市場近くに本部ビルがあると……」

 

斑目「……。」

 

斑目は何かを考える仕草をすると、こう言った。

 

 

斑目「ならば、我々ドールハウスもストライカー・アタッカーズに依頼をしよう。ストライカーの撃退や妖魔討伐が主な任務と言っていたが、他の依頼もやると言っていたな。近々、Dollsは歌番組に出演する。彼女らの護衛を、ストライカー・アタッカーズに任せよう。」

 

 

それは、自分たちドールハウスが直々に翔達に依頼をするという案だった。

 

カナ「成る程、その手がありましたか…では、早速依頼を送ってみますね!」

 

カナはパソコンを操作し、STARSホームページから依頼を送った。その日は、星空がよく見え、月も見える夜だった。

 

 

 

その頃、Dollsが日常生活を送っているドールハウスの女子寮では……

 

シオリ「アヤさん、どうですか?翔君から何か連絡は…」

 

アヤ「残念ながら、ゼロね……」

 

翔と会うどころか、話す機会すら無くなってしまった事で、Dollsは皆寂しそうにしていた。

 

サクラ「翔さん、元気にしているでしょうか…?」

 

ミサキ「少なくとも、新しい戦闘組織として活動はしてるみたいだから…元気ではあると思うけれど……」

 

ナナミ「確か、ストライカー・アタッカーズ…でしたよね?翔さん、多分あの時のことを気にしているかもしれないですね。」

 

レイナ「そうね、翔君は誰よりも優しくて仲間思いな美しい人…きっと、蜜璃先生の腕を食べてしまった事を気にしているわ。恐らく、ここに戻って来たらここの誰かを傷付けてしまう…翔君はそう思っているかもしれないわ。」

 

ヤマダ「だからジブンら連絡できないんスよね、翔さんの立場に立ってみたら…」

 

ヒヨ「翔さん……」

 

ユキ「さみしい、です…翔さん……」

 

翔がいる事が当たり前だった…会いたい時にはいつでも会いに行ける…話したい時にはいつでも話せる…そんな日常が、彼女達にとってのもう一つの当たり前……それが無くなった今、彼女達の笑顔はすっかり減ってしまった。

 

レイナ「生きるとは、他の誰かの命をいただく事…翔君はただ、生きる為に必要な行為をしただけ。」

 

シオリ「そうですね。アマゾンだから人を食べてはならないという決まりはありませんし…」

 

アヤ「そもそも、蜜璃先生も翔のこと責めるつもりなんて無いんだし…」

 

確かに過ちを犯してしまった翔…しかし、ドールハウスには彼を責めようとする者は誰一人居ない。それでも、彼はもうここに居ない…どんなに庇っても、ドールハウスに戻っては来ない。

 

 

 

一海「んぐっ…なぁ、翔のヤツ、新しい戦闘組織を結成したんだって。」

 

紫「あぁ、そのようだな。」

 

その頃、一海達が暮らすシェアハウスでは…彼らはニュースを見ながら食事をしていた。

 

友香「それって、まさか……」

 

諒芽「翔ちん、ドールハウスを離れたな?」

 

彼が戦闘組織を結成したと言うことは…ドールハウスを離れた、彼らはそう推測する。翔の友人である彼らは、翔を心配していた。

 

諒芽「何の理由も無く離れるなんて考え難いしなぁ……」

 

紫「そうだな、きっと何か理由がある……」

 

友香「でも、その理由を翔さんが話す事は……」

 

一海「あぁ、絶対に無いだろうな……」

一海(余計な詮索なんて絶対にできねぇよな…ドールハウスを離れた今、ストライカー共の襲撃頻度も上がるだろうな……)

 

ドールハウスには翔を守ってくれる存在が沢山いる。Dollsを始め、斑目とカナと愛、深雪と蜜璃、そしてNumberSも……そこから彼が離れた今、ストライカー達にとっての脅威は大きく減った。その上、彼は自ら堂々と世間に居場所を晒した。よって、ストライカー達はそこを集中して狙えば良いのだ。

 

一海「江東区に本部ビルがあるよな?その付近を巡回しないか?」

 

紫「しかしだな一海、あまりウロウロしていると翔に怪しまれるリスクがある。」

 

諒芽「そんじゃあさ、翔ちんに雇って貰おうぜ!!」

 

友香「あのぉ、STARSに職員募集は無いんですけど……」

 

この日は、考え込む夜であった。

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