〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
楓「隊長さん、お忙しい所失礼します。」
翔「おぉ、どうした?」
次の日、STARSはいつも通りの日常を送っていた。そんな中、楓が翔の元へやって来た。
楓「依頼の事について、少し相談が…」
翔「…?」
翔は楓が持ってきたパソコンを覗き込む。
翔「…へぇ。」
翔(ドールハウスが直々に依頼して来るとはな、斑目さんめ…考えやがったな?)
楓「どうします、隊長さん?断る事も可能ですが」
翔「いや、受けよう。依頼内容自体はそこまで難しくねぇ、断る理由なんてねぇよ。」
楓「……。」
翔「楓はフェイとミネルトリオとここに残って、本部を警備してくれ。」
翔は躊躇う事無く、ドールハウスからの依頼を受けた。その後、出動するメンバー達を集め、歌番組が行われるライブ会場へと向かった。
彩羽「ねぇねぇ翔君、本当に受けて良かったの?」
翔「あぁ、問題ねぇ。仕事ならば、あまり私情を挟むわけにはいかねぇだろ?それに、それなりの報酬は貰うからな?」
やがて、目的地のライブ会場に到着したSTARSメンバー達。今回のメンバーは、隊長である翔と副隊長のあから、構成員にほたる、マリ、雪枝、モニカ、幸子、モルガナ、彩羽の9人。モシュネ達は伏兵として会場に忍ばせている。メンバー達は会場に入ると、依頼主の元へと足を運ぶ。
斑目「よく来てくれた、STARSの諸君。我々の依頼を引き受けてくれたこと、感謝する。」
翔「それは依頼が終わった後にでもしろ、今はまだ早ぇだろうが。」
ドールハウス所長の斑目に対し、容赦なく毒を吐く翔。
カナ「お久しぶりです、翔君♪」
蜜璃「翔君♪」
翔「……。」
久しぶりに翔の顔を見て、嬉しそうな顔をするカナと蜜璃。反対に、気まずそうな顔をする翔。
深雪「皆さんには、会場の護衛をお願い致します。」
あから「はい、任せてください!!我々STARS、全力を尽くします!!」
メンバー達はそれぞれの配置に付き、任務を開始する。翔は彩羽と共にステージ付近の護衛に当たり、後のメンバー達は出入り口付近の護衛に当たった。
アイドルA「あの、青空 翔様ですよね?」
翔「…?」
その時、アイドルグループのメンバーが話し掛けてきた。
翔「…用件は何だ?」
アイドルA「私、翔様のファンです!!STARSの事も、応援してます!!」
翔「そうか、あんがとよ。お前達も、多くの人に笑顔を振り撒いてくれよな?」
アイドルA「はいっ!!さぁ皆、行くよ!!」
翔の言葉を聞いたアイドルグループはステージに上がり、パフォーマンスを披露する。
彩羽「ンムムムムムゥ〜〜!!」プクーッ!!
翔「んだよ、ハリセンボンみてぇな顔しやがって……」
彩羽「アタシの可愛い弟に気安く話し掛けるなんてェ!!」プンスカ!!
先程のアイドルグループのメンバー全員、かなり顔付きもスタイルも良い。ブラコンである彩羽にとって、天敵とも言える存在である。
翔「姉貴もいちいち気にしてんじゃねぇよ、俺が振り向くとでも思ってんのか?」
彩羽「それもそっか☆」
急に機嫌が良くなる彩羽。翔が恋愛に興味が無い事を知っているため、あれしきの事では弟が振り向く事は無いと認識したからだ。そうしている内に、Dollsがステージに上がってパフォーマンスを披露し始める。彼女達の出番が来た途端、会場は大盛り上がりを見せる。先程のアイドルグループとは比べ物にならない程だ。
翔「流石は国民的アイドルだな。」
彩羽「うん、そうだね。」
その時、バッジ型通信機が鳴る。
翔「俺だ、どうした?」
幸子『た、隊長さん…お、妖魔が現れました…!!』
翔「もう現れたのか、場所は?」
幸子『東西南北の出入り口全部です…!!』
翔「了解、モシュネ達を向かわせる。現れた妖魔と迎撃しろ。多少打ち漏らしても良い、俺らがしっかりフォローするからな。」
幸子「は、はい…!!」
通信を終えた後、すぐに伏兵モシュネ達を呼ぶ翔。
翔「各隊、メンバー達をフォローしつつ妖魔を迎撃しろ。」
通信機の向こうから無数の『了解しモシュた!!』という返事が返って来る。
翔「姉貴、俺とここに残れ。メンバー達の攻撃を潜り抜けた奴をぶっ潰すぞ?」
彩羽「わかった。」
翔からの指示を受け、バースドライバーXを装着する彩羽。翔はネオアマゾンズドライバーではなく、ネオディケイドライバーを装着する。やがて、STARSやモシュネ達の攻撃を逃れ、ステージに妖魔が侵入して来る。そのタイミングで、翔はステージ上に姿を現した。そして、襲い掛かって来る妖魔に中段蹴りを放った。
レイナ「ッ!?しょ、翔君…!!」
翔「へぇ、アイツらの攻撃を潜り抜けて来るとはな…俺が直々に歓迎してやろう。」
戸惑うDollsを余所に、翔はライドブッカーから『ディケイドライダーカード』を取り出す。
翔はそう呟くと、ネオディケイドライバーにカードを装填し、ドライバー操作を行う。
ドライバーから音声が響くと、無数のシルエットが翔の身体に重なり、仮面ライダーへと姿を変えた。
客「お、おい…あれ、ディケイドじゃね!?」「本当だ、仮面ライダーディケイドだ!!」
知名度が高いライダーである仮面ライダーディケイド、そんなライダーがDollsがいるステージ上に姿を現し、客は大騒ぎしている。
ディケイド「……。」
客の騒ぎ等気にせず、ディケイドはライドブッカーをソードモードにし、ステージ上に上がって来た妖魔を斬り捨てて行く。
ディケイド(…つまらん、妖魔が弱すぎるぜ。)
その時、侵略型妖魔が姿を現した。パスト・アルカリアだ。パスト・アルカリアはディケイドを見るなり、ディケイドの姿へと擬態する。
ディケイド「おい、誰の許可得てその姿になってんだよ?」
ディケイドは偽ディケイドに向かって行くと、素早い動きから斬撃を幾つも繰り出した。やがて、偽ディケイドはパスト・アルカリアの姿に戻る。
バースX「はぁぁああああ!!」
そこに、カニアームを武装した仮面ライダーバースXが、もう一体のパスト・アルカリアと共にステージ上に上がって来た。カニアームの刃でパスト・アルカリアを攻撃し、ディケイドの近くに移動する。
ディケイド「…よし、今日はコイツで行くか。」
ディケイドはライドブッカーからカードを取り出すと、ドライバーにカードを装填…ドライバー操作を行う。
姿はドライバーを除き、オーズそのものになった姿『ディケイド
男客A「おぉ!!オーズとバースがステージに!!」
男客B「兄貴のセンス良いなぁ!!」
Dollsを守るのは、【仮面ライダーООО】に登場する2人の仮面ライダー、オーズとバースだ。
バースX「何か、すんごい盛り上がって来ちゃったね。」
ディケイドООО「気にしたら負けだ、さっさと倒すぞ?」
2体のパスト・アルカリアはディケイドОООとバースXに襲い掛かる。ディケイドОООは両腕にブレード状のアーム武器『カマキリソード』を形成し、パスト・アルカリアを斬り付ける。バースXはカニアームで突撃や斬撃を行い、パスト・アルカリアを追い詰める。2体のパスト・アルカリアがステージ上を転がると、2人のライダー達はドライバー操作を行う。
いつの間にタトバコンボに戻ったディケイドОООは、バッタの脚の力で空高く飛び上がり、必殺技『タトバキック』を、バースXは助走をつけてからジャンプし、必殺技『キックバースデー・X』を繰り出す。2人のライダーキックがパスト・アルカリアを捕らえると、パスト・アルカリアは爆散した。
その後は妖魔やストライカーからの襲撃は無く、何事も無いままイベントを終える事ができた。最後に、Dollsやその他のアイドルグループ、ディケイドとバースXと握手をしてから、客は会場から去って行った。
カナ「皆さん、お疲れ様でした♪」
蜜璃「STARSの皆もありがとう!!」
マリ「別に、大したことはしてないよ。」
ほたる「あたし達はただ、依頼を行ったまでです。」
斑目「そんな事は無い。訪れた大勢の客を1人も怪我させること無く、無事に返した。この功績は大きい。流石は、翔が率いる戦闘組織だ。」
翔「褒めたって何も出ねぇぞ?」
斑目は分厚い封筒を翔に渡す。翔はそれを受け取り、金額を確認し始める。
翔「…おい、50万多いぞ?依頼料は300万の筈だ。」
翔はそう言うと、50万を斑目に返した。
斑目「客を誰も怪我させなかったからな、多めに」
翔「駄目だ、それじゃあ約束が違ェ。」
契約内容をしっかり守る翔は、斑目を黙らせた。そして、メンバー全員の無事を確認する為に点呼を取る。
翔「点呼取るぞ、マリ。」
マリ「ほーい。」
翔「雪枝。」
雪枝「はい!!」
翔「ほたる。」
ほたる「はい!」
翔「モニカ。」
モニカ「はーい♪」
翔「幸子。」
幸子「は、はい…!」
翔「あから。」
あから「はい!」
翔「モルガナ。」
モルガナ「はい。」
翔「モシュネ達。」
モシュネ「「「はいモシュ!!」」」
翔「彩羽。」
彩羽「は〜い♪」
メンバー全員は、無事だった。怪我も無ければ、誰一人欠けていない。
翔「撤収。」
報酬を受け取り、会場から去って行くSTARS。
蜜璃「翔君…?」
翔「……。」
蜜璃に話し掛けられ、足を止める翔。
蜜璃「最近どうかな?」
翔「……。」
蜜璃「ちゃんとご飯食べれてる?」
翔「……。」
蜜璃は自分を気にかけてくれている…それは翔も分かっている。だが、あの事件以降、中々彼女と話す事ができなくなってしまっていた。そんな彼が、蜜璃に言えたことは…
…それだけだった。そして、1度も彼女に振り向く事無く、去って行った。
愛「翔君……やっぱり、あの時の事を気にしてるんだ……」
カナ「そうみたいですね…」
蜜璃「……翔君。」
その頃、STARS本部ビルでは…
翔「……。」パチパチ…
事務作業をする翔は、少し悲しげな顔をしていた。
翔(俺は恨まれたっておかしくねぇ事をした…なのに、何故あの人は…俺を気に掛ける……?いくら大好きな人であったって、されたら許せねぇ事の1つや2つ、あるだろうに……)
大怪我を負わせてしまったのに、何故そんな愚かな自分を気にかけてくれるのか…翔には、蜜璃の行動が解らなかった。
フェイ「ねー、たいちょーってばー…!」
翔「…ん?あぁ、悪い…どうした?」
フェイ「モシュネママからの情報なんだけど、ストライカー達…白河 昇が動けない代わりに末葉 あおいを隊長代理として動いてるんだって。」
翔「…成る程、アイツらの独断で動いてるってか?」
翔(案の定か…あんな無能の指示、誰も聞きやしねぇだろうなぁ……)
フェイが持ってきたマザーモシュネの情報を聞き、やっぱりかと思う翔。ストライカー達は白河 昇の指示を聞くことはあまりない…隊長の座を競い合っていた時代も、彼はその愚かさから他の者達からよく馬鹿にされていた。翔は昇に対し、そもそも興味が無かったが……
昇「あが……が……ぐ、ぉ………」
昇(くそ…こんな筈じゃ、こんな筈じゃ無かったのに……どうしてこう、上手く行かないんだ…!?)
その頃、富士の樹海では…動けなくなった昇をそっちのけで、会議をするストライカー達の姿があった。
あおい「あまり隊長ばかりを狙えば、上級妖魔達が数を減らしてしまう。」
栞「そうね…隊長さんの元には、元ストライカーの皆がいるものね。それも、妖魔との戦闘に慣れた……」
二穂「ならば、またDollsを狙うのはどうだろうか?アイツらならば、妖魔との戦闘にはあまり慣れていないだろう?とはいえ、アイツらも戦闘のプロだ……」
あおい「そうだな。高嶺先輩、偵察型妖魔と共に調査してくれないだろうか?」
アコ「りょーかいなのだ!!」
アコは無数の偵察型妖魔と共に、ゲートに入っていった。
あおい「我々の最終目標は、青空隊長を連れ戻す事。あそこで呑気に寝ている無能なんぞいらん。」
隊長とストライカー達間の信頼関係が全く構築できていない彼ら……無駄な会議や無駄な作戦を行っている事にすら、未だに気付けていないようであった。