〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百六十七話 川岸

「すぅ……すぅ……」 

 

ここは、ドールハウス女子寮とは別にある部屋…かつて、翔が生活していた部屋だ。その証拠に、部屋の棚には仮面ライダー関連の変身ベルトが、壁にはライダータスペトリーやポスター等が飾ってある。ここには、翔は居ない筈なのだが…彼のベッドの中に、何かがいる。

 

???「翔、さん…むにゃ……」

 

透き通るような美しい声、少女の声だ。それは、ベッドから顔を出すと、周囲をキョロキョロと見渡す。

 

ユキ「……。」

 

DollsチームCのメンバー、ユキだった。翔の事が大好きで、いつも彼の事を想い続けている。翔が居ないと知るや否や、悲しそうな顔をするユキ。そこに、もう1人の人物が入ってきた。

 

アヤ「翔、いる!?」

 

チームCのリーダー、アヤだ。ユキと同じく、翔の事が大好きなのだ。

 

アヤ「あ…そっか、翔は……」

 

彼女も翔が居ない事を再認識し、悲しげな顔をする。

 

アヤ「あ、そうだ…ユキはどこに行ったのかしら?も〜時間ないのに!!」

 

ユキ「……。」

 

アヤ「リビングのソファーにも食堂にも中庭とか屋上とかお風呂にもいないし……あたしやヤマダのベッドに潜り込んで来てる訳でもないし……外にはいってないと思うんだけどネコ絡みだと何するかわかんないし……」

 

ユキ「わたしが、いない…?」モゾッ…

 

アヤの言葉を聞き、翔のベッドから出てくるユキ。漸く彼女を見つけ、安心するアヤ。

 

アヤ「ああ、良かったユキ!今すぐユキを探しに−−」

 

そして、少しの間の沈黙が走る。

 

 

アヤ「−−−−は?」

 

 

ここは、翔の部屋…翔の部屋のベッドにいるユキ……状況を理解し始めるアヤ。そこに、ヤマダがやって来る。

 

ヤマダ「アヤさ〜〜ん…やっぱ外じゃね?女子寮どこ探してもいないっす。スマホは部屋にあったし追跡できない…もしかしたらもう事務所に−−Oh……」

 

ヤマダも状況を理解し、言葉を失う。

 

ヤマダ「…成る程、翔さんが恋しかったんすね。翔さん、ユキさんの好感度上げすぎっショ…これギャルゲだったらエピローグっすよ…おっと、翔さんは居ないんでしたね……」

 

翔に対する好感度が高いのはユキだけではない。アヤとヤマダもだ、そもそもDollsは皆…翔の事が大好きなのである。

 

ユキ「はい…翔さんが、こいしいです……」

 

アヤ「……そう、よね…」

 

“あの事件”が発生したのをきっかけに、ドールハウスを去ってしまった翔。いつ帰って来るかも解らない…下手すれば、2度と帰って来ないかもしれない……その不安が、ドールハウスの者達の心に空いた穴である。

 

PPP−−

 

カナ『翔君、起きていますk……あっ、いけない…翔君は今……』

 

その時、翔の通信機からカナの声が聞こえてきた。ドールハウスの者達は、翔が居ない生活に未だ慣れていないようだ。

 

ヤマダ「カナさん、どうしたんすか?」

 

カナ『あ、ヤマダちゃん。チームCの皆さん、そこにいますか?『荒川視察巡回』の件で…チームC以外、ロビーに集合していますが…』

 

アヤ「ああヤバっ!!もうこんな時間!!」

 

ヤマダ「はいは〜い…ジブンもユキさんもいるっす〜…ちょっと翔さんが恋しくなってしまいまして〜…」

 

斑目『お前達、翔が恋しいのは解かる…だが、油断していると翔に嗤われるぞ?』

 

ドールハウス所長の斑目 セツナも、表面上は平常だが…本当は翔が恋しいのだ。チームCは急いで、集合場所のロビーへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、STARS本部ビルでは…

 

翔「よく来てくれた。」

 

作戦会議の為、事務所内にはSTARSメンバー全員が集結していた。

 

翔「最近、荒川区にて妖魔の目撃情報が耐えないそうだ。」

 

彩羽「えっ、どうして解かるの?」

 

翔「己の勘だ、後コイツが証拠。」

 

スマホの写真を見せる翔。そこには、荒川の橋に蔓延る妖魔の群れの姿があった。

 

翠「…ん?ねぇ隊長ちゃん。」

 

翔「どうした?」

 

翠「ここの部分、ちょっと拡大して貰えるかな?」

 

翠は画面左に指を刺しながら言う。そこは、霧がかっていて、パッと見ても何も見えない。翔は彼女に言われた通り、その部分を拡大してみせる。そこには、見覚えのある4つの人影がうっすらと映っていた。

 

翔「…ストライカー共か。翠、よく気付いたな。」

 

小春「もしかして、ストライカー達の指示で妖魔がここに現れているのでは…」

 

翔「その可能性が高い。」

 

幸子「でも、何故…荒川区に絞ったのでしょうか……?」

 

白河 昇が動けなくなった今、妖魔を指揮しているのはストライカー達で間違いない。だが、何故荒川区に集中して妖魔を放つのか…翔以外のメンバー達は疑問を抱く。

 

マザーモシュネ「隊長さん、何か解ったの?」

 

翔「Dollsの任務の舞台が、荒川区なのかもな。アイツら、俺じゃなくて…俺の身近な存在に目を着けたのか。Dollsは戦闘慣れしているが、妖魔との戦闘経験はまだ浅い。くそっ、考えやがったな…」

 

現在、翔の元には妖魔との戦闘経験が豊富な元ストライカー達がいる。国家兵器であるDollsも戦闘のプロフェッショナルだが、妖魔との戦闘経験は比較的浅い。そこで、Dollsの元に妖魔を送り込み、任務を妨害…更には、Dollsの殺害を企てていると翔は予想する。

 

翔「俺は荒川区を集中して散策しよう、お前達は引き続き近くの護衛を頼む。」

 

彩羽「それじゃあアタシも」

 

翔「駄目だ、姉貴はメンバー達と行動しろ。」

 

彩羽「えぇ〜!!??」

 

あから「しかし、隊長殿1人では危ないんじゃ…?」

 

翔「大丈夫だ、東京中にモシュネ達を向かわせている。俺は1人じゃねぇよ。」

 

東京中には、数多のモシュネ達が巡回している。少しでも異変があれば、すぐに連絡が行く。

 

翔「んじゃ、行って来る。」

 

モルガナ「隊長さん、お気をつけて。」

 

翔「あぁ。」

 

翔は1人、本部ビルを出て、荒川区へと向かった。

 

 

 

その頃、荒川区のとある川岸にある橋では…Dollsが巡回に来ていた。

 

ヒヨ「うわ〜い、ひっろーーーい!!」

 

広い場所にいて、はしゃぐヒヨ。

 

レイナ「フフッ、ヒヨの笑顔は太陽の下だといっそうBEAUTIFULね。」

 

ナナミ「それには同意しますが…ヒヨさん、そんなに走っちゃ危ないですよ!」

 

はしゃぐヒヨを見守るレイナと、注意喚起するナナミ。

 

サクラ「でも、わかります。ウズウズしちゃいますよね!この開放感、なんだか東京じゃないみたいで…」

 

シオリ「ええ、浄化ライブの下見とはいえ、高揚してしまいますね…!」

 

ミサキ「貴女たち、気を抜きすぎよ。所長は『オフの代わり』っておっしゃったけど−−」

 

あまり緊張感が感じられない巡回、ミサキは神経を尖らせているが……

 

シオリ「あら…ミサキさん、あちらにスカイタワーが見えますよ。」

 

シオリはゆるふわとしている。

 

ミサキ「…どうして私にいうのよ。」汗

 

シオリの言葉に戸惑うミサキだが、段々緊張が解れて来たようだ。

 

ミサキ「うん、でも…でいい景色ね。……守れてよかった。」

 

サクラ「えへへ…♪」

 

この美しい景色があるのは、彼女達が命を掛けてピグマリオンや妖魔達、ストライカー達と戦ったからだ。

 

アヤ「だけど、ほんっとなんにも無いわね…こんな場所で浄化ライブとか、想像つかないわ。ここまでの景色も下町〜ってカンジで、イベント会場なんて無かったし。」

 

今回の舞台は、東京23区の1つ『荒川区』だ。現在、彼女達がいる場所にはライブ会場はおろか、イベント会場になりそうな場所が殆ど無い。

 

ナナミ「なにより新宿を包囲するには、荒川区は少し離れすぎていますよね。『ピグマリオンの他県への流出を抑える』理解はできますが、ベストかどうかは……やはり最初の議題どおり、練馬区か中野区を押さえるのが妥当だったのでは?」

 

ナナミが言うように、荒川区はピグマリオンの巣窟と化した新宿からはまあまあ離れている。練馬区と中野区は、新宿から近い場所にある。

 

シオリ「練馬区には第1師団が駐屯する自衛隊基地があるから、というお話でしたね。私達が事務所を構える目黒区同様、彼らにとっても、守りたい庭なんでしょう。」

 

練馬区には自衛隊基地があるため、Dollsは送り出されなかったようだ。自衛隊の一部メンバー達は、ピグマリオンと戦える者達がいる。

 

ヤマダ「ハーン、お役所っぽいことで……ま、めんどくさくなきゃいいっす。」

 

愛「−−とりあえず、天気もいいし少し歩いてみよっか。」

 

サクラ「そうですよね!なにか思いつくかもしれないし、お弁当も持ってきましたし…」

 

もはや、巡回と言うよりピクニックだ。だが、それがDollsなりの巡回でもある。

 

ヒヨ「お弁当っ!?ちくわは入ってる??」

 

アヤ「もっちろん!アヤちゃん特製おにぎりもね♪今日はユキも手伝ってくれたレアものよ!」

 

愛「へえ〜、ユキちゃんが料理なんて珍しいね。」

 

ユキ「…翔さんにも、食べて欲しいです。」

 

愛「……。」

愛(翔君…やっと誰かの手料理を食べれるようになったからねぇ……)

 

ストライカー達の影響により、一時的に人が作った料理を食べる事が困難になった翔だったが、ドールハウスの尽力により、克服できた。しかし、ここには翔は居ない。

 

愛「…翔君もきっと喜ぶよ、ユキちゃん。」

 

ユキ「ありがとうございます。…ご飯、たくさんぎゅっとしました。」

 

ユキは翔の為に、具沢山おにぎりを作ったようだ。梅干し、おかか、ツナマヨネーズ、プルコギ等々…豊富な種類の具と、沢山の愛情が籠もっている。そこに、蝶が現れる。蝶が現れるということは、ピグマリオンが出現する合図である。

 

PPP−−

 

斑目『−−各自、聞こえるか?そちらに適性反応が確認された。周囲を警戒、ピグマリオンを見つけ次第討伐せよ。』

 

愛「はい。皆、戦闘準備を!」

 

ピグマリオンが確認され、戦闘体勢に入るDollsと愛。しかし、適性反応はピグマリオンだけではなかった。

 

 

 

二穂「よし、あの化け物共が出て来たな。我々も化け物に続いて出るぞ。」

 

依咲里「御意。」

 

華賀利「嗚呼、隊長様の近くを彷徨く害虫共の叫び声が、早く聞きたいですわ〜♪」

 

ストライカーである二穂、依咲里、華賀利の背後には多くの妖魔達がいる。殆どが偵察型妖魔なのだが、6体程のパスト・アルカリアもいる。それらは、マリ、雪枝、ほたる、モニカ、幸子、あからの姿に擬態した。

 

二穂「まずはSTARSメンバーとDollsの信頼関係を壊そう、そうすれば翔を連れ戻しやすくなる筈だ。」

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