〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百七十五話 熱量の返済

STARSメンバー達が人命救助を行う最中、翔と彩羽はDollsと協力してピグマリオン及び妖魔軍を引き連れたストライカーを撃破した。その頃、人命救助もある程度終わり、救急車が現場にやって来るのが見えた。

 

シオリ「救急車が到着し始めたようですね……あら?」

 

自衛隊員『現在大規模事故で交通が制限されています!落ち着いて行動してください!』

 

既に自衛隊も到着しているのだが、事故の規模が大きい為、車両が中々前に進まない。

 

ミサキ「自衛隊…よね?そんなに被害が拡大しているの……?」

 

サクラ「あ、負傷者の方が運ばれていますね!良かった……」

 

翔「良くねぇよ、死人まで出てるんだぞ…」

 

翔の視線の先には、カップルと思わしき男女がおり…男性の方が息を引き取っていた。女性は声を上げて泣いている。中には、この事故で親を亡くした子供…我が子を亡くした親までもいる。

 

翔(…くそ、最悪な状況だ……これ以上死人が出るのは御免だ……)

 

苦虫を噛み潰したような表情を見せる翔。そこに、見覚えのある自衛隊がやって来る。害特だ。

 

斑目『害特が到着したようだな。救援は彼らに任せておけ。』

 

翔「あんなへっぽこ連中に任せられるか…って、言いてぇとこだが……いねぇよりかはいる方がマシだ。各隊、害特と共に引き続き人命救助をしろ。」

 

害特を嫌っている翔だが、私情を挟むわけには行かないと思い…今は彼らと協力し、人命救助を行う事にした。

 

愛「…自衛隊が出動する規模の事故が起こっちゃったね……」

 

斑目『……規模は確かに大きい。ただ、それよりも気になる状況が−−』

 

その時、Dollsのメンバーに異変が起きる。

 

ユキ「あ……ああっ……!」

 

ユキが突如、声を上げ始めたのだ。

 

アヤ「えっ?ユキ?どうしたの、急に大声だして……」

 

ヤマダ「…やユキさん?ちょっと−−」

 

普段は物静かな彼女が、大声を出すのは非常に珍しい。

 

ユキ「……える…」

 

アヤ「え……?」

 

ユキ「…………消える……」

 

そう言い残すと、意識を失い…地面にドサッと倒れた。

 

翔「!?おい、どうした!?」

 

異変を察知した翔が、慌ててユキに駆け寄る。

 

翔「ユキ!!おい、大丈夫か!?しっかりしろ!!」

 

翔が声を掛けても、ユキはピクリとも動かない。

 

ヤマダ「ユキさん…!?おい!マジか…?」

 

アヤ「ちょっ…!ユキ!しっかりしなさい!」

 

斑目『どうした!?ユキに何があった!?』

 

アヤ「ユキが…ユキが急に倒れちゃった!!なんで…?どうして!?」

 

カナ『周囲には……敵性反応はありません!敵の攻撃ではなさそうですが…』

 

翔「おい!!ユキ!!…くそっ、反応無しか…!?おい片山さん!!」

 

愛「息はある、脈も安定してるし…命には別状は無い。でも、念の為医務室で診よう!!」

 

急に倒れたユキ、翔やメンバー達の呼び掛けにも反応を示さない。

 

斑目『待て、愛…シオリ、“あの病院”へユキを搬送しろ。ドールハウスよりそちらの方が近い。』

 

シオリ「!…はい!!」

 

斑目『私もすぐに向かう…!翔、君も来てもらえるか?』

 

翔「……。」

 

一瞬迷った翔だが、すぐに無表情になる。

 

翔「俺はSTARSの隊長だ、都民を守るのが俺達STARSの使命…今、ここには助けを求める多くの都民がいる。見放すことなんてきるか…!!」

 

翔はそう言うと、現場の方へ走って行った。Dollsはユキをとある病院に運び、現場を離れていった。

 

害特隊員A「STARSの皆さん、ご協力感謝します!!」

 

翔「口じゃなくて身体を動かせ!!」

 

翔はSTARSメンバー達に指示を出しつつ、人命救助を行う。

 

母親「あの、青空隊長!!」

 

翔「どうした!?」

 

母親「息子が、息をしてないんです…!!」

 

翔「何だと!?」

 

母親と共に、1人の男の子の元へ向かう翔。そこには、ぐったりと仰向けに倒れている男の子がいた。翔はすぐに人工呼吸と心臓マッサージを始める。

 

翔(駄目だ、逝くな…!!子どもは無限の可能性がある…将来の宝なんだ……頼む、俺はどうなってもいい……せめて、この子どもの命だけは…奪わないでくれよ!!)

 

懸命に心臓マッサージと人工呼吸を続ける翔。その時、男の子が息を吹き返した。

 

母親「駿太!!」

 

男の子「おか…あ、さん……」

 

翔「喜ぶのはまだ早ぇ…おい、この子を病院に運べ!!今すぐ!!」

 

やがて、救急隊員が到着し、男の子は病院に搬送された。その後も、懸命に人命救助を行うSTARSメンバー達…救援のメンバーも駆け付け、引き続き自衛隊と共に都民の救助に尽力した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

−−思ったよりも、変わってしまったかしら?

 

これも『奇跡』といえるかもしれないわ

 

だって、きっと

 

『あのヒト』が望んだことだから

 

『あのヒト』が思い描いたことだから……

 

ずるいわ。

 

呪いをかけたくなっちゃう。

 

…………

 

 

マキナ「呪いの人形…ふふ……この国ではとっても恐れられているのでしよう?

 

とてもいい『なぞらえ』になると思わない?

 

強い能力を宿す『理由』になると思わない?

 

 

メモリア、記憶の結晶……その本質。

 

 

それは、暗闇が思慕(しぼ)する光?

 

それとも、光が思慕する暗闇かしら?

 

ヒトはそうやって、毎日こぼれた過去に想いいを()せる…

 

記憶が感情を呼び覚まし、感情の積み重ねが…再び記憶として奥底に積もり、眠りにつき−−

 

 

やがて、奇跡を起こす熱量となる……

 

 

…だけど、光も闇も失ったからっぽの人形の目にその両方が宿るのはなぜかしら?

 

それだけが……観測していてもわからない。なぜ−−

 

 

なぜ、アナタがまだ動いているのか

 

異能の人間、運命の(くさび)、結界の贄、呪いの人形。

 

存在の変質にこれほど適応するなんて…… 

 

アナタの存在を『私』で補完はしたけれど……

 

それでも……不思議だわ。」

 

 

???「……。」

 

 

マキナ「……この庭の空気に息が詰まっているのかしら?

 

それとも、しゃべらないと自分を定義しているの?

 

ふふ…会話がいらないなら別にそれでも構わない…

 

私も、間に合っているもの……

 

アレは、アナタの中の『私』を見つけ出す。

 

目ざとくて癒やしい、()むべき存在

 

 

『神の肢体』

 

 

私がアレに侵食されるなんて我慢できない。

 

たとえアナタの中に切り離した私だとしても……

 

−−だから…、

 

 

次の奇跡のために、

 

あの日の熱量を返済なさい。

 

 

???「……………」

 

 

マキナ「あら、私は間に合っていると言ったのに。言葉を紡ぐ必要なんてないわ。

 

あるべき能力があるべき場所に帰るだけ。

 

摂理に従って、再び変質するだけ……

 

 

−−さあ、報いなさい。

 

あさましくも、醜い、感情の奴隷

 

 

今こそ、その枷から解き放たれる。

 

私の、『舞台装置』として−−−−

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