〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
その頃、富士の樹海では……
依咲里「に、二穂様…爆買いはお控えください……」
二穂「私はただ、欲しい物を手に入れたいだけだ!!」
小織「陽奈姉…またブランド物買ったの……?」
陽奈「別に良いじゃん、欲しかったのを買って何が悪いのさ?」
あおい「ええい!!必要ない物を買うなと言ってるだろう!!」
栞「もう資金が底を尽きそう…サイアク……」
ストライカー達が何やら揉めている。主に妖魔を使って資金を盗ませ、自分達の物にしていたのだが……そのせいで、大金を湯水のように使うメンバーが現れたのだ。今まで手の届かなかったブランド品を簡単に購入する事ができ、それ以来買い物が辞められなくなってしまったのだ。そのせいで、資金が殆ど無くなってしまったのだ。
悠水「せめて考えて買ってよぉ!!このままじゃ晩御飯抜きになっちゃうよぉ!!」
サトカ「嗚呼…お腹が、空いたですよ……」
天音「ちっ、また不採用…このアタシを落とすなんて、目の無い奴……」
真乃「天音、いい加減現実見よう……今の状況でアイドルになるなんて」
天音「うっさい!!アタシはアイドルになる運命なのよ!!」
相変わらずお互いを信頼し合ってない彼女達は、どんどん仲が悪くなっていくばかりだ。離れたいと思っても、どこにも行けず…結局、ここに残るしかないのだ。今更ストライカーを辞めたとしても、顔は既に世間に知られてしまっている。それもその筈、目の前の目的ばかりに目を向け…後先考えずに悪事を続けて来た結果だ。
昇「…ぇゔ……ゴ…がぁ……」
昇(もうやめてくれ、仲間同士で争ってたって何にもならないだろ……!!)
ストライカー達の争いを止めたい昇だが、怪我のせいで思うように身体が動かない。
イミナ「おい、1番の金食い虫が何か言ってるぞ?」
ノエル「人間の言葉で喋ってくださいます?あ、喋れませんのよね…ふふふっ、不様なものですこと。」
言葉を発することすら難しくなった昇を馬鹿にするストライカー達。
シャルロッテ「次はワタシ達が出撃するデス!ドールハウスの女医を殺害すれば、診る者が居なくなる筈デス!!」
ターニャ「シャルロッテさん、流石ですね。」
ノエル「言われなくとも、私もフェイとモニカをぶちのめしたいと思っていましたので。」
シャルロッテ、ターニャ、ノエルは複数の偵察型妖魔を引き連れ、時空の歪みに入って行った。
蜜璃「いっぱい買ったね、深雪ちゃん♪」
深雪「そうですね、蜜璃さん。それにしても、そんなに沢山の荷物を持って大丈夫なんですか?」
蜜璃「大丈夫!!だって私、力持ちだから♪それに、左腕も少しずつ動くようになってきたからね♪」
その頃、東京渋谷区には…買い物帰りの深雪と蜜璃の姿があった。
蜜璃「Dollsの皆も愛ちゃんも羨ましい、私も翔君に逢いたいなぁ。」
深雪「それは、難しいと思います。」
蜜璃「…そうだよね。だって翔君、STARSっていう戦闘組織の隊長だもんね。無理してないかな、怪我とか病気とかしてないかな…?」
中々逢えない翔を、誰よりも1番心配していたのは蜜璃だった。自分の腕を喰った事の罪悪感から戻って来ない事も、蜜璃は知っている。
蜜璃(あれは事故だったんだ…翔君はただ、お腹が空いていただけ…生きる為に私達が行っている当たり前の事をしただけ……だから、翔君は何も悪くない……)
翔が蜜璃の腕を喰った“あの事件”は、ドールハウスの関係者のみが知っている事で、世間には知れ渡っていない。世間に知られてしまっては、たちまち翔が批判されてしまう…この世界の住人として暮らしている彼を守る為、ドールハウスはあの事件の真相を誰にも話していない。その時、上空に黒い穴が出現し、それが段々大きくなっていく。『次元の歪み』…それは、妖魔が出現する合図である。
深雪「…あれは!?」
蜜璃「えっ、何!?」
戸惑う深雪と蜜璃。周囲の者達も、皆混乱し始める。
「おい、何だよあれ!?」「ブラックホールか!?それとも……」「おい、何か出てくるぞ!!」
やがて、次元の歪みから複数の偵察型妖魔が現界する。続いて、3人のストライカー達も地上に降り立った。
ノエル「愚かなる庶民達、ごきげんよう。我々はストライカーチーム『アマンド・フォーマルハウト』ですわ。」
ターニャ「隊長の居場所を知りませんか?」
シャルロッテ「死にたくなければ、我々の指示に従うデス!!行け!!」
シャルロッテが指揮棒を掲げると、偵察型妖魔達が都民達に襲い掛かる。途端に悲鳴が辺り一面にこだまする。しかし、その時……銃声が響き渡り、偵察型妖魔達が次々消滅していく。
「おい、都民に手ェ出そうとすんじゃねぇよ。」
蜜璃「こ、この声…!」
深雪「ふふっ、頼もしい救世主が来たようですね。」
何処からか聞き覚えのある声が聞こえると、ガンモードのライドブッカーを構える翔がストライカー達の前に歩いて来た。彼の両隣には銃剣を構えるフェイとモニカがいる。
シャルロッテ「伍長を探す手間が省けたデス。」
翔「こっちはお前達の動きなんざ、全部読んでるんだよ。俺達STARSが居るからには、好き勝手できると思ってんじゃねぇ。」
ノエル「フェイ、漸く見つけましたわ…よくも私達を騙してくれましたわね?」
フェイ「いやぁ、ホント…フェイちゃんの演技が上手すぎてごめん。自分でもここまでできるなんて思ってなかったんだ。許してよね、イェイ♪」
ターニャ「……モニカさんもフェイも、私が倒すます。」
モニカ「笑わせないでよ、今までまともに戦えなかったクセに…それに、訓練もサボってたアンタ達じゃ、誰と戦っても負けるだけだよ?」
フェイの煽りに眉間にシワを寄せるノエルと、モニカの言葉に反論できないターニャ。
翔「てめぇは、何か言う事ねぇのか?」
シャルロッテ「なら、さっさと私達の元に戻って来るデス!!あんな無能より、伍長の元にいたほうが楽デス!!何なら、ワタシ達をスカウトするデス!!」
翔「どっちもお断りだ。」ガチャッ……
翔はネオディケイドライバーを装着すると、ドライバー操作を行い、ライドブッカーからライダーカードを取り出す。
気だるげにため息を着きながら、仮面ライダーディケイドへと姿を変えた翔。
モニカ「フェイ、ロッティとかターニャの相手頼んでいい?ノエルはアタシがやる。」
フェイ「りょーかい!!」
モニカとフェイも新型パトリ端末にメモカを挿し込み、幻装変身の衣装を身に纏った。モニカは2丁の光線銃を、フェイは
シャルロッテ「いくら変身しようが、こっちには妖魔軍がいるデス!!さぁ、かかれ!!」
シャルロッテは意気揚々と指揮棒を前に突き出しながら叫ぶ。だが、妖魔はどこからも出て来ない。
ノエル「ちょっと、妖魔軍が出てきませんわよ!?」
ターニャ「…どうして?」
不測の事態に混乱するストライカー達。隠されていた妖魔軍は、既にモシュネ達が撃破していたのだ。
ディケイド(モシュネ達、よくやってくれた。)
ディケイド「…更に奴らを混乱させる、行くぞ!!」
ディケイドの言葉を合図に、STARSはストライカー達に向かって行く。ディケイドとフェイは、ターニャとシャルロッテと近接戦を開始する。
ターニャ「はっ!!」ブンッ!!
ディケイド「遅い…ハァッ!!」ガッ…ドゴッ!!
ターニャの攻撃を受け流し、パンチを当てるディケイド。
フェイ「よっ!!」
シャルロッテ「!?」
ガキンッ!!
フェイが振り降ろした戟を、指揮棒で受け止めるシャルロッテ。
ターニャ「シャルロッテさん…!」
ディケイド「何処へ行く?」
シャルロッテを救出しようとするターニャの前に立ち塞がるディケイド。
ディケイド「モニカ、ひたすら撃ち続けろ!!」
モニカ「ラジャー、ほらほら!!」ズギュンッ!!ズギュンッ!!
ノエル「ひゃあっ!?ちょっと、お待ちなさい!!」
モニカは得意の早撃ちで無数の光線を放ち、ノエルを撹乱させる。ノエルは反撃するどころか、銃すら構えられていない。ただ、飛んで来るレーザーから逃げるだけだ。
ディケイド「フェイ、お前なりのやり方で良い!!相手を煽りまくれ!!」
フェイ「わかった!!やーいやーい♪」
ディケイドの指示を受けたフェイは、シャルロッテを煽り始める。
シャルロッテ「この、調子に乗るなデス!!」
怒ったシャルロッテは闇雲に指揮棒を振り回すが、フェイは軽々と攻撃を躱す。
フェイ「あらら〜、全然攻撃が来ないなぁ〜?ロッティはどこだ〜?」
シャルロッテ「〜〜ッ!!」ブンッ!!ブンッ!!
フェイ「ふんふん〜♪」
呑気に鼻歌を歌いながらシャルロッテの攻撃を避け続けるフェイ。
ディケイド(フェイとモニカ、完全に舐めプしてやがるな…だが、それで良い。)
ディケイドはターニャの攻撃を受け流しながら、メンバー達の様子を伺う。
深雪「皆さーん、慌てずに落ち着いて行動してくださいねー!!」
蜜璃「押さないでください、こっちですよ!!」
STARSがストライカー達の相手をしている間に、一般都民の避難誘導を行う深雪と蜜璃。市民全員の避難が完了した時、STARSは本気を出し始める。
ディケイドは『ディケイドクウガ』になると、シャルロッテの指揮棒をはたき落とす。その後、シャルロッテを中段蹴りでふっ飛ばし、指揮棒を専用武器『ドラゴンロッド』に変える。そして、ターニャの方へ歩いて行き、棒術技で攻撃を始める。
フェイ「おぉ、さっすがたいちょー!!フェイちゃんも負けてられないなぁ。」
モニカ「アタシも燃えてきたぁ!!」
フェイは中国拳法でシャルロッテに攻撃を始め、モニカは2丁光線銃からレーザーをノエル目掛けて放った。
蜜璃「スゴいスゴい!!翔君達が押してる!!」
深雪「STARSの皆さん、流石です。」
「行けぇライダー!!」「STARSの姉ちゃん達も頑張れー!!」
戦場と化した場所から離れた場所に避難した一般都民達は、ディケイドとフェイとモニカを応援する。ストライカー達はSTARSに押され、ボロボロになっていた。ディケイドクウガはドラゴンロッドを宙に投げ、ドライバーにカードを装填する。
ディケイドクウガ「フィナーレだ。」
ドライバーから音声が響くと、ディケイドクウガは落ちて来たドラゴンロッドをキャッチし、ストライカー達目掛けて槍投のように投げた。それと同時に、フェイも戟を投げ、モニカは2丁光線銃からレーザーを放った。ストライカー達の身体が爆発に包まれて行く。やがて、爆煙が晴れると…ボロ雑巾と化したストライカー達が倒れていた。STARSの勝利だ。その瞬間、彼らの勝利を確信した一般都民達の歓声が響き渡った。
ディケイドクウガ「点呼取るぞ、フェイ。」
フェイ「は〜い♪」
ディケイドクウガ「モニカ。」
モニカ「はいっ!!」
ディケイドクウガ「大丈夫か、気分悪くねぇか?」
モニカ「平気平気♪」
フェイ「今は最高の気分だよ~♪」
ディケイドクウガ「そうか、なら良かった。」
点呼を取り終えたディケイドクウガは変身を解除し、翔の姿に戻った。
蜜璃「翔君!!」
蜜璃は翔を元へ駆け寄る。
蜜璃「やったね翔君、勝ったんだね!!」
翔「……。」
深雪も翔達の元へ歩み寄る。
深雪「お久しぶりです、皆さん。体調崩してませんか?」
蜜璃「皆はちゃんとご飯食べれてる?」
モニカ「大丈夫です。気にかけてくれてありがとうございます、蜜璃せんせー。」
フェイ「フェイちゃん達は元気ですよ、深雪せんせー♪」
蜜璃と深雪の質問に笑顔で答えるモニカとフェイ。
翔「……。」チラッ…
思わず蜜璃の左腕を見る翔。それを見た蜜璃は、翔に優しく微笑む。
蜜璃「大丈夫だよ、翔君。少しずつ動かせるようになってるから♪」
翔「……七草さん。」
深雪「Dollsの皆さんも、翔君に逢えるのを楽しみにしています。勿論、蜜璃さんと私もですよ?」
翔「……胡蝶さん。」
深雪も翔に優しい笑みを見せる。2人の笑顔を見た翔は、彼女達に背を向けると……
翔「…撤収だ。」
…と言い、歩き出した。
フェイ「ちょっ、待ってよたいちょー!!」
モニカ「深雪せんせー、蜜璃せんせー、またねー♪」
深雪「はーい、さようなら〜♪」
蜜璃「うん、またね♪」
夕焼け空の方に歩いて行くSTARSを見送った深雪と蜜璃も、ドールハウスへと帰るのであった。