〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
“イクサ”の回を書き終え、ここからはメインストーリーを書いていきます。
翔の自宅マンションを特定した『白河 昇』は、それを裏切り者のストライカー達に告げてしまう。ケガをして大人しくしていたストライカー達は、「隊長を連れ戻す」と言わんばかりに…飢えた獣の如く、動き出す。
では、本編へどうぞ
とある廃旅館にて…
昇「休んでいる所申し訳ない。皆、聞いてくれ。」
白河 昇が、ストライカー達の所にやって来る。
天音「何…昇?」
昇「青空隊長の自宅を特定した。」
ストライカー達「「「「!!!?」」」」
ストライカー達の表情が驚きの表情に変わる。
昇「場所は、JMR(ジェイムアール)目黒駅から徒歩5分の『大空マンション』っていうマンションだ。そこに、青空隊長は住んでいる。」
伊緒「そっか、そこにいたんだ…」
フェイ「だったら今から向かうしかないよね…?」
昇は、布団から起き上がろうとするストライカー達を止めに入る。
昇「気持ちは分かるが、今の状態では無茶だ!」
あおい「隊長の居場所が分かったんだ!休んでなどいられるか!」
あおいの言葉に同意したのか、ストライカー達は布団から起き上がり、次々と出撃していく。
その頃、自宅マンションに帰って来た青空 翔は、自室を見て、違和感を覚える。
翔「…何だよ、これ…」
部屋の中は、荒らされていた。明らかに、誰かが入ったとしか考えようが無い。
翔「何故だ…鍵はかけたはずなのに…!!」
翔は恐怖を感じ、マンションを出ようとする。その時…
ドンドンドンドンッ!ドンドンドンドンッ!
突如、勢いよくドアを叩かれた。
リョウコ「隊長さん!開けて!!私だよ!!東雲 リョウコだよ!!開けてよ!ねぇ!!」
翔「…!!」
ドア越しから聞き覚えのある声がしたため、翔は心臓が止まるような勢いで驚いた。
翔「…嘘だろ……何で俺の居場所を知ってるんだ…!?」
自宅マンションが特定され、突撃に来たのだ。
二穂「翔!あたし達はお前に謝りたいんだ!!頼む!開けてくれ!!」
翔(冗談じゃねぇよ……コイツら、本当に狂ってやがる…!!)
翔の顔が、どんどん青ざめて行く。
住人「おい、うるせぇぞ!!今何時だと思ってんだ!?」
住人がストライカー達に文句を言うも…彼女達は……
陽奈「ねぇたいちょー!!開けてってば!!」
天音「翔!開けなさいよ!!」
全く聞く耳を持っていなかった。
翔(くそ…他の住人達にも迷惑が……どうすれば…!)
翔は考えるが、裏切り者達の声と、勢いよく叩かれるドアの音が、次第に彼を焦らせる。その内、ドアの音が止んだと思ったら…
ドォンッ!
再び勢いよく叩かれた。明らかに、ノックの音ではない。
翔(!?…まさか…!!)
翔は最悪な事態を予想する。
翔(コイツら…ドアをぶち破るつもりか!?)
彼の予想は、的中する。
ターニャ「隊長、開けないなら…このドアを、破壊します。」
ドアが開かないと理解したストライカー達は、ドアを破壊しようとしている。
翔(マズイ…このままじゃ、ドアがぶち破られるのも、時間の問題だ!!)
翔は周りを見渡し、逃げられそうな場所を探すが、そんな都合の良い場所はどこにもない。ドアを蹴破ろうとする音は段々強くなり、ドアが凹み始める。
翔(…こうなったら、アレしかない!)
翔は窓を開けると、配水管を滑り棒のように滑って行った。
バァンッ!!
やがて、ドアがぶち破られ、裏切り者のストライカー達が次々と翔の自宅マンションに入って来た。
椿芽「…いない…」
イミナ「そんな…」
栞「待って、窓が空いてるわ。」
栞は、空いた窓から顔を覗かせる。右を向くと、配水管が目に入った。
栞「…成る程…」
夕依「し、栞さん?」
栞「隊長さん、この配水管を滑って地上に降りたんだわ。」
あおい「くっ…逃げられたか…!」
ストライカー達は、悔しそうに歯を噛み締めた。
まな「隊長さん、絶対に…ニガサナイヨ…」
華賀利「絶対に、捕まえてミセマスワ…」
ストライカー達のハイライトが消え…とても、正気ではなかった。
その頃、翔は……
翔「ぜはぁ…はぁ…はぁ…ぜぇ…」
夜の街中を走っていた。少しでもストライカー達から離れなければ…捕まる……その思いだけが、翔の原動力となっていた。しばらく走っている内に……道に迷ってしまった。その内に……
「隊長!!どこだぁ!!」
聞き覚えのあるストライカーの声が響いて来た。
翔(はぁ!?…もうここまで来ていたのかよ!?くそ、どこかに身を潜めなければ…!!)
翔は咄嗟に近くの路地裏に逃げ込んだ。次第にストライカー達の声が大きくなってくる。翔は恐怖のあまり、気が狂いそうだった。その時…
ガバッ!
誰かに引っ張られ、口元を押さえられた。
翔「むぐっ!?」
「静かに。」
聞き覚えのある優しい女性の声がした。翔は次第に大人しくなり、息を殺した。
「くそっ、ここにはいないか!」
「別の場所を探しましょう。」
ストライカー達の足音が、次第に遠くなっていく。そして、翔を押さえた人物は、彼を離した。翔は距離を取り、構えを取る。
翔「!?……アンタは…!」
愛「ごめんね、翔君…急にびっくりしたよね?」
そこには、ドールハウスの関係者『片山 愛』の姿があった。
愛「翔君、あのストライカー達に追われているんだよね?」
翔「…何故そう思う…?」
愛「あのストライカー達の声を聞けばそう考えざるを得ないよ…それと、これ。」
愛はスマホの画面を翔に見せた。そこには……
【ストライカー、大空マンションにて…1人の住人を襲う。】
と、ニュースになっていた。
翔「…。」
翔は黙り込み、俯いてしまう。
愛「とりあえず、ドールハウスに行こ?」
愛の言葉に、翔は何も言わない。そして、彼女と共にドールハウスにへと向かった。
いかがでしたか?今回はここまでです。
翔を裏切ったストライカー達は、マンションの住人の文句もお構い無しに、彼の部屋のドアを叩き、部屋の前で騒いだ挙げ句…ドアまでぶち破った。翔は何とか、その場を逃れることに成功したが、彼の精神状態は、不安定であった。
次回もお楽しみに。では、またね