〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

47 / 461
やさぐれショウでございます。
“イクサ”の回を書き終え、ここからはメインストーリーを書いていきます。
翔の自宅マンションを特定した『白河 昇』は、それを裏切り者のストライカー達に告げてしまう。ケガをして大人しくしていたストライカー達は、「隊長を連れ戻す」と言わんばかりに…飢えた獣の如く、動き出す。
では、本編へどうぞ


第十一話 奪われていく居場所

とある廃旅館にて…

 

昇「休んでいる所申し訳ない。皆、聞いてくれ。」

白河 昇が、ストライカー達の所にやって来る。

天音「何…昇?」

昇「青空隊長の自宅を特定した。」

ストライカー達「「「「!!!?」」」」

ストライカー達の表情が驚きの表情に変わる。

昇「場所は、JMR(ジェイムアール)目黒駅から徒歩5分の『大空マンション』っていうマンションだ。そこに、青空隊長は住んでいる。」

伊緒「そっか、そこにいたんだ…」

フェイ「だったら今から向かうしかないよね…?」

昇は、布団から起き上がろうとするストライカー達を止めに入る。

昇「気持ちは分かるが、今の状態では無茶だ!」

あおい「隊長の居場所が分かったんだ!休んでなどいられるか!」

あおいの言葉に同意したのか、ストライカー達は布団から起き上がり、次々と出撃していく。

 

 

 

その頃、自宅マンションに帰って来た青空 翔は、自室を見て、違和感を覚える。

翔「…何だよ、これ…」

部屋の中は、荒らされていた。明らかに、誰かが入ったとしか考えようが無い。

翔「何故だ…鍵はかけたはずなのに…!!」

翔は恐怖を感じ、マンションを出ようとする。その時…

ドンドンドンドンッ!ドンドンドンドンッ!

突如、勢いよくドアを叩かれた。

リョウコ「隊長さん!開けて!!私だよ!!東雲 リョウコだよ!!開けてよ!ねぇ!!」

翔「…!!」

ドア越しから聞き覚えのある声がしたため、翔は心臓が止まるような勢いで驚いた。

翔「…嘘だろ……何で俺の居場所を知ってるんだ…!?」

自宅マンションが特定され、突撃に来たのだ。

二穂「翔!あたし達はお前に謝りたいんだ!!頼む!開けてくれ!!」

翔(冗談じゃねぇよ……コイツら、本当に狂ってやがる…!!)

翔の顔が、どんどん青ざめて行く。

住人「おい、うるせぇぞ!!今何時だと思ってんだ!?」

住人がストライカー達に文句を言うも…彼女達は……

陽奈「ねぇたいちょー!!開けてってば!!」

天音「翔!開けなさいよ!!」

全く聞く耳を持っていなかった。

翔(くそ…他の住人達にも迷惑が……どうすれば…!)

翔は考えるが、裏切り者達の声と、勢いよく叩かれるドアの音が、次第に彼を焦らせる。その内、ドアの音が止んだと思ったら…

ドォンッ!

再び勢いよく叩かれた。明らかに、ノックの音ではない。

翔(!?…まさか…!!)

翔は最悪な事態を予想する。

翔(コイツら…ドアをぶち破るつもりか!?)

彼の予想は、的中する。

ターニャ「隊長、開けないなら…このドアを、破壊します。」

ドアが開かないと理解したストライカー達は、ドアを破壊しようとしている。

翔(マズイ…このままじゃ、ドアがぶち破られるのも、時間の問題だ!!)

翔は周りを見渡し、逃げられそうな場所を探すが、そんな都合の良い場所はどこにもない。ドアを蹴破ろうとする音は段々強くなり、ドアが凹み始める。

翔(…こうなったら、アレしかない!)

翔は窓を開けると、配水管を滑り棒のように滑って行った。

バァンッ!!

やがて、ドアがぶち破られ、裏切り者のストライカー達が次々と翔の自宅マンションに入って来た。

椿芽「…いない…」

イミナ「そんな…」

栞「待って、窓が空いてるわ。」

栞は、空いた窓から顔を覗かせる。右を向くと、配水管が目に入った。

栞「…成る程…」

夕依「し、栞さん?」

栞「隊長さん、この配水管を滑って地上に降りたんだわ。」

あおい「くっ…逃げられたか…!」

ストライカー達は、悔しそうに歯を噛み締めた。

まな「隊長さん、絶対に…ニガサナイヨ…」

華賀利「絶対に、捕まえてミセマスワ…」

ストライカー達のハイライトが消え…とても、正気ではなかった。

 

 

 

その頃、翔は……

翔「ぜはぁ…はぁ…はぁ…ぜぇ…」

夜の街中を走っていた。少しでもストライカー達から離れなければ…捕まる……その思いだけが、翔の原動力となっていた。しばらく走っている内に……道に迷ってしまった。その内に……

「隊長!!どこだぁ!!」

聞き覚えのあるストライカーの声が響いて来た。

翔(はぁ!?…もうここまで来ていたのかよ!?くそ、どこかに身を潜めなければ…!!)

翔は咄嗟に近くの路地裏に逃げ込んだ。次第にストライカー達の声が大きくなってくる。翔は恐怖のあまり、気が狂いそうだった。その時…

ガバッ!

誰かに引っ張られ、口元を押さえられた。

翔「むぐっ!?」

「静かに。」

聞き覚えのある優しい女性の声がした。翔は次第に大人しくなり、息を殺した。

「くそっ、ここにはいないか!」

「別の場所を探しましょう。」

ストライカー達の足音が、次第に遠くなっていく。そして、翔を押さえた人物は、彼を離した。翔は距離を取り、構えを取る。

翔「!?……アンタは…!」

愛「ごめんね、翔君…急にびっくりしたよね?」

そこには、ドールハウスの関係者『片山 愛』の姿があった。

愛「翔君、あのストライカー達に追われているんだよね?」

翔「…何故そう思う…?」

愛「あのストライカー達の声を聞けばそう考えざるを得ないよ…それと、これ。」

愛はスマホの画面を翔に見せた。そこには……

【ストライカー、大空マンションにて…1人の住人を襲う。】

と、ニュースになっていた。

翔「…。」

翔は黙り込み、俯いてしまう。

愛「とりあえず、ドールハウスに行こ?」

愛の言葉に、翔は何も言わない。そして、彼女と共にドールハウスにへと向かった。




いかがでしたか?今回はここまでです。
翔を裏切ったストライカー達は、マンションの住人の文句もお構い無しに、彼の部屋のドアを叩き、部屋の前で騒いだ挙げ句…ドアまでぶち破った。翔は何とか、その場を逃れることに成功したが、彼の精神状態は、不安定であった。
次回もお楽しみに。では、またね

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。