〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百八十三話 神滅の槍・猛る感情

突如走り出したユキを追ったDolls一同は、街の中心地と思わしき場所にたどり着いた。

 

ミサキ「カナさん、巨大モノリスの反応は!?」

 

ミサキは通信機越しからカナに話し掛けるが…

 

ミサキ「…っ、なぜ応答しないの!?」

 

何故か通信が繋がらず、カナからの応答がない。

 

愛「ユキちゃん!!待ってよ…ユキちゃん!!」

 

すると、ユキは急に足を止め、口を開く。

 

ユキ「…この先、東南200m地点。巨大モノリスの反応を検知。」

 

アヤ「ほえ……?」

 

そして、また走り出すユキ。キョトンとするアヤに、ヤマダが声をかける。

 

ヤマダ「ちょっとリーダー、呆けてるヒマないでしょうが。状態異常じゃないんだから…あのヒト追わなきゃ…愛さん、とっとと指示よこせっす。」

 

愛「…っ、うん…そうだね!ありがとうヤマダちゃん……みんな、ユキちゃんに続こう!!」

 

愛の指示により、引き続きユキを追跡する一同。そんな彼らの後ろから、1つの人影が着いて来ていた。

 

翔「…ユキ、まるで何かに取り憑かれているようだな……あの感じ、EsGにそっくりだ……」

 

それは、STARS隊長の翔だった。Dolls一同に気付かれないよう、歩いて彼女達の後を追い掛けているのだ。彼もまた、ゆっくりと歩みを進める。

 

 

 

Dolls一同がたどり着いた場所に、あの時の巨大な影……ヤツがいた。

 

ミサキ「まさか、本当にいるなんて…」

 

レイナ「ええ。相変わらず、影しか見えないけど……」

 

その影は、まるで微かに笑っているかのように巨口を開けている。

 

ユキ「−−攻撃を、開始する。」

 

アヤ「ユキ!!」

 

アヤはユキの肩を掴み、彼女に話し掛ける。

 

アヤ「ユキ…本当に……どうしちゃったの?」

 

ユキ「……。」

 

アヤ「返事ぐらい…しなさいよ……」

 

しかし…どれだけユキに呼び掛けても、彼女は反応を示さない。

 

アヤ「もしまた、誰かがあんな風に倒れたら…ユキが、倒れたら……心配する人がいるって、なんでわかってくれないの!?」

 

ユキ「−−問題ない。」

 

アヤ「なっ…!?」

 

戸惑うアヤに、ユキは言う。

 

ユキ「奇跡に足る感情と熱量は捧げられた。条件は、すでに整っている。」

 

ヤマダ「は?捧げられたって?何言ってるんすか、ユキさん……!」

 

ユキの言葉に困惑するヤマダ。すると、ユキは左手を胸に当て…何やらエネルギーを出し始める。

 

アヤ「ッ、ユキ!!?」

 

ヤマダ「おい、これまさか……」

 

シオリ「この感触は……ユキさん!!」

 

 

今ここに、研がれた刃

 

神殺しの槍

 

が顕現する

 

 

その直後、目映い光がDollsを包み込み…衣装が変化した。

 

愛「−−み、みんなの衣装が…!?」

 

突然の出来事に、戸惑う愛。遠くから、翔もそれを見ていた。

 

翔(…何だ、あの姿は……?)

 

変わったのは衣装だけではない…Dolls全員の目付きが、鋭くなっている。

 

サクラ「ああ出力が…、満ちていく…でも……これは……」

 

ミサキ「……このドレスは、何…?この力は……」

 

シオリ「冷たい律動…胸の奥から、ざわめきが聞こえる…」

 

ヒヨ「『イヤ』って、泣いてるの…?ううん……違う……!」

 

ナナミ「…消せと。」

 

レイナ「ええ、『消去』を望んでいる。強く……!」

 

ユキ「……奇跡は代行された。目標、神の肢体……殲滅、開始−−−−」

 

新たな衣装に身を包んだDollsは、巨大な影と戦闘を開始した。霧の奥からは無数のピグマリオンが現界したが、Dollsはそれらをあっさり撃破……巨影へ攻撃を繰り出す。まもなく、巨影は彼女達の前から姿を消した。

 

レイナ「……倒、せた?ふふふ……」

 

しかし、巨影は倒すことができず…逃してしまったようだ。

 

ナナミ「また逃げられた!?せっかく!追い詰めたのに…!」

 

ヒヨ「はーー、はー…どっち?どっちにいっちゃった?」

 

愛「ちょっ、ちょっと…みんな、どうして…どうして、こんな事に−−」

 

今のDollsは、まるで獲物を求める野獣だ。戦闘衝動が抑えられていないのか、荒々しい呼吸をしている。

 

翔「……。」

 

そんな彼女達を見た翔は、バッジ型通信機を起動させると…ドールハウスにいるモシュネに何かを伝え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、何とかDollsをドールハウスに連れ帰った愛。状況を全員に説明した。

 

斑目「なるほど…状況はわかった。『霧』はドールの接近を感知しているか……『奇跡』か……そんなことがまた起きていたとは……そんな時に限って…」

 

カナ「EsGの応答がなくなってから6時間経過…通信もダウン、今も復旧していません。」

 

愛「EsGが…ダウン……」

 

ドールハウスでも、異常事態が発生していた。EsGと通信が使えなくなってしまっていたのだ。今も尚、復旧の目処はない。

 

カナ「今はセーフモードに切り替えましたので、独立したシステムは復旧に向かっています。しかし、各所カメラとのリンクと映像認識。ピグマリオン及び妖魔の検知、位置の概算…フィールを用いたエネルギーの観測……つまり、みなさんの戦闘地点の把握など。多くの機能に障害……作戦実施効率や正確性が80%以上損失しています……」

 

あらゆるシステムが使えなくなった事で、ドールハウスの作業効率が大幅に低下してしまっていた。モシュネ達が頑張って復旧作業に当たっているが、進歩はあまり良くないようだ。

 

愛「そんなに影響が……」

愛(こんな時、翔君が居てくれたら……)

 

システムが使えない中、翔に頼りたいドールハウスだが…ここには、彼は居ない。アマゾン化が進行した彼は、他のアマゾンやピグマリオン、妖魔といったあらゆる敵の位置を正確に把握できるという特殊な能力を身に着けている。しかし、ストライカー達の位置把握は、今はできない……

 

斑目「EsGの応答は無いが…そのドレスの事は調べる必要があるだろう。」

 

今回、Dollsが身に纏っているドレスは、ドールハウスから支給された物ではない。不思議な力で誕生した物だ。

 

斑目「カナ、皆のドレスをファクトリーに回せ。解析を−−」

 

その時……

 

アヤ「…イヤよ。それよりも、出動命令がほしい。」

 

…と、アヤが言う。

 

斑目「なんだと…?」

 

蜜璃「あ、アヤちゃん…?」

 

蜜璃はアヤに手を伸ばすが、アヤは彼女の手を払い除けた。

 

アヤ「お願い、じゃないと……なにしちゃうか、わかんない!!!

 

ヤマダ「…………。」

 

深雪「皆さん、一度深呼吸しましょう?」

 

深雪はメンバー達に呼び掛けるが、彼女達は聞く耳を持たない。

 

愛「あ、アヤちゃん…みんな……」

 

Dollsの異常を目の当たりにした斑目は、1つの提案を出した。

 

斑目「−−カナ。バトルシミュレーターの作動は可能だな?」

 

カナ「は、はい…!復旧の進捗88%……もうすぐオフラインでも動くはずです。」

 

斑目「このままでは話にならなそうだ、急がせろ。お前たちも…頭を冷やしてこい。」

 

もうすぐ、シミュレーターが復旧される。その時、1体のモシュネが慌てて観測室に入って来た。

 

モシュネ「皆、緊急事態モシュ!!」

 

愛「えっ、何…どうしたの!?」

 

モシュネ「この映像を見るモシュ!!」

 

モシュネは映像をスクリーン化して映し出す。そこに、砂嵐が発生…やがて、それが消えると、濃霧に包まれた荒川区が映し出される。更に、映像にいる人物を見て…斑目らは言葉を失った。

 

翔『Dolls諸君、どうやらまだ戦い足りねぇようだな……』

 

それは、大好きな翔だったからだ。

 

斑目「…翔、こちらの声が聞こえているのか?」

 

カナ「翔君…これは一体、どういうことですか…?」

 

斑目カナの質問に答えない翔。

 

ヤマダ「この際、翔さんとでもいいッス…早く戦わせろォ!!」

 

愛「そ、そんな……!!」

 

翔『そんなに戦いたければ、俺の元に来い。』

 

蜜璃「ま、待ってよ翔君!!みんなは今、大変な事になってるの!!」

 

深雪「そ、そうです…今は争っている場合では−−」

 

翔『場所は荒川区、お前達の任務の舞台となっている場所だ……そこで、待っている。』

 

やがて、映像は砂嵐と化し…途切れてしまった。

 

アヤ「いくわよみんな、翔が待ってる!!」

 

ヒヨ「うん!!翔さん、今いくよ!!」

 

斑目「待てお前達!!勝手は許さんぞ!!」

 

斑目の言葉を無視して、Dollsは次々と出動していく。

 

斑目「くっ、やむを得ないか……」

 

カナ「愛さん、深雪さん、蜜璃さん、皆をお願いします!!」

 

カナの言葉を聞き、ドールハウス専属医達はDollsの後を追って行った。

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