〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
荒川区にある河川敷に到着したDollsとドールハウス専属医達。
ナナミ「翔さん!!誘っておいてどこにも居ないんですか!?」
荒々しい口調で翔を呼ぶナナミ。
レイナ「翔君!!お願いだから、出て来てちょうだい!!」
愛「待って待って!!今はそれどころじゃ」
ナナミ「触らないでください!!」
愛「!?」
愛を突き飛ばすナナミ。愛は尻餅を着いてしまう。
深雪「愛さん!!」
蜜璃「大丈夫、愛ちゃん!?」
愛「うん、平気…深雪ちゃん、蜜璃ちゃん、今の皆を止めるのは…ちょっと厳しいかも……」
Dollsを見ると、皆血走った目で翔を探している。
ヒヨ「ねー、翔さん!!どっちにいるの!?ねぇってば!!」
やがて、橋の向こうから翔が姿を現し…ゆっくりと歩いて来た。彼を見たDollsは、獲物を見つけた獣ように瞳孔が開く。
アヤ「翔!!ここに居たんだ!!ねぇ、敵はどこ!?」
翔「敵、ねぇ……お前達の目の前に居んだろうが……」
シオリ「私達の目の前……まさか………」
愛「翔君、本当に皆と戦うつもりなの!?」
翔「そうだ!!だからここにお前達を呼び出したんだよ……」
声を荒げた翔は、ネオディケイドライバーを装着…ドライバー操作を行うと、ライドブッカーからライダーカードを取り出す。
ヤマダ「翔さん、早く戦わせてほしいっす…でないとジブンら、何しでかすかわからねぇっすよ?」
ヤマダの言葉を聞いた翔は、眉間にシワを寄せ始める。
翔「そうか、ならば……」
そして、翔はドライバーにカードを装填し、ドライバー操作を行う。
ドライバーから音声が響き渡ると、翔の身体が無数のシルエットに包まれて行く。その後、深紅のプレートがバーコードのように顔面部へと重なって行き、仮面ライダーディケイドへと変身が完了した。だが、ディケイドの顔を見てみると…複眼が尖っており、まるで鬼や悪魔を彷彿とさせるように恐ろしくなっていた。
ディケイド「何をしでかすかわからねぇ、か…この美しい世界を穢そうとする輩は、例えDollsであろうと……俺は許さん!!」
緑色だった複眼もエメラルドグリーンになっており、額にある小さなパーツ『シグナルポインター』も黄色から紫色に変化している。この姿は、『仮面ライダーディケイド 激情態』と呼ばれるディケイドの姿である。
愛「あのディケイド…いつものディケイドじゃない……!!」
愛は慌ててディケイドとDollsの間に立つ。
ディケイド「…何の真似だ?」
愛「アタシは、こんな事望んでない……だって、翔君とDollsが育んだ絆は…こんな簡単に壊れたりしないもん……翔君、皆と戦うなら…せめて、アタシを倒してからにして!!」
愛に続き、深雪と蜜璃も間に入る。
深雪「私も愛さんと同じです…翔君、これは流石に目を瞑れません……」
ディケイド「そこを退け、死にてぇのか?」
蜜璃「退かない!!何が何でも退かないよ!!」
ディケイド「アンタら、俺のポリシーを知ってるだろ?邪魔者は潰す…もう一度言う、そこを退け……」
ディケイドの言葉に対し、首を横に降るドールハウス専属医達。
ディケイド「最後の警告だ…死にたくなければ、そこを退け……」
愛「退かない!!」
ディケイド「じゃあ……」
ディケイドの複眼が怪しく光ると、Dollsと同時に走り出す。愛は仮面ライダーイクサに、深雪と蜜璃は仮面ライダーアバドンへと変身。
イクサ「翔君、皆、やめて!!」
ディケイド「邪魔だァ!!」ドゴォッ!!
イクサ「がはっ!?」
ディケイドはパンチ1発でイクサを吹っ飛ばし、瞬時に変身解除させた。
アヤ「やぁっ!!」
ガキィンッ!!
アヤが振り下ろす剣を、スラッシュアバドライザーで受け止めるアバドン(赤)。
アバドン(赤)「皆さん、目を覚ましてください!!」
ヒヨ「退いてよ、蜜璃せんせー!!」
アバドン(青)「やだよ!!皆と翔君が争ってるの、見たくないよ!!」
ヒヨを抑えるアバドン(青)。しかし、ヒヨの力の方が強かった。
アバドン(青)(何て力…このままじゃ!!)
ディケイド「戦いが見たくなけりゃ、大人しく寝てろ…」
すると、ディケイドがアバドンのうなじ目掛けて手刀を振り下ろした。まず、アバドン(赤)を戦闘不能にし、片手で愛が倒れている方へ投げ飛ばす。次にアバドン(青)を戦闘不能にさせると、こっには足蹴りで吹っ飛ばした。アバドンは変身が解かれ、深雪と蜜璃の姿に戻る。
愛「み、深雪ちゃん…蜜璃ちゃん……!!」
やがて、Dollsとディケイドの攻撃がぶつかり合う。武器を使うDollsとは裏腹に、激情態となったディケイドは素手で戦う。
ミサキ「はぁっ!!」
ガッ!!
ディケイド「!!」ドゴォッ!!
ミサキ「ぐっ!?」
サクラ「ッ!!」
ディケイド「甘い!!」ズガッ!!
サクラ「くぅっ!!」
シオリ「やぁっ!!」
ディケイド「遅い!!」バキッ!!
シオリ「っ!?」
集団で襲い掛かって来るDollsを物ともせず、返り討ちにしていくディケイド。
レイナ「ヒヨ、ナナミ、3方向から同時攻撃よ!!」
ヒヨ「うん!!」
ナナミ「了解です!!」
3人同時にディケイドを攻撃しようとするチームBの3名だが……ディケイドのブレイクダンスを模した回転蹴りによって、攻撃は不発……
ナナミ「ぐぅ……相変わらず、強いですね…翔さん……!!」
ヤマダ「今度はヤマダが行くっすよォ!!」
ヤマダはハンマーを勢い良く振り降ろすが、ディケイドは片手でハンマーを受け止める。
ディケイド「その程度か…?」
その後、ヤマダの懐に素早く入り、腹部目掛けて張り手を繰り出す。
ヤマダ「ごぼぉっ!?」
アヤ「ヤマダ!!くっ、こんのぉっ!!」
アヤはユキと共に、ディケイドに攻撃を仕掛けるが…ディケイドは軽々と攻撃を受け流し、2人を吹っ飛ばした。
アヤ「あぐぅ!!」ドササッ……
ユキ「……。」ドササッ……
地面を転がるアヤとユキ。Dolls全員が立ち上がったタイミングで、ディケイドは彼女達を挑発する。
ディケイド「…どうした、この程度か?」
Dolls「うっ…」「ぐっ、うぅ……」
愛「翔君、もうやめて!!」
ディケイド「ダメだ、戦闘衝動が抑えられてねぇコイツらを野放しにはできん…何しでかすかわかんねぇ状態なんだからなぁ?現時点で、アンタはコイツらを抑えられてねぇじゃねぇか。」
ディケイドの言葉に、何も言い返せない愛。
ディケイド「ドールハウスでも止められねぇんじゃ、こっちが止めるしかねぇだろ?」
ディケイドはそう言うと、ドライバー操作を行い…ライダーカードを装填する。
ディケイド「安心しろ、殺しはしねぇ…ただ、ちっと眠ってもらうだけだ。」
ディケイドはそう言うと、腰を落とし…その場で回し蹴りを繰り出す。すると、それは衝撃波となってDolls目掛けて飛んで行く。
レイナ「!?ダメ、避けられない……!!」
その時、何者かの影がDollsの前に立ち…それに衝撃波が命中した。
ディケイド「…?」
砂埃が晴れると、そこには……一角獣や蹄鉄の意匠を備えた西洋の騎士のような姿をしている銀色の怪人が立っていた。『ホースオルフェノク』だ。銀色の丸い盾を使い、Dollsを守ったのだ。
ホースO「翔…お前、何やってんだよ!!」
ホースオルフェノクはディケイドに怒鳴る。
ホースO「心身ボロボロになったお前に、Dollsは心から寄り添ってくれたじゃねぇか!!何で…何で、こんな事をするんだ!?」
ディケイド「……。」
ディケイド(一海、余計な真似しやがって……)
シオリ「…あれは、確か……仮面ライダー555に登場する怪人……」
ユキ「ホースオルフェノク。」
愛「…!!」
愛(今のうちに…!!)
愛は深雪と蜜璃を起こす。
深雪「うっ……?」
蜜璃「…あれ、私……」
愛「皆を連れ帰ろう!!」
愛の言葉と、状況を見た深雪と蜜璃は慌ててDollsに駆け寄る。
ホースO「さぁ、今のうちに逃げてくれ!!」
愛「うん、ありがとう!!」
撤退していくDolls一同。すると、ディケイドは両手の拳をギリリッと握り締める。
ディケイド「てめぇ…よくも邪魔してくれたなァ!!」
邪魔をされた事に激怒したディケイドは、ホースオルフェノクに向かって走り出す。ホースオルフェノクはディケイドを迎え撃つ。
ディケイド「っらぁっ!!」ドゴォッ!!
ホースO「くっ!?」ガッ!!
ディケイド「一海ィィイイ!!てめぇ、何故邪魔をしたァ!?」
ホースO「お前こそ、自分が何してるかわかってんのか!?心の拠り所を、自分で潰そうとしているんだぞ!?」
ディケイド「バカ野郎!!話を聞け話を!!」
ホースO「それなら、俺を倒してみろ!!」
ディケイドはホースオルフェノクに蹴りを打ち込み、ライドブッカーをソードモードにする。ホースオルフェノクも『魔剣・ホースソード』を形成、ディケイドと剣撃戦を繰り広げる。
ディケイドはディケイドカブトにならず、クロックアップを発動…超高速でホースオルフェノクに攻撃を仕掛ける。
ホースO「ぐあっ!?があっ!!…くそっ!!」
ホースオルフェノクは『激情態』に姿を変え、ディケイドとほぼ同じ速度で渡り合う。
ホースO「はぁっ!!おらぁっ!!」
ディケイド「ぐおぉっ!!うがぁっ!!」
ガキィンッ!!ガキィンッ!!
ディケイドとホースオルフェノクは超高速で動き回り、互いの武器がぶつかり合って火花を散らす。
ホースO「今回ばかりはお前のやり方は間違ってる!!翔、一度冷静になれ!!」
ディケイド「うるせぇっ!!俺はなァ、邪魔をされる事が大嫌いなんだ!!そんな状態で冷静になれるかァ!!」
ディケイドはライドブッカーを勢い良く振るい、魔剣・ホースソードを折った。その後、高速で連続突きを繰り出し、盾をも破壊した。
ホースO(マジかよ、翔…お前どんだけ強いんだよ……!!)
やがて、ディケイドの攻撃がホースオルフェノクに命中…ホースオルフェノクは通常の姿に戻り、地面を転がる。
ディケイド「まず、てめぇが頭冷やせ…」
ディケイドは空中に飛び上がると、ホースオルフェノク目掛けてライダーキックを放った。
ホースO「ぐああああぁぁぁぁ…!!」
ホースオルフェノクはライダーキックを受け、後方に吹っ飛ばされた。そして、地面を転がってうつ伏せに倒れると、一海の姿に戻った。それを見たディケイドは、変身を解除…翔の姿に戻る。
翔「さて、約束は守って貰うぞ…?」
一海「…あっ、が……あぁ、そうだな……」
翔はDollsを攻撃した理由を一海に話し始める。
一海「何、ストライカー共がDollsに!?」
翔「そうだ。そこで、奴らを欺く事にした…俺がDollsに攻撃する事で、ドールハウスと俺が完全に縁を切ったと思わせる。そうすりゃあ、奴らは俺を集中して狙って来る。Dollsの任務が妨害される事はなくなる…それが、俺の狙いだ。」
一海「な、なるほど……」
翔「安心しろ、俺はDollsを倒す気なんて更々ねぇよ…アイツら、何故か戦闘衝動が抑えられなくなってな……ちっと大人しくして貰おうと思っただけだ……どうだ、納得したか?」
一海「…正直、まだ混乱してる……」
翔「そうか。」
翔の話を聞いて、漸く落ち着き始める一海。だが、まだ少し戸惑っていた。
翔「紫達にもこの事は伝えて構わん。事情を理解している奴が大勢いたほうが、こっちも楽だ。」
一海「…わ、わかった。」
翔「待て一海、何か奢らせろ。ちっとやり過ぎた…悪かったな。」
一海「へへっ、そんじゃあ焼き肉な?」
一海を支えながら、荒川区を去って行く翔。彼は知っていた、濃霧の向こうからこちらを覗く存在の気配を……
紗々「うふふ〜、見ちゃいましたよ〜♪」
天音「あははっ、とうとう翔がDollsと縁を切ったのね!!」
いつみ「そんじゃあ、狙うは隊長だけで十分だ。」
真乃「すぐに全員に共有しないとね。」
遥「ぃよぉし!!これで隊長さんを連れ戻しやすくなるぞー!!」