〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
時刻は深夜0:00…殆どのヒトが寝静まった頃、荒川流域に到着した翔とモルガナ。
翔「そういや、本部ビルにノコノコ来やがったストライカー共はどうした?」
モルガナ「ミネルヴァさんと私の妖術で、迷宮にぶち込みました。ウッフフ、あそこには凶悪な怪物もいるのですから、スリルを味わえます♪」
翔「ははっ、お前…中々エゲつねぇ事をするじゃねぇか…」
モルガナ「当然です、貴方のような心優しき者を傷付けた連中ですから。」
翔「別に俺は優しくなんてねぇよ。」
Dollsと戦った橋を歩く翔とモルガナ。ふと、足を止める翔。
モルガナ「もしや、出ましたか?」
翔「……いや、少し違ぇな。」
ゆっくりと後ろを振り向く翔。そこに居たのは……
シオリ「…翔君。」
レイナ「…ここに居たのね、翔君。」
アヤ「翔!!」
Dollsのチームリーダーだった。
翔「…何の用だ?」
レイナ「翔君にも伝えておかなければならないと思ったの、あの霧について」
翔「それはもう知っている。ウチの解析班は優秀なんでね……」
無表情を貫きつつ、モルガナの顔を立てる翔。
翔「てか、夜には弱ぇレイナが…しっかり起きてるじゃねぇか。変なモンでも口にしたか?」
レイナ「私達は、翔君が心配なの…安心して眠れないわ。」
翔「睡眠不足は美容の天敵とか言ってたよな?そんなんじゃ、美しさっつーのを保てねぇだろ。」
馬鹿にするようなトーンでレイナに言う翔。
シオリ「モルガナさんが解析係…では、シレーヌ以上の被害になると予測されることも…?」
翔「当たり前だ、あの悲惨な現場をみりゃあそれくらい予測できる。」
アヤ「…そうだ…ねぇ、翔は大丈夫!?元ストライカーの皆は!?」
翔「何ともねぇよ、てかうるせぇ…今何時だと思ってんだ?」
アヤ「…ご、ごめん…」
モルガナは解析係としてSTARSに貢献しているのだ。霧の性質も、事故から予測される事態も把握できている。
モルガナ「皆さんは、こんな時間に何をされているんですか?」
レイナ「翔君から発せられる特殊なフィールを、ユキが感知した。それを追って、ここまで来たのよ。」
アヤ「別に、翔を連れ戻すつもりは無い…ただ、カーロンの事や濃霧の事を共有しようと思って……」
翔「だったら余計なお世話だ、前にも言ったが…俺はもう、ドールハウスとは無縁なんだ。」
シオリ「もしかして、何か考えがあるからここまでしているのですか?」
翔「どう解釈するかはお前達の勝手だが…とにかく、そういう事だ。」
自分はドールハウスとは縁を切っている、それを貫く翔。そこに……
ハヅキ「聞いちまったよ、隊長さん。」
ストライカー達が姿を現した。
イミナ「やっぱりドールハウスと縁を切ったんだな!!」
リョウコ「だったらさ、今すぐにでも私達の隊長に戻ってよ♪」
翔「ほざけ、そんなのまっぴら御免だ。」
モルガナ「寝言は寝てから言ったらどうですか?愚か者達……」
現れたストライカー達の方を向く翔とモルガナ。
シオリ「ストライカー達…!!」
二穂「Dolls諸君も今聞いただろう?翔はもう、貴様らとは縁を切ったと…はっきり言っていたぞ?」
アヤ「うっさいわね、アタシ達は翔を信じてるわ!!」
レイナ「えぇ、そうよ。例え翔君から縁を切られても、私達はいつまでも翔君を信じ続けるわ。」
依咲里「おめでたい頭ですわね。」
華賀利「華賀利達が、その想いをめちゃくちゃにして差し上げますわ♪」
翔「その前に、質問に答えろ。荒川流域に妖魔を放つとは、何の真似だ?」
愚かなストライカー達は、翔の質問を受けると…作戦をあっさり語り始める。
ハヅキ「隊長さんは優しい性格だろう?今回の事故による行方不明者を富士の樹海に連れ込んでやったのさ。隊長さんなら間違いなく助けに来るだろう?私達の拠点にやって来れば、簡単に連れ戻す事ができるからねぇ♪」
翔「…ほざいたな、クソが。」
モルガナ「まさか、こんなにも簡単に吐き出すとは…反吐が出ます。」
翔「やるぞモルガナ、情は無用だ。」
モルガナ「もちろんです。」
モルガナは目を怪しく光らせると、何やら呪文を唱え始める。すると、オーロラカーテンが出現し、Dolls以外のメンバーを包み込んでいく。
シオリ「翔君…!!」
慌てて彼らを追い掛けようとしたDollsだが、時既に遅し…翔達の姿はバリアのようなモノに包まれた。
アヤ「何これ…テアトルみたい…!!」
レイナ「翔君!?翔君!!」
入ろうと思っても、中には入れない。
翔「無駄だ、お前達ではここに入る事はできねぇ。何故なら、俺がそれを拒んでいるからだ。」
モルガナ「この特殊バリアは、隊長さんの意志に反応する仕組みなんです。まぁ、皆さんはそこで見ていてください。」
リョウコ「あれ、私達も出られないよ!?」
翔「当たり前だ、そんな事俺が許すとでも思ってんのか?」
Dollsはバリア内に入れず、ストライカー達はバリア内から逃げ出せない。これは、モルガナが発生させたバトルフィールドなのだ。翔の意志によって自在に変化したり、対象を閉じ込める事もできる。ストライカー達を完全に閉じ込めた翔は、ネオディケイドライバーを装着…ドライバー操作を行い、ライダーカードを装填する。
無数のシルエットに包まれ、仮面ライダーディケイド 激情態へと姿を変えた翔。そして、ストライカー達に向かって歩いて行く。ストライカー達はパトリ端末にメモカを挿入し、武器を構える。
華賀利「隊長さまぁ〜♪」
ディケイド激情態襲い掛かった華賀利だが、すぐに背後を取られ…首を絞められる。
ディケイド激「うるせぇなぁ…赤ん坊が起きたらどう責任とってくれんだよ?」
華賀利「ぁが……が……ぐ…ぉ……!!」
メリメリと音を立て、華賀利は泡を吹いて気絶した。そんな彼女を地面に倒し、乱暴に踏みつけるディケイド激情態。
二穂「やぁっ!!そりゃあっ!!」ブォンッ!!ブォンッ!!
モルガナ「遅いですね、はっ…!!」ドカッ!!
二穂「がっ!?」
二穂の攻撃を軽々と避け、カウンターを仕掛けるモルガナ。
イミナ「へぇ、ならアタシが直接相手になってやるよ!!」
モルガナ「上等です、後うるさいです。」
イミナはモルガナに格闘戦を挑むが、モルガナはイミナの攻撃を避けたり受け止めたりして、彼女を煽る。
モルガナ「かつては『刹鬼のイミナ』と呼ばれ、恐れられていた貴女でしたが…今ではすっかりその面影を失くしましたね。」
イミナ「な、何だと…!?」
伊吹 イミナは昔、空手で負け知らずの実力を持っていた。その力を友人を助ける為に使ったのだが、それが重なり…『刹鬼のイミナ』として周りから恐れられるようになった。それが原因で、友達もどんどん離れていき…何度も警察に世話になった過去がある。それでも正義感溢れるヒーローのような性格だったが、翔の前任の隊長の暴君のような振る舞いに、性格がどんどん邪悪に染まって行った。そして、翔がやって来たタイミングでそれが爆発し…今の彼女になっている。
イミナ「隊長から許されれば、アタシらは救われるんだよォ!!もう後戻りなんてできないんだよォ!!」
モルガナ「うるさいです、眠っている子ども達が起きるでしょう?」ガシッ…
イミナ「うぐっ!?」
モルガナはイミナの背後に回ることに成功し、首を絞める。
モルガナ「良い夢を…いえ、貴女のようなクズに、良い夢を見る資格はありません。」
ドサッ…
イミナを気絶させたモルガナは、残ったストライカー達に冷たい眼差しを向ける。
依咲里「ッ!?」
依咲里(…何なんですの、この威圧感……!!)
リョウコ(て、手が…足が……動か、ない…!!)
モルガナ「貴女達も、私達が作った迷宮に招待して差し上げましょう。」
モルガナはニヤリと笑い、依咲里とリョウコの背後にブラックホールのような穴を召喚する。すると、2人をあっさりと吸い込み、その場から姿を消させることに成功した。残るはハヅキと二穂だ。
ディケイド激「…。」
ディケイド激情態は黒色の『変身音叉』を取り出すと、自分の心臓辺りに当てる。すると、リーン…という音と共に特殊な音波が発生、音叉から刀身が出現した。これは、変身音叉が呪術によって変化した武器『
ディケイド激「…来い。」
ディケイド激情態の挑発に乗ったハヅキと二穂は、武器を振りかぶって襲い掛かって来る。
ディケイド激「!!」ヒュオオォォッ!!
ザシュッ!!ザシュッ!!
2人「「うぐ…」」ドサッ……
ディケイド激情態が振るう音叉剣が風を切り、ハヅキと二穂の肩を斬り裂いた。倒れた2人は、傷口を押さえている。
ディケイド激「…モルガナ。」
モルガナ「」コクッ…
そんな2人の元に穴を出現させ、迷宮へと放り込んだモルガナ。
レイナ「スゴい…流石は翔君とモルガナ。」
シオリ「翔君の戦いもスゴいですが、モルガナさんの不思議な術もスゴいです……」
アヤ「ホント…翔が居なくなったのはイタいわ……」
翔とモルガナの戦いを最後まで見守ったDollsチームリーダー達。やがて、バリアが消えると、ディケイド激情態は翔の姿に戻った。
翔「お疲れ、モルガナ。よくやってくれた。」
モルガナ「貴方のお役に立てたのであれば、何よりです。」
翔からの言葉を聞き、微笑むモルガナ。
モルガナ「後程、ストライカーに拐われた方々を助けます。」
翔「あぁ、よろしく頼む。撤収するぞ。」
モルガナ「はい。」
翔はオーロラカーテンを出すと、そこに向かって歩き出す。
アヤ「…あ、待ってよ、翔…!!」
翔「……。」ザッ…
アヤに呼び止められ、思わず足を止める翔。
翔「ハァ…今度は何だ?」
思わずため息を着きながら彼女達に横目を向ける。
アヤ「…翔…いつか、いつかは……戻って来て、くれる……?」
翔「…どうだかな。」
シオリ「私達は、いつまでも…待ってます。翔君が安心して戻れるよう、環境も整えます。」
翔「…勝手にしろ、俺はまだ戻らねぇからな。」
レイナ「そんな寂しい事言わないで?でも、月明かりが照らす夜に…翔君と逢えて嬉しかった。また逢いましょう?」
翔「…お前らしい言葉だな。」
チームリーダーの3人に見送られ、オーロラカーテンへと入っていった翔。そんな彼を見送ったチームリーダーの3人は、ドールハウスへと戻って行った。