〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百九十六話 新しい能力

ある日の休日、とあるライブ会場でDollsのライブが開催されていた。チームA、チームB、チームC共に問題なく行えているようだ。

 

カナ「視覚、記憶媒体ともに差異ありません。こんなことが本当にできるなんて…目の前に存在しているのは完全に、ライブパフォーマンスをしているDollsです!」

 

ライブ会場でのライブかと思いきや、シミュレーションルームにて彼女らの過去のライブ映像を投影していたのだった。

 

サクラ「私達も録画データ、見てもいいですか!?」

 

カナ「はい!もちろん!」

 

実際に録画データを流してみると、録画されている映像とは思えないクオリティーだった。

 

ヒヨ「わ〜〜っ、すごい…ほんとにライブしているように見えてる!」

 

ミサキ「本当ね…!テアトルの中では、シミュレーターバトルをしていたのに。」

 

シオリ「あ、これは『投影』しなかったときですね。急に普通の空間に戻るように見えています……」

 

カナ「今まで通りに他者の認知からはずれるタイプのテアトル展開も可能……と。」

 

今回の検証を、データに入力していくカナ。どうやら、検証は成功したようだ。

 

レイナ「EXCELLENTだわ!ここまで精巧なら、舞台演出にも使えそう!!」

 

アヤ「ほんとよね!あ〜、これが前のときにも使えたらよかったのに!」

 

カナ「レイナちゃん?アヤちゃん?『投影』は以前のライブの時点でできるようになっていたのよね?」

 

レイナ&アヤ「「……!」」

 

カナの言葉を聞き、ハッとするレイナとアヤ。どうやら、以前から投影はできるようになっていたようで…それをすっかり忘れていたようだ。

 

ヤマダ「お二方……初見プレイじゃないんすから……」汗

 

アヤ「あ、…え、えーっと!」汗

 

何かを言いかけるアヤだが、中々言葉が出てこない。そんな彼女をフォローする形で、シオリは言う。

 

シオリ「あの時は…一度にいろんな感情が吹き上がって…それに討伐の後すぐにライブでしたから……」

 

アヤ「そ、そう!それに…こうやって改めて見るとテンション上がるしさ!」汗

 

レイナ「え、ええ……舞台に使うアイディアも今回初の試みですものね…!」汗

 

カナ「……確かに、あの時は立て込んでいましたしね。こうしてみると、すごい能力……」

 

それは、港区で行われた浄化ライブ……ダイダロスを攻略してすぐに始まったため、ドールハウスはバタバタしていた。そのため、より細かく考えるほど余裕がなかったのだ。

 

カナ「他に何かできるようになっていたこと、ありますか?」

 

アヤ「え、ええ〜っと〜〜……」汗

 

ヤマダ「ちょーっとわかんねーんすよねぇ……常識だと思ったら違った、みたいな感覚なもんで。」

 

カナの質問に答えられないアヤとヤマダ。

 

カナ「常識…ですか?」

 

ヤマダ「当たり前のことだと思ったら違ったってヤツ。気づくの自体、難しいと思いません?」

 

カナ「……そういうことですか。能力の飛躍に対して、まだ把握が十分でない状態、と…」

 

最初はヤマダの言葉の意味が分からなかったカナだったが、漸く理解して記録していく。

 

ヤマダ「で、ユキさんがそのへん冷静で気付いてくれて、最近、できるって確信に変わったんすよね……」

 

カナ「なるほど……まだ気付いていない変化もありえる……理解が追いついた時点で実施可能と認識、と…ご協力ありがとうございます!『投影』は問題なく、作戦への運用も可能ですね。」

 

記録を終えたカナは、Dollsにお礼を言う。

 

カナ「この件、所長と…臨時司令官に共有しておきます。みなさん、ちゃんと休息を取ってくださいね。」

 

そして、カナはシミュレーションルームから退室した。

 

ヤマダ「ふぁ〜〜〜〜〜〜……」

 

カナが退室した途端、欠伸をするヤマダ。他のメンバーを見ると、少し疲れたような顔をしていた。

 

愛「おつかれ様、ヤマダちゃん…シオリちゃんも、ありがとね。」

 

ヤマダ「ちょっと頼んますよ〜……カナさんっていつ誰が何て言ったか、マジで覚えてる系なんだし…」

 

愛「確かにね……何でも覚えてて、色々フォローしてくれるよね。」

 

ヤマダ「恐ろしいのは『忘れていたことに対して話を合わせる』とか、平気でやってくるところっすからね……」

 

シオリ「ええ、気遣ってくださる上に場の空気も読んで、その時々で適切に取り計らってもくれますし……」

 

ヤマダ「そんなカナさんまで欺くのは気が引けるが……まあ、それができりゃ他はどうとでもなるっショ。っつーこので、ヨロシクお願いするっすよ〜。」

 

チームリーダー、特にアヤとレイナの方をみながら笑うヤマダ。

 

アヤ「う……ごめん……」汗

 

レイナ「ありがとう、ヤマダ、シオリ……ナイスフォローだったわ……」汗

 

シオリ「『投影』のことはもう少し、私達でも研究してみた方がよさそうですね……」

 

愛「そうだね……あとちょっと、試しておこうか…」

 

その時、シミュレーションルームのドアが開き…一同全員ビクッと驚く。

 

深雪「あらあら、どうしました?」

 

蜜璃「みんなお疲れ様!甘い物食べて休憩しよ♪」

 

入って来たのは、深雪と蜜璃だった。それを理解し、ホッとする一同。

 

深雪「どうやら皆さん、どっと疲れているみたいですね。」

 

愛「う、うん…あははは……」苦笑

 

深雪「無理しないでくださいね?」

 

蜜璃「疲れた時には、甘い物が1番だよ?ね、みんな…一緒に食べよ♪」

 

蜜璃はテーブルの上にスイーツを置き、深雪はお茶を淹れ始める。

 

ヒヨ「あ、蜜璃せんせー…腕、だいじょーぶ?」

 

蜜璃「うん、大丈夫!!ほら、だいぶ動かせるようになってきたよ♪」

 

そう言うと、左手をグーパーさせる蜜璃。縫合してしばらく経ち、リハビリも順調に行えていたようで…蜜璃は段々左腕を動かせるようになってきていた。

 

蜜璃「翔君にも逢いたいなぁ…動かせるようになった腕を見てもらいたいし、何より…ぎゅ〜って抱き締めてあげたい!!」

 

深雪「ふふっ、蜜璃さんは翔君が大好きなんですね。」

 

蜜璃「当たり前だよ、だって私…翔君と会ってなかったら、今みたいに楽しい暮らし…できてなかったかもしれない……」

 

深雪「そうですね、私も蜜璃さんと同じです…未だにあの状態から抜け出せていないと思うと、ゾッとします。」

 

一同「「「……。」」」

 

深雪と蜜璃の話を聞き、口角を下げる一同。

 

愛(翔君はアタシ達に敵対してる……それでも、深雪ちゃんも蜜璃ちゃんも笑顔を絶やさない……アタシも、2人を見習わないとなぁ……)

 

シオリ(翔君は私達に牙を剥けている…でもそれは、本心では無い……何か理由が、きっとある……)

 

レイナ(そういえば、1つ気になる事がある……)

 

アヤ(最近、ストライカー達や妖魔からの襲撃がピタリと止んだような……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、東京江東区のとある港では……

 

最近、江東区の港近くの海で巨大な魚影を見かけ…船が次々と転覆するという事故が多発している……その原因を調査して欲しい、という依頼がSTARS本部ビルに来た。その実体を確かめるべく、青空 翔は東京港フェリー埠頭へと足を運んだ。

 

翔(巨大な魚影…転覆事故……こりゃあ、確実に妖魔の仕業だろう……)

 

船員A「あっ、青空さん!!依頼を受けてくださり、ありがとうございます!!」

 

翔「あぁ、後は任せろ。」

 

翔は全神経を集中させ、敵の気配を探り始める。翔が目を閉じると、目の前に砂嵐が発生…妖魔と思わしき視界を捉え始める。

 

翔(水ん中に潜むデカブツといっちゃあ……多分アイツだな……)

 

翔には、今回の異変を引き起こした原因がわかったようだ。やがて、有明埠頭橋近くの海に謎の気泡が現れ始め、それが段々激しくなる。そして…巨大な魚影が出現し、飛び跳ねた。それは、ピンク色の体色に、黒いヒレを動かし、旧式妖魔の顔をした巨大魚型妖魔『ぬしオブリ』だった。

 

船員「で、出たぁぁああああ!!」「おい、何だよあれ!?」「UMAか!?それとも地球外生命体か!? 」

 

船員達が混乱し始める中、翔は冷静にネオディケイドライバーを装着…仮面ライダーディケイドへと変身を開始する。

 

 

《KAMEN RIDE》

 

《DECADE》

 

 

《ATTACK RIDE》

 

《DEN-GASSHA-》

 

 

変身が完了すると、4つの謎のパーツを組み合わせ…棍棒のような武器を完成させた。これは、仮面ライダー電王の専用武器『デンガッシャー』であり、『ロッドモード』と呼ばれる形状である。

 

ディケイド「……。」

 

ディケイドはまるで釣り竿を投げるような動作を取ると、デンガッシャーの先端から『オーラライン』と呼ばれるオーラの糸が伸びて来た。オーララインは、再び海中へ潜っていくぬしオブリの尻尾に巻き付いて行く。

 

ディケイド「さ、陽の光を浴びる時間だぜ!?」

 

ディケイドはそう叫ぶと、ぬしオブリを軽々と釣り上げた。ぬしオブリの巨体は宙を舞い、港に落ちて来た。

 

ぬしオブリ「グオオォォッ!!

 

ぬしオブリは咆哮を上げると、4つの足を生やし…ディケイド目掛けて襲い掛かって来る。ディケイドはデンガッシャーを構えると、先端部分の刃『ロッドヘッド』でぬしオブリの顔を突き刺した。その後、怯んだぬしオブリの顔面を蹴り、デンガッシャーを変形させていく。今度は剣の形をした『ソードモード』にさせると、先端から赤い刃『オーラソード』が伸びて来た。ディケイドはデンガッシャー(ソードモード)を構えると、ぬしオブリ目掛けて走り出す。

 

ディケイド「ムンッ!!」ジャキンッ!!

 

ぬしオブリ「!!??」

 

ディケイド「やぁっ!!ムンッ!!はあぁっ!!」ジャキンッ!!ジャキンッ!!ジャキンッ!!

 

高速かつ重い斬撃で、ぬしオブリを斬り刻むディケイド。ぬしオブリは身体中に切り傷が出来ており、弱り始めた。すかさずドライバー操作を行うディケイド。

 

 

《FINAL ATTACK RIDE》

 

《DE DE DE DECADE》

 

 

ドライバーから音声が響くと、ディケイドはデンガッシャーにエネルギーをチャージし始める。その後、オーラソードがデンガッシャーから離れ、ぬしオブリ目掛けて飛んで行く。

 

ディケイド「お前が船をひっくり返した分…細切れになると良い……ハアアァァッ!!」

 

ディケイドはデンガッシャーを振り回し、オーラソードを操作しながらぬしオブリを斬って行く。オーラソードは回転しながらぬしオブリの身体を引き裂く、約1分程でぬしオブリの身体はサイコロステーキ状に細かくバラバラになった。ぬしオブリがディケイドに倒された事で、異変は解決した。

 

船員A「あ、ありがとうございました!!これ、約束の報酬金です!!」

 

翔「要らねぇよ、事故った船を修理する為にでも使っておけ。」

 

翔は報酬を受け取る事なく、去って行った。本部ビルに戻る途中、思うことがあった。

 

翔(わざわざ激情態にならずとも、他のライダーの力が使えるのか……ま、Dollsやストライカー共にでも遭遇した際は、激情態で戦おう……)

 

それは、激情態にならなくても他ライダーの力を使用できるという事…ネオディケイドライバーを頻繁に使用するようになった翔は、ドライバー適合率が上昇し、通常のディケイドの状態で様々なライダーの力を解放できるようになっていたのだ。

 

翔(ネオアマゾンズドライバーは負担があまりにもデカい上に、俺の身体(ナカ)のアマゾン細胞が覚醒するリスクも上がる……それが原因で、また仲間を傷付けてしまうのであれば、それこそもう……本当に取り返しがつかない状況に……だったら、使用しねぇ方がマシだ。)

 

しかし……

 

翔「…うっ!?」ドクンッ…

 

既にアマゾンズドライバーやネオアマゾンズドライバーを沢山使用して来た翔は、アマゾン細胞が覚醒しやすい体質になってしまった。その度に、深雪と蜜璃が抑制剤を投与し、発作は治まった。だが、この場に深雪と蜜璃はいない……つまり、自分でアマゾン細胞を抑え込まなければならないのだ。

 

翔「ッ!!」ドクンッドクンッドクンッドクンッ

 

翔は自分の右手に噛み付き、必死にアマゾン細胞を抑え込む。5分、10分経っても、まだ発作は治まらない。

 

翔(くそが!!最悪だ…こんな時に、発作かよ……治まれ、治まれよ…!!)

 

約1時間程経過した頃、翔は次第に落ち着き始めた。しかし、全身から脂汗を流し…噛み傷ができた右手からはボタボタと真っ赤な血を流していた。

 

翔(…取り敢えず、戻るか……)

 

ここにいても仕方ないと思った翔は、重い足取りで本部ビルへと戻って行った。

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