〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第三百九十九話 3人目のスパイ

翔「よぉ、よく集まってくれた。」

 

次の日、翔は急遽STARSメンバー全員とモシュネ達を作戦室に呼び出した。その理由は……

 

ミネルヴァ「そういえば、最近…家に謎の暗号(?)みたいなのが届くようになったよね?」

 

翔「前からあったぞ?モルガナに任せっきりになっちまったがな…」

 

モルガナ「ふふっ、どんどん頼ってください。」

 

翔「助かる。今回呼んだのはな、その暗号を送ってくる奴について話そうと思ってな……」

 

最近、STARS本部ビルに届くようになった謎の暗号…それは、ストライカー達の行動を理解する為の、鍵であった。ドールハウスにいた頃、モルガナが解析していたのだが…ドールハウスを離れてから、翔が解析を担当していた。

 

彩羽「それで?その暗号を送ってるのって、どこのどちらさん?」

 

翔「あぁ、ソイツはな……」

 

 

3人目のスパイだ

 

 

翔の言葉を聞き、殆どのメンバーが驚く。しかし、楓とフェイだけは驚いていない。

 

翔「冷静な判断力があり、チームを纏める力もある楓…掴み所がなくて、考えを読むのがムズいフェイ……何事にも素直な反応を示し、的確な判断へと導く…ソイツだけはまだ名前は言わねぇ。」

 

モニカ「名前を言っちゃえば、ストライカー達にバレやすくなるからだよね?」

 

翔「そうだ。楓とフェイも、今はまだ名前を教えるなよ?」

 

楓「わかりました。」

 

フェイ「うん、わかった。」

 

今はまだ、スパイの正体を伏せている翔。その名を口にしてしまえば、仲間達の意識がソイツに行ってしまう。そうなれば、ストライカー達に正体がバレ…ソイツが何をされるか分からないからだ。

 

翔「つまりだ、俺達に情報を提供してくれていたスパイは、3人いる。最後の1人がまだストライカー共の中に紛れている。」

 

あから「成る程、救出はいつするのかい?」

 

翔「近々行う、俺一人でな。」

 

雪枝「お、お一人でですか?危ないような気が」

 

翔「返って大人数でいけば、気付かれやすくなる。なら最少人数で行ったほうが良い。んじゃ、解散だ。」

 

メンバー達に解散を促し、作戦室から出て行く翔。その後、本部ビルの屋上に来ると、3人目のスパイに連絡を入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、富士の樹海では……

 

イミナ「いやぁ、他人の金で食う飯って美味いな!!www」

 

アコ「パスト・アルカリアって妖魔…かなり便利なのだ♪うん、久しぶりの寿司はサイコーなのだ〜♪」

 

ストライカー達は、妖魔に資金を奪わせ…それを使って妖魔に買い物をさせている。今回、最高級の寿司を皆で食べている。

 

リョウコ「……。」

 

ハヅキ「おやリョウコ、食べないのかい?」

 

リョウコ「…う、うん…ちょっと、お腹痛くなっちゃって……」

リョウコ(もう、限界……こんなところに居たくないよぉ……)

 

イミナ「食わねぇならアタシらが貰うぞ?」

 

リョウコ「うん、いいよ。ちょっと、お花摘みに行ってくる。」

 

リョウコは適当な理由をつけてその場を離れて行く。そして、誰の目も届かない場所までやって来ると、スマホを見る。

 

リョウコ(…!!)

 

そのタイミングで電話が掛かってきたので、通話ボタンを押す。

 

リョウコ「…も、もしもし。」

 

翔『よぉ、リョウコ。俺がわかるか?』

 

リョウコ「…あ、あぁ……た、隊長さぁん…!!」

 

翔の声を聞き、安心したのか涙を流すリョウコ。

 

翔『今からそっちに行く、すぐ来るからな。』

 

リョウコ「…え……でも、ここは…富士の樹海だよ……」

 

翔『わかってる、だから決して声を上げるなよ?』

 

その直後、リョウコの前にオーロラカーテンが出現し、そこから翔が出てきた。

 

リョウコ「…!!」

 

驚いた顔をしているが、翔の言葉通り声を出さないリョウコ。

 

翔「さぁ、こっちへ。」

 

翔はリョウコの手を引き、オーロラカーテンの中へ入って行った。こうして、3人目のスパイ『東雲 リョウコ』は無事に救出された。

 

 

 

翔「よっと…」

 

リョウコ「わぁ、ここどこ?」

 

翔「俺達の拠点、STARS本部ビルの屋上だ。外は暑いだろ、中に入ろうぜ?」

 

リョウコを本部ビルに連れ出し、相談室へと招く翔。

 

翔「よくやってくれたな、リョウコ。お前のお陰で、こっちは大助かりだ。アイツらの行動を細かく纏めてくれたレポート、しっかり保存しといたぜ?」

 

リョウコ「……うっ…うぅ……!!」ポロポロ

 

翔「…?どうした?具合でも悪いのか?」

 

急に泣き出すリョウコに、戸惑う翔。彼の言葉に対し、首を横に振るリョウコ。

 

翔「ゆっくりで良い、話してみろよ。」

 

リョウコ「わ、私…クスンッ……スパイ、で、でも……た、隊長さんを……うぅっ…き、傷付けた………隊長さんの、大切な…人達も……皆、皆………!!」

 

翔「…。」

 

リョウコ「…うっ、あぁ……あ、謝って済む…事、じゃない…それは、わかる……でも、でも……皆、ごめんなさい……本当に、ごめんなさい……」

 

涙ながらに、謝罪をするリョウコの言葉に、黙って耳を傾けていた翔。

 

翔「リョウコ、この際だ…今ここで、お前の本音だったり、溜まってたモンを吐き出せ。全部な……この部屋は防音効果もある。だから、全部吐き出せ。俺はいくらでも付き合うから、な?」

 

翔がそう言った途端、リョウコは声を上げて泣いた。

 

 

 

数十分後、漸く落ち着きを取り戻したリョウコ。

 

翔「…大丈夫か?」

 

リョウコ「…うん……うん……平気……」

 

翔「…まだ、俺の仲間には顔見せられねぇか?」

 

リョウコ「……うん、今は無理かな…」

 

翔「わかった。取り敢えず、1部屋空いてるんだが、そこを使うと良い。本当によく頑張ってくれた。」

 

リョウコ「…隊長さぁん、そんなに感謝されたら…また泣いちゃうよぉ……」

 

翔「そんな時は遠慮すんな、泣くことだって時には必要だ。」

 

リョウコを救出したことで、翔のスパイ3人衆がSTARS本部ビルに集結した。

 

翔「楓とフェイとも、顔合わせんのも厳しいか?」

 

リョウコ「あ…楓さんと、フェイちゃんなら大丈夫……」

 

翔「呼んでも良いか?」

 

リョウコ「う、うん…」

 

翔はスマホを操作し、楓とフェイを相談室に呼んだ。数分後……

 

コンコンッ…

 

楓『隊長さん、入ってもいいですか?』

 

翔「あぁ、入れ。」

 

ドアが開き、楓とフェイが相談室に入って来た。

 

フェイ「おぉー、リョウコせんぱい!!」

 

楓「久しぶり、リョウコちゃん。」

 

リョウコ「か、楓さん…フェイちゃん……!!」

 

涙を流して、楓とフェイとの再会を喜ぶリョウコ。

 

翔「リョウコ、後は俺に任せろ。お前はストライカーに利用されていただけだからな。そんなバカ連中に、ちっと仕置きしてやる。」

 

リョウコ「…え?」

 

楓「リョウコちゃん、隊長さんを信じて?」

 

フェイ「うんうん、フェイちゃんもたいちょーのお陰で安心して暮らせてるんだよ♪」

 

翔「楓、フェイ、リョウコを頼んだぞ。」

 

翔は相談室を出て行くと、ライブ配信という形で緊急会見を開いた。

 

 

翔「ごきげんよう、STARS隊長の青空 翔だ。実はな、ストライカー共に紛れて、スパイがもう一人いたんだ。ストライカーになりすまし、我々に情報提供し続けてくれていたんだ。これが証拠だ。」

 

 

PCを操作し、リョウコが纏めたストライカーに関するレポートを画面に表示する。レポートだけでなく、動画や画像までもある。

 

翔「ストライカーになりすましていたスパイ『S.R.』という人物はここまで細かく情報を提供してくれたんだ。近々、S.R.本人を呼び、会見させる。S.R.はストライカー共に利用され続けていたんだ。詳しくは本人からの会見をしっかり聞け。アンチコメントとかは許さねぇからな? 以上だ。」

 

この配信の直後、コメント欄は大いに荒れた。

 

『まさかのスパイ!?』『まだいたのか!?』『どんだけいるんだよ。』『あのストライカーみたいな化け物の巣窟にいたら、逃げたくても逃げられないよね?』『S.R.って誰なんだろう?』『案外可愛い子だったりして。』『ま、ストライカー共も美女ばっかだけどな。認めたくねぇけど…』

 

 

 

 

その頃、ドールハウスにて……

 

ヤマダ「んお、翔さんがライブ配信で会見開いてるっすね。何々〜、S.R.というヒトがストライカー共の情報を纏めて…このレポートっすか、フヒヒ…動画も写真もあるじゃないっすか。しかも無加工っすよぉ、中々のやり手っすねぇ。」

 

ヤマダがPCで翔の会見配信を見ていた。ヤマダの後ろには、他のメンバー達もいた。

 

ヒヨ「スパイって、楓ちゃんとフェイちゃんだよね?」

 

ナナミ「そうですけど、もう1人いたって事ですよ。」

 

レイナ「合計3人ね、これではストライカーは混乱するでしょうね。」

 

スパイが1人出て、また1人出て、更にもう1人出て来てしまうと…ストライカー共の間に溝が出来るとDollsは考える。

 

ミサキ「そもそも、ストライカー共はお互いを信頼し合っていないじゃない。」

 

シオリ「いずれ、仲間割れでもするのでしょうか……?」

 

 

 

その頃、富士の樹海では……

 

栞「みんな、これを見て!!」

 

栞はメンバー達に、翔の会見配信を見せた。

 

あおい「何だと、私達の中にまたスパイか!?今この場にいない者は誰だ!?」

 

アコ「そういえば、リョウコっちがいないのだ。」

 

ニ穂「依咲里と華賀利もいないぞ?」

 

小織「…陽奈ねぇもいない……」

 

あおい「ソイツらを戻り次第尋問を始めるぞ!?知ってることを全部吐き出すまで逃げられると思うな!!」

 

翔の配信を見て、大混乱に陥るストライカー達。折角購入した高級寿司にも手を付けず、寿司パーティーどころではなくなった。やがて、戻って来たメンバー達を取り押さえるストライカー達。

 

陽奈「ちょっ!?何すんの!?」

 

あおい「貴様か!?我々の機密情報を外部に漏らしていたのは!?」

 

陽奈「はぁっ!?陽奈知らんし!!」

 

栞「じゃあそこの2人?」

 

依咲里「断じて違います。」

 

華賀利「華賀利も、そんな事はしていません。」

 

取り押さえられたメンバーは、皆否定する。

 

あおい「往生際が悪い…徹底的に聞き込みをするぞ、眠れるとは思うな?」

 

陽奈「えぇ〜!?だから知らないって言ってんじゃん!!」

 

ハヅキ「リョウコはどうしたんだい?」

 

イミナ「知らね、崖にでも落ちたんじゃないか?」

 

まだ戻ってきていない…いや、正確にはもう戻って来ないリョウコの事は心底どうでもいい反応をするストライカー達。やがて、取り押さえた陽奈、依咲里、華賀利の尋問が始まった。

 

昇(皆、まだ分からないのか…確実にリョウコだろう、何故なら戻って来ていないのだから…!!)

 

それを伝えたい昇だが、上手く言葉を発することができず…結局伝えられなかった。

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