〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
ドールハウスで保護されることになった『青空 翔』は、しばらくドールハウスで暮らすことになった。そこで、かつての味方の『元ストライカー』達と再会した。
しかし……新しい場所での慣れない新生活に、戸惑ってしまう。1人で抱え込む性格の彼は、それを誤魔化そうと1人でいる。そんな彼に…ドールハウスの関係者達は、優しく手を差し伸べる。
では、本編へどうぞ
次の日の朝……
結局、翔は不安なまま眠ることができず、朝まで起きていた。
翔(あ~あ、結局眠れなかったか……)
翔はため息をつきながら、重い身体を起こした。顔を洗い、寝癖を治すと、キッチンに向かい食パンを焼く。その時…
コンコンッ
部屋のドアがノックされた。
翔「…誰だ?」
カナ「翔君、南田です。入っても大丈夫ですか?」
声の主は、カナである。
翔「…あぁ。」
カナ「ありがとうございます。では、失礼します。」
ドアが開き、カナが入って来た。
カナ「只今、引っ越し業者から翔君の私物を持って来てもらったんです。」
翔「えっ…?」
困惑していると…業者の人達がやって来て、翔の私物を持ってきた。
業者「すいません、これどこに置きますか?」
翔「…あそこだ。」
翔が指差す方に棚、鏡、クローゼット、引き出し、机等を置いていき、
業者「ありがとうございました。」
翔「…ご苦労。」
業者の人達は去っていった。
翔(よかった…DX版の変身ベルト、変身アイテムは無事で……)
翔は自分で購入した変身ベルト、アイテムを見て思った。棚、鏡、机等の家具も、傷つけられることなく、全て無事だった。
カナ「突然お邪魔して申し訳ありません、では私も、これで失礼します。」
カナはそう言うと、退出していった。それと同時に、オーブンが鳴り、パンが焼けた。翔はパンを皿に乗せ、テーブルに向かい、朝食をいただいた。
朝食を食べ終えた翔は、皿やマグカップ等を洗い、洗面所で歯を磨くと、服を着替えた。
翔(ちょっとドールハウスを探索するか…)
翔は立ち上がると部屋を出る。
翔(ん?これ、オートロックなのか…暗証番号は…)
その時…
愛「あ、翔君、どうしたの?」
愛が翔に話し掛けてきた。
翔「…別に…」
愛「そう?困ったことがあれば、気軽にお姉さんに相談してね♪」
愛はそう言うと、ウィンクをした。
翔「…。」
愛「あ、ちなみにオートロックの暗証番号なんだけど、『193』の三桁だよ。“イクサ”って覚えてね♪」
翔「…。」
翔は困惑し、何も言わなかった。。
愛「分からないことがあったら、どんどん聞いてね♪」
愛は翔に微笑む。翔は立ち去ろうとすると、
愛「あ、そうだ。折角だから、ドールハウスを案内するよ?そうそう、強制じゃないからね?嫌だったら嫌で構わないからね。」
愛は「ドールハウスを案内する」と言った。
翔(……ドールハウスなんて、事務室ぐらいしかまともに入ったことがなかったな……ここは、案内してもらうことにするか…)
翔「…片山、さん…」
愛「ん~、なぁに?」
翔「…ドールハウスを…案内して貰えるか…?」
翔は愛にお願いする。
愛「うん♪あたしに任せて♪」
愛は嬉しそうな表情で言うと、ドールハウスの案内を開始する。
まず、最初にやって来たのは『シミュレーションルーム』である。
愛「ここはシミュレーションルーム。Dollsはここで戦闘訓練をしているんだ。どう、何か聞きたいこととかある?」
翔「…特に…」
愛「OK、じゃあ次に行くね♪」
愛は案内を再会する。
次にやって来たのは、隣の部屋である。
愛「ここは『武器作成場』。その名の通り、武器を作っている部屋なんだ。」
翔「…。」
翔は部屋を見渡す。
翔「…あそこにあるパーツのような物は何だ?」
翔は部屋の奥にあるいくつものパーツを指差す。
愛「あれはね、現在製作中の『兵器』だよ。」
翔「兵器ってのは……あの化け物達に対抗するためか…?」
愛「そうそう、ピグマリオン達に対抗するための兵器だよ。もしかしたら、巨大なピグマリオンも現れるかもしれないって思ってね。」
翔「…そうか…」
愛「うん、他に何か聞きたいことはある?」
翔「…ねぇよ。」
愛「は~い、それじゃあ次行ってみよう!」
愛は翔と共に、武器作成場を出る。
愛(早く“パワードイクサー”を開発させないとな~……翔君、驚いてくれるかな…?)
愛は心の中で、そう思った。
その後、事務室やレッスン場、屋上等を案内され、愛の案内は終了した。現在、翔と愛はドールハウスの庭に来ていた。
愛「翔君はこの後、どうしたい?」
翔「…何故それを聞く?」
愛「いやぁ、翔君の思いを伝えて欲しいな~って思ってね。」
翔「…なら、ここにいる。外の空気を吸うからな…」
愛「うん、分かった。それじゃ、あたしはここで退散するね♪」
愛はそう言うと、立ち去って行った。
愛がいなくなった後、翔は庭を探検していた。すると、1つの石碑らしきオブジェクトが目に入った。
翔「…何だ、これは…」
翔はそのオブジェクトに近づいていく。
翔「…これって……墓…?」
オブジェクトには『Chihiro』と言う文字が刻まれている。
翔(そうか…ここには『チヒロ』って名前の人が眠っているのか…何か供えられそうな物は……)
翔は庭を見渡す。すると、クローバーが生えている場所を見つけた。そして……
翔(お、あったあった。)
翔は“四葉のクローバー”を見つけ、それを墓の前に供え、手を合わせる。
翔(…済まない、今はこれしか無かったんだ……機会があったら、供え物を持ってくる……)
数分手を合わせた後、場所を移動した。庭には一本の木があり、木陰ができている。翔はそこに移動し、木に寄りかかった。とたんに、眠気が襲ってきた。
翔(いかん…ここで寝るわけにはいか…な……)
翔は眠気に耐えられず、眠ってしまった。
シオリ「突然呼び出してしまってすみません、レイナさん。」
レイナ「気にしないで。それにしても、庭でティータイムだなんて、美しいアイデアだわ。」
仕事を終えたシオリとレイナは、ドールハウスにある庭に向かっていた。そして、庭に到着すると…
シオリ「あら。」
レイナ「先客がいたみたいね。」
そこには、木陰で眠っている『青空 翔』の姿があった。シオリとレイナは、翔を起こさないように近づく。
レイナ「芝生と言えど、硬い地面で寝かせては、翔君が可哀想だわ。」(小声)
シオリ「でしたら、良い考えがあります。」(小声)
シオリは翔の頭を浮かせ、自分の膝の上に乗せた。いわゆる…“膝枕”である。
レイナ「成る程、その手があったわね。」(小声)
シオリ「はい、これで翔君も、少しは楽だと思います。」(小声)
そのうちに……
翔「すぅ……っ!?…うぅっ!!」
翔が苦しそうな表情を浮かべ始めた。どうやら、悪夢にうなされているようだ。
レイナ「!?」キュッ
レイナは翔の右手を優しく握る。すると、彼は落ち着いて眠り出した。
レイナ(翔君…悪夢を見ていたのね…)
シオリ(翔君…安心してください……私達は、翔君の味方ですから……)
シオリが眠っている翔の頭を優しく撫でると……………
…………
………
……
…
彼の目から、一筋の涙が流れ落ちたのだった。
夢side…
翔『…俺は、お前達に一体…何をしたって言うんだ!?教えてくれよ!!』
『土下座!土下座!土下座!土下座!』
翔『……。』
翔は裏切り者のストライカー達に土下座をしたその瞬間…
『ギャハハハハハハハwww』
裏切り者達は一斉に大爆笑した。
翔が見ている夢は、かつて見てきた『地獄』……ストライカー達の隊長をつとめていた頃の夢であった。ある時には、誹謗中傷されたり……理不尽な暴力を受けたり……大切な物を目の前で壊されたり……それらの出来事が、彼の身体を…精神を傷付けていった。そして…時空管理局と裏切り者のストライカー達がグルであったことを知った彼の精神は、無惨に破壊され…彼は………誰も信じられなくなった……むしろ、誰を信じたら良いのか、分からなくなった。時空管理局からは見捨てられ、ティエラ先生は彼を見捨て、真っ先に逃げていった。この時、翔は……
翔『俺を愛してくれる者は、誰もいない……心から寄り添ってくれる者は、誰もいない……これからは、孤独で生きていくしかない…………胸が痛い、息が苦しい、辛い、寒い、苦しい、痛い……』
完全に、絶望していた…。
夢side OFF…
シオリ「翔君。」
レイナ「…翔君。」
シオリとレイナは、眠っている翔に優しく声を掛ける。そして、彼の頭を優しく撫でた。その時…
翔「…っ!!?」
翔が目を覚ました。少しして、自分は膝枕をされていることを理解した翔は、すぐに起き上がり、距離を取った。
翔「…何の真似だ!?」
翔はシオリとレイナに牙を剥く。その目は、敵意を向けた目であった。
レイナ「翔君が硬い地面で眠っているのを見つけたの。」
シオリ「硬い地面では寝心地が悪いのかと思ったので、膝枕をさせてもらいました。」
レイナとシオリは答える。
翔「…余計なことすんじゃねぇよ!!」
翔はシオリとレイナに怒鳴った。
シオリ「…あ、そうです!この後、お茶会をここでやろうとしていたところなんです。」
レイナ「翔君もどうかしら?」
シオリとレイナは言う。
翔「…。」
レイナ「遠慮しないで♪」
翔「…断る…お前らを見ると吐き気がする、目障りなんだよカス野郎。」
翔は二人を罵倒すると、その場を去っていった。後ろから、『待って』と言うように手を伸ばすシオリとレイナを無視して、彼は立ち去って行った。
庭から立ち去った翔は、居心地の良さそうな場所を探し、ドールハウスを歩き回っていた。
アヤ「あ、翔。どうしたの?」
途中でアヤと遭遇した。翔はアヤを無視してその場を去ろうとする。
アヤ「ちょっと待って、翔。」
翔「…あ?」
翔は不機嫌そうな顔をして、アヤの方に振り向く。
アヤ「ここの生活は慣れた?体調とか崩してない?」
アヤは翔にお節介を焼いてしまう。
翔「簡単に慣れたら苦労しねぇよ!!」
翔はアヤに怒鳴る。
翔「それに、俺の身体のことは俺がよく知っている!…保護者でもねぇくせに、イチイチ余計な真似すんじゃねぇ!ぶっ殺すぞ!!」
そしてアヤを罵倒すると、イライラしながら去っていった。
アヤ「……翔…」
翔に罵倒されたアヤは、その場に立ちすくみ…俯いてしまった。
翔は、何やらフロアのような場所にやって来て、近くにあった新聞を読み始めた。
翔(…やはり、アイツらのことが載ってるな……本当に狂った連中だ…)
裏切り者のストライカー達は、電車内をくまなく捜索したりして、遅延を引き起こしていた。更には、翔がいそうな場所をピックアップしたのか、仮面ライダー関係の施設に出入りしているそうだ。
翔(…しばらくの間…欲しい物は、アマゾンで頼むか…)
翔はそう思い、ため息をついた。そして、場所を移動しようと席を立つと…
翔「うおっ!?」
隣にはユキがいた。
翔「お、お前…いつからそこにいた!?」
ユキ「翔さんが、新聞を読み始めた辺りから、いました。」
翔「…ったく、声も掛けずに近くにいるとびっくりするだろ…近寄るなこの死人モドキが。」
翔はユキに悪態をつき、新聞を元の場所に戻し、去っていった。
翔は自室に戻って来て、隅っこに座っていた。
翔「…俺、どうなっちまうんだよ……」
考えれば考えるほど、不安がのし掛かってくる。そう感じた翔は……放心状態となっていた。
Dolls「…。」
その様子を、Dollsはこっそりと見守っていた。そして、音を立てずにドアを閉めた。
サクラ「翔さん…大丈夫でしょうか……」
ミサキ「…それは……分からないわ…」
シオリ「きっと、新しい場所での生活に、不安を抱えているんでしょう……」
レイナ「そうよね…でなければ、お茶会の誘いに…あんなに冷たく断らないもの……」
ヒヨ「え…シオリちゃんとレイナちゃん、翔さんをお茶会に誘ったの?」
シオリ「…はい。でも、翔君に罵倒されちゃいました…」
ナナミ「翔さんはただでさえ不安で一杯なのに、お茶会に誘うのは……いくらなんでも無理がありますよ…」
レイナ「…そう……ナナミなら、どうしていたの?」
ナナミ「私だったら…そっとしています……恐らく、今の翔さんは…1人でいる方が、落ち着くと思います…」
アヤ「でも…だからと言って、翔をほっとけないし…」
ユキ「…私もです…」
ヤマダ「まぁ、気持ちは分からなくもないっす…けど、それは…翔さんにとっては逆効果っすよね……」
Dollsは、今の翔の思い、今の翔との接し方について話し合っていた。そこに……
カナ「どうしました?」
カナがやって来た。
レイナ「…カナさん…どうしてここに…?」
カナ「翔君のカウンセリングを週に1度、行うことにしたんです。」
シオリ「そうなんですか…けど、翔君からは…」
カナ「大丈夫です。本人からは、事前に許可を得ていますので。」
カナは言う。
カナ「ここからは、私に任せていただけますか?」
カナがそう言うと、Dollsは頷き、その場から去っていった。
コンコンッ
翔「…はい…」
カナ「翔君、カウンセリングに来ました。入っても良いですか?」
翔「…ちょっと待て、部屋片付ける…」
カナ「分かりました。」
数分後、ドアが少し開き…そこから翔が顔を覗かせた。
翔「…入れ。」
そう言うと、翔は部屋に引っ込んだ。カナは「では、失礼します。」と言い、彼の自室に入った。
カナ「綺麗に片付いているんですね♪」
翔「…。」
翔はカナの言葉に反応を示すことなく、座布団を用意する。そして、ジェスチャーでカナに『座れ』と伝える。
カナ「ありがとうございます♪」
カナは座布団に座った。翔も座布団に座り、カウンセリングが始まった。
カナ「ここでの暮らしは、どうですか?」
翔「……不安しかねぇよ。」
カナ「…不安ですよね……新しい場所での生活…」
カナは共感し、翔の言動をメモしていく。
カナ「ここでの生活に、何か不満はありますか?」
翔「……分かるかよ、そんなこと…」
カナは頷き、メモする。
翔「…俺はここで保護されているんだ…寧ろ、感謝しなきゃいけねぇだろ…」
カナ「そうですか。」
カナは彼の発言をメモすると、
カナ「翔君みたいにそう思っている人は、中々いません。その心がけはとっても立派です♪それは、誇りに思っても良いことですよ♪」
翔を褒めた。
翔「……。」
カナの褒め言葉に、翔は反応を示すことは無かった。
カナ「あ、翔君!これってもしかして、『ジクウドライバー』ですよね!?」
カナは話題を変えることにした。そして、彼の部屋に置いてあるジクウドライバーに目をつけた。
翔「…そうだが…」
素っ気ない反応を示す翔。
カナ「他にも、『メテオドライバー』と『メテオストームシャフト』に『飛電ゼロワンドライバー』、『アークキバット&レイキバットセット』もあるんですね♪」
翔「…知ってるのか…?」
カナ「はい♪あ、ここだけの話なんですけど、私も仮面ライダーにドハマりしています♪翔君も、仮面ライダー好きですか?」
翔「…まぁな。」
カナ「そうなんですか、気が合いますね♪」
その後、仮面ライダーの話で、カナは翔の心の扉を少しだけ開くことに成功した。
カナ「本日のカウンセリングは以上となります。何かお伝えしたいこととかは、ありますか?」
翔「…ねぇよ…さっさと出てけ。」
カナ「分かりました。翔君、お話してくださってありがとうございました♪」
カナは翔にお礼を言うと、「それでは、失礼しました。」と言って部屋を出た。
翔「…。」
翔(南田さん、“仮面ライダー女子”だったのか……それにしても、“イクサ”を開発したのは、一体誰なんだ…)
その日の夜、1人自室で考え事をする翔であった。
次の日……
翔は未だにドールハウスでの生活に慣れず、不安な日々を送っていた。
翔(アイツらを罵倒し続ければ、自然と俺を追い出すだろう……俺はここにいるべきではねぇ…)
翔はそう思い、自室から出ていく。
そして、ドールハウスの事務所にやって来た。入口の前に立つと、
ドガァッ!
乱暴にドアを蹴り開けた。
翔「……ちっ、誰もいねぇか…」
事務所には誰もおらず、翔は舌打ちした。
愛「あ、翔君、おっはよ~♪」
そこに、愛がやって来る。続いて、
カナ「おはようございます。」
Dolls「おはようございます!」「おはよう。」「おっは~…」
カナとDollsがやって来る。最後に、
斑目「おはよう。」
斑目がやって来た。
翔(…来たか……)
翔は俯く。
斑目「…青空?どうしたんだ?」
斑目は翔に声をかけるが、翔は俯いたままである。
愛「どうしたの、翔君?具合悪い?」
カナ「…翔君?」
愛とカナが話しかけても、翔は未だ俯いている。愛は翔に手を伸ばす。だが、次の瞬間……
バチィッ!
翔が愛の手を思い切り叩いた。
Dolls「「「っ!?」」」
愛「しょ、翔君?」
翔「……しいんだよ…」
愛「…えっ?」
翔「いちいちいちいち鬱陶しいんだよ!!」
翔は顔を上げ、怒鳴り立てた。
愛「どうしたの翔君!?」
愛は突然怒鳴った翔を心配する。
翔「俺はなぁ、一人でいてぇ…ほっといて欲しい……だが、てめぇらはいちいち寄ってきやがって…気持ち悪いし、鬱陶しいっつってんだよ!!」
斑目「あ、青空…!?」
普段は冷静な斑目も、この時だけは冷静さを失っていた。
翔「表では優しくしていても、どうせ心の中では邪魔者扱いしているんだろ!?俺はそうやって裏切られて来たんだ!!だから誰も信じられねぇんだよ!!」
翔は感情的になる。
翔「わかってんだよ!!近いうちに俺を散々酷い目に合わせるつもりなんだろ!なぁ!?…てめぇらみてぇな奴らほど、心の中は真っ黒なんだよ!!」
更に翔はヒートアップする。
翔「そもそも、コイツら(Dolls)とは初対面なのに出会っていきなり『お帰りなさい』とか…何なんだよ!?てめぇら頭おかしいだろ!!そこにいるバカ所長も、出会って早々異常接近して来やがって、何が目的なんだよ!?そこのヘッドホン野郎にはいきなりここに連れてこられて…そこの黒ポニテにはいきなり頭撫でられるし、キモいんだよ!!」
翔は感情的になり、ドールハウスの関係者達を大声で罵倒し始める。
翔「俺の苦しみなんて誰も分かりゃしねぇ!!てめぇらだってそうだ!!口では裏切らないとか言っても、裏ではふざけたこと考えてんだろうが!!口だけだったら何度でも言える!!形だけの誠意だったら何度だって示せるんだよ!!死ね!全員消えろよカス野郎!クズ!ゴミ野郎がぁぁああああああ!!」
ドールハウスの関係者達は、何も言えず…ただただ、呆然としていた。
翔「ぜぇ…ぜぇ……おい、何か言い返して来いよ…!」
一同「「「……。」」」
翔「何か言いたそうだなぁ……だったら言い返して来いよ!言い返せよ!なぁ……おい!!」
一同「「「……。」」」
翔「怒りたきゃ怒れは良いだろ!!憎しみを、妬みを、憎悪を、全部出してみろよ!!なぁ!?…おい!!」
愛「っ!!」ギュッ
翔「っ!?」
その時、愛は翔を抱きしめた。
翔「何だよ……何の真似だよ!?」
愛「…翔君…あたし達は、翔君を怒ることなんて…できないよ…」
翔「……は?」
翔(何言ってんだ…?意味分かんねぇ……)
愛の言葉に、翔は戸惑う。
翔「何で…何故だ!!?」
愛「…翔君の言葉から、翔君がどれだけ辛い思いを、苦しい思いを、痛い思いをしてきたのかが伝わって来るからだよ…」
愛は泣いていた。Dollsも斑目もカナも、悲しそうな表情を浮かべていた。
愛「確かに…翔君の苦しみは、あたしにも分からない……それでも…あたしは翔君の苦しみを、痛みを…分かりたい!理解したい!!」ポロポロ
愛は翔の前でしゃがみ、彼の両肩に手を添える。
ミサキ「私たちも愛さんと同じです!ですから…私は翔さんからどれだけ冷たくされても、罵倒されても、傷つけられても……全部、受け入れるわ!!」
ナナミ「私、翔さんに悩みを打ち明けて、身体が軽くなった瞬間を、今でも覚えています!!翔さんが私たちを罵倒して、傷つけて……それで、翔さんの心が軽くなるなら…私は、私たちは…どれだけ翔さんに傷つけられても、平気です!」
アヤ「あたしだって、翔にどれだけ傷つけられたって、どれだけ冷たくされたって、どれだけ罵倒されたって構わない!!あたしは…ううん、あたし達はどんな翔でも……ありのままの翔を、心から受け入れるから!!」
ミサキ、ナナミ、アヤは目に涙を浮かべながら言う。この3人は特に…翔が亡くなったことにショックを受け、翔に冷たく接していたことを激しく後悔しているメンバーだ。
カナ「…翔君はすごいです。所長の斑目さんに自分の思いを伝えられるなんて…翔君は強いです。立派です。」
斑目「立場が上の者に、自分の意見や思いを伝えられる者はあまりいない…青空、お前は立派だ。」
カナと斑目は翔を怒ることなく…彼の強みを言い、心から褒め称えた。
翔「…っ!!」ジワッ
翔は目に涙を浮かべるが、泣くことを必死で堪える。
愛「翔君…泣きたい時は、泣いても良いんだよ?」
愛は翔を抱きしめ、翔に優しく語りかける。
翔「う、うるせぇ…黙れ……涙なんて、とっくに…枯れ果て、ちまったんだよ…っ!!」ポロポロ
翔はそう言うが、彼の目からは大粒の涙がこぼれる。
愛「大丈夫だよ、翔君……あたしが、あたし達が全部…受け止めるから……もう、我慢しなくても良いんだよ、ね?」ポンッ、ポンッ…
愛は翔を抱きしめ、彼の背中を優しく叩く。そして遂に……
翔「ーーーーっ!!!!」
翔は声をあげ、激しく泣いた。
愛「よしよし。」
愛は母親のような優しい笑顔を浮かべて翔を抱きしめ、彼の背中を優しく叩き、彼を優しく撫で……翔を受け止めた。Dollsもカナも斑目も、激しく泣いている翔を見て…貰い泣きした。
今まで人の前で泣いたことがなかった翔は、初めて……人の前で泣いた。ドールハウスの関係者の目には、まるで『辛い』『苦しい』『痛い』と訴えるように激しく泣く翔の姿が、心に深く刻まれた。
いかがでしたか?今回はここまでです。
『音声を楽しむ』、『ギミックを楽しむ』…これらのことから、DX版の変身ベルトには、『精神を安定させる効果があるのでは?』と思っている、そんな私です(笑)。
ドールハウスの関係者達は、翔に手を差し伸べたものの…彼が心を開くことは無く、それどころか……彼女達に敵意を向け、散々罵倒した。しかし…彼女達は翔を怒ったり、突き放したりすることなく、翔の全てを受け入れた。翔はドールハウスの関係者の目の前で、激しく泣き…愛は泣いている翔を優しく抱きしめ、彼を受け止めた。
次回も、お楽しみに。
では、またね