〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウでございます。
ドールハウスで保護されることになった『青空 翔』は、しばらくドールハウスで暮らすことになった。そこで、かつての味方の『元ストライカー』達と再会した。
しかし……新しい場所での慣れない新生活に、戸惑ってしまう。1人で抱え込む性格の彼は、それを誤魔化そうと1人でいる。そんな彼に…ドールハウスの関係者達は、優しく手を差し伸べる。
では、本編へどうぞ


第十三話 慣れない生活

次の日の朝……

結局、翔は不安なまま眠ることができず、朝まで起きていた。

翔(あ~あ、結局眠れなかったか……)

翔はため息をつきながら、重い身体を起こした。顔を洗い、寝癖を治すと、キッチンに向かい食パンを焼く。その時…

コンコンッ

部屋のドアがノックされた。

翔「…誰だ?」

カナ「翔君、南田です。入っても大丈夫ですか?」

声の主は、カナである。

翔「…あぁ。」

カナ「ありがとうございます。では、失礼します。」

ドアが開き、カナが入って来た。

カナ「只今、引っ越し業者から翔君の私物を持って来てもらったんです。」

翔「えっ…?」

困惑していると…業者の人達がやって来て、翔の私物を持ってきた。

業者「すいません、これどこに置きますか?」

翔「…あそこだ。」

翔が指差す方に棚、鏡、クローゼット、引き出し、机等を置いていき、

業者「ありがとうございました。」

翔「…ご苦労。」

業者の人達は去っていった。

翔(よかった…DX版の変身ベルト、変身アイテムは無事で……)

翔は自分で購入した変身ベルト、アイテムを見て思った。棚、鏡、机等の家具も、傷つけられることなく、全て無事だった。

カナ「突然お邪魔して申し訳ありません、では私も、これで失礼します。」

カナはそう言うと、退出していった。それと同時に、オーブンが鳴り、パンが焼けた。翔はパンを皿に乗せ、テーブルに向かい、朝食をいただいた。

 

 

 

朝食を食べ終えた翔は、皿やマグカップ等を洗い、洗面所で歯を磨くと、服を着替えた。

翔(ちょっとドールハウスを探索するか…)

翔は立ち上がると部屋を出る。

翔(ん?これ、オートロックなのか…暗証番号は…)

その時…

愛「あ、翔君、どうしたの?」

愛が翔に話し掛けてきた。

翔「…別に…」

愛「そう?困ったことがあれば、気軽にお姉さんに相談してね♪」

愛はそう言うと、ウィンクをした。

翔「…。」

愛「あ、ちなみにオートロックの暗証番号なんだけど、『193』の三桁だよ。“イクサ”って覚えてね♪」

翔「…。」

翔は困惑し、何も言わなかった。。

愛「分からないことがあったら、どんどん聞いてね♪」

愛は翔に微笑む。翔は立ち去ろうとすると、

愛「あ、そうだ。折角だから、ドールハウスを案内するよ?そうそう、強制じゃないからね?嫌だったら嫌で構わないからね。」

愛は「ドールハウスを案内する」と言った。

翔(……ドールハウスなんて、事務室ぐらいしかまともに入ったことがなかったな……ここは、案内してもらうことにするか…)

翔「…片山、さん…」

愛「ん~、なぁに?」

翔「…ドールハウスを…案内して貰えるか…?」

翔は愛にお願いする。

愛「うん♪あたしに任せて♪」

愛は嬉しそうな表情で言うと、ドールハウスの案内を開始する。

 

 

 

まず、最初にやって来たのは『シミュレーションルーム』である。

愛「ここはシミュレーションルーム。Dollsはここで戦闘訓練をしているんだ。どう、何か聞きたいこととかある?」

翔「…特に…」

愛「OK、じゃあ次に行くね♪」

愛は案内を再会する。

 

 

 

 

次にやって来たのは、隣の部屋である。

愛「ここは『武器作成場』。その名の通り、武器を作っている部屋なんだ。」

翔「…。」

翔は部屋を見渡す。

翔「…あそこにあるパーツのような物は何だ?」

翔は部屋の奥にあるいくつものパーツを指差す。

愛「あれはね、現在製作中の『兵器』だよ。」

翔「兵器ってのは……あの化け物達に対抗するためか…?」

愛「そうそう、ピグマリオン達に対抗するための兵器だよ。もしかしたら、巨大なピグマリオンも現れるかもしれないって思ってね。」

翔「…そうか…」

愛「うん、他に何か聞きたいことはある?」

翔「…ねぇよ。」

愛「は~い、それじゃあ次行ってみよう!」

愛は翔と共に、武器作成場を出る。

愛(早く“パワードイクサー”を開発させないとな~……翔君、驚いてくれるかな…?)

愛は心の中で、そう思った。

その後、事務室やレッスン場、屋上等を案内され、愛の案内は終了した。現在、翔と愛はドールハウスの庭に来ていた。

愛「翔君はこの後、どうしたい?」

翔「…何故それを聞く?」

愛「いやぁ、翔君の思いを伝えて欲しいな~って思ってね。」

翔「…なら、ここにいる。外の空気を吸うからな…」

愛「うん、分かった。それじゃ、あたしはここで退散するね♪」

愛はそう言うと、立ち去って行った。

愛がいなくなった後、翔は庭を探検していた。すると、1つの石碑らしきオブジェクトが目に入った。

翔「…何だ、これは…」

翔はそのオブジェクトに近づいていく。

翔「…これって……墓…?」

オブジェクトには『Chihiro』と言う文字が刻まれている。

翔(そうか…ここには『チヒロ』って名前の人が眠っているのか…何か供えられそうな物は……)

翔は庭を見渡す。すると、クローバーが生えている場所を見つけた。そして……

翔(お、あったあった。)

翔は“四葉のクローバー”を見つけ、それを墓の前に供え、手を合わせる。

翔(…済まない、今はこれしか無かったんだ……機会があったら、供え物を持ってくる……)

数分手を合わせた後、場所を移動した。庭には一本の木があり、木陰ができている。翔はそこに移動し、木に寄りかかった。とたんに、眠気が襲ってきた。

翔(いかん…ここで寝るわけにはいか…な……)

翔は眠気に耐えられず、眠ってしまった。

 

 

 

シオリ「突然呼び出してしまってすみません、レイナさん。」

レイナ「気にしないで。それにしても、庭でティータイムだなんて、美しいアイデアだわ。」

仕事を終えたシオリとレイナは、ドールハウスにある庭に向かっていた。そして、庭に到着すると…

シオリ「あら。」

レイナ「先客がいたみたいね。」

そこには、木陰で眠っている『青空 翔』の姿があった。シオリとレイナは、翔を起こさないように近づく。

レイナ「芝生と言えど、硬い地面で寝かせては、翔君が可哀想だわ。」(小声)

シオリ「でしたら、良い考えがあります。」(小声)

シオリは翔の頭を浮かせ、自分の膝の上に乗せた。いわゆる…“膝枕”である。

レイナ「成る程、その手があったわね。」(小声)

シオリ「はい、これで翔君も、少しは楽だと思います。」(小声)

そのうちに……

翔「すぅ……っ!?…うぅっ!!」

翔が苦しそうな表情を浮かべ始めた。どうやら、悪夢にうなされているようだ。

レイナ「!?」キュッ

レイナは翔の右手を優しく握る。すると、彼は落ち着いて眠り出した。

レイナ(翔君…悪夢を見ていたのね…)

シオリ(翔君…安心してください……私達は、翔君の味方ですから……)

シオリが眠っている翔の頭を優しく撫でると……………

…………

………

……

彼の目から、一筋の涙が流れ落ちたのだった。

 

 

夢side…

 

翔『…俺は、お前達に一体…何をしたって言うんだ!?教えてくれよ!!』

『土下座!土下座!土下座!土下座!』

翔『……。』

翔は裏切り者のストライカー達に土下座をしたその瞬間…

『ギャハハハハハハハwww』

裏切り者達は一斉に大爆笑した。

翔が見ている夢は、かつて見てきた『地獄』……ストライカー達の隊長をつとめていた頃の夢であった。ある時には、誹謗中傷されたり……理不尽な暴力を受けたり……大切な物を目の前で壊されたり……それらの出来事が、彼の身体を…精神を傷付けていった。そして…時空管理局と裏切り者のストライカー達がグルであったことを知った彼の精神は、無惨に破壊され…彼は………誰も信じられなくなった……むしろ、誰を信じたら良いのか、分からなくなった。時空管理局からは見捨てられ、ティエラ先生は彼を見捨て、真っ先に逃げていった。この時、翔は……

翔『俺を愛してくれる者は、誰もいない……心から寄り添ってくれる者は、誰もいない……これからは、孤独で生きていくしかない…………胸が痛い、息が苦しい、辛い、寒い、苦しい、痛い……』

完全に、絶望していた…。

 

夢side OFF…

 

 

 

シオリ「翔君。」

レイナ「…翔君。」

シオリとレイナは、眠っている翔に優しく声を掛ける。そして、彼の頭を優しく撫でた。その時…

翔「…っ!!?」

翔が目を覚ました。少しして、自分は膝枕をされていることを理解した翔は、すぐに起き上がり、距離を取った。

翔「…何の真似だ!?」

翔はシオリとレイナに牙を剥く。その目は、敵意を向けた目であった。

レイナ「翔君が硬い地面で眠っているのを見つけたの。」

シオリ「硬い地面では寝心地が悪いのかと思ったので、膝枕をさせてもらいました。」

レイナとシオリは答える。

翔「…余計なことすんじゃねぇよ!!」

翔はシオリとレイナに怒鳴った。

シオリ「…あ、そうです!この後、お茶会をここでやろうとしていたところなんです。」

レイナ「翔君もどうかしら?」

シオリとレイナは言う。

翔「…。」

レイナ「遠慮しないで♪」

翔「…断る…お前らを見ると吐き気がする、目障りなんだよカス野郎。」

翔は二人を罵倒すると、その場を去っていった。後ろから、『待って』と言うように手を伸ばすシオリとレイナを無視して、彼は立ち去って行った。

 

 

 

庭から立ち去った翔は、居心地の良さそうな場所を探し、ドールハウスを歩き回っていた。

アヤ「あ、翔。どうしたの?」

途中でアヤと遭遇した。翔はアヤを無視してその場を去ろうとする。

アヤ「ちょっと待って、翔。」

翔「…あ?」

翔は不機嫌そうな顔をして、アヤの方に振り向く。

アヤ「ここの生活は慣れた?体調とか崩してない?」

アヤは翔にお節介を焼いてしまう。

翔「簡単に慣れたら苦労しねぇよ!!」

翔はアヤに怒鳴る。

翔「それに、俺の身体のことは俺がよく知っている!…保護者でもねぇくせに、イチイチ余計な真似すんじゃねぇ!ぶっ殺すぞ!!」

そしてアヤを罵倒すると、イライラしながら去っていった。

アヤ「……翔…」

翔に罵倒されたアヤは、その場に立ちすくみ…俯いてしまった。

 

 

 

翔は、何やらフロアのような場所にやって来て、近くにあった新聞を読み始めた。

翔(…やはり、アイツらのことが載ってるな……本当に狂った連中だ…)

裏切り者のストライカー達は、電車内をくまなく捜索したりして、遅延を引き起こしていた。更には、翔がいそうな場所をピックアップしたのか、仮面ライダー関係の施設に出入りしているそうだ。

翔(…しばらくの間…欲しい物は、アマゾンで頼むか…)

翔はそう思い、ため息をついた。そして、場所を移動しようと席を立つと…

翔「うおっ!?」

隣にはユキがいた。

翔「お、お前…いつからそこにいた!?」

ユキ「翔さんが、新聞を読み始めた辺りから、いました。」

翔「…ったく、声も掛けずに近くにいるとびっくりするだろ…近寄るなこの死人モドキが。」

翔はユキに悪態をつき、新聞を元の場所に戻し、去っていった。

 

 

 

翔は自室に戻って来て、隅っこに座っていた。

翔「…俺、どうなっちまうんだよ……」

考えれば考えるほど、不安がのし掛かってくる。そう感じた翔は……放心状態となっていた。

 

 

 

Dolls「…。」

その様子を、Dollsはこっそりと見守っていた。そして、音を立てずにドアを閉めた。

サクラ「翔さん…大丈夫でしょうか……」

ミサキ「…それは……分からないわ…」

シオリ「きっと、新しい場所での生活に、不安を抱えているんでしょう……」

レイナ「そうよね…でなければ、お茶会の誘いに…あんなに冷たく断らないもの……」

ヒヨ「え…シオリちゃんとレイナちゃん、翔さんをお茶会に誘ったの?」

シオリ「…はい。でも、翔君に罵倒されちゃいました…」

ナナミ「翔さんはただでさえ不安で一杯なのに、お茶会に誘うのは……いくらなんでも無理がありますよ…」

レイナ「…そう……ナナミなら、どうしていたの?」

ナナミ「私だったら…そっとしています……恐らく、今の翔さんは…1人でいる方が、落ち着くと思います…」

アヤ「でも…だからと言って、翔をほっとけないし…」

ユキ「…私もです…」

ヤマダ「まぁ、気持ちは分からなくもないっす…けど、それは…翔さんにとっては逆効果っすよね……」

Dollsは、今の翔の思い、今の翔との接し方について話し合っていた。そこに……

カナ「どうしました?」

カナがやって来た。

レイナ「…カナさん…どうしてここに…?」

カナ「翔君のカウンセリングを週に1度、行うことにしたんです。」

シオリ「そうなんですか…けど、翔君からは…」

カナ「大丈夫です。本人からは、事前に許可を得ていますので。」

カナは言う。

カナ「ここからは、私に任せていただけますか?」

カナがそう言うと、Dollsは頷き、その場から去っていった。

コンコンッ

翔「…はい…」

カナ「翔君、カウンセリングに来ました。入っても良いですか?」

翔「…ちょっと待て、部屋片付ける…」

カナ「分かりました。」

数分後、ドアが少し開き…そこから翔が顔を覗かせた。

翔「…入れ。」

そう言うと、翔は部屋に引っ込んだ。カナは「では、失礼します。」と言い、彼の自室に入った。

カナ「綺麗に片付いているんですね♪」

翔「…。」

翔はカナの言葉に反応を示すことなく、座布団を用意する。そして、ジェスチャーでカナに『座れ』と伝える。

カナ「ありがとうございます♪」

カナは座布団に座った。翔も座布団に座り、カウンセリングが始まった。

カナ「ここでの暮らしは、どうですか?」

翔「……不安しかねぇよ。」

カナ「…不安ですよね……新しい場所での生活…」

カナは共感し、翔の言動をメモしていく。

カナ「ここでの生活に、何か不満はありますか?」

翔「……分かるかよ、そんなこと…」

カナは頷き、メモする。

翔「…俺はここで保護されているんだ…寧ろ、感謝しなきゃいけねぇだろ…」

カナ「そうですか。」

カナは彼の発言をメモすると、

カナ「翔君みたいにそう思っている人は、中々いません。その心がけはとっても立派です♪それは、誇りに思っても良いことですよ♪」

翔を褒めた。

翔「……。」

カナの褒め言葉に、翔は反応を示すことは無かった。

カナ「あ、翔君!これってもしかして、『ジクウドライバー』ですよね!?」

カナは話題を変えることにした。そして、彼の部屋に置いてあるジクウドライバーに目をつけた。

翔「…そうだが…」

素っ気ない反応を示す翔。

カナ「他にも、『メテオドライバー』と『メテオストームシャフト』に『飛電ゼロワンドライバー』、『アークキバット&レイキバットセット』もあるんですね♪」

翔「…知ってるのか…?」

カナ「はい♪あ、ここだけの話なんですけど、私も仮面ライダーにドハマりしています♪翔君も、仮面ライダー好きですか?」

翔「…まぁな。」

カナ「そうなんですか、気が合いますね♪」

その後、仮面ライダーの話で、カナは翔の心の扉を少しだけ開くことに成功した。

 

 

 

カナ「本日のカウンセリングは以上となります。何かお伝えしたいこととかは、ありますか?」

翔「…ねぇよ…さっさと出てけ。」

カナ「分かりました。翔君、お話してくださってありがとうございました♪」

カナは翔にお礼を言うと、「それでは、失礼しました。」と言って部屋を出た。

翔「…。」

翔(南田さん、“仮面ライダー女子”だったのか……それにしても、“イクサ”を開発したのは、一体誰なんだ…)

その日の夜、1人自室で考え事をする翔であった。

 

 

 

次の日……

 

翔は未だにドールハウスでの生活に慣れず、不安な日々を送っていた。

翔(アイツらを罵倒し続ければ、自然と俺を追い出すだろう……俺はここにいるべきではねぇ…)

翔はそう思い、自室から出ていく。

そして、ドールハウスの事務所にやって来た。入口の前に立つと、

ドガァッ!

乱暴にドアを蹴り開けた。

翔「……ちっ、誰もいねぇか…」

事務所には誰もおらず、翔は舌打ちした。

愛「あ、翔君、おっはよ~♪」

そこに、愛がやって来る。続いて、

カナ「おはようございます。」

Dolls「おはようございます!」「おはよう。」「おっは~…」

カナとDollsがやって来る。最後に、

斑目「おはよう。」

斑目がやって来た。

翔(…来たか……)

翔は俯く。

斑目「…青空?どうしたんだ?」

斑目は翔に声をかけるが、翔は俯いたままである。

愛「どうしたの、翔君?具合悪い?」

カナ「…翔君?」

愛とカナが話しかけても、翔は未だ俯いている。愛は翔に手を伸ばす。だが、次の瞬間……

バチィッ!

翔が愛の手を思い切り叩いた。

Dolls「「「っ!?」」」

愛「しょ、翔君?」

翔「……しいんだよ…」

愛「…えっ?」

翔「いちいちいちいち鬱陶しいんだよ!!」

翔は顔を上げ、怒鳴り立てた。

愛「どうしたの翔君!?」

愛は突然怒鳴った翔を心配する。

翔「俺はなぁ、一人でいてぇ…ほっといて欲しい……だが、てめぇらはいちいち寄ってきやがって…気持ち悪いし、鬱陶しいっつってんだよ!!」

斑目「あ、青空…!?」

普段は冷静な斑目も、この時だけは冷静さを失っていた。

翔「表では優しくしていても、どうせ心の中では邪魔者扱いしているんだろ!?俺はそうやって裏切られて来たんだ!!だから誰も信じられねぇんだよ!!」

翔は感情的になる。

翔「わかってんだよ!!近いうちに俺を散々酷い目に合わせるつもりなんだろ!なぁ!?…てめぇらみてぇな奴らほど、心の中は真っ黒なんだよ!!」

更に翔はヒートアップする。

翔「そもそも、コイツら(Dolls)とは初対面なのに出会っていきなり『お帰りなさい』とか…何なんだよ!?てめぇら頭おかしいだろ!!そこにいるバカ所長も、出会って早々異常接近して来やがって、何が目的なんだよ!?そこのヘッドホン野郎にはいきなりここに連れてこられて…そこの黒ポニテにはいきなり頭撫でられるし、キモいんだよ!!」

翔は感情的になり、ドールハウスの関係者達を大声で罵倒し始める。

翔「俺の苦しみなんて誰も分かりゃしねぇ!!てめぇらだってそうだ!!口では裏切らないとか言っても、裏ではふざけたこと考えてんだろうが!!口だけだったら何度でも言える!!形だけの誠意だったら何度だって示せるんだよ!!死ね!全員消えろよカス野郎!クズ!ゴミ野郎がぁぁああああああ!!」

ドールハウスの関係者達は、何も言えず…ただただ、呆然としていた。

翔「ぜぇ…ぜぇ……おい、何か言い返して来いよ…!」

一同「「「……。」」」

翔「何か言いたそうだなぁ……だったら言い返して来いよ!言い返せよ!なぁ……おい!!」

一同「「「……。」」」

翔「怒りたきゃ怒れは良いだろ!!憎しみを、妬みを、憎悪を、全部出してみろよ!!なぁ!?…おい!!」

愛「っ!!」ギュッ

翔「っ!?」

その時、愛は翔を抱きしめた。

翔「何だよ……何の真似だよ!?」

愛「…翔君…あたし達は、翔君を怒ることなんて…できないよ…」

翔「……は?」

翔(何言ってんだ…?意味分かんねぇ……)

愛の言葉に、翔は戸惑う。

翔「何で…何故だ!!?」

愛「…翔君の言葉から、翔君がどれだけ辛い思いを、苦しい思いを、痛い思いをしてきたのかが伝わって来るからだよ…」

愛は泣いていた。Dollsも斑目もカナも、悲しそうな表情を浮かべていた。

愛「確かに…翔君の苦しみは、あたしにも分からない……それでも…あたしは翔君の苦しみを、痛みを…分かりたい!理解したい!!」ポロポロ

愛は翔の前でしゃがみ、彼の両肩に手を添える。

ミサキ「私たちも愛さんと同じです!ですから…私は翔さんからどれだけ冷たくされても、罵倒されても、傷つけられても……全部、受け入れるわ!!」

ナナミ「私、翔さんに悩みを打ち明けて、身体が軽くなった瞬間を、今でも覚えています!!翔さんが私たちを罵倒して、傷つけて……それで、翔さんの心が軽くなるなら…私は、私たちは…どれだけ翔さんに傷つけられても、平気です!」

アヤ「あたしだって、翔にどれだけ傷つけられたって、どれだけ冷たくされたって、どれだけ罵倒されたって構わない!!あたしは…ううん、あたし達はどんな翔でも……ありのままの翔を、心から受け入れるから!!」

ミサキ、ナナミ、アヤは目に涙を浮かべながら言う。この3人は特に…翔が亡くなったことにショックを受け、翔に冷たく接していたことを激しく後悔しているメンバーだ。

カナ「…翔君はすごいです。所長の斑目さんに自分の思いを伝えられるなんて…翔君は強いです。立派です。」

斑目「立場が上の者に、自分の意見や思いを伝えられる者はあまりいない…青空、お前は立派だ。」

カナと斑目は翔を怒ることなく…彼の強みを言い、心から褒め称えた。

翔「…っ!!」ジワッ

翔は目に涙を浮かべるが、泣くことを必死で堪える。

愛「翔君…泣きたい時は、泣いても良いんだよ?」

愛は翔を抱きしめ、翔に優しく語りかける。

翔「う、うるせぇ…黙れ……涙なんて、とっくに…枯れ果て、ちまったんだよ…っ!!」ポロポロ

翔はそう言うが、彼の目からは大粒の涙がこぼれる。

愛「大丈夫だよ、翔君……あたしが、あたし達が全部…受け止めるから……もう、我慢しなくても良いんだよ、ね?」ポンッ、ポンッ…

愛は翔を抱きしめ、彼の背中を優しく叩く。そして遂に……

翔「ーーーーっ!!!!」

翔は声をあげ、激しく泣いた。

愛「よしよし。」

愛は母親のような優しい笑顔を浮かべて翔を抱きしめ、彼の背中を優しく叩き、彼を優しく撫で……翔を受け止めた。Dollsもカナも斑目も、激しく泣いている翔を見て…貰い泣きした。

今まで人の前で泣いたことがなかった翔は、初めて……人の前で泣いた。ドールハウスの関係者の目には、まるで『辛い』『苦しい』『痛い』と訴えるように激しく泣く翔の姿が、心に深く刻まれた。




いかがでしたか?今回はここまでです。
『音声を楽しむ』、『ギミックを楽しむ』…これらのことから、DX版の変身ベルトには、『精神を安定させる効果があるのでは?』と思っている、そんな私です(笑)。

ドールハウスの関係者達は、翔に手を差し伸べたものの…彼が心を開くことは無く、それどころか……彼女達に敵意を向け、散々罵倒した。しかし…彼女達は翔を怒ったり、突き放したりすることなく、翔の全てを受け入れた。翔はドールハウスの関係者の目の前で、激しく泣き…愛は泣いている翔を優しく抱きしめ、彼を受け止めた。
次回も、お楽しみに。
では、またね
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