〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
日付は8月31日、夏の最終日である。翔達は海の家『かぼす』で働きながら、豪華なホテルで夏を満喫した。
翔「ありがとうな、ハナ。」
ハナ「うふふっ、来年の夏もまた最高の夏を提供するわ♪」
メンバー達が海ではしゃいでいる間、翔はホテルのチェックアウトを済ませていた。今日の夜には、ここを去る必要があるのだ。
翔(23区も問題は見られなかったようだな…それに、モシュネ達を戦えるようにして正解だった。)
万が一、人手が足りなくなった事を考慮した翔は…モシュネ達に陣形や編隊飛行、多彩な戦法を指導していたのだ。その甲斐あってか、モシュネ達は翔達が居ない間、23区に出現した妖魔達を撃破する事に成功したのだ。マザーモシュネの言う事をしっかり聞きつつ、任務をスムーズに遂行したのだ。それもその筈…マザーモシュネに戦法を教えたのは、翔だからだ。翔からの言葉であるから、モシュネ達はマザーモシュネの言う事を聞くようにもなった。
翔(ま、たまに言う事聞かねぇ時もあるそうだが……まぁ、モシュネ達にだって意志があるからな…)
一海「おーい翔ー!!早く来いよ!!冷たくて気持ちいいぞー!!」
翔「俺に指図すんな!!」
そう言いつつも、海へ向かって行く翔。潮の香り、潮風を感じながらも、翔は海を満喫する。仰向けになった状態で、海面をプカプカと浮かぶ。
翔(ふぅ、邪魔は入ったが……今は気分が良い……)
信頼できる仲間達と過ごす時間はあっという間に過ぎ、日が沈み…空には満天の星空が見える。
彩羽「星が綺麗だね、翔君。」
翔「…そうだな。」
翔の隣には、姉の彩羽がいる。
彩羽「翔君、アタシ嬉しいよ…今年の夏も、一緒に思い出作れて……」
翔「…そうか。」
彩羽「ねー、翔君は嬉しい?こーんなに綺麗なお姉ちゃんと一緒に思い出作れて、しかも水着姿だよ!!」
翔「死ね。」
彩羽「し、死ね!?ひっどぉぉおおおおい!!」大汗
翔からの塩対応に、ビックリする彩羽。
彩羽「まーいっか、それも翔君からの愛の鞭なんだし♪」
翔「お前は良いよな…いかなる時も、前向きで……」汗
面倒臭いと思い、いつも通りの塩対応をする翔。
諒芽「なぁなぁ、この後花火大会あるんだってよ!!屋台の飯、たっくさん食って花火みようぜ!!」
大助「良いねぇ、屋台飯全制覇すっか。」
この後、この海岸を舞台に花火大会が始まるそうだ。彼らも花火大会に参加し、屋台を回った。
フェイ「はぁ、屋台の食べ物って美味しそうだし…うん、美味し〜♪」
あから「あはは、本当だね。」
STARSメンバー達も任務の事は一先ず忘れて、夏祭りを楽しむ。やがて、夜空には花火が上がる。花火は人々に歓喜を与え、周囲には喜ぶ声が聞こえて来る。
「綺麗〜!!」「やっぱ生で見る花火は格別だー!!」「パパ、ママ、花火綺麗だね!!」「うん、綺麗ね♪」「あぁ、綺麗だな!!」
周囲の喜ぶ声が、翔達の心を癒す。
翔「…お前達。」
ふと、翔はメンバー達に1つだけ質問する。
ほたる「どうしました、隊長サン?」
翔「お前達は今…幸せか?」
彼の質問に対する彼女達の答えは、こうだった。
彼女達の答えを聞き、安心する翔。だが……
翔(本当は、ドールハウスの連中がいりゃあ完璧だったんだがな……ストライカー共の魔の手から遠ざける為…もう2度と、任務の邪魔をさせねぇ為……つまり、アイツらを守る為…こればかりは、仕方ねぇ事なんだ……許してくれとは言わねぇ…寧ろ、許さなくて結構だ……これが、俺のやり方だからな。)
本当は、ドールハウスの者達と一緒になって…信頼できる仲間達全員と、思い出を作りたかったのだ。しかし、ストライカー達の襲撃と任務妨害を受け、ドールハウスにわざと敵対…ストライカー達の注意を自分達へと引き付けたのだ。夜空には数多の花火が咲いては消え、咲いては消えを繰り返す。その花火達を見る翔の顔は、相変わらず無表情で…何を考えているか、分からない顔をしていた。
大助「……青空、来年は皆で来れると良いな。」
大助は翔を気にかけ、彼にしか聞こえない程の声でそう言った。こうして、今年の夏は終わった。花火を見終えた翔達は列車に乗り、東京へと帰って行った。