〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第四百九話 槍の試練

この日、Dollsは荒川流域にて任務を行っていた。

 

 

PPPーーーー

 

 

カナ『ーー適性反応、消滅しました。周囲に異常はないか、注意してくださいね…』

 

彼女達は丁度ピグマリオンを倒した所で、周囲の警戒に当たっている。しかし、特にこれと言った異変は無い。

 

アヤ「…………。」

 

ヤマダ「…アヤさ〜ん、聞こえてます〜?」

 

愛「こっちの状況は……今は静かで何も無い。引き続き警戒するよ……」

 

その時、それまで黙っていたアヤが急に口を開いた。

 

アヤ「…納得いかない!なんの説明もナシで荒川巡回って信じらんない…」

 

サクラ「アヤさん……」

 

どうやら、今回の巡回は急に突き付けられた任務で…事前説明も何も無く始まったようだ。アヤはこれに納得いかず、先程まで黙っていた。

 

ヤマダ「ま、正直ジブンも同じような気分っすな。」

 

アヤだけではなく、ヤマダも…ここにいる殆どのメンバーが、どこか納得できない顔をしている。

 

愛「……。」

愛(こんな時、翔君だったら……)

 

暗い雰囲気が続き、「翔だったら…」と考えてしまう事が癖になっている愛。だが、そんな彼はドールハウスを去ってしまっている為、頼る事ができない。

 

アヤ「EsGって、なんなのよ!?ユキは、どうしたら元に戻れるの!?」

 

その上、メンバーの1人であるユキが…ユキではなく、EsGそのものだったという事実を最近知った。EsGも謎が多く、Dollsであってもその存在をよく分かっていない。

 

アヤ「どうしたら……」

 

得体の知れない存在に身体を乗っ取られたユキ…元に戻す方法が見つからない今、メンバー達の不安は増々大きくなるばかり……コンディションは、最悪だ。

 

愛「アヤちゃん……」

 

サクラ「愛さんは……EsGが何なのか、知っていたんですか?」

 

愛「ううん…全く……」

 

サクラ「翔さんも、知っていたんでしょうか…EsGを……」

 

愛「……。」

 

今ここには居ない翔も、EsGを知っていたのか…それは、本人にしか分からないため、愛は言葉を詰まらせる。

 

サクラ「…!?あれは、翔さん…!!」

 

メンバー「「「えっ?」」」

 

サクラの視線の先には…何やら戦闘スーツに身を包み、ライドブッカーの銃口から弾丸の嵐を妖魔目掛けて乱射する翔の姿があった。100体程いた妖魔達も、あっさり全滅してしまった。

 

愛(関わるなって言ってたんだよね…でも、聞きたい事を聞かなくて良い理由にはならない……)

 

愛は翔の元へ歩き始める。

 

サクラ「愛さん、翔さんからの警告が」

 

愛「それでも、聞きたい事があるなら聞かないと……!!」

 

彼女の言葉を聞き、Dollsも愛に着いていった。

 

 

 

翔「…俺だ、荒川流域に現れた妖魔共は殲滅した。」

 

リョウコ『えぇっ!?隊長さん一人で!?』

 

翔「当たり前だろ。」

 

ほたる『リョウコ先輩!!隊長サンですよ、私達を引っ張ってくれる隊長サンなんですよ!?正義は必ず勝つって相場が決まってるんですから!!』

 

翔「…ほざけ。そっちはどうなんだ?」

 

マリ『妖魔は殲滅したし、救助者も助けたよ。』

 

翔「よくやった。引き続き巡回を頼む。」

 

『『『了解!!』』』

 

仲間達と通信を終えた翔は、オーロラカーテンを出現させる。そこに入って行こうとしたが…寸前で足を止め、オーロラカーテンを消した。

 

愛「…翔君。」

 

そこに、愛を初めとするドールハウスのメンバー達が姿を現した。

 

翔「…何の用だ?」

 

愛「どうしても聞きたい事があるの…ごめん、警告を破って……」

 

すると、翔は再びオーロラカーテンを出すと…

 

翔「…着いて来い。」

 

…とだけ良い、中へ入って行った。ドールハウスのメンバー達も、彼に続いてオーロラカーテンへと入って行く。その先には、先程渡って来たであろう橋の下であった。

 

翔「…なるべく手短にしろ。」

 

彼の言葉を聞き、愛は彼に質問をする。

 

愛「翔君は、EsGって何なのか…知ってる……?」

 

彼女の問に対する、翔の答えはこうだ。

 

翔「…正直、俺には何もわからん。俺が少しだけわかっていることと、それが結びつくかもわからん……」

 

彼の言葉を聞き、ヤマダは言う。

 

ヤマダ「…つまり、心当たりがあると?」

 

アヤ「…!翔!それ、教えてよ!!何でも良い!間違っててもいいから…」

 

翔「声がデケェ……」

 

アヤ「…あ、ごめん……」

 

翔「まぁ良い…俺が思うに、EsGはーー」

 

翔はEsGについて、己の解釈を中心に語り出す。

 

翔「お前達と同じような奇跡の力を持った何か……」

 

ユキ「2%同意……」

 

翔「…?」

 

ユキの様子を目の当たりにした翔。そして、状況をすぐに見抜いた。

 

翔(…完全に乗っ取られてるな、こりゃ……ふざけた真似しやがって……)

 

ユキがEsGに乗っ取られたと知った翔は、表情は無いが口角が下がっていた。

 

ユキ「EsGは『装置』ではない。『人形』とは違う。」

 

翔「…。」

 

ユキ「ただし、奇跡により成り立つ存在という点は共通しているものといえる。」

 

ヒヨ「き、奇跡??」

 

ユキの…いや、EsGの言葉に困惑するヒヨ。

 

ユキ「奇跡により存在が変化したもの『転生』を経て現在に至るものーー」

 

ナナミ「転生……私たちが……?」

 

ナナミもEsGの言葉に、困惑し始める。

 

ユキ「新たな存在としての強度を得たものは『その使命を果たす』使命がある。」

 

ヒヨ「使命って……ピグマリオンを倒すこと……?」

 

ナナミ「……じゃあ、EsGとはなんなんです?どんな使命があるっていうんですか?」

 

ユキ「神なき正常な世界をもたらす。そのための(しるべ)。」

 

ミサキ「神……だから、神を滅ぼす槍だと……?」

 

レイナ「……壮大な話ね。その割には私たちに対して情報が少なすぎると思うのだけれど。」

 

ユキ「……。」

 

黙り込むEsG。

 

ミサキ「伝える必要はない、と言いたいのかしら……」

 

シオリ「ユキさん……あなたは……あなたの今の『使命』はなんですか?私たちと同じ?それとも……別の何かになってしまったのですか?」

 

アヤ「…!」

 

シオリからの問に対するEsGの答えは……

 

ユキ「それは、これより決定される。」

 

そう言った次の瞬間…テアトルが展開される。

 

ヤマダ「おっと……急っすね……レイドボスでもでたんすか?」

 

シオリ「…!何か…来ます!!」

 

レイナ「待って……でもこれは……フィールの輝き?」

 

ミサキ「何、あの姿はーー」

 

彼女達の視線の先から、得体の知れない何かが近付いて来ている。

 

 

 

これは、『試練』である

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