〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第四百十一話 『EsG』

ドールハウスへと帰還したDolls一同。そこには…

 

アヤ「斑目さん!?」

 

ドールハウスに居ないはずの斑目の姿があった。

 

シオリ「斑目さん……お戻りになっていたんですね。」

 

斑目「あぁ、カナから報告を受けてな…長く不在にしてすまない。」

 

どうやらカナの報告を聞き、ドールハウスへ戻って来たようだ。

 

斑目「お前達も、荒川区の巡回ご苦労だった。翔が新型と交戦したと報告があったが−−」

 

ユキ「ピグマリオンとは存在の異なるもの。『ドッペルゲンガー』と呼称。」

 

斑目「……何?」

 

ユキの言葉に困惑する斑目。

 

ユキ「槍を『模倣』して作られた存在。偽物の否定により本物としての存在強度が高まる。」

 

斑目「……その言い方。ユキ、お前は……」

 

カナ「……EsGと関係ありますか?」

 

カナのその言葉に、目を丸くする斑目。

 

カナ「EsGの消失、ユキちゃんの入院……作戦提案、根拠の提示、その手法……何か、関係あると考えるのが自然です……そして、皆さんも……少なからずそれを感じ取っていますね?」

 

アヤ「そう……そうだよ!でも、あたし達は何も知らない!!教えてもらってない……ユキが……どうしてこうなっちゃったのか……ユキは今ほとんどEsG、って言ってたわ!EsGってなんなの!?教えてよ!!」

 

斑目「……!ユキがEsGだと!?そんなことが……ありえるのか……?」

 

アヤの言葉を聞き、戸惑いを隠せない斑目。

 

斑目「いや、でも……EsGがどこにもいなかったのもそれであれば……?」

 

ヤマダ「やっぱ何か知ってるようっすな。納得いく説明をお願いしたいもんすね……」

 

斑目「……。」

 

斑目は少しの沈黙後、静かにこう言った、

 

斑目「私は……私も……その全容を把握するものではない……しかし、お前たちの問に対して知るところはある。それには、全て答えよう。」

 

ヤマダ「おっと……意外っすね……それでも機密とか言うかと思ったっすけど。」

 

斑目「フ……お前たちにドールハウスを制圧されてはたまらんからな……」

 

斑目の言葉を聞き、今度はユキ以外のDollsが目を丸くする。

 

ミサキ「…!それは……」

 

シオリ「聞いていらしたんですね……」

 

サクラ「し、しませんよ!そんなこと!ねぇ、ミサキさん!!」汗

 

ミサキ「……。」

 

サクラはミサキに同意を求めるが…

 

ミサキ「……では、返答次第ということで。」

 

彼女は同意しなかった。

 

サクラ「み、ミサキさん!?」汗

 

斑目の答え次第では、ドールハウスを制圧するかもしれないし…制圧しないかもしれない……後は、斑目次第だ。

 

斑目「いいだろう……まずはEsGとは何か−−それは聞いたほうが早いかもしれん。EsG、我々の目的を確認したい。」

 

ユキを見ながら言う斑目。

 

ユキ「我々の目的は脅威の排除。人類を脅かす超常の存在を滅ぼすこと。」

 

サクラ「ユキさん……!?」

 

これにより、ユキの中にいるのがEsGである事が証明された。

 

斑目「どうやら本当にEsGのようだな。なぜ、こんなことに……いや……そうか……」

 

 

『あの場所』にいたことが関係しているなら

 

 

ミサキ「あの場……それはいったいどこのこと?」

 

斑目「……新宿。」

 

シオリ「……!新宿にユキさんが!?」

 

新宿…この世界の新宿は、ピグマリオンが生まれたと言われている場所で……この世界の殆どの住人たちからの記憶から消え去った都市である。

 

ミサキ「まさか……ユキがドールになったことにも何か関係が?」

 

サクラ「じゃ、じゃあ、その時斑目さんも新宿に?」

 

斑目「……まずはEsGの事を話そう。」

 

斑目はEsGについて話し始める。

 

斑目「目的は今聞いた通り、EsGとは…オーパーツ……我々に高度な未来予測を授けるものだ。」

 

ヒヨ「おーぱーつ……なあに、それ?」

 

ナナミ「OOPARTS……Out of place Artifacts.」

 

レイナ「『その場にそぐわない物』…という意味かしら?」

 

ナナミ「ええ…その場、もしくは時代にはあり得ないような技術で作られたと思われる何か……石器時代に自動車があるとか。現代にタイムマシンがあるとか。でもそれだけじゃまだ何なのかわかりません。ユキさんにとりつくようなものなんですか?」

 

斑目「『それ』は突然現れた。我々の敵の敵であると言ってな……」

 

レイナ「……所長?何の話を?」

 

斑目「そのオーパーツは人間の姿をしていた。表面上言葉も通じる。表面上はな……あらゆる知識、構造を瞬時に理解し模倣して見せた。その能力(ちから)はまさに、奇跡−−」

 

斑目の言葉に、言葉を失うメンバー達。

 

斑目「そしてそれはひとつの『システム』を構築した。それがEsGだ。」

 

突如として何者かが現れ、構築されたのが『EsG』であると斑目は言う。

 

ナナミ「その人の形をしたオーパーツがEsGを作った?だとしたら−−」

 

レイナ「EsGを生み出した何者か。その素性のほうが気になってくるわね。」

 

斑目「……私もそれをオーパーツと呼んではいるが、本当にそれが何なのかは確証はない。EsGは『それ』が我々人間にも扱えるようにした奇跡の力……本体は、その人型−−我々と敵を同じくするという超常的存在。オーパーツは自らのことを『天使』と表現した。EsGとはその『天使』の知覚を切り出した擬似人格のようなものだと解釈している。」

 

ユキ「88%同意。」

 

アヤ「ゆ、ユキ……」

 

ユキ「知覚によって得られたデータの集合。統計・傾向を演算し活路を導き出す標。東京各所のサーバーに分散していた処理をギアを介し集約。今EsGは『この中』にある。失われた存在強度を擬似人格を形成し代替。『槍』の行動補助のための機能を拡張、作動中。すべては我々の仇敵(きゅうてき)。『神』を滅ぼすために……」

 

アヤ「神……神を滅ぼす槍……あたし達の敵は神様だっていうの……?」

 

斑目「そういう…ことか……」

 

ユキの中にいるEsGの言葉を聞き、何かを確信した斑目。

 

 

ユキを選んだのは

 

お前が直接ギアを差したドール

 

だからか?

 

 

ヤマダ「あん?何だって……?」

 

斑目「あの日、新宿で−−」

 

斑目が説明しようとした時、ユキは急に意識を失ったようにその場に倒れた。

 

アヤ「え?ちょっと、しっかりして!ユキ……ユキ!!」

 

ユキに駆け寄るメンバー達、ドールハウス専属医は彼女の脈拍と呼吸を確認する。

 

深雪「脈拍、呼吸正常です。」

 

カナ「意識が急に?でもどうして……」

 

斑目「病院に搬送だ!EsGがユキの中にあるならドールハウスの設備では対応できない…!!」

 

その後、ユキはすぐに専用病院へと搬送された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、東京都のある区では……

 

翔「α部隊は銃で、β部隊はブレードで応戦しろ。」

 

STARSが都民を守るべく、妖魔と戦っていた。隊長である翔も、構成員に指示を出しながらライドブッカーを使って妖魔と戦っている。彼らの活躍により、妖魔達は殲滅した。怪我人も死人も誰一人いない。彼らの後ろには、救出された生存者達がいる。妊婦の女性とその夫である男性だ。

 

妊婦「嗚呼、STARSの皆さん…本当にありがとうございます…!!」

 

夫「本当にありがとうございます!!子どもと妻を助けてくださって、ありがとうございます!!」

 

お礼を言う夫婦だが、妊婦が苦しそうにし始める。

 

妊婦「うっ!?う、産まれる…!!」

 

妊婦を見ると破水していた。慌てる夫だが、翔は冷静に指示を出す。

 

翔「モルガナ、担架を出して妊婦を優しく乗せろ。すぐ病院に運ぶぞ。お前達は夫婦の護衛をしろ」

 

モルガナは不思議な妖術で妊婦を浮かせ、光の担架に優しく乗せた。その後、STARSは近くの病院へと向かった。病院に着くと同時に、妊婦は陣痛室へと運ばれ、夫も立ち会いに向かった。それを見届けた翔は、STARSメンバーに撤収の指示を出した。まもなく、陣痛室からは健やかな産声が響き渡った。

 

看護師「おめでとうございます、元気な男の子ですよ!!」

 

母親「嗚呼、良かった…!!」

 

父親「よく頑張ったな…!」

 

元気に産まれてきた新しい命を目の当たりにし、喜ぶ夫婦。

 

父親「名前は…翔真(しょうま)、星野 翔真だ。」

 

母親「翔真…素敵な名前、産まれてきてくれてありがとう。」

母親(STARSの皆さん、本当にありがとうございました……)

 

 

 

新しい命の誕生を、STARSは離れた場所から見ていた。

 

ほたる「はわぁ、感動です…!!」

 

あから「あぁ、そうだね。」

 

ミネルヴァ「赤ちゃん、可愛いね♪」

 

彩羽「翔君が守った街で産まれたんだ。」

 

翔「俺じゃねぇ…“俺達”で守った街、だろ?」

 

モニカ「うん、そうそう…アタシ達で守った街で、だね♪」

 

STARSはその場を離れ、街のどこかへと去って行く。

 

翠「隊長ちゃん、流石に依頼料は取らないでしょ?」

 

翔「当然だ、折角新しい命が誕生したんだ…幸せ真っ只中の家族から金を巻き上げるとか、そんな鬼畜の所業…できるわけねぇだろ。」

 

フェイ「でも、あの家族…それを知らないかもよ?」

 

翔「安心しろ、置き手紙を残したんだ。依頼料は要らねぇってな……」

 

そう言うと、口角を上げる翔。

 

翔「今日は気分が良い、寿司でも食いに行くか…俺の奢りだ。」

 

彩羽「あたしからも出すから、皆好きなの食べてね♪」

 

「「「やった〜♪」」」

 

任務を終えたSTARSは、緊張が解けて緩々モードになる。そして、街中への去って行った。

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