〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第四百十三話 回想と心残り

今思えば…Dollsと出逢った事で、俺の人生は変わり始めたのかもしれない……ストライカー達の隊長だった時には、妖魔から市民たちを守る為……如何なる仕打ちも耐えていた。だが、毎回のように市民からの罵声が飛んで来るわ、上層部からも理不尽にキレられるわ、ストライカー達からも罵声が飛んで来るわで…俺の隊長時代は滅茶苦茶だった。遂にはストライカー達からの仕打ちに耐えられず、隊長を辞めて五稜館学園も辞めた…その時は肩の荷が降りたが、奴らが俺を連れ戻そうと追って来やがった。それにも耐えられなくなって命を捨てたが…この世界に降り立ってからは、楽しいと思えた事…忘れたくないと思えた事が訪れるようになった。そこにはいつも、Dollsや元ストライカー達がいた…………

 

だが俺は、ある日…食人衝動を抑えられず、大切な人を喰ってしまった……ストライカーすら纏められず、自身の衝動すら抑えられず……これじゃあまるで、出来損ないじゃねぇか……今ドールハウスに戻れば、俺はまた…ヒトを喰っちまう……そうなるなら、ドールハウスから身を引いた方が遥かにマシだ。そうすりゃあ、大切なヒトを傷付けずに済む…その上、ストライカー達を遠ざける事もできる…奴らの狙いは俺だからな……そうすりゃあ、一石二鳥じゃねぇか……ただ……

 

 

 

翔「……。」

 

一海「翔?おーい、翔?」

 

翔「……んだよ。」

 

この日の翔は、一海達と浅草に来ていた。ここ最近は仕事続きだった翔に気分転換して貰おうと考えた一海達が、彼を誘ってここまで来たのだ。

 

一海「どうしたんだ、さっきから浮かない顔して。」

 

翔「…何でもねぇよ。」

 

素っ気ない態度を取りつつも、人形焼を口に運ぶ翔。

 

友香「久しぶりに食べる人形焼は美味しいですね。」

 

紫「あぁ、そうだな。」

 

諒芽「このスポット、俺が見つけたんだぜ?ここの人形焼は色んな味があんだ、だから飽きないぜ?」

 

彼らが来ている通りは、雷門から少し離れている場所にある。ここの人形焼は定番のこしあんだけではなく、カスタードクリームやサツマイモ、抹茶餡、桜餡、プレーン等の変わり種もあるのだ。中でも人気なのは、30個入りのミックスだ。全部の味が5個ずつ入っているのだ。

 

諒芽「…って翔ちん、どうしたんだよ冴えない顔して。」

 

翔「人形焼が美味すぎて腹立ってんだよ…」

 

諒芽「それめっちゃ分かる。美味すぎる理由を説明して欲しいぜ、人形焼…!!」

 

一海「嬉しいのか怒ってんのかどっちなんだ…?」汗

 

翔「嬉しいに決まってんだろ、お前はバカか?」

 

一海「何だと〜?」

 

翔(ドールハウスに居る時に、アイツらを連れ出せば良かったな……)

 

紫「…翔、Dollsが居なくて寂しいか?」

 

翔「バカ、んなわけあるか…」

 

心配そうな顔をする紫にも素っ気ない翔。

 

紫(普段通りに振る舞っているが、寂しそうに思えるな…)

 

無表情である彼の顔だが、紫には心なしか寂しそうにしていると感じていた。

 

友香「翔さん、ドールハウスに戻った時には…Dollsの皆と一緒に来ましょう?」

 

翔「来るか来ねぇかは俺の勝手だ。てか、ドールハウスには戻らねぇっつってんだろォが……」

 

人形焼を食べながら浅草を観光する翔と一海達。

 

翔(前まではこんな感情…『寂しい』って感情は無かったが……アイツらと当たり前のように過ごしていたせいか……)

 

表情には出さないものの、寂しさを感じていた翔。一海達も、彼の感情に気付いている。だが、気を遣って言葉には出さない。

 

一海(どうにかしてドールハウスと繋げたいが、下手に動くと気付かれる…それに、ストライカー共は翔の作戦にまんまと引っ掛かっている……それなのに、ドールハウスと翔を繋げようとすれば何もかもおしまいだ。)

 

ドールハウスの関係者とも繋がりがある一海達だが、翔に気付かれてしまえば終わりだ。何しろ、翔がドールハウスと敵対していることを知っているからだ。そのお陰で、ストライカー達はドールハウスに目を向けず、翔のみを狙うようになっている。少しでもドールハウスと翔を繋げるような動きを見せれば、翔の思いも作戦も無駄にする事になる。そう思うと、中々動けなかった。

 

友香(今はまだ、動かない方が良いのかもしれませんね。)

 

諒芽(まぁ、ストライカー共は俺達に興味はねぇみたいだから…つっても、慎重に行かねぇとなぁ……今はまだ、行動するのは早いかもな。)

 

ドールハウスと翔を再び繋げるのにはまだ早いと感じた友香と諒芽。そんな時、通りの奥が何やら騒がしい……

 

陽奈「ねぇちょっと!!何で人形焼売ってくんないの!?金ならあるんですけどぉ?」

 

店主「人様に迷惑ばっかりかける奴に売るモンはねぇ、帰れ!!」

 

陽奈「はぁ!?お客様は神様なんでしょ!?さっさと売れよ!!」

 

イミナ「ゴタゴタ言ってねぇでさっさと100個作りやがれ!!」

 

見ると、ストライカー達が人形焼店の店主と揉めていた。世間から大バッシングを受けても、反省も学習もしないストライカー達。

 

翔(…またか、今日もつくづくついてねぇな。)

 

一海「翔、行くのか?

 

翔「…たりめぇだろ。」

 

ストライカー達の元へ歩いて行く翔。そんな彼に着いていく一海達。

 

翔「…おい。」

 

イミナ「あ?…って、隊長じゃんか!!隊長からもこのクソ店主に言ってやってくれよぉ。」

 

翔「黙れ、学ぶ姿勢すらねぇてめぇらの事だ…イチャモンつけて周囲に迷惑かけやがって…ふざけてんのかコラ?」

 

陽奈「ふざけてないし!!お客様は神様って相場が決まってんの!!」

 

翔「いつの時代の話だ、そんな馬鹿げた相場なんてねぇよ。」

 

一海「人が見てんだろぉが、ギャーギャー騒ぐなよみっともねぇ。」

 

紫「いい歳した大人が子どものように騒いで、恥ずかしいと思わんのか?」

 

友香「お店の方を困らせては、威力業務妨害で刑務所行きですよ?」

 

諒芽「おいコラストライカー共、まぁた人様に迷惑かけてんのか?いい加減にしろよ?」

 

翔だけではなく、一海達も眉間にシワを寄せながらストライカー達に言う。

 

ハヅキ「アタシらは妖魔から市民を守って来たストライカー様さ、少しくらいハメを外して何が悪いんだい?」

 

翔「何がストライカー様だ、後てめぇらはハメを外し過ぎだ。今すぐここを去るか、俺にボコされるか…さっさと選べ。」

 

小織「……妖魔達、出番…」

 

小織が妖魔を呼ぶと、次元の歪みが発生し…そこから旧式妖魔達が姿を現す。妖魔が現れた途端、通りは大騒ぎになる。

 

一海「妖魔から市民を守って来たストライカー達が、今じゃ妖魔側かよ……」

 

紫「呆れてものも言えんな……」

 

ため息をつく一海と紫。

 

イミナ「売られた喧嘩は買ってやんよ、覚悟しろよゴラァ!!」

 

諒芽「上等だストライカー共!!」

 

友香「覚悟するのは、貴女達の方です!!」

 

一海達はゲネシスドライバーを装着、翔はネオディケイドライバーを装着すると、仮面ライダーへと姿を変えていく。

 

 

「「「「「変身(…)ッ!!」」」」」

 

 

《KAMEN RIDE》

 

《DUKE》

 

《レモンエナジーアームズ・ファイトパワー!!ファイトパワー!!ファイファイファイファイファファファファファイト!!》

 

 

《メロンエナジーアームズ》

 

 

《レモンエナジーアームズ・ファイトパワー!!ファイトパワー!!ファイファイファイファイファファファファファイト!!》

 

 

《ピーチエナジーアームズ》

 

 

《チェリーエナジーアームズ》

 

 

大勢の人がいても、お構い無しで仮面ライダーに変身した翔と一海達は、ソニックアローを構える。そして、妖魔達へ向かって走り出す。

 

ディケイドデューク「ムンッ!!」ブォンッ!!

 

ディケイドデュークが刃を1振りすると、旧式妖魔達の身体が横真っ二つに割れた。斬月・真はシグルドとペアを組み、連携を取りながら妖魔と戦う。バロンはマリカとペアを組んで戦っている。人が多く、比較的狭い場所であるため、矢を放つ事はせずに戦うライダー達。

 

斬月・真「ハァッ!!」

 

シグルド「おりゃっ!!」

 

バロン「せやっ!!」

 

マリカ「えいっ!!」

 

彼らもソニックアローで妖魔を次々と斬り捨てる。やがて、妖魔も数を減らし…ストライカー達のみとなった。

 

陽奈「もう妖魔やられちゃったの!?ちょっと早すぎない!?」

 

ハヅキ「こうなったら、やるしかないよ。」

 

ストライカー達はパトリ端末にメモカを挿入し、戦闘態勢に入る。

 

ディケイドデューク「俺が相手になってやる。」

 

そんな彼女達の元へ歩いて行くディケイドデューク。イミナは雄叫びを上げながら拳を振り降ろして来る。ディケイドデュークは攻撃を受け流し、イミナの腹部に右ストレートを放つ。

 

イミナ「うぶっ!?」

 

ディケイドデューク「殺気がダダ漏れなんだよ…」

 

一撃でイミナを倒したディケイドデュークは、残っているストライカー達を見る。

 

ディケイドデューク「次はどいつだ?」

 

ハヅキ「!!」シャキンッ!!

 

ハヅキは2つのナックルブレードを構え、ディケイドデュークに向かって走り出す。

 

ハヅキ「そらっ!!はぁっ!!」

 

ディケイドデューク「…。」

 

ガキンッ!!ガキンッ!!

 

ハヅキが振り回すナックルブレードをソニックアローの刃で受け流すディケイドデューク。

 

ハヅキ「どうして避けないんだい!?」

 

ディケイドデューク「避ける程でもねぇからだ、よォ!!」ガキィンッ!!

 

ディケイドデュークはソニックアローを力強く振り、ハヅキを宙へ飛ばす。その後、ソニックアローから矢を放った。

 

ハヅキ(そう来ると思ったよ!!)

 

ハヅキは矢をナックルブレードで防いだが、その直後に飛んできた2本目の矢に当たってしまった。彼女がガードすると見抜いたディケイドデュークは、同じ軌道の隠し矢を放っていたのだ。

 

ディケイドデューク「次は?」

 

ストライカー「「ッ!?」」ザッ…

 

残っているストライカーは、陽奈と小織である。だが、彼女達はディケイドデュークを恐れ、後退りする。それを見逃さなかったディケイドデュークは、ドライバー操作を行うと、ライドブッカーからカードを取り出す。

 

ディケイドデューク(逃げる気か、んな事させるかよ…)

 

 

《FINAL ATTACK RIDE》

 

《DU DU DU DUKE》

 

 

逃げると判断したディケイドデュークは、ソニックアローの刃にエネルギーを貯める。その後、素早く陽奈と小織を捕らえ、空中に投げる。そして、レモン色の斬撃を陽奈と小織目掛けて飛ばした。直後、爆発が発生し、ボロ雑巾と化した陽奈と小織が地面に落下した。

 

シグルド「ひぇ〜、翔ちん容赦ねぇなぁ…」

 

ディケイドデューク「ほざけ、外道にかける情なんざねぇんだよ。」

 

斬月・真「翔、やったようだな。」

 

ディケイドデューク「あぁ、相変わらず雑魚かったけどな…」

 

バロン「これで、一先ず安心といったところか?」

 

ディケイドデューク「周囲に敵の気配はねぇ、だから大丈夫だ。」

 

マリカ「皆さん、お疲れ様でした。」

 

ディケイドデューク「お前もな。」

 

ライダー達は変身を解き、元の姿に戻る。

 

一海「翔、そのカード気に入ってくれたか?」

 

翔「中々良いんじゃねぇか、ゲネシスドライバーは要らねぇ程にな。」

 

一海「おいおい、流石に処分しないでくれよ?」

 

翔「するわけねぇだろ、バカが。」

 

一海「ちょいちょい、バカばっか言うのやめてくんね?俺泣くよ?流石に泣くよ?」

 

翔「勝手に泣いてろ。」

 

一海「なっ!?何で!?」大汗

 

翔の容赦無い言葉に、困惑する一海。

 

紫「翔、そこまでにしてくれ。」汗

 

友香「一海さん、私達の彼氏ですから…機嫌直してください、翔さん?」汗

 

翔「…わーったよ。」

 

諒芽「なぁ翔ちん、さっきの店主から大量に人形焼貰ったんだけど。良かったら食おうぜ?」

 

翔「…は?」

 

店主「ありがとよあんちゃん達!!コイツァ俺からの大サービスだ、金は取らねぇよ!!ガッハッハッハ!!」

 

翔「見返りは求めてねぇが…あんがとよおっちゃん。」

 

この通りにいる人達を守った5人は、この後黄色い声援を浴びた。これにより、一海はすっかり機嫌を直したが…代わりに翔が機嫌を損ねたのだった。

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