〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第四百十七話 止まった時計がまた動き出す

戦闘に勝利したチームCは、別の街に来ていた。

 

ヤマダ「……こうして外歩いてみると、意外と注目を感じるっすな……」

 

アヤ「……。」

 

ヤマダ「カナさんも言ってたっすね。知名度の上昇?こ〜ゆ〜ことなのかもしれんな……」

 

ユキ「……。」

 

今のDollsは街を歩けばファンに速攻で気付かれる。日々の積み重ねにより、知名度が上がったからだと、カナは言った。

 

ヤマダ「リーダーは気付いてたんすか?ジブンは……ふひひ……普段引きこもってるもんでね……」

 

さっきから喋っているのはヤマダのみ…アヤ、ユキは黙って街を歩いていた。

 

ヤマダ「……ね〜〜、アヤさん。もうずっと、歩いてるじゃないすか。ジブン、そろそろハラへなんすけど……」

 

アヤ「……。」

 

空腹を訴えるヤマダだが、アヤはずっと黙ったままだ。少し歩くと、アイスクリーム店を見つけた。

 

ヤマダ「お、この辺ってアレですっけ?バエるアイス売ってるとこ…ナナミさんがいってたんすよ。リーダーが好きそうな、チャラ甘な−−」

 

一生懸命喋るヤマダだが、アヤもユキも何も反応せず…遂に、ヤマダも黙り込んだ。そして……

 

ヤマダ「…なら、もう帰りましょーや。」

 

帰還する事を提案した。

 

ヤマダ「このままダラダラ歩いてても、パリピ集まって来ちゃうだけ−−」

 

すると、今まで黙っていたアヤが漸く話し始めた。

 

アヤ「お願い…あと1ヶ所だけ、行きたい場所があるの。そこでダメだったらもう、今日は帰るから−−」

 

ヤマダ「はぁ……しょうがないにゃあ……」

 

アヤの後をついて行くヤマダとユキ。彼女達がたどり着いたのは……

 

ヤマダ「−−ん?ここは……」

 

ライブ会場と思わしき場所だった。

 

アヤ「6月22日…Dollsが初めてライブしたとこよ。」

 

ここは、Dollsにとって重要な場所…彼女達が初めてライブを行った会場なのだ。

 

ヤマダ「初めて……?ああそっか、ジブンにとっては1周年ライブのイメージっすけどね……」

 

アヤ「シオリとレイナと、あたし。そこにチヒロとミサキを加えた再スタート。FEELIN' DOLLから名前の一部を持ってきてね…」

 

FEELIN' DOLLとして活動していた時期、初めてライブを行った場所がここなのだ。やがて、メンバーも増えていき…名前を改名し、今のDollsとなったのだ。

 

ヤマダ「ほ〜。なんか炎上でもしたんすか?わざわざ名前変えるなんて。」

 

アヤ「違うわよ!人増えていきそうだったし、チームも作っていろいろ変えていくつもりだったの!!」

 

ヤマダの冗談に怒るアヤ。

 

アヤ「人が増えるって……そういうことじゃない?だから、すぐにその仲間のひとりになれるように……」

 

ヤマダ「……。」

 

アヤ「……本当はあんたも出る予定あったのよ?あんまり感情戻ってなかったから見送りだったけど。っていま思えば……あたしたち、あの時まだあんたにダマされてた……?」

 

ヤマダ「う……いやまあそれは……いろいろあったってことで。」汗

 

何やら色々あったようだが、今は触れないでおこう……彼女達は今、始まりの地で思い出話をしていた。

 

ヤマダ「でもその時期、ユキさんもアイドルまだやってないっすよね。ジブンより少し前、っつーかほぼ同時期……追加メンバー続々!みたいな発表だった気が。」

 

アヤ「そう、ユキは人前でパフォーマンスできなそうだし、コーラスだけでステージには出てなかったけど…ダラドルがありならってことで、あんたごとあたしに押し付けられて……」

 

ヤマダ「……おっと、ヤブヘビ。そりゃあ災難でしたね。」

 

アヤ「人ごとみたいに言うなっつーの!」

 

ヤマダにツッコミを入れるアヤ。

 

アヤ「ま、正直最初は貧乏くじ引かされた!……って思ったけどね。」

 

ユキ「……。」

 

アヤ「……ライブ前に、円陣組んだりするじゃない?」

 

ヤマダ「ああ……リーダー好きっすよね。アレ。」

 

アヤ「チヒロとミサキが増えたのが少しくすぐったくてさ。でもそれより、その後のチームAがうらやましくって。」

 

ヤマダ「その後……」

 

アヤ「3人で固まっていろいろしゃべってて、あたしとレイナとユキも一緒にいるんだけど、それとは違う感じがしてさ……ああ、チームなんだなって思って……」

 

思い出話は、まだ続く。

 

アヤ「最初のチームライブもひどかったわよね?あんたたち自由すぎて、振り回されっぱなしで……でも、それがまたいいって言ってくれるファンもいて……」

 

ヤマダ「……。」

 

アヤ「1周年ライブ、嬉しかった。同じ会場で、今度こそ満席になって……でも……ライブとしては成功したけど…その後、渋谷は−−」

 

ユキ「−−大量のピグマリオンが渋谷を強襲。要因はこれまでにないフィールの発生。以降のライブでは収集装置の作動を早め、フィール発生源の被害を軽減。発案はドールから。フィール収集効率の理に(かな)うため、承認。」

 

アヤ「効率……そんなつもりで言ったんじゃなかったんだけどな……」

 

ヤマダ「……。」

 

アヤ「そう言えば、サクラと翔ってお客さん側にいたんだよね。」

 

ヤマダ「らしいっすね……」

 

アヤ「もしあの時、巻き込まれてなかったら、どうなっえたんだろ……」

 

ユキ「−−タロスの攻撃により全滅。この時代、この都市での使命達成は絶望的。」

 

アヤ「……そっか。」

 

ユキ「青空 翔及びサクラの救援要請はセツナより発令。現場付近にはアヤ、レイナ、ヒヨ、ヤマダ。他のドールの披露を思慮しアヤ、レイナが先行。」

 

ヤマダ「…ん?」

 

ユキ「−−救援時の編成は、レイナ、アヤ、ユキ。サクラは青空 翔による想定外の干渉で戦闘継続不能。代わりに戦闘を開始。Eバースト発動により、チャリオット型を討伐。並びに、青空 翔の乱入によりピグマリオンを討伐。新しいドールと青空 翔の披露を考え、セツナにふたりを託し−−」

 

アヤ「−−わかった、そうだったよね。でももういい。」

 

ユキの話を止め、アヤは言う。

 

アヤ「今日はもう帰ろ…なんかちょっと、疲れちゃった……」

 

そして、帰宅を提案したが…それを拒否したのは、ヤマダだった。

 

ヤマダ「……いや、もう一度確認っす。」

 

アヤ「…ヤマダ?なによ。はやく帰りたいんでしょ?」

 

アヤを無視して、ヤマダはユキに問う。

 

ヤマダ「まず……デウスのことは覚えてるんすね?恐怖を覚えたことも?」

 

ユキ「恐怖を覚えたのは全ドール。権能により感情への強い干渉があった。」

 

ヤマダ「そのことを覚えてると?」

 

ユキ「2%同意。記憶としては残っていない。」

 

ユキ「ヤマダ……どういうこと?何の話してるの?」

 

ヤマダ「じゃあ次……」

 

疑問を抱くアヤを無視し、ヤマダはユキに問い続ける。

 

ヤマダ「さっき、ロストドールって言ったっすよね……じゃあ、チヒロさんのことも覚えてる。」

 

ユキ「奇跡に届く熱量への到達。存在強度解凍のサンプルケースとして。」

 

アヤ「チヒロのことを……」

 

ヤマダ「そんじゃ次は……サクラさんと翔さんを助けに行くときアヤさんとレイナさんは他のメンバーを気遣った?」

 

ユキ「93%同意。」

 

ヤマダ「何で、それを覚えてるんすか?」

 

ユキ「青空 翔との初期接触に関する記憶。優先度SSランクと定義されているため。」

 

ヤマダ「なんで……アヤさんとレイナさんの気持ちまで覚えてる?」

 

ユキ「……。」

 

少し黙った後、ユキは語り始める。

 

ユキ「直前のEバースト。記憶と感情が交錯したため。自身の記憶ではないが関連記憶と定義。」

 

アヤ「……!あたしの考えてたことを……覚えてる…?」

 

ヤマダ「……あんとき確かジブンは、ふたりとも先行っちまってずりーって思ったんすよ……エモノはジブンらにも残してくれよって。でも違った。ライブでみんな疲れてると思ってリーダーたちが先に行ったんだ……そのことをユキさんが『覚えている』のはEバーストでふたりと記憶が混ざったから…YESかNOか、どっちっすか?」

 

ユキ「YES。Eバーストは記憶が一部共有される。」

 

アヤ「!!」

 

ユキの言葉に、アヤは何かを思いつく。

 

アヤ「じゃあ……Eバースト中は……ユキの記憶が少し見えるってこと?

 

ユキ「68%同意。記憶のほか感情も共有される。混合された記憶・感情によるエネルギーの連鎖増幅。それを利用した小規模の奇跡。」

 

ヤマダ「おっと……なるほど……確かにそれは感覚的に理解できるぞ……で、『翔さんの安全確保のための記憶』とやらは優先度高いから消えてないと?」

 

ユキ「YES。最優先事項であるため、各ケースを保持。」

 

ヤマダ「なるほどなるほど…じゃあ最後に……」

 

 

ユキさんの中から消えたのは感情であって

 

記憶そのものではない?

 

 

ヤマダの問いにユキは……

 

ユキ「45%同意。奇跡のために消費されたのは熱量。」

 

…と、答えた。

 

ユキ「熱量は感情、感情は記憶から抽出される。圧縮差分がエネルギーに変換される。熱量を取り出された感情・記憶は断片化する。故に、抽出前と同様に『思い出す』ことは不可能。」

 

アヤ「……ヤマダ!!」

 

ヤマダ「ふひひ……つまり強制フォーマットじゃない……圧縮状態みたいなもんか……!希望が見えてきたっすね……こういうときのためのシミュレーターっショ!!」

 

アヤ「すぐに帰って試しましょう!!」

 

ヤマダ「了解!!」

 

希望が見えたチームCは、すぐにドールハウスへと帰還した。彼女達が居なくなった後、1つの人影がそこに立ち止まった。

 

 

翔「Eバーストを使用し、ユキの感情や記憶を覗くってか…考えたなぁ……」

 

 

それは、彼女達の話をこっそり聞いていた翔だった。

 

翔(なら、早めにストライカー共を動けねぇようにしねぇとな……)

 

彼もその場から離れ、すぐに荒川河川敷へと向かった。河川敷に到着すると、その後に一海と合流した。

 

一海「翔、ストライカー全員がここに来ている。モシュネから伝言を頼まれてな……」

 

翔「よし、でかしたぞ。一海、準備しておけ。」

 

一海「…あぁ!!」

 

一海の顔に何かが浮かび上がり、光りに包まれる。そして、ホースオルフェノクへと変身が完了する。やがて、翔とホースオルフェノクの前に続々とストライカー達が姿を現す。彼女達の近くには、無数の妖魔達がいる。

 

悠水「隊長さん来たよ〜♪遠慮なく来いって、全くもう優しいんだから〜♪」

 

伊緒「それで隊長さん、やっとあたしたちの隊長に戻ってくれるんだよね?」

 

ストライカー達は皆、希望を持ったような輝かしい目をしている。だが、翔と一海だけは無表情のままだ。

 

翔「お前達は、俺の話を聞いていなかったのか…?」

 

椿芽「そんな事はありません、しっかり聞いていましたよ?」

 

翔「そうか、なら文句はねぇよな……撃てェ!!」

 

翔がそう叫んだ直後、ストライカーと妖魔の元に銃弾の嵐が飛んで来た。怯んだストライカーを通り過ぎ、近くにいた妖魔軍に命中し、消滅していく。

 

翔「一海ィ、やるぞ…?

 

ホースO「おうっ!!」

 

ホースオルフェノクは疾走態に切り替わり、超高速で駆け回りながらストライカー達を攻撃し始める。翔も素早い動きでストライカー達を惑わせ、攻撃し始める。突然の出来事について行けないストライカー達は、ただただ攻撃を受けるばかりで…やがて、ボロ雑巾のように変わり果てた。

 

アコ「うぐぅ……ぼ、ボス……どう、いう……こt…なの、だ……?」

 

翔「コイツらのようになりたければ、遠慮なく来いと言ったろ?」

 

翔は無残な姿になった二穂と依咲里と華賀利を見ながら言う。

 

翔「お前達、随分とまぁドMになってんだなぁおい…それなら、やり甲斐があるぜ……

 

翔が気味の悪い笑顔を見せると、ホースオルフェノクの影に青白い一海の顔が現れ、嘲笑うように笑う。

 

 

お前達の為に、祭の始まりだァ…

 

喜べ、特別に遊んでやるからよォ…?

 

 

化け物の遊びに耐えてみろよ

 

 

さぁ、一緒に遊ぼうぜェ?

 

 

こうして、翔とホースオルフェノクはストライカー全員の手足をあらぬ方向に無理矢理捻じ曲げ、行動不能にした。

 

 

 

ホースO「これで、全員か…」

 

翔「あぁ、お疲れ。」

 

翔の言葉を聞き、人間態に戻る一海。彼らの足元には、無残な姿に変わり果てたストライカー達が転がっていた。

 

一海「翔、コイツらどーすんだ?」

 

翔「STARSのキラルにでも頼る。おい、頼む。」

 

翔がそう言うと、STARSメンバー達が現れ、自分のキラルを召喚する。

 

モニカ「うわぁ…ちょっとやり過ぎじゃない?」

 

マリ「そうでもしなきゃ、コイツらはすぐ動けるようになるよ。」

 

キラル達は翔の近くに移動し、命令を待つ。

 

翔「コイツらを家に返してやれ…富士の樹海、白河 昇の元にな……返してきたらすぐに戻って来い。妖魔が追ってこようモノなら、消せ。」

 

翔の命令を聞いたキラル達は行動不能になったストライカー達を運び出した。そして、富士樹海へと向かった。

 

翔(さぁどうする白河 昇……ご自慢(笑)のストライカー達の最高最善の利益を考え、何をする?)

 

 

 

その頃、富士樹海では……

 

昇(皆、本当に青空隊長の元へ向かったのか…明らかな罠であるのにも関わらず……!!)

 

昇は翔が出した動画を見て、すぐに罠だと気付いたが…言葉を話せず、それをストライカーに告げる事が出来なかった。まぁ、今更彼が何を言おうと…ストライカー達は彼を信じず、指示を聞かないのだ。やがて、昇の元に…無残な姿になったストライカー達が投げ捨てられた。

 

昇(くそ…なんて事だ……!!)

 

両手足をあらぬ方向に無理矢理捻じ曲げられたストライカー達を見て、昇は目を閉じた。自分は右足を捻じ曲げられたが、ストライカー達はもっと酷い状態になってしまった。動けず話せずの状態の自分を呪う昇だが、そんな事をしても今の状況は何も変わらないのだ。

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