〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第四百十八話 幾重にも

ドールハウスに帰還したチームCは、早速シミュレーターでバトルを始める。とある方法を試すために…

 

ヤマダ「ふひひ……いくっすよユキさん……」

 

アヤ「こんどこそ…!ユキの記憶を……!」

 

そして、Eバーストを発動する。だが、想像以上の負荷が掛かったのか、ユキ以外の2人は息を切らしていた。

 

ヤマダ「…ッ、どう、すか…アヤさん……」

 

アヤ「はあっ、っ、ダメ…ッ、見えない……どこにも…いないよ……」

 

作戦は失敗…ユキの記憶を見ることは叶わなかった。

 

ヤマダ「はあ…とりあえず続きは明日にしません?連戦しすぎた……さすがに頭痛が痛ぇし…完全デリートされたんじゃないなら……もしかしたら翔さんとかが何とかできるかも−−」

 

アヤ「……あんたも……いろいろ考えてんのね……」

 

ヤマダの言葉を聞き、息を整えながら言うアヤ。

 

ヤマダ「おっと、さてはヤマダの記憶を垣間見たな…不法侵入により禁固刑もしくは罰金……」

 

アヤ「あはは……何言ってんのよ……あんたのほうの記憶や感情はこんなに見つけやすいのにね……」

 

ヤマダ「そっちこそ……何考えてるか丸見えなんすよ。わざわざこんなことしたくたって……」

 

アヤ、ヤマダの記憶はEバーストで見えたそうだが…それがなくても、互いに何を考えているかがある程度察せるようだ。

 

アヤ「そうなんだろうね……あたし、単純だから……ユキだって、何考えてるか分かんなそうで、本当はすごく単純な感じだと思ってたんだけどな……」

 

ヤマダ「……。」

 

すっかり変わり果ててしまったユキに悲しげな顔を向けながらアヤは言う。

 

アヤ「ユキって呼んでも返事してくれないし。反応してもあの『なんとか%同意』ってだけで……」

 

ヤマダ「すごく冷たい感じがする……ってとこすか?作戦の提案とか特に。」

 

アヤ「……効率で考えれば妥当なんだよね?犠牲や被害を割り切るなら……」

 

ヤマダ「でも、そんなことはしたくない……誰もが助かる選択をしたい……ジブンらの気持ちを考えてくれてたのは、マダラメとかカナさん、愛さんらだったってことすかね。少し不安があっても、成功率に影響があっても…可能な限りジブンらが納得できるよう修正してた…EsG……奇跡……天使……んとに、わけわかんねー……」

 

アヤ「翔の記憶は優先……ってことは、EsGは翔のことを重要だと思ってるのよね?」

 

アヤの問いに対する、ユキ…いや、EsGの答えは……

 

 

 

100%同意。

 

 

使命のためにも

 

 

失われてはならない

 

 

 

…であった。だが、現在翔は…ドールハウスを離れ、政府非公認戦闘組織を結成し、その隊長として東京を守っている。ここにはもう、いないのだ。

 

アヤ「天使も翔が大事……使命とか神とか、翔にも何か関係が?」

 

ヤマダ「なるほど……さすがリーダー、まだアヤシイとこ結構ありそうっすな。

 

アヤ「あんただって思い付いてたでしょ?」

 

ヤマダ「いやいや、ブレスト大事だなって痛感したっすよ。Eバーストサマサマっすね……」

 

状況を整理するメンバー達。

 

ヤマダ「確かに記憶と感情が交錯している……だとしたら−−」

 

その時…

 

サクラ「だとしたら、私たちも加わればもっといろいろ分かるかもしれませんよね?」

 

シミュレーターに、Dollsのメンバー達が入ってきた。愛も居る。

 

ヤマダ「サクラさん…それにみなさん……?愛さんまでどうしたんすか、おそろいで。」

 

少し戸惑うヤマダに、愛は語り掛ける。

 

愛「そんなに根を詰めたら倒れちゃうよ。ユキちゃんだって……疲れるだろうし……」

 

アヤ「まぁ……そりゃそうよね。」

 

サクラ「Eバーストでユキさんの記憶を見つける……私たちも手伝わせてください!!」

 

メンバー達は、ユキの記憶を見つける手伝いをすると言う。

 

ヤマダ「そうはいいますがね……結構きついっすよコレ。」

 

アヤ「あたしたちがやったほうが効率いいって。一番、傍にいたんだから……」

 

しかし、ヤマダとアヤはメンバー達に気を遣ってか…中々承諾しない。しかし、チームAのメンバーは言う。

 

シオリ「あら?ユキさんと一番長く過ごしているのは、間違いなく私だと思いますよ。眠っている時も、起きてからも、ずっと私が傍にいましたから。」

 

ミサキ「それを言うなら、ユキとのシミュレーターバトル。一番回数を重ねているのは私に間違いないわ。数値が記録されているから証拠もある。見てみなさい、ヤマダよりも多いはずよ。」

 

チームBのメンバーも言う。

 

ヒヨ「はいは〜い!ユキちゃんの好きな場所、一番知ってるのはヒヨで〜す!日向ぼっこしたり、ネコちゃんと遊んだり、朝のランニングもずっと一緒だったからね!」

 

ナナミ「僭越(せんえつ)ながら、私もユキさんの趣味嗜好についは一番把握しているといって過言ではないでしょう。好きな味、好きな生き物、好きな肌触りの素材……その傾向と分析で私に並ぶ者はいないでしょう。」

 

レイナ「ふふ……私だって一番だと思うことはあるわ。例えば、ユキのアイドルとしての成長。レッスンを重ねてできる事が増えていく……アヤが気づいていない事だって、きっとあるわよ。」

 

最後に、サクラが言う。

 

サクラ「私は……一番ユキさんとすごした時間が短いです。だから、たくさん聞かせてもらいました。ユキさんがみなさんとどう過ごしてきたか。どんな感情を受け取って、どう考えているのか……ユキさんがみなさんをどれだけ大好きなのか、そのことを一番知っているのはきっと私です……!!」

 

メンバー達の言葉を聞いたアヤとヤマダは、ここで漸く折れた。

 

アヤ「わかった、わかったよ……みんなありがとう……」

 

ヤマダ「おっ……決まったっすね。じゃ、さっそく、だれから行きます?」

 

愛「おっ?ヤマダちゃんがやる気?いや、でもユキちゃんの体力も−−」

 

ヤマダ「……なんてね。さすがに今日はも〜無理っすわ〜。」

 

連戦での疲れが出ているのか、今日はやらないようだ。

 

ヤマダ「んじゃ、本日はコレくらいにして、しばらく空き時間つきあってもらうってことで。」

 

最後に、ヤマダはニタっと笑うと……

 

ヤマダ「みなさん、どうも……」

 

…と、メンバー達にお礼を言った。その後、メンバー達は疲れを癒すべく…屋上にある温泉に浸かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、STARS本部ビルでは……

 

翔「…よく集まってくれた。」

 

翔を初めとする、STARS構成員達が何やら会議をしていた。そこには、一海と紫、友香と諒芽の姿もあった。

 

一海「今回、俺と翔がストライカー共を行動不能にしたんだ。」

 

紫「あのストライカー共を?どうやってやったんだ?」

 

翔「簡単だ……ひたすらボコした後に手足を折った、それだけだ。証拠だってあるんだ。」

 

翔がそう言うと、1機のモシュネが映像をスクリーンに映し出す。そこには、翔とホースオルフェノクがストライカー達を攻撃し、手足をあらぬ方向に捻じ曲げている様子があった。

 

紫&友香「「……。」」

 

その映像を見て、言葉を失う紫と友香。

 

諒芽「ん?待てよ…なぁ一海、お前も翔ちんと一緒にいたんだよな?」

 

映像を見て、疑問を投げる諒芽。

 

一海「そうそう、オルフェノクになって……って、!?」

 

口を滑らせたのか、口を塞ぐ一海。だが、もう遅い…

 

翔「一海ィ、男なら正直に話せ…いつまでも長引かせてんじゃねぇよ、阿呆。」

 

翔に背中を押され、一海は自分がオルフェノクである事をメンバー達に話した。彼の話を聞いた紫達は……

 

紫「そうだったのか、何故言ってくれなかったんだ?」

 

友香「そうですよ一海さん!!私達の間に隠し事は無しですよ!!」

 

諒芽「ホースオルフェノクって事は…疾走態にもなれんのか!?俺さ、一度新幹線と並走バトルしたかったんだよなぁ!!」

 

一海に対する驚きや嫌悪感ではなく、温かい言葉や間抜けな言葉を投げた。

 

一海「な、な、何だ…驚かねぇのか?」

 

諒芽「一海がオルフェノクってのは、薄々勘付いてた…だってよぉ、いつまでたってもカイザギアは灰にならねぇし……ライダーオタクの一海なら、そこまで再現すんだろーなって思ってさ……当たりか?」

 

一海「……当たりだ。」

 

どうやら、紫達は一海が人間ではないのを薄々感じていたようだ。紫も友香も諒芽も、一海に負けない程のライダーオタクであるから。

 

翔「…もう良いか?」

 

一海「…あ、あぁ。」

 

話を戻し、今後の事についての話を始める翔。

 

翔「ストライカー共は動けなくなったが、それでも妖魔の脅威は未だ健在だ……Dollsとはもう少しの間、敵対関係を続ける。」

 

ほたる「…隊長サン、どうしてDollsとの敵対関係を解消しないんですか?」

 

翔の言葉を聞き、ほたるが質問をする。

 

翔「ストライカー共は身体的には動けんが、言葉を話すことはできる…妖魔にだって、言葉を話せる個体がいるんだ……ソイツからストライカー共に情報が渡ったら終わりだ。奴らはまた、Dollsに目ェつけんだろ…それを防ぐためだ。反論はあるか?」

 

ほたる「……ないです。」

 

翔の返答を聞き、少し暗い顔をするほたる。

 

翔「心が苦しいのは分かる。お前達だって、Dollsと共に過ごしていたからな…俺だっていい加減ウンザリしている……だがな、アイツらの最善を考えれば、こうするしかねぇんだ……許せとは言わねぇ、俺を恨みたければ恨んだって良い。」

 

あから「そんな悲しい事を言わないでくれ、隊長殿。ボク達は隊長殿を信じて、着いて来てるんだ。Dollsとはいつか、また分かち合える日が来るんだろう?」

 

翔「当たり前だ。だが、それはまだ少し先の話……まだ耐え時だ。」

 

彼の言葉を聞き、構成員達の表情が少し明るくなる。妖魔退治や依頼者からの依頼を熟しつつ、現状を貫くとのことで話は纏まった。

 

諒芽「Dollsと和解できたらさ、皆で宴でもやろうぜ!!俺達も何か持ってくからさ!!」

 

翔「ドールハウスでやるってか?まぁ良いだろう…お前達には、感謝しているからな。」

 

ストライカー達が動けなくなった事で、少しの希望が大きくなったように感じるメンバー達だった。

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